脳内妄想無双は好きだが実現するのは違うと思う   作:大鷹とび

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いつも見てくださってありがとうございます。大鷹とびです。

忙しくて期間が空いてしまいました...

不定期の更新にはなりますがこれからも楽しんで頂ければ幸いです。


32話 海と安心

---臨海学校へ向かうバス内

 

「海だぁぁぁ!」

 

臨海学校へ向かうバスの中でクラスの皆が盛り上がっていた。天気は快晴、絶好の海水浴日和だ。

 

「綺麗なもんだ...ねむ...」

 

俺はクラスの皆の声で一瞬起きて景色を見てその後直ぐに寝た。バスとか車とかの長距離移動になると何故かすぐに眠くなる体質なのでまだ眠くてしょうがないのだ...

 

「海!って寝てるのか...昔から長距離移動の時だけは直ぐに寝ちまうもんな...」

 

なんだか一夏の声が聞こえたような気がするがもう半分意識を失ってるので返事もせずにそのまままどろんだ。

 

 

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと席に座れ」

 

織斑先生のの言葉で目を覚ますとどうやらもう着く直前のようだ。

クラスの全員がそれに従い、静かになった直後にバスは目的地である旅館の駐車場に到着。

それぞれのバスからIS学園1年生がワラワラと出て来て整列した。

 

「それでは、ここが今日から3日間お世話になる『花月(かげつ)荘』だ。全員、従業員の方々に迷惑をかけないように注意しろ」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

織斑先生の言葉の後に、全員が挨拶をする。この旅館には毎年お世話になっているらしく、着物姿の女性が丁寧にお辞儀をした。

 

年齢は...幾つなのだろうか?大人の雰囲気を漂わせているが仕事柄笑顔が絶えないからなのか、その容姿はとても若々しく見える。

 

「あら、こちらが噂の...?」

 

俺達の存在に気付いた女性が織斑先生にそう尋ねる。

 

「ええ、まあ...今年は2人男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

 

「いえいえ、そんな。それに、良い男の子達じゃありませんか。2人ともしっかりしてそうな感じを受けますよ」

 

挨拶をするならこのタイミングだな、企業代表でもあるし名刺は必要だろうか?とりあえず一歩前に出て挨拶をしよう。

 

「武藤海です、月兎製作所の代表を務めています。これから3日間よろしくお願いします。これ一応自分の名刺です」

 

制服の胸ポケットから自分の名刺を取り出して渡す。

 

「お前も挨拶をしろ、馬鹿者」

 

一夏は織斑先生にグイッと頭を押さえられる。なんか悪いな一夏。

 

「お、織斑 一夏です。よろしくお願いします」

 

「うふふ、ご丁寧にどうも。清洲 景子(きよす けいこ)です」

 

そう言って清洲さんはまた丁寧なお辞儀をする。良かった...名刺も受け取ってもらえたし間違ってはいなかったみたいだ。

 

「それじゃあ皆さん、お部屋にどうぞ。海に行かれる方は別館で着替えられるようになっていますから、そちらをご利用なさって下さい。場所が分からなければいつでも従業員に訊いて下さいね」

 

俺達以外の女子生徒ははいと返事をして直ぐに旅館の中へと向かっていった。取り敢えず荷物を置いて、各々自由時間で海を満喫するつもりだろう。

ちなみに初日は終日自由時間だ。昼食は旅館の食堂にて各自取るようにとのこと。

 

「おりむー、むっき~」

 

「本音さん?どうしたの?」

 

「2人の部屋ってどこ~? 一覧に書いてなかったから教えて~」

 

「そういえばそうだった、でも俺まだ何も聞かされてないから分からないんだよね、一夏は何か聞いたか?」

 

「いや俺も何も聞いて無いぞ?どうするんだろうな」

 

事前に山田先生から俺達の部屋は別の場所が用意されるという事はきいていたのだが詳細には聞いていないのでまだ分からない。

 

「織斑、武藤。お前達はこっちだ、ついてこい」

 

俺と一夏が顔を見合わせて話していると織斑先生から呼ばれた。

 

「は、はい」

 

「分かりました、じゃあそうゆう訳だから本音さんまた後で」

 

「分かった~、後でね~」

 

本音さんと別れて織斑先生について歩いている途中で一夏が織斑先生に話しかける。

 

「えーっと、織斑先生。俺達の部屋ってどこになるんでしょうか?何も聞かされてないんですけど...」

 

「そう急くな、もうすぐ着くからな」

 

織斑先生は一夏の問いに答えて数歩歩いた後女子生徒の部屋とは結構離れた部屋の前で立ち止まった。

 

「着いたぞ。では、お前達2人の部屋割りを伝える。織斑は私と同室だ。武藤はその隣の部屋を使ってもらう」

 

「え?ちふ...織斑先生と同室ですか?」

 

「隣の部屋ですね、俺は1人ですか?」

 

「そうだ、本来は2人とも別の部屋だったのだが、それだと絶対に就寝時間を無視した女子が押し掛けるだろうということになってだな...」

 

「何と言うか...お疲れ様です...でもなぜ俺は1人なんですか?その理由だとてっきり山田先生辺りと同室かと思ったんですが...」

 

俺の質問を聞くと織斑先生が溜息をついて答えてくれた。

 

「本当は私達も山田先生を同室にしようと思ったんだが、その話を始めた瞬間に私の携帯やら職員室の電話やらが一斉に鳴り響くという怪奇現象が起きて断念した」

 

「...申し訳ないです」

 

俺は織斑先生の言葉から察して謝罪した。

 

「とりあえず、これなら、女子もおいそれとは近付かないだろう」

 

「分かりました、ご迷惑をお掛けします」

 

「よし、ではもう1つ伝えておく。個室には浴槽が付いている。一応、大浴場も使えるが男のお前達は時間交代だ。本来ならば男女別になっているが、何せ1学年全員だからな。お前達2人のために調整をするのは無理だ。よって、一部の時間のみ使用可だ。深夜、早朝に入りたければ部屋の方を使え」

 

「「はい」」

 

朝風呂がしたかったがまあしょうがない、個室のも充分だろうしそれで我慢しよう。

 

「さて、今日は1日自由時間だ。荷物を置いたら、好きにしろ」

 

「分かりました、一夏、皆待ってるだろうしさっさと海に行こうぜ」

 

「そうだな!荷物置いたら更衣室に行って着替えよう」

 

一夏と会話をしてから俺は自分に宛がわれた部屋に入ったが、自分が思っていたよりも豪華な部屋に一人でテンションが上がってしまったのは誰にも見られていないと信じよう。

 

———————————————————————

 

俺は部屋に荷物を置いてから水着等の必要な物だけ取り出して部屋を出ると一夏も丁度同じタイミングで部屋を出てきたのでそのまま2人で更衣室のある別館へ向かった。

 

「なあ海、『アレ』ってまさか...」

 

別館に向かっている途中で一夏が何かを見つけて俺に聞いてきたので一夏の向いている方向を見ると何故か道端に兎の耳が生えていた。まあ兎の耳と言っても本物のものではなくバニーガールが付けているようなヤツだが...

 

しかもご丁寧に『引っ張って下さい』と張り紙がされた看板まで立っている。

 

「はぁ...一夏先に行っててくれ」

 

「いいのか?どう考えたって『アレ』は...」

 

「ああ、大丈夫だ、俺なら多分何とかなる」

 

「それでも俺も付き合うよ」

 

「そうか、俺は良い親友を持ったよ...」

 

俺は一夏にまるで死に別れる直前のような言葉をかけた後兎の耳を引っ張った。

 

「これ自体には何もなかったか...まあISでスキャンしてたから分かってはいたが...という事は...」

 

キィィィィン……

 

「一夏、下がろう」

 

「俺も同じことを考えてたよ海」

 

何か飛行機のようなものが高速で向かってくるような音が聞こえた瞬間に俺と一夏はその場から即座に距離を取った。

 

ドカーーーーーンッ!!

 

距離を取った瞬間に謎の飛行物体が盛大に地面に突き刺さった。見た目はデフォルメした人参のようだった。

 

「あっはっはっ!引っ掛かったね、いっくん!かーくん!ってあれ?引っ掛かってない?なんか冷静に距離取られてる?」

 

「こんなことをするのは束さんだけですから最初の段階でほぼ確信してましたよ...ちゃんとその地面元に戻さないと駄目ですよ?」

 

「えーっと...お久しぶりです束さん...」

 

「二人ともテンション低いよー!せっかく束さんが華麗に登場したっていうのに...おっと束さんは箒ちゃんに会わないと!じゃあね!いっくん、かーくん!」

 

捲し立てるように一息に喋り切ると同時に束さんはビュンッと音がしそうな速さで俺達の前から消えてしまった。

 

「相変わらず嵐のような人だったな...束さん...」

 

「それについては完全に同意だな、まあ箒の所に行ったなら極端に暴走することは無いだろうし俺達はさっさと更衣室に行って海に行こう」

 

「そうだな、行こうぜ、海」

 

俺は肩をすくめながら一夏と更衣室に向かった。

 

———————————————————————

 

更衣室で俺と一夏は早々に着替えて海へ出て行った俺達が感じたのは沢山の女子生徒からの視線だった。

 

「あ!織斑君と武藤君だ!」

 

「えっ!?ほんとっ!?私の水着変じゃないよね!?」

 

「わぁ!2人とも身体凄い!織斑君は細マッチョでイケメンって感じで、武藤君は織斑君より2周りぐらいがっしりしてて男らしくて逞しいって感じ!」

 

「はぁ...分かっちゃいたけどな...」

 

大量の視線にさらされて思わずため息が出る。

 

「海...改めてすげぇ筋肉してんな...」

 

「お前まで何言ってんだよ...毎日ランニングと射撃訓練と近接格闘訓練してんだからこんぐらいついて当たり前だ、お前も俺が渡したメニューちゃんとやってれば嫌でもこのぐらいつく」

 

「そ、そうか...確かにお前がくれたメニューキツイもんな...ありゃ鍛えられるよ...」

 

「言っとくが俺のメニューの2分の1の量だからな?ある程度こなせるようになったら量を増やしていくぞ」

 

「マジかよ...」

 

「強くなりたいって言ったのはお前だからな?厳しくいくぞ?今更やっぱりやめたは無しだ」

 

「も、もちろんだ!風呂で聞かれた質問の答えだって見つけて見せる!」

 

「そうか、なら大丈夫だな、さて、鈴とかセシリアさんとかこっち来たみたいだから俺は別の所に行くわ」

 

「ん?どうしてだ?俺達と一緒に遊ばないのか?」

 

「悪いが先客がいるんだ、お前もたまには鈴達の事を察してやれ」

 

「?よく分からないけど分かった、何かあったら連絡する」

 

「おう、後でな」

 

俺は一夏達から離れて約束していた人物を見つける為に歩き出した。

 

———————————————————————

 

目的の人物と合流するために砂浜を途中で話しかけてくる女子生徒を適当に相手しながら歩いているとそれらしき人影を見つけたので近づいて行った。

 

「お待たせ、本音さん、簪さん」

 

「あ~むっきーだ~、かんちゃん、むっきー来たよ~」

 

「えっ!?ちょっ...待って...上着脱がそうとしないで本音!」

 

「あーっと...もしかして今近づかない方がいい?」

 

「ううん、大丈夫だよ~かんちゃんがせっかくむっきーの選んでくれた水着を着てるのに恥ずかしがっちゃって上着で隠してるから脱がそうとしてるだけ~」

 

のんびりとした口調話しながら的確に簪さんの上着を脱がそうとしていらっしゃる...本音さん恐ろしい子...

 

「じっ自分で脱ぐから...離してっ...」

 

「ほんとに~?」

 

「本当だからっ...」

 

「分かった~」

 

本音さんはそういうと簪さんの上着を掴んでいた手を離した。

 

「うぅ...でも見てもらう為に買ったんだし...

 

簪さんは顔を赤くしてボソボソ何かを喋りながら着ていたパーカーの上着を脱いだ。

 

「か、海っ!ど、どうかな...?」

 

俺が選んだ黒いビキニタイプの水着を着た簪さんは恥じらいながらも俺に感想を求めてきた、此処で俺が言うべき事は...

 

「うん、良く似合ってる、俺の思った通りだったよ」

 

「っ~~~///」

 

「ほら、むっきーなら大丈夫って言ったのに~、でも良かったねかんちゃん!」

 

「うっうるさい!本音は黙ってて!」

 

「まあまあ、せっかく海に来たんだし遊ばない?」

 

「さんせーい!」

 

「本音っ...!もうっ...!」

 

「簪さんもどうかな?」

 

「はぁ...分かった、本音には後でお仕置きするとして今は遊ぶ...」

 

「OK!じゃあこれをどうぞ」

 

「これは...シュノーケルと水中メガネ?」

 

「あくまで素潜りだから他の道具は無いけどこれだけでも結構海の中を楽しめると思うしどうかな?」

 

「良いと思う...私も海の中をゆっくり見たいと思ってた」

 

「じゃあしっかり準備体操したら潜ろうか、ある程度楽しんだら他にも用意してるものがあるからそれもやろう」

 

俺と簪さんと本音さんはしっかりと準備体操をしてから海に潜って海中の景色を楽しんだ。ちなみに転生前も含めてここまで綺麗な海に潜ったのは俺も初めてだったので内心ウッキウキだったのは秘密である。

一通り海の中を見てまわった後は用意していた道具一式を使って釣りも楽しんだ。拡張領域様様である。簪さんと俺は色んな魚を釣り上げたが最後の最後でまさかの真鯛を釣り上げた本音さんには正直びっくりした。

真鯛は俺に譲ってくれたのでクーラーボックスに入れて拡張領域にしまって後で調理して色んな人に配ることにした。

 

そうしてやりたいこともやったので3人で休んでいると...

 

「あ!武藤君いたいた!今みんなでビーチバレーやってるんだけど一緒にやらない?織斑君チームに勝てなくて、武藤君ならどうかなって」

 

同じクラスの女子生徒が1人俺をビーチバレーに誘ってきた。

 

「成る程...ビーチバレーもあったか...俺としてはやりたいところだけど...」

 

「私もやる~、かんちゃんもやろう?」

 

「えっ?私は...」

 

「私とかんちゃんとむっきーでチームになればいいんだよぉ、ほらぁ~いこうよぉ」

 

「もう...分かった、私も行く」

 

「よし、じゃあ俺達もいくよ!」

 

「良かった!じゃあこっちに来て!」

 

そうして着いて行くと一夏と鈴とセシリアさんがチームを組んでいて最後の1点を決めて勝っている所だった。

 

「おう一夏、随分勝ってるみたいじゃないか、俺も相手してくれよ?」

 

「海か!いいけど他にチーム組んでくれる人はいるのか?」

 

「もちろん!本音さんと簪さんがチームさ」

 

「よっしゃ!じゃあ勝負といこうぜ!普段は負けっぱなしだけどこんな時ぐらい勝ってやるからな!」

 

「こんな時でも負けてられないな!簪さん!本音さん!頑張ろう!」

 

「分かった~」「う、うん!」

 

 

散々ビーチバレーをやった後丁度夕方になっていたので俺達は着替える為に一度解散した。

ちなみにビーチバレーは一夏達に対して俺と簪さんの連携が刺さり、本音さんの的確なサポートもあって圧勝した。その後、仕事を終わらせてやってきた織斑先生ともやることになるとは思わなかったが...

織斑先生との対決は織斑先生が身体能力に物を言わせてスパイクを撃ってくるので俺しか受けられず、ほぼ俺と織斑先生のタイマンになり、最終的に3個のビーチボールが犠牲になった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が一夏達とビーチバレーをしていた頃...

 

「箒ちゃん♪箒ちゃん♪ちょっと見ない間に可愛くなっちゃってぐへへへへ....」

 

「何故真夏なのに寒気がするんだ...?」

 

どこぞの天災は実の妹をステルス迷彩を無駄遣いして舐め回すように観察していたらしい...




と言う訳で臨海学校一日目の話でした。海でオリ主たちがやったことは自分がやりたいことを代わりにやらせただけですw

それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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