今回はラウラとの一幕になります。
楽しんでいただければ幸いです。
---IS学園 保健室
<ラウラ視点>
「っ...」
目を覚ますと私はベッドの上で寝ていた。薬品の匂いがする事や周りの状況からどうやらここは保健室らしい。
「ぐっ...」
身体を起こそうとすると全身の筋肉が悲鳴を上げて激痛が走った。自分の身体を確認するといたるところに包帯が巻かれていた。
それでも無理矢理身体を起こすと同時にカーテンの仕切りから織斑教官が入って来た。
「目が覚めたようだな、ラウラ」
「教官...」
「機体に無理矢理動かされた所為で全身の筋肉がボロボロだ、しばらくは安静にしていろ」
「教官...私は...」
「【VTシステム】は知っているか?」
「はい...過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムで、アラスカ条約で現在どの国家・組織・企業においても研究、開発、使用全てが禁止されているモノだと認識しています」
「そうだ、それがお前のISに搭載されていた」
「っ...!?」
「ドイツに確認したがお前のISの開発者陣も知らなかった、どこかのタイミングで秘密裏に搭載されていたようだ。責任者は既に行方不明になっていて責任の取らせようもないし、お前のISに外部からシステムに干渉して強制起動させた痕跡があった、極力お前に責任がいかない様に努力はするつもりだ」
教官はため息を付きながら私に説明してくださった。
「私は...何もできなかった...」
「ラウラ?」
私は自分の無力さに下を向くしかなかった、目から涙がポタポタとベットのシーツに落ちて染みを作った...
「失礼します、武藤と織斑です」
私が俯いていると保健室の入り口のドアがノックされて私が憎んでいた人物の声が聞こえてきた。
「着いたか、入っていいぞ」
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<海視点>
「「失礼します」」
俺と一夏は保健室のドアをノックして中から織斑先生の声が聞こえたのを確認してから中に入った。
「自分たちの処遇は決定しましたでしょうか?」
「まあ待て、まず言わねばならないことがある」
「「?」」
織斑先生はベットにいるアイツに身体を向き直すと口を開いた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒッ!」
「っ!?」
ベットで俯いていたアイツが驚いて顔を上げて織斑先生を見た、どうやら泣いていた様だった。
「お前は何者だ?」
「わ、私は...」
「分からないならこれから答えを見つければいい、此処でな」
「これから?此処で?」
「ああ、誰かに与えられた任務ではなくお前自身の意思でお前の道を選ぶんだ、そうすれば自分が何者なのか自ずと答えは見つかるだろう」
「私の道...」
織斑先生は言い終わった後に俺達の方を指して更に続けた。
「周りに頼ることは何も悪いことではない、私だって色んな人間に助けてもらっているしな、だがそのためには周りの人間との関係が大事になってくる、今のお前に必要なのはまず謝罪だな。きちんと謝ればきっと皆力を貸してくれるはずだ」
そう言って織斑先生はアイツから離れてこちらに歩いてきた。
「さて、待たせたな、武藤、織斑」
「いえ...必ず必要な事だったと思います」
「千冬姉...」
「だから織斑先生だと...まあいい、お前達への処分だが武藤は今回の事故処理の事を加味して反省文10枚、織斑は武藤に協力したとはいえ個人的な乱入をしたということで反省文20枚だ、何か質問はあるか?」
「いえ、寛大な処分感謝致します」
「だ、大丈夫です...」
「ならいい、私は職員室に戻るから明日の放課後までに反省文は提出しに来い、分かったな」
「「分かりました」」
織斑先生は俺達に処分の内容を伝えると保健室を出て行った。今保健室にいるのは俺と一夏、そしてベッドにいるアイツだけになってしまった。
「「...」」
俺と一夏は特に喋ることも無いので無言のままでいるが、気まずいので一夏と一緒に保健室を出ようとした。
「ま、待ってくれ...」
「何か用か?」
俺達が保健室を出ようとすると呼び止められたので振り向く。
「その...VTシステムから助けてくれた事、感謝する。それと...すまなかった!」
「VTシステムから救ったのはあれが危険なシステムだから一刻も早い処理が必要だっただけだ、礼を言われるような事じゃない、それでその謝罪は何の謝罪だ?」
「私の一方的な考えでお前を憎んでいたこと、お前の友人を傷つけてしまった事、他にも沢山ある...本当にすまなかった...」
そう言うとアイツ...いや、ラウラ・ボーデヴィッヒは痛む体を押して俺達に頭を下げてきた。
「俺は別に憎まれてたわけじゃないしそれで構わないけど海はどうするんだ?」
「俺も大丈夫だ、謝られても許せなくなるような事は起きてないしな、その代わり復帰したらクラスの皆と鈴とセシリアさんにもちゃんと謝ってくれ」
「もちろんだ...」
「ならそれで手打ちにしよう、心からの謝罪だって分かったしな...これからはちゃんと名前で呼ぶことにするよ、ボーデヴィッヒさん」
「武藤...海...感謝する...それとラウラでいい...」
「分かった、じゃあ改めてよろしくなラウラ」
「ならこれで一件落着だな!そうだ海!せっかくだから俺達が誘拐された時の事についての誤解を解いておこうぜ!」
「別にいいだろ...俺がお前を守れなくて千冬さんが不戦敗になった事実は変わらないんだしな...」
「それでもだ!ラウラも知りたいだろ?海がいなかったら俺は死んでたかもしれないし、千冬姉だって今みたいにはなってなかっただろうしな」
「何?それはどうゆう事だ!織斑 一夏!」
「海が興奮した誘拐犯の女から庇ってくれたから俺は無傷で助かったんだよ、でも俺を庇った海は顔に消えない傷跡が残っちまった...海、眼鏡を取って前髪を上げてくれ」
「はぁ...分かったよ一夏...」
俺は一夏に言われて渋々夢幻の待機形態である眼鏡型の端末を外して前髪をかき上げて誘拐事件の時に付けられた傷跡を見せた。
「こんなもん見せたって過去は変わらないだろうに...」
「それでもだ...今でこそ蒼機兵って知れ渡ってるけど当初は普通の中学生として生活してたんだぜ?それなのに海は生身で俺を庇ってくれたんだ...」
「そうだったのか...そんなことも知らずに私は...」
「気にするなよ、このことを知ってるのは当事者と俺の怪我を見た医者ぐらいだ」
「それでもだ...改めて謝罪する...」
「いいさ、過ぎた話だ。さて一夏、そろそろ部屋に戻って反省文書かないと寝れなくなるぞ」
「そうだった!じゃあなラウラ!」
「しっかり休んで早く復帰してくれよ」
俺達はそれぞれ一言づつラウラに声をかけて保健室を出て行った。
「悪くないものだな...」
保健室を出る直前にラウラの独り言が聞こえた、あの様子なら確実に大丈夫だろう。
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---IS学園 1年1組教室
昨日はラウラの暴走事件とその反省文で大変だったが俺は何とか反省文を書き上げて寝ることが出来た。俺が整備室を出て行った後の事も簪さんに確認したが特に問題も無かったみたいで一安心だった。
「おはようございます」「おはよう」
山田先生と織斑先生が教室に入ってきていつものホームルームが始まった。連絡事項が山田先生から伝えられ何の問題も無くホームルームが終わった時席に座っていたラウラが手を挙げた
「山田先生、織斑先生、少しお時間を頂いてもいいでしょうか?」
「え?あ、はい大丈夫ですよ」
ラウラは山田先生が大丈夫であると言ったのを確認すると立ってこちらに身体を向き直してから深々と頭を下げた。
「皆、これまで突き放すような言動や行動をして済まなかった...今更だが、許してくれるのならこんな私でも仲良くしてくれると嬉しい」
急にラウラがクラスの皆に向かって謝罪したので皆ポカーンとしていたが直ぐに一人が口を開いた。
「別に私達怒っては無いよ、訓練の時はちょっと怖かったけど今ラウラさんが謝ってくれたから大丈夫、これから沢山仲良くしよう?」
「そうだね!」「一緒にご飯食べたりしようよ!」
1人が口を開くと次々にラウラに向けて声がかかった。これでラウラもこのクラスに馴染むことが出来るだろう。
「皆、ありがとう...それと...後もう一つ...織斑一夏!」
「お、おう!どうした?」
ラウラは急に一夏の名前を呼ぶとスタスタと一夏に近づいて目の前に立った。そして一夏の頭を掴むと...
「んっ...」
「んむっ!?」
「おお!」
ラウラは一夏にキスしたのだった、俺も思わず声が出てしまった。
「お、お前は私の嫁にする。決定事項だ。異論は認めん!」
「「「え、えええええええ!?」」」
「は?はぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぷっくっくっく」
「おい、海!笑ってんじゃねえよ!」
「いや、済まな...はっはっは!」
「それと武藤海!」
「んえ!?」
「貴方の事を尊敬しています!だからお兄様と呼ばせてください!」
「ヴぇっ!?」
「「「お兄様!?」」」
こうしてVTシステム暴走事件の騒動は一先ず幕を閉じたのであった。
---秘密ラボ内
「束様、私も海様の事を『お兄様』と呼んだ方が良いでしょうか?」
「束さん的にはクーちゃんの『お兄様』呼びはかなりの高威力だろうけどかーくんにはどうかな?」
「じゃあ今度試してみます」
せっかくのコミュ力お化けの原作主人公なのでオリ主とラウラの確執を取り払ってもらいました!
後々しっかりと戦いの面でも原作キャラもしっかり活躍させる予定ですのでそれまで待っていただければ嬉しいです。
それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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