脳内妄想無双は好きだが実現するのは違うと思う   作:大鷹とび

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いつも見てくださってありがとうございます。大鷹とびです。

筆が乗ったので比較的早く仕上げることが出来ました。

楽しんで頂ければ幸いです。


36話 決意の紅と怒りの青

<簪視点>

 

海と別れて箒と織斑君に合流しようと飛んでいるとハイパーセンサーに二人の反応が引っ掛かった。既に戦闘は終わっているみたいだけど何かがおかしい...

 

「こちら簪、箒、織斑君、状況を報告して」

 

「一夏が...一夏がぁ...」

 

「織斑君がどうしたの!?」

 

「私を庇って...」

 

箒の様子から私は作戦が失敗したことを察する。そしてハイパーセンサーでボロボロになった織斑君を支えながらフラフラと飛んでくる箒が見えた。

 

「福音の反応は無い...箒!早く織斑君を!」

 

私は箒と一緒に織斑君を支えながら花月荘へと撤退したのだった。

 

———————————————————————

 

---花月荘

 

私達が旅館の近くの砂浜に着陸すると既に山田先生が待機していて一緒にいた他の先生達が担架で織斑君を運んで行った。私達は一度報告の為にブリーフィングで使った風花の間に向かった。

 

「失礼します...織斑先生...報告が...」

 

「ああ、分かっている...既に状況は把握済みだ」

 

「織斑君達が撤退したので武藤君にも撤退の指示を!未確認のISと一人で戦ってるんです!」

 

「それも分かっている。今束が武藤に撤退指示を...」

 

私の連絡やそれぞれのISの状況から織斑先生は状況を把握していたみたいで冷静に対処している。後は海が戻ってくれば...

 

「かーくん!?返事をしてかーくん!!」

 

「どうした束!」

 

「かーくんが!かーくんがぁ...」

 

「落ち着け!武藤に何があったんだ!」

 

急に篠ノ之博士が大きな声で武藤君を呼んだので織斑先生が確認しようとする。あの篠ノ之博士の焦りようは...まさか...

 

「かーくんの...エクスエクシアの反応とバイタルが...き...消えたの...」

 

今、篠ノ之博士はなんと言ったのだろうか...海がやられた?

 

「何だと!?あの武藤がやられたというのか!っく!山田先生!捜索班を今すぐに編成して武藤の捜索をしてくれ!」

 

織斑先生と篠ノ之博士の尋常じゃない様子から海がやられた事が事実なのだと無理矢理にも実感させられる。

 

「し、失礼します...」

 

私は未だに現実を信じられないというふわふわとしたような感覚と否応にもそれは現実だという重い絶望感のまま部屋を後にした。

 

———————————————————————

 

<箒視点>

 

ベッドで横たわる一夏のそばで私はずっと項垂れていた。目の前の一夏は数時間たっても未だに目を覚ます様子はない。身体中に包帯を巻かれて痛々しい姿は私に嫌でも現実を痛感させる。

 

「(私の所為だ...)」

 

もっと私がしっかりしていれば...私がもっと強ければ...

 

ギュウっとスカートを握り締める。とにかく強く握り締める。自らを戒めるかのように。

 

「(私は...無力だ...)」

 

千冬さん達の話では海までやられて行方不明になっている...

 

無人機が襲撃して来た時も、自分の行動が裏目に出て却って一夏達を危険に晒して、海を怪我させてしまった。

今回も、自分のミスによって一夏は大怪我を負ってしまい、こんな時に声をかけてくれていた海は行方不明となってしまった。

 

「(私がISを持ったところで...)」

 

紅椿の待機形態である金と銀の鈴二つがついた赤い紐を腕から外そうとした瞬間...突然襖が乱暴に開け放たれる。

 

バンッ!という音に遠慮なく入って来た女子は、私の隣までやってくる。

 

「あーあー、分かりやすいわねぇ」

 

部屋に入ってきたのは――鈴だった。

 

「あのさぁ」

 

鈴が話し掛けてくるが、私は答えない。答え...られない。

 

「一夏がこうなってんのアンタの所為なんでしょ?海もアンタに一夏の援護を頼んで未確認のISと戦って帰って来ない」

 

「っ...!」

 

思わず顔を俯かせたままビクリと反応してしまう。

 

「一夏はアンタのことを庇って。海は作戦を成功させるためにアンタと一夏を行かせて、簪すら逃がして謎の未確認ISと戦って1人残ったきり帰って来ない」

 

「...」

 

「で、落ち込んでますって?――っざけんじゃないわよ!」

 

突然烈火の如く怒りをあらわにした鈴は、私の胸倉を掴んで無理矢理に立たせてくる。

 

「やるべきことがあるでしょうが!今!戦わなくてどうすんのよ!」

 

「わ、私...は、もうISは...使わない...」

 

「ッ――!!」

 

バシンッ!

 

頬を打たれ、私は床に倒れる。

鈴はそんな私を再度締め上げるように振り向かせた。

 

「甘ったれてんじゃないわよ...!専用機持ちっつーのはね、そんな我儘が許されるような立場じゃないのよ!例えそれが望んでなろうが、望まずしてなろうがね!海はもちろん一夏だって!それを分かった上で戦ったんでしょうが!!それともアンタは――」

 

鈴の瞳が、私を真っ直ぐ見つめてくる。そこにあるのは怒りにも似た、燃え上がるような赤い感情...

 

「好きな人や親友がやられた時にすら戦えない、臆病者なの!?」

 

その言葉で私の奥底の闘志に火がついた。

 

「――ど...」

 

口から漏れたか細い言葉は、鈴と同じ感情を纏って強く大きなものへと変わる。

 

「どうしろと言うんだ! もう敵の居所も分からない! 戦えるなら、私だって...私だって戦う!!」

 

私が自分の意志で立ち上がると、鈴はふぅっと溜め息をついた。

 

「やっとやる気になったわね。ふぅ...あーあ、めんどくさかった」

 

「な、なに?」

 

「場所なら分かるわ。今ラウラが――」

 

言葉の途中でちょうど襖が開く。そこに立っていたのは、端末を片手に待ったラウラだった。

 

「出たぞ。ここから30キロ離れた沖合上空に目標を確認した。ステルスモードに入っていたが、どうも光学迷彩は持っていないようだ。衛星による目視で発見した」

 

そのまま部屋に入ってくるラウラを、鈴はニヤリとした顔で迎える。

 

「さすがドイツ軍特殊部隊。やるわね」

 

「ふん...。お前の方はどうなんだ。準備は出来ているのか」

 

「当然。甲龍の攻撃特化パッケージはインストール済みよ。シャルロットとセシリアの方こそどうなのよ」

 

「ああ、それなら――」

 

ラウラが襖の方へと視線をやる。そして、それはすぐに開かれた。

 

「完了済みですわ」

 

「準備オッケーだよ。いつでも行ける」

 

それぞれの面々が揃うと、それぞれが箒へと視線を向けた。

 

「で、アンタはどうするの?」

 

「私...私は――」

 

ギュウッと拳を握りめ私は覚悟を決める。

 

「戦う...戦って、勝つ! 今度こそ、負けはしない!一夏の仇は私が討つ!」

 

「決まりね」

 

ふふんと腕を組み、鈴は不敵に笑う。

 

「ステルスモードで静止しているということは、恐らく福音は自己修復を行っているのだろう」

 

端末の画像をズームさせながらラウラは告げる。

 

「多少はダメージを負わせてたってことね...」

 

「よし...じゃあ、作戦会議よ。今度こそ確実に墜とすわ」

 

「待って...」

 

声が聞こえた方に視線を向けるとそこには簪が襖を開けて立っていた。

 

「簪...」

 

「私も行く...」

 

「大丈夫なの?」

 

「私は大丈夫...それにあの未確認ISが来たら私がいないと撤退も出来ないだろうし...なにより...私も海の仇を...!あの赤い機体を...!」

 

簪の赤い瞳は怒りからなのか憎しみからなのか普段よりも深い色に染まっているように見えた。

 

「改めて...2人の仇を取りに行くわよ」

 

———————————————————————

 

---???

 

<海視点>

 

「どこだここ...俺はファングに貫かれて堕ちた筈じゃ...」

 

ふと目を覚ますと、俺は草原のような場所に1人で立っていた。

目の前には湖があり、辺りを見回すと木々が360°草原を囲むように生えている事から

森の中にある湖のような場所にいることが分かった。

空はとても綺麗な夜空になっていて、大きな満月が湖に映って辺りを照らしていた。

 

「いつの間にこんなところに...早く戻らないと...」

 

「やっと気が付いた...」

 

急に後ろから声をかけられて振り返るとこの世界では自分の記憶の中にしか存在しないはずの人物がそこには立っていた。

 

「フェルト・グレイス!?でも服装と髪色が違う?」

 

俺の目にはガンダムOOに登場したキャラクターの1人であるフェルト・グレイスが映っていた

服装はソレスタルビーイングの制服ではなく、ワンピースのようなものを着ていて髪の色が俺と同じような黒色になっているが...

 

「この姿は貴方の記憶から読み取って再現しているだけ...だから私は貴方の知っている人物じゃないよ」

 

「確かに...劇中の本人とは雰囲気も違う...君は一体...」

 

「貴方は優しくて流されやすいから、この世界を元に戻したらイレギュラーである自分は命を断つことで消えようとしてる」

 

「なんでそれを!?誰にも話してない筈だ!」

 

「そしてアルケーガンダムとアリー・アル・サーシェスがこの世界に存在しているのを見て自分の周りの人間を突き放なす覚悟も決まってる」

 

俺の目の前にいるフェルト・グレイスと瓜二つの人物は、俺が心の中で秘めていて一言も口にしていない覚悟を知っていた。

 

「知ってるよ、全部...いつも一緒にいて相棒って呼んでくれて...大事にしてもらったから私が目覚めたの...クラス対抗戦の時に」

 

「クラス対抗戦...あの時の幻聴...君は...夢幻...なのか?」

 

「そう、そしてさっきの戦闘でより強く繋がったからこうしてコアネットワークの意識空間に貴方を呼ぶことができたの」

 

「そうか...悪いな、最近お前と一緒に飛んでなくて...」

 

「ううん、大丈夫、私も貴方の事はちゃんと理解してるから...」

 

彼女は慈しむような表情で俺を見つめながら答えたのであった。

 

———————————————————————

 

<三人称視点>

 

花月荘から30キロ離れた沖合上空。海上400メートル。そこで静止していた福音は、まるで胎児のような格好でうずくまっていた。

 

――?

 

不意に、福音が顔を上げる。

 

次の瞬間、超音速で飛来した砲弾が頭部を直撃し、大爆発を起こした。

 

「初弾命中。続けて砲撃を行う!」

 

5キロ離れた場所に浮かんでいる【シュヴァルツェア・レーゲン】を纏ったラウラは、福音が反撃に移るよりも早く次弾を発射した。

 

その姿は通常装備と大きく異なり、80口径レールカノン『ブリッツ』を2門、左右それぞれの肩に装着している。

さらに遠距離からの砲撃・狙撃に対する備えとして、4枚の物理シールドが左右と正面を守っていた。

 

これが、砲戦パッケージ『パンツァー・カノニーア』を装備した【シュヴァルツェア・レーゲン】である。

 

「流石にそう何度も当たってはくれないか!ちっ!速いな!」

 

初弾こそ命中したものの、それ以降の砲撃は踊るように躱され福音はラウラとの距離を詰めてくる。

 

そしてラウラとの距離が100メートルを切り福音がラウラへ直接攻撃を開始しようとした瞬間、上空から降り注いだ一筋の光が福音へと直撃して福音の動きが止まる。

 

「狙い通りですわ!」

 

強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備してステルスモードで上空に待機していたセシリアが高高度から大型BTレーザーライフル『スターダスト・シューター』で福音を打ち抜いた。

 

『敵機Bを認識。排除行動へ移る』

 

「させないよ」

 

高度を下げながら狙撃してくるセシリアの射撃を避けながら攻撃に移ろうとしている福音の真後ろからステルスモードのシャルロットが至近距離でショットガン2丁による射撃を浴びせる。

一瞬福音の体勢が崩れるが、すぐさま立て直しシャルロットに対して『銀の鐘(シルバー・ベル)』による反撃を

開始した。

 

「悪いけど、この『ガーデン・カーテン』はそのくらいじゃ落ちないよ!」

 

【リヴァイヴ】専用防御パッケージは、実体シールドとエネルギーシールドの両方によって福音の弾幕を防いだ。そのシルエットはノーマルの【リヴァイヴ】に近く、2枚の実体シールドと同じく2枚のエネルギーシールドがまるでカーテンのように全面を遮っていた。

 

防御しつつ射撃を行うシャルロットとそれぞれ別方向から狙撃や砲撃を行うセシリアとラウラにより3方向からの攻撃が加えられ流石の福音も徐々に押され始める。

 

『……優先順位を変更。現空域からの離脱を最優先に』

 

隙を作り出すために全方位にエネルギー弾を放った福音は、次の瞬間に全スラスターを開いて強行突破を計る。

 

「逃がすものかぁっ!」

 

海面が膨れ上がり、飛び出してきたのは真紅のIS【紅椿】と、その背中に乗った【甲龍】であった。

 

「逃げられる前に叩き落す!」

 

紅椿の背中から飛び降りた鈴は、機能増幅パッケージ『崩山』を戦闘状態に移行させる。

両肩の衝撃砲が開くのに合わせて、増設された2つの砲口がその姿を現す。

計4門の衝撃砲が一斉に火を噴いた。

 

『!!』

 

衝撃砲による弾丸が一斉に福音に降り注ぐ。しかしそれはいつもの不可視の弾丸ではなく

赤い炎を纏っていた。しかも、福音に勝るとも劣らない弾幕。増設された衝撃砲は言わば

『熱殻拡散衝撃砲』と呼ばれるものだった。

 

「やったか!?」

 

「箒、それはフラグ...」

 

「っ!――まだよ!」

 

『拡散衝撃砲』の直撃を受けてなお、福音はその機能を停止させてはいなかった。

 

「やっぱり...でもこの調子で攻撃を続ければいける...!」

 

専用パッケージこそないが最後の仕上げと保険の為に戦場から少し離れた位置でステルスモードで待機しつつ索敵や戦場の情報収集をしていた簪が箒の言葉に思わず割り込むが同時に福音の情報からもう少しであることを全員に知らせる。

 

「よしっ!このまま...っ!?」

 

勢いのまま福音に再度接近しようとした鈴の目の前を掠めるように真っ赤なビームが通り過ぎる。

 

「今のは!?」

 

「あれが海と簪が戦った未確認ISか!?」

 

全員がビームが飛んできた方を見ると全身装甲の赤い機体がこちらに銃口を向けていた。

 

「嬢ちゃん達にゃ悪いが、そいつに今墜ちられるとうちの大将が困るんでなぁ!行けよ!ファングぅ!」

 

アルケーガンダムのスカートアーマーから10基のGNファングが射出され、鈴達に襲い掛かる。

 

「BT兵器!?でも早すぎる!!」

 

全員に攻撃する為に1人につき2基に分散されていてなおファングに5人が翻弄されてしまう。

 

「やぁぁぁ!!」

 

「おっと!あのガンダムと一緒にいた嬢ちゃんか...」

 

アルケーの背後に簪の駆る【打鉄弐式】が急接近し超振動薙刀『夢現』を振り下ろすも振り向かれてGNバスターソードで受け止められる。

 

「海は...海をどうしたのっ!」

 

「海?ああ、あのガンダムのパイロットのことか...」

 

バスターソードを振りぬいて打鉄弐式をアルケーが弾き飛ばす。

 

「奴さん死んだよ...俺が殺した。ご臨終だ」

 

「っ...!許さないっ!」

 

再び夢現で攻撃を仕掛けようとする【打鉄弐式】に対してアルケーガンダムはバスターソードのライフルモードで攻撃し近づけさせない。

 

「戦争で敵を殺すのに嬢ちゃんの許可がいるのかよぉっ!」

 

「くっ...!」

 

「嬢ちゃんも同じところに送ってやるよぉ!」

 

ファングで他の5人を翻弄しながら簪を相手取るアリー・アル・サーシェスは装甲の下で獰猛な笑みを浮かべながら簪に襲い掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---???

 

「貴方は...それでいいの?」

 

「ああ...もう決めたことだ...」

 

「分かった...私は貴方に付き合うよ、でも諦めないから」

 

「ありがとうな、夢幻」




今回は一夏とオリ主撃墜後からリベンジ戦でした。

次でオリ主のセカンドシフト後の期待を出す予定です。

それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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