被身子ルートです。
告白シーンを3人分考えるのは地味に時間が掛かりましたね。
ミスコンで被身子が表彰されるのを見届けた導輝は、少し時間を潰してミスコン参加者の控え室へ向かう。
コンコンコン。
ノックをして控え室に入る。
中では、ミスコンの衣装から制服へ着替えた被身子が待っていた。
「アーク様、どうして...」
「どうした被身子、お前がここで俺を待つと言ったんだろう?来ちゃいけなかったか?」
「だって......わたし殺人経験のある元
自身を否定する発言をする被身子の口を、導輝はキスで塞ぐ。
突然のキスに驚く被身子だったが、次第に現状を受け入れて導輝を身体に手を回す。
そして数分後、重なっていた2人の唇が離れる。
「被身子、俺は自分の好きな女性を悪く言われるのは非常に不愉快だ。それがたとえ
「アーク様...」
「被身子が俺に依存せず自立しようと努力していることは知っている。でも俺には被身子が必要なんだ」
「うそ...」
再び抱きつき、導輝の胸に顔を埋める被身子。
「アーク様がわたしを選んでくれるなんて、夢みたいです」
「夢なんかじゃないさ。なんならほっぺを
「うふふ。そんなものより、もっと確実な方法があるじゃないですか」
そう言って、顔を上げて目を閉じる被身子。
被身子が何を望んでいるのかを察した導輝は、再び被身子にキスをする。
この日、雄英史上最も
そして、およそ10年の時が流れる...。
☆★☆★☆
「
「そうか...。初めて会った時のことを考えると、感慨深いものがあるな...」
「アーク様が『あの子』と出会ったのも、職場体験を通してですもんね」
仮面ライダーアークワンのヒーロー事務所。
またの名を飛電インテリジェンス。
そこでは導輝・被身子・亡の3人が、これから訪れる『来客』について話していた。
ちなみに腹筋崩壊太郎はデク事務所へ出張中だ。
そして件の『来客』が到着する。
「お久しぶりです。アークさん、アズさん、亡お姉ちゃん」
「よく来てくれたね、エリちゃん」
「いらっしゃいなのです〜」
「歓迎しますよ、壊理」
月日が流れ、雄英高校1年生となった壊理。
彼女は体育祭の後、飛電インテリジェンスからの指名を受けて職場体験に来たのだ。
保護されてから10年。
訓練を行い続けた壊理の個性『巻き戻し』は大きく成長していた。
『巻き戻し』をした相手にもう1度触れることで、相手を『巻き戻し』をする前の状態に戻すことが可能になったのだ。
これにより、対人戦で個性を遠慮なく使用できるようになった。
体育祭でも、対戦相手を個性が発現するより前の年齢まで『巻き戻し』て無力化させることで勝利していた。
しかし、『発動には身体の一部で対象に触れる必要がある』『生物にしか効果が無い』という点は変わらないので、壊理の戦闘スタイルは素手での格闘だ。
コスチュームは導輝やスレ民が相談に乗った結果、ファイアーエムブレム風花雪月の『バトルシスター』に決定した。
というか実際に風花雪月D×Dの居る世界からバトルシスターの戦闘装束を取り寄せ、ヒーローコスチュームに改造したというのが経緯である。
「それじゃあ、エリちゃんのヒーローネームを教えてもらおうか」
「はいっ!わたしは遡行ヒーロー『リターナ』です!」
「なるほど、
「カァイイ名前ですね〜」
そして、ヒーロー事務所としての活動を壊理に説明する導輝。
「さて......本来ならこれから一緒にパトロールへ行くところだが、ちょうど
「アーク様、エリちゃんを連れて行って良いのですか?」
「今しかできない貴重な経験だ。身の危険からはちゃんと守るさ。パトロールのような当初予定していた分は明日以降に回せば良い」
「そういうことでしたら、承知致しました。こちらの方はお任せください、
「というわけでエリちゃん。被身子に更衣室まで案内してもらうから、コスチュームに着替えてきてくれ」
「わかりました。えっと......それで、わたしたちはどこへ何をしに向かうんです?」
「ちょっと
「............え?」
☆★☆★☆
とある宇宙のとある惑星。
そこで俺たち3人は他のスレ民たちと合流する。
俺たちの前には、白い饅頭のような巨大な物体が鎮座していた。
「これって...」
「あぁ。『イフ』の第1形態だな...」
「やっぱりそうか...」
完全生命体イフ。
『ウルトラマンマックス』に登場した怪獣の1体だ。
受けた攻撃を身に付け、際限無く強くなるという性質を持ち、ウルトラシリーズの中でも最強候補に上がる存在のひとつだ。
目の前に居る個体は、今はまだ外部から刺激を受けていないため生命反応すら無い第1形態の状態だが。
「ありがとう皆。よく集まってくれたわ」
背後から、複数の浮遊生命体『メトロイド』を引き連れた女性が現れる。
彼女が今回エマージェンシーコールを発信した転生者だ。
ここはゲーム『メトロイド』の世界。
そして彼女は
この世界の宇宙は『メトロイド』がベースとなっているが、他作品の地球外生命体がいくつも存在する魔境と化している。
例えば
トランスフォーマーに型月のORT。
ガンダム00のELSにマクロスFのヴァジュラ。
そして眼前のイフのような宇宙由来のウルトラ怪獣に宇宙人。
正直サムス・アランが何人居ても足りないくらいの地獄なので、特例で彼女はエマージェンシーコールの使用回数が無制限となっている。
ちなみにスレ内でのハンドルネームは『マザーだけどお姉ちゃん』。
サムスに自身のことを『お姉ちゃん』と呼ばせているのが理由だ。
「すごいプニプニしてる...」
「抱きつくと癒されますねぇ〜」
メトロイドの幼成体を指でつつくエリちゃんと、クッション代わりに抱きつく被身子。
ちなみに被身子や亡には転生者関連の事情は既に説明しており、エリちゃんにもいずれ話す予定だ。
「......」
そんな2人に対して、自分も触ってほしそうに視線を送る
本来メトロイドは凶暴な生物なのだが、転生マザーブレインもといMBネキの教育により原作よりも高い知能と強い理性を身に付けている。
少し前に惑星SR388へメトロイドを回収しに来た
ちなみにMBネキが外で活動するために作った人型のボディはOther Mの『
この世界の銀河連邦はメトロイドの力を正しく平和利用しているホワイト組織なので、彼女が誕生する可能性は限りなくゼロに近い。
そしてマザーブレインであるMBネキも、
といっても先述の通りこの宇宙は魑魅魍魎が跋扈しており、世界滅亡に繋がる火種がそこかしこに転がっているのでイベントには事欠かないのだが...。
「それでMBネキ。
「とりあえず惑星ゼーベスに移送するわ。こんな誰も管理していない星に放置していたら、いつどんな刺激を受けて厄災に変化するかわかったものじゃないしね」
「ゼーベスも酸性雨が降るような星だからあまり住み心地が良いわけじゃないんだがな...」
「それでもこのままにするよりはマシよ。今わたしの本体がゼーベスの地下にイフを収める格納庫を作っているわ。スレの皆には移送中の護衛をお願いしたいの」
そしてイフの移送が開始される。
まずはMBネキが持ってきた輸送船にイフを運び入れるのだが...。
「よいしょっと...」
「ゆっくり、慎重に...」
ステラからデストロイガンダムを借りてきたフレイネキと、本来の大きさである50m級の体躯に戻ったタルタルソースニキが、慎重な手つきでイフを運搬する。
そしてゼーベスへ向かって発進する輸送船。
「うわぁ〜、綺麗...」
窓から見える宇宙空間の眺めに、感嘆の吐息を漏らすエリちゃん。
この世界だと惑星間を移動する技術が凄まじく発展しているんだよな。
俺たちの世界が追いつくのは何百年先になるのだろうか...。
そのまま何事もなくゼーベスへ到着する。
戦闘も特に起きなかったので、エリちゃんの初めての異世界経験としては悪くない結果だった。
暇だったので途中、社長ニキ主催のデュエル大会が行われたり、久々に皆で『閃光』の演奏とマフティーダンスをやったりもした。
その結果、巨大白饅頭だったイフが巨大なかぼちゃマスクに変化したが実害は無いので誰も気にしなかった。
そしてイフの移送が完了し、俺たちは
「お姉ちゃん、どうしてわたしを連れて行かなかったの...?」
「ち、違うのよサムス。決してあなたを除け者にしたわけじゃないわ。あなたは多忙な身だし、今回の件は武力で解決するようなものじゃ...」
「お姉ちゃんのバカ!もう知らない!」
「(ガーン!)」
ショックを受け、その場で硬直するMBネキ。
この光景はもはや日常となっているのか、メトロイドたちは親と認識しているはずのMBネキを一瞥すらせずに持ち場へ帰っていく。
「今のが、サムス・アラン...?」
今回この世界に初めて来た、メンバーの中で最も新参な者が呟く。
確かにサムスはクールビューティーのイメージがあるため、先程の光景を見て困惑する気持ちはわかる。
あれでもダークサムスをちゃんと倒しているので、戦闘能力は原作と同等だったりする。
それもこれも全て、MBネキってやつの仕業なんだ...。
ちなみに新参者の彼は『犬夜叉』に転生した憑依殺生丸である。
ハンドルネームは『犬桔派な兄上』。
現在は母親が亡くなったばかりの犬夜叉の面倒を見ながら、冥道残月破付きの鉄砕牙で修行中だそうだ。
名前の通り犬桔派なので、時が来たら奈落滅殺RTAをする気満々だったりする。
☆★☆★☆
そして任務が完了し、元の世界へ帰還する俺たち。
何日も掛かる船旅だったが、時王ニキから借りたタイムマジーンのおかげでこちらの世界の日付は未だ職場体験1日目だ。
「どうだったエリちゃん。うちの事務所の業務は?」
「なんというか......10年かけて培ってきた常識が一瞬で破壊された気分です...」
それはそうだろう。
移送中に向こうの世界のデータベースを色々見せたからな。
「今回はただの移送だったが、戦闘をするケースもある。それこそタルタルソースニキと同じくらいの大きさの怪獣だったり、メトロイドのようにこちらの常識が通用しない生物が相手だ」
「
その後はエマージェンシーコールが発生することも無く、7日間の職場体験が終了する。
「皆さん、お世話になりました!」
「うん。初日に比べてだいぶ良い表情をするようになったな。ちなみにエマージェンシーコールが発生する頻度は、月に2〜3回といったところだ。もしインターンでうちに来るなら、また出動する機会があるだろう」
「わかりました。その時はまたお世話になりますね」
そう言って、こちらに背を向けて歩き出すエリちゃん。
それを見届けた俺たちは事務所の中に戻る。
「既に壊理はインターン先を飛電インテリジェンスにすると決めたのですね」
「判断が早すぎるような気もするがな...」
「あれだけ魅力的な部分を語ったことですし、
「そういうものかなぁ...。被身子はどうなんだ?転生者じゃない以上はタダ働きみたいなものだぞ」
「あら、アーク様らしくない台詞ですね。対価が無いと動かないヒーローなんて傭兵と変わりませんよ?」
「あ〜そうだったな。余計なお世話はヒーローの本質だもんな...」
「ふふふっ。そ・れ・に〜」
被身子が抱きついてくる。
「異世界でアーク様とデートができるんですよ?報酬ならこれで十分すぎます」
「そうか?まあ被身子がそれで構わないならいいんだが...」
「アーク様、わたし今とっても幸せなんですよ?大好きなアーク様と一緒に居られるのですから」
「被身子...」
「だからアーク様は自分のするべきことに全力で立ち向かえば良いのです。わたしはそんなあなたをずっと支えていきますから」
「......ありがとう、被身子」
「感謝の気持ちは行動で示してくださいね」
そう言って、10年前のように目を閉じて顔を突き出す被身子。
それに対して俺は当然、キスで応じる。
この日導輝は、いずれ被身子に
2人の薬指に指輪がはまる日も、そう遠くないだろう。
今回をもちまして、『アークがヒーローで仮面ライダー』は完結です。
4ヶ月にも満たない連載期間でしたが、皆さん応援ありがとうございました。
読み専しながら何年も溜め込んだネタも、全て出し切りました。
番外編は書けそうにないですね。
連載当初にも言いましたが、本作のコテハンメンバーを題材にした三次創作は大歓迎ですので自分が書きたいという方はメッセージをお願いします。
それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう。