脳内妄想無双は好きだが実現するのは違うと思う   作:大鷹とび

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いつも見てくださってありがとうございます。大鷹とびです。

仕事が忙しくて時間が掛かったので初投稿です。

楽しんで頂ければ幸いです。


34話 期待と脅威

<海視点>

 

臨海学校2日目、今日は専用機持ちは丸一日各種装備試験運用とデータ取り、一般生徒はISの操縦訓練という予定になっている。

専用機はそれぞれ国や企業の機密の塊なので、俺達専用機持ちは他の生徒とは離れた場所で作業することになる。

 

「さて、これで専用機持ちは全員集まったな」

 

運動用のジャージを着た織斑先生が言ったとおりこの場には1学年の専用機持ちが全員集まっている、+αで箒もいるが...まあ十中八九束さんが箒の専用機を持ってきたのだろう。

 

「織斑先生、彼女は専用機を持っていないはずでは?」

 

案の定セシリアさんが疑問に思って織斑先生に質問している。

 

「ああ、それは...」

 

「ちーちゃ~~~~~~~ん!!!」

 

凄まじい勢いで砂煙を上げながらこちらに向かってくる人影、それは自分がこの世界に来てから世話になりっぱなしの人の姿をしていて...

 

「「束(さん)...」」

 

「会いたかったよー!ちーちゃん!さあ久しぶりにハグしよう!束さんと熱いほうよ...う゛っ」

 

飛び掛かって来た束さんの顔面を片手で掴みそのまま容赦ないアイアンクローをかます織斑先生、痛そうだな、あれ...

 

「武藤の時と言い先日の件と言い...いい加減にしろ束」

 

「容赦ないアイアンクローだね!流石ちーちゃん!なんかミシミシいってるからそろそろ止めて欲しいなぁなんて...でちゃう!束さんの脳みそ出ちゃうから!」

 

「お、織斑先生...流石にそのあたりで...」

 

「はぁ、仕方あるまい、海に感謝するんだな束」

 

俺が恐る恐る言うと織斑先生はため息を吐きながら手の力を緩めた。

 

「あ゛あ゛~、危ない所だったよ、ありがとうかーくん!」

 

「俺も束さんはもう少し落ち着いた方が良いと思いますけどね...」

 

「がびーん...」

 

ふと残りのメンバーの方を見ると妹である箒と既に面識のあるシャルロットさんはまだしもセシリアさんや鈴、簪さんは目の前のやり取りについて行けずポカンとこちらを眺めてきていた。

 

「ぐすん、ちーちゃんもかーくんもひどい...」

 

「自業自得だ。それより自己紹介しろ、周りを見ろ、お前の事が分からん奴らが口を開けたまま止まっているだろう」

 

「えー...めんどくさーい、私が束さんだよ~、よろよろ~」

 

そう言って手をひらひらさせる束さん。今まで呆気に取られていた鈴、セシリアさん、ラウラもその正体を知って驚きの表情を浮かべていた。

 

「それで束。ここに来たという事は例の件か?」

 

「そのとーり!と言うことで、皆さん大空をご覧あれ!」

 

格好つけながらビシッと直上を指さす束さん。その通りに全員が空を見上げると...

 

ズズーンッ!

 

「わあっ!?」

 

いきなり空から大きな金属の塊が落下してきた。大きな長方形のそれは地面に着地して直ぐにこちら側の面が外れてバタリと倒れその中身を俺達に見せる。その中には...

 

「じゃじゃーん! これぞ箒ちゃんの専用機こと『紅椿(あかつばき)』! 束さんお手製の第4世代ISだよ!」

 

真紅の装甲に身を包んだその機体は、束さんの言葉に答えるかのようにクレーンアームによって外へ出てくる。

 

とゆうか第4世代って...ここは原作通りとはいえISに深く関わっているから改めてこの機体がとんでもないのが分かるな...

 

「だ、第4世代!?」

 

セシリアさん達が思わず声を出して驚いてるな...

 

「これが紅椿...私のIS...」

 

「そう!正真正銘箒ちゃんだけの機体だよ!でも...この機体を渡す前に一つだけ...」

 

「なんですか姉さん」

 

「作った私が言うのもなんだけど力はただ力だよ箒ちゃん、それだけは忘れないで...」

 

束さんは諭すように箒に忠告した。

 

「何にせよ、これはやりすぎだバカ」

 

「にゃはは~、可愛い妹を思ってアレコレ付け足してたらつい...さっ、お話はここまでにして早速フィッティングとパーソナライズを始めよっか!」

 

そんなことを言う束さんに頭が痛くなってきたのか、織斑先生は目頭を押さえて溜め息を吐いた。

 

「あ、そうだかーくん!アレももってきたからかーくんは最終チェックやっちゃおうか!と言う訳で皆さん今度は海の方をご覧あれ!」

 

再度格好つけながらビシッと海上を指さす束さん。その通りに全員が海を見ると...

 

「アレってアレですよね...」

 

「うん!そうだよー!」

 

「アレって...ひぃ!?」

 

飛んできた機影を見てシャルロットさんが試験を思い出して震えてる...俺も頭が痛くなってきた...

 

「束さんがかーくんのエクスエクシアの為に開発した長距離移動・高火力モジュールの『GNアーマーTYPE-EX』!前の試験から調整して後は最終チェックだけだからね!」

 

束さんが言い切ると同時に青と白のカラーリングの戦闘機のような機体が砂浜に着陸した。

 

「蒼機兵用のパッケージ!?とゆうか蒼機兵の正式な機体名初めて聞いたわよ!?」

 

いきなり億単位の価値がありそうな情報が大量に入ってきて鈴が顔色を変えながら叫んでいる。

 

「さあさあ!紅椿のフィッティングとパーソナライズ、GNアーマーの最終チェックやっちゃうよ!」

 

言うが早いか、束さんはコンソールをいじって紅椿の装甲を開放し、装着するよう箒を促しつつGNアーマーもドッキングモードに変形させていた。

 

「ということで、篠ノ之はこれからフィッティングとパーソナライズの作業に、武藤は専用パッケージのテストに入る。お前達もそれぞれ送られてきた専用パーツのテストだ。解散!」

 

織斑先生の合図とともに皆解散して各々自分の作業を始めていった。

 

「かーくんはドッキングした後各種チェックして自由に飛んでみて?それで異常が無ければもう大丈夫だから」

 

箒のフィッティングとパーソナライズを進めながら束さんが俺に最終チェックについて教えてくれたので俺は言われた通りにエクスエクシアを展開してGNアーマーとドッキング、各種機能や武装のチェックを始めた。

 

「ドッキング完了...GN粒子の供給開始...セルフチェック開始...各部異常なし...オールグリーン...束さん!セルフチェック大丈夫だったんで飛んできます!」

 

「は~い、かーくんいってらっしゃい!」

 

俺は束さんに声をかけてからエクスエクシア改め『GNアームズTYPE-EX』で一気に空に飛び立った。

 

「大きいから小回りは効きづらいけどやっぱりこの推力は凄いな」

 

加速して速度を確かめたり用意されたターゲットドローンに軽く武装を撃ち込んで一通りの動きをした後に最後にバレルロールして俺はまた砂浜に着陸した。どうやら俺が飛んでいる間に箒の紅椿の一連の作業も終わって動かせるようになったようだ。

 

「束さん、問題なく終わりました、これで完了ですね」

 

ドッキングを解除してGNアーマーを待機状態にして俺は束さんに声をかけた

 

「こっちも丁度箒ちゃんの紅椿のフィッティングとパーソナライズその他諸々が終わったところだよー」

 

「じゃあついでに夢幻に関して聞きたいことがありまして...大丈夫ですか?」

 

「もちろん!束さんにお任せあれ!」

 

「ありがとうございます!これなんですけど...」

 

俺が束さんに前に夢幻のフラグメントマップのデータで見つけた削除できないデータを見せようとした時、大きな声が聞こえてきた。

 

「たっ、た、大変です! お、おお、織斑先生!」

 

何事かと顔を向けて見れば山田先生が血相を変えて走って来ていた。

 

「どうした?」

 

「こ、こっ、これをっ!」

 

渡された小型端末の、その画面を見て織斑先生の表情が一気に曇る。

 

「特命任務レベルA、現時刻より対策を始められたし...」

 

「?ちーちゃん?どうかしたの?」

 

「これを見てみろ」

 

「っ、これは...」

 

織斑先生から端末を渡された束さんも険しい表情へと変わった。

 

「山田先生、他の先生達にも連絡をお願いします」

 

「わ、分かりましたっ!」

 

「今日のテスト稼働は中止だ!専用機持ちは全員集合しろ!それと束...お前の力も貸してくれ」

 

「もちろんだよ!」

 

先生達のあの慌てようは...

 

「いよいよ始まっちゃったか...」

 

「海?何か言ったか?」

 

「いや、なんでもない、早く行こう。もちろん箒もな」

 

「ああ、そうだな」

 

原作をある程度知っているからこそ、これから起こる事件に俺は覚悟を決めて織斑先生の元へと向かって行った。

 

———————————————————————

 

---花月荘 風花(かざばな)の間

 

「では、現状を説明する」

 

旅館の最奥に設けられた宴会用の大座敷・風花の間では、俺達専用機持ち全員と教師陣、そして束さんが集められた。

照明を落とした薄暗い室内には大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第2世代型の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった」

 

「(軍用IS...俺がいてもそこは変わりないか...)」

 

俺は内心世界に溜息をつきながらしながら織斑先生の説明を聞いた。いきなりの説明に、一夏は面食らってポカンとしている。まあこの反応もしょうがない。一夏はIS学園に入る前までは一般人だったし、軍用ISが暴走したという連絡をなぜ自分達にするのか。混乱するのも仕方ない。

 

箒も真剣な表情こそしているが恐らく命を賭けるほどの覚悟は決まっていないだろう。

 

だが他のメンバー達は事態を理解しているようで、全員が全員、厳しい顔つきになっていた。

一夏や箒とは違う、正式な国家代表候補生なのだから、こういった有事に対する訓練も受けているに違いない。シャルロットさんも今は月兎製作所の企業代表だが元国家代表候補生だし、俺は原作を知っている事はもちろんだが、そもそも小2の頃から実戦経験がある。

 

「これをさらに束が調べた結果、このISは現在何者かのハッキングを受けているそうだ。それも、操縦者を乗せたままでな...」

 

ここまで説明されれば原作を知っていなくても俺達にどうして欲しいのか完全に分かってしまうが...

 

「衛星による追跡で『福音』はここから10キロ先の空域を通過することが分かっている。時間にしてあと50分。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処する事になった」

 

淡々と続ける織斑先生。その次の言葉は、予想通りだった。

 

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦のメインである『福音』との戦闘は専用機持ちに担当してもらう」

 

俺達1年生の専用機持ちで暴走した軍用ISを止めろという命令が下ったのだった。

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

 

「はい」

 

早速、セシリアさんが手を挙げる。

 

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

「分かった。ただし、これらは2ヵ国の最重要軍事機密だ。けして口外はするな。情報が漏洩した場合、諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視が付けられる」

 

「了解しました」

 

未だ状況が飲み込めずにいる一夏をおいて、俺達は開示されたデータを元に相談を始める。

 

広域殲滅(こういきせんめつ)を目的とした特殊射撃型...私のブルー・ティアーズと同じく、オールレンジ攻撃が行えるようですわね」

 

「攻撃と機動の両方を特化した機体ね。厄介だわ。しかも、スペックではあたしの甲龍を上回ってる...」

 

「この特殊装備が曲者って感じはするね。この前月兎製作所からリヴァイヴ用の防御パッケージを持ってきてるけど、連続しての防御は難しい気がするよ」

 

「しかも、このデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルも分からん」

 

「それに、データと実物とでは大きく変わってくる可能性もある。先生、偵察は可能ですか?」

 

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。アプローチは1回が限界だろう」

 

「音速を出せるのか...それだと全員で包囲するのも難しいな...」

 

「1回きりのチャンス...ということはやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」

 

山田先生の言葉に、その場の全員の視線が一夏、そして俺へと向けられる。

 

「海、あんたの夢幻で一撃必殺の遠距離武器って作れる?」

 

「作れない事は無いが、流石に遠距離かつ一撃でシールドエネルギーを削り切るような武器をこれから作るのは材料的にも時間的にも無理だな」

 

「じゃあ前に私と山田先生に撃ってきた蒼機兵のデカいキャノンは?リミッターを外せば相当な威力が出るでしょ?あれ」

 

「確かにあれはリミッターを解除すれば相当な威力が出るけど、あれも所謂広域殲滅...大量破壊兵器だから直撃させたときに操縦者への被害が無いとは言い切れないんだ」

 

俺と鈴のやり取りを聞いてその場の全員の視線が改めて一夏へと向けられた。

 

「え...?」

 

「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」

 

「それしかありませんわね。ただ、問題は...」

 

「どうやって一夏をそこまで運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいだろうから、移動をどうするか」

 

「しかも、目標に追いつける速度を出せるISでなければいけないな。超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」

 

「そうなると機体は...」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ! お、俺が行くのか!?」

 

「「「「「「「当然」」」」」」」

 

全員の声が重なった。この中で操縦者に被害を与えずかつ一撃必殺を狙えるのは一夏の白式が持つ零落白夜以外には無いだろう。

 

「織斑、これは訓練やルールに護られた試合ではない。軍用機を相手にする実戦だ。もし覚悟が無いなら、無理強いはしない」

 

織斑先生にそう言われて、僅かに及び腰になっていた一夏は意を決した表情で口を開いた。

 

「やります...俺が、やってみせます!」

 

「よし。それでは作戦の具体的な内容に入る。現在、この専用機持ちの中で最高速度が出せるのはどれだ?」

 

「それなら、かーくんのエクスエクシアが断トツじゃないかな?丁度おあつらえ向きに長距離移動・高火力モジュールがあるわけだしね!速度も束さんのお墨付きだよ!」

 

「なら織斑を運ぶのは武藤で決まりだな、武藤いけるか?」

 

「分かりました、ただ俺と一夏の二人だけではイレギュラーが起きた時に対処しきれない可能性もあるのでもう一人か二人は欲しいですね、一応自分のモジュールはあの大きさなので一夏と更にもう1人運ぶことは可能ですが...小回りが利かないので随伴員がいると安定するかと」

 

「ふむ...オルコット、確かお前にはイギリスから強襲用高機動パッケージが届いていたな。それはどうだ?」

 

「現在量子変換(インストール)中ですが、まだ完了していません。作戦の開始までには間に合わないかと...」

 

「そうか...」

 

「じゃあ箒ちゃんの『紅椿』を加えたらどうかな? 展開装甲を調整すればGNアームズにも追いつけるはずだよ」

 

「束、その調整に掛かる時間はどれくらいだ?」

 

「7分あれば余裕だね」

 

「よし...では...」

 

「織斑先生、一点大丈夫でしょうか?」

 

「なんだ武藤」

 

「先ほど自分のモジュールでもう1人運べると言いましたがその人員も連れて行ってもよろしいでしょうか...?」

 

「確かに人数は多いに越したことは無いと思うが...誰を連れて行くんだ?」

 

「自分は簪さんが適任だと思っています」

 

「わ、私!?」

 

「簪さん、山嵐の弾頭の中にスモークとかチャフってあったよね?」

 

「う、うん、好きなように切り替えて撃てるように搭載してあるよ」

 

「織斑先生、スモークとチャフが使える簪さんがいればより安全に作戦を遂行出来ると思います」

 

「成る程...更識妹、いけるか?」

 

「わ、分かりました...やるだけやってみます」

 

「よし!では本作戦では織斑・武藤・篠ノ之・更識妹の4名による追跡及び撃墜を目的とする。作戦開始は30分後。各員、直ちに準備にかかれ」

 

織斑先生が手を叩きそれを皮切りに俺達は作戦の準備に取り掛かるであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見てるだけじゃつまんねぇよなぁ!やっぱ戦争は、白兵でねえとな!」

 

 




今回は紅椿登場+福音事件の発生回でした。そして最後の台詞...果たして主人公たちに太刀打ち出来るのか...

それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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