もう完全にオリ主が原作に介入していますが後悔はしていません!(今更)
これからもガンガン介入させていきます!
---IS学園 学生寮 1035室
生徒会室で生徒会長との話を終えた後、俺はアリーナで一夏、セシリアさんと訓練をした。特に問題なく終わったし一夏も確実に強くなっているのでクラス代表までにはある程度ものになるだろう。
今はすっかり外も暗くなっているが現在俺は何をしているかと言うと寮の自分の机で今日の特訓で夢幻に蓄積したデータを確認している。
「成る程...得意な距離が正反対かつ設計思想も真逆な2機と戦い続けるとこんなデータになるのか...」
夢幻に蓄積されたデータは一夏の白式とセシリアさんのブルーティアーズの両方と同時に戦えるような中距離で一番効果を発揮する武装案が多く纏まっていた。
「このアサルトライフルは使いやすそうだ、明日にでも夢幻で製造しておこう」
他にもおもしろそうな武装のデータが沢山あった。これは戦術の幅がかなり広がりそうだ。
俺が一人で満足気な顔をしながらぶつぶつ呟いていると部屋の扉が開いて簪さんが入って来た。
「あ、簪さんお疲れ様」
「海...お疲れ様...」
簪さんの方を向いて労いの言葉をかけたがやっぱり随分と疲れているように見えた、目の下の隈は更に酷くなっているし何より足元がおぼつかない。
「簪さん大丈夫?なんだか疲れているように見えるけど...」
「大丈夫だから私の事は放って置いて...」
「そうゆう訳にもいかないよ、そんな疲れた顔をしている人を放って置けるほど俺も薄情者じゃないからね、とりあえずベッドに座ってて」
俺は簪さんをベッドに座るように促して部屋の簡易キッチンへホットミルクを作りに向かう。ついでにこの前のチョコムースも一緒に出そう。
「楯無先輩をひたすら追ってるんだろうな...やっぱり...」
食堂で話をした時の反応、俺や一夏が出てきたせいで開発が止まった自身の専用機、そして優秀で既に国家代表にまでなっている自身の姉...
「これだけヒントがあれば誰だって簪さんが追い詰められていることが分かるよなぁ...」
俺は作ったホットミルクと冷蔵庫から取り出したチョコムースを持って簪さんの所に戻る。
「はいこれ、ホットミルクとチョコムース、甘いもの食べてまずは落ち着こう?」
「あ、ありがとう...このチョコムースは海が?」
「ん?ああ、昨日クラスであったパーティの為に作ったんだけどどうせならと思って簪さんの分も作っておいたんだ」
俺が作ったと知ると簪さんは少し驚いたような表情をしたが、チョコムースを一口食べると少し口元が緩んだように見えた。
「これ、おいしい...」
「なら良かった、落ち着いたところでゆっくりでいいからどうしてそんなに無茶をしているのか話せるかな?」
「...私が自分の専用機を一人で組み立てようとしてることは知ってる?」
「ああ、大方一夏が出てきたからその専用機の開発に人員を割かれて簪さんの機体は開発が止まったのを引き取って一人で組み立ててる感じかな?」
技術者の風上にも置けないような事をするよ倉持技研は...
「そこまで分かってるんだ...」
「日本人でIS学園に入ることになったら自分の国の代表候補生の事ぐらい調べるさ」
「海...もしかしてストーカー気質...?」
何故そこでそうなる!?直ぐに訂正しないと!
「いやいや相手になる可能性のある人間の機体やら癖やらをあらかじめ予習しておいてるだけでそれ以外の意図は無いよ...」
「あっ...その...ごめんなさい...」
「大丈夫大丈夫、悪気は無かったんだろうしとりあえず話を続けて?」
「うん...それで私が一人で専用機を組み立ててる理由だけど...海はこの学園の生徒会長の事は分かる?」
「分かるよ、今日呼び出されて会って来たから」
「っ...えっとその生徒会長が私のお姉ちゃんなの...」
「そうみたいだね、苗字同じだし結構簪さんと見た目が似ている部分が多かったし」
「その私のお姉ちゃんはロシアの国家代表で、学園で最強の人間がなるっていう生徒会長もやっててとても優秀な人なの...私の目標でもあった」
「あった?どうして過去形に?」
「お姉ちゃんが更識のトップになって少し経った時に言われたの「貴女は何もしなくていいの、お姉ちゃんが守ってあげるから」って...」
「...」
「更識でいくら頑張ってもお姉ちゃんと比べられて、まともに見られることも無くなってそれ以来私は決めたの、お姉ちゃんと同じように一人でISを組み立ててお姉ちゃん追いついて見せるって...」
「成る程ね...でも最近になって無茶をしてる理由は別にあるんじゃないかな?」
「それは...」
「あくまで俺の予想だけど俺や一夏が思ったより結果を残してることから国の担当の人に急かされてる...とか?」
「...ほぼ正解、少し前に国の担当官の人に言われたの「いつになったら専用機は完成するんだ、男性操縦者の二人の方が結果を残しているぞ」って...」
開発が凍結されたのも知っておいてよく簪さんにそんなこと言えるな...
「この国も墜ちたもんだ...簪さん...俺でよければ専用機の開発を手伝わせてくれないかな?俺も思うところがあるし、なにより今にも倒れそうだった簪さんを放って置くことは俺には出来ないから」
「でも一人で完成させないとお姉ちゃんには...」
「そのことについて今日聞いてみたよ、一緒にいた虚先輩も話してくれたけど実際の所楯無先輩は一人では専用機を組んで無いって」
実は生徒会室での一件の時にさりげなく聞いてみたのだがやはり楯無先輩が一人で自分の専用機を組んだというのは嘘だった。
「え...?じゃあお姉ちゃんが一人で自分の専用機を組み立てたって話は...」
「国やら色んな所が宣伝の為に誇張して流した噂だろうってさ」
「そうだったんだ...」
「それに今はすれ違ってるかもしれないけど楯無先輩は誰よりも簪さんの事を大事に考えていると思うよ」
「それは...」
「まあ今は無理でもいつかきちんと向かい合って話せる時はくるさ、とりあえず簪さんの専用機の開発は手伝ってもいいかな?専用機が出来たタイミングなら楯無先輩とも話せると思うし」
「...うん、そうだね...分かった!こちらこそよろしくお願いします!」
簪さんの顔つきが変わった、これなら大丈夫だろう、俺みたいな人間のお節介が役に立って良かった...
「じゃあ今日は無理せずに寝た方がいいね」
「あ、うんそうだね、じゃあおやすみなさい...」
「おやすみなさい簪さん」
簪さんが自分のベッドに入ったのを確認した後俺も自分のベッドに入りそのまま眠りについた。
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---IS学園 整備室
今日の授業もあっという間に終わって放課後になり、俺は簪さんの専用機開発を手伝う為に整備室に来ていた。もちろん一夏達には連絡済みだ。特訓に遅れたり行けないばかりで申し訳ないので明日はみっちり一夏に特訓を付ける事にしよう。
「あ、むっきーこっちだよー」
「本音さんも来てたんだな」
「私は整備課志望だからねー、それにかんちゃんに呼ばれたから」
「成る程」
本音さんと軽く会話しながら先に作業していた簪さんの方に向かった。奥の方に簪さんの姿が見えたので声をかけながら近づく。
「簪さん!手伝いに来たよ!」
「海、本音...改めてよろしくお願いします。」
簪さんは深々と頭を下げながら俺達に改めてこれから一緒に開発をしていく意思を伝えてきたのでそれに返した。
「もちろんだよ!まかせて、かんちゃん!」
「俺もだ、出来ることがあれば何でも手伝うからガンガン言って欲しい。」
「本音も海もありがとう、じゃあまず現状の説明なんだけど...」
簪さんから端末で【打鉄弐式】のデータを表示しながら説明を受けた。
「成る程...現状の完成度は全体で見て3割程度、出来ていないのは武装と本体の制御系統のシステムか、そして武装に関しては全く手つかずと...」
「うん...だからまずは本体の方を優先して本体がほぼ完成してから武装の開発に手を付けようと思うの」
「分かった、じゃあ本体の制御システムから取り掛かろうか...っとこれは」
「どうしたの?海」
「ああ...武装一覧の対複合装甲用の超振動薙刀の名前が『夢現』だからつい反応しちゃってね」
「そういえば海のISの特殊兵装の名前も夢現...じゃあ名前変えておいた方がいいかな...?」
「いや、そのままで大丈夫、俺のISに搭載されてる夢現とは別物だし一緒でも困らないと思うよ。簪さんが変えたいならそれでもいいけど」
「そういうことなら変えないでおく...じゃあ作業始めるね...」
「ふぉいとーおー」
「本音さんがいうと逆に力抜けるな...」
そこからは三人でひたすら開発作業を進行していった。簪さん達にはもちろん言っていない事だが俺はISの生みの親である束さんの元で小学生の時からみっちりISのノウハウを教わっていたので元々プログラミングが得意だった簪さんと協力して制御プログラムはあっという間にほぼ完成といったところまで持っていくことが出来た、もちろん実際に動かして何回もテストしないといけないのでまだまだやることは多いが確認した限りではバグ等は発生せずに正常に動くプログラムが出来たので今日一日でここまで進んだなら大満足の結果だろう。
「私一人でやっていた時は全然取れなかったバグがこんなに簡単に解消できてしかもほぼ完成まで持っていけるなんて...」
「簪さんの組んでいたプログラムがしっかりしていたし見やすかったから俺はバグを取っただけだよ、ほとんど簪さんが完成させたようなものだ」
「それでも私一人だったら絶対に今日一日でここまで進まなかった。それに海が凄くISの構造やプログラムに詳しかったから何とかなった...」
「月兎製作所の技術者の人にみっちり教えてもらったんだよ、それまでは俺もちんぷんかんぷんだったからね」
「そうだったんだ...そんなに凄い人ならぜひ一度会ってみたい...」
「うーん...中々アポが取れる人じゃないから機会があったら話してみるよ」
「分かった、ありがとう、今日はもう時間だから解散だね」
「そうだな、俺はちょっと購買で買いたいものがあるから簪さんは先に戻ってて」
「うん、じゃあお先に」
「じゃあねーむっきー」
流石にもういい時間だったので今日の作業は切り上げて解散した。俺は購買で少し食べ物を買おうと思っていたので簪さん達には先に戻ってもらった。
「急にガムでも噛みたくなってきたな、ついでに買うか...」
俺は財布の中身を確認しながら一人で購買に向かった。
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---IS学園 廊下
購買で目当ての食材やお菓子、それに懐かしいガムを見つけて買うことが出来て俺は上機嫌で廊下を歩いていた。
「めちゃくちゃ懐かしいなこのガム!俺しか好きなやつがいなくてなんか食べてると変わった目で見られたっけ」
作業の時に食べるのが楽しみだと思いながら寮と本校舎の境目のスペースに置いてある自動販売機を見ると自販機の横に一人で蹲っている人を見つけた。
「大丈夫ですか?体調が悪いなら保健室まで連れていきますけど...って鈴?」
「...海?」
体調が悪いのかと思って声をかけて見れば鈴だった。俺の声に反応してこちらに顔を向けてきたがその目元は赤く腫れていて泣いていたようだった。
「どうしたんだよ鈴、こんな時間にこんな場所で...」
「一夏が...」
「一夏が?」
「あの時の約束...」
「あ...大体分かった、無理に全部言わなくて大丈夫だ、あの時俺と弾も協力したからちゃんと覚えてる」
「毎日酢豚を奢るってどんな覚え方してたらそうなるのよ...これじゃあ期待してた私が馬鹿みたい、一夏ならきっと覚えててくれると思ってたのに...」
「今だから正直に鈴に言うけど俺と弾は鈴が一夏に告白したあの時確実に一夏は勘違いするだろうって思ってたよ...」
「じゃあ私一人だけ浮足立って喜んでたっていうの...もうバッカみたい...」
「でもな鈴、あの一夏だぞ?お前からの気持ちもそうだがもちろん他の女子からの好意にも1ミリも気付いてないんだ、だったら今こうやって落ち込んでいないで誰よりも先にあいつに鈴の気持ちをぶつけた方が良いと思わないか?」
「それは...そうだけど...」
「なにか切っ掛けが欲しいなら5月のクラス代表戦で一夏に自分の気持ちを伝えればいい、どうだ?」
「クラス代表戦...そうね!そうするわ!ありがとう海!いつもあんたには助けられてばっかりね」
「吹っ切れたみたいで良かったよ、それに俺達は友達だろ?だったら助けるのは当たり前だからな」
「じゃあクラス代表戦までにしっかり一夏を鍛えてやってね!弱すぎたら話も出来ないんだから!」
俺は自分が買った物が入ってる袋からウーロン茶の缶を取り出して鈴に投げ渡しながら答えた。
「おう!任せとけ!じゃあな鈴!」
俺は今の鈴ならちゃんと自分の想いを一夏に伝えられるだろうと確信を持てたので鈴に別れを告げて自分の部屋に向かって再び歩き始めた。
「やべぇ...鈴と一夏が初戦で当たらないとほぼ不可能な事に今更気付いちまった...直ぐに千冬さんに相談しに行かないと...」
更識 簪の悩みを早々に解決するオリ主、開発でもそのチートスペックを発揮してしまうのかは次回以降で
それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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