今回からストーリーを少しオリジナルルートに寄せたいと思います。
楽しんでいただければ幸いです。
8月某日。臨海学校から数日経って夏休みまでもう少し、かつ休日ということもありなんだかふわふわした雰囲気の学生寮の食堂で俺は1人で食事を摂っていた。
一夏は
「なんか平和だなぁ...」
限定メニューのざるそばをすすりながらつかの間の平和を享受しているとふと食堂に備え付けられたテレビで流れているニュースが目に留まる。
「臨時ニュースです、先ほど『ワールド・イノベイション社』が新たに発売する製品についての情報が入ってきました」
ワールド・イノベイション社はここ1~2年の間に急成長を遂げた兵器開発を主とした軍需企業で社長や役員の詳細が何故か一切不明という変わった企業だ。そんな会社が一体何を開発したのだろうか?
「資料によりますと男性でも使用できるパワードスーツとのことでこれよりワールド・イノベイション社の代表より新製品に関して発表があるようです、現場と中継が繋がっています」
男性でも使用できるパワードスーツ!?まさか...
「会場にお越しの皆様、中継をご覧の皆様、初めまして、今回我が社の新製品の解説・発表をさせていただくシャギア・フロストと申します、横にいるのが進行を務めます弟のオルバ・フロストです」
「よろしくお願い致します」
「マジかよ...ユメ、ネットからでも何でもいいあの2人の情報の収集、あと今流れてるあのニュースの録画頼む」
『分かった』
俺はテレビに映った2人の人物を見て即座にユメにニュースの録画と情報収集を頼む。サーシェスの言葉からあの兄弟の存在は予想していたがまさかこんな堂々と表に顔を出すとは!
「今回我々が発表するのは『
シャギアが記者たちに後ろを見るように促しテレビのカメラが後ろを向くと広々とした空間が映り、そこには赤い機体と銀色の機体がそれぞれ浮遊していた。
「赤い機体がバランスの取れた武装を備え高軌道戦闘が行える『アヘッド』、銀色の機体がレーザーや実弾射撃に対する高い防御力を持ち、近接戦で無類の強さを発揮する武装を装備した『クラウダ』です、ISのようなSEはありませんがそれぞれ装甲や防御兵装もありますので耐久面でも問題ありません」
「「おおー!」」
会場で感心するような声が上がる。確かにISに比肩する性能で誰にでも使えるパワードスーツが急に出来れば誰だって感心する。
「見てもらえれば分かると思いますが、2機とも地球の重力下でも飛行可能であり空中戦も可能です、更に...」
カメラに映った画面の奥の方から別の機体が飛んできてアヘッドとクラウダに随伴するように隊列を作って空中で静止する。
「今飛んできてアヘッドとクラウダにそれぞれ随伴したのが無人MS『GN-XⅢ』と『ドートレス・ネオ』です、プログラムによりそれぞれ設定された有人機のサポートをするようになっています」
記者は一心不乱にメモを取りカメラで撮り続けている。
「無人機もアヘッドやクラウダと同様に空中戦が可能で武装も充実しています、ではデモンストレーションを行いましょうか」
画面に映るアヘッドとクラウダが動きだし、用意されていたターゲットドローンをそれぞれの武装で撃ち落としたり切り裂いていく、パッと見た感じでもISと遜色ない機動性と火力、原作とほぼ同じ武装、それに加えて有人機の動きを一切邪魔せずに的確な援護を行うあの無人機がついてくるのだから相当厄介だろう。今まで苦汁を嘗めさせられた男性...特に軍人なんかが操縦訓練して練度を上げたら十分ISとも渡り合えそうだ。
「ISだって無敵じゃない...戦車砲でもアサルトライフルでも食らえばSEは減るし、SEが尽きたら搭乗者がハチの巣になって終わりだ...」
俺が呟くと同時にデモンストレーションが終了し、記者からの質問がありそれにシャギアが答える。
「今世界はISの開発に躍起になっていて通常兵器にはほとんど手を付けていない現状ですが、どうしてこのようなものを開発できたのでしょうか?」
「それに関しては企業秘密でお願いします。またそれぞれのMSの動力に関しても企業秘密となっていますので購入の際には動力部を分解・解析等行わない誓約書を締結していただきます、また対策として分解等を行おうとした瞬間に内部回路等が全て焼き切れるセキュリティが組み込まれています。しかし修理については全てこちらでサポートさせていただきますし、ISコアとは異なり我が社で常に生産していますので不足したり、早い者勝ちになるといったこともございません。動力部以外であればご自由に分解・改造・解析していただいて結構ですし武装等の増設も出来ますので後日情報を開示致します。」
「本当に男性でも操縦可能なのでしょうか?あの機体がISという可能性は?」
「ああ、まだ搭乗者の方の紹介がまだでしたね、感想を聞くついでに降りてきてもらいましょうか」
アヘッドとクラウダが地面に降り立ち前面装甲が開いてそれぞれ中からがっしりとした体格の男性が出てくる。
「彼らはISの普及に伴って職を失った元軍人です、これで証明になりましたでしょうか?」
「は、はい、大丈夫です、ありがとうございました」
その後搭乗者の男性2人の感想を記者が聞き、比較的操縦にすぐに慣れることが可能だということが更に分かる。
「ではこれにて我が社の新製品『MS』の発表会見を終了させていただきます、先ほど申し上げましたが、ご購入の際は我が社に連絡をお願い致します、企業、国家、個人等誰でも購入は可能ですのでお待ちしております」
記者会見は終了してニュースも通常の放送に戻った。食堂の中ではぽつりぽつりと事の重大さに気付いた生徒もいるようだ。
「これは...下手すれば戦争になるぞ...」
ISの登場、導入によって女尊男卑になり職や地位、家族を失ったり、ひどい場合には冤罪を賭けられて逮捕された男性は世界中にごまんといる。動力が分からなくてもISに対抗できる力が金で手に入るのであれば直ぐにでも手を出すだろう。
想定外のタイミングでの想定外の仕方で世間に介入してきたフロスト兄弟に対して俺は思わず歯噛みした。
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--生徒会室
昼にニュースを見てから俺は速攻で楯無先輩に連絡してアポを取ったところ休日ということもあり、直ぐに話が出来るとのことだったので、生徒会室に向かった。
「失礼します」
「はーい、なんだか久しぶりね海くん。蒼機兵ってバレてから全然会話してなかったけど急にどうしたの?あと臨海学校ではお疲れ様」
「ありがとうございます。話なんですけど...楯無先輩はさっきのニュースご覧になりましたか?」
「ええ、見たわよ」
「なら分かるでしょう、暗部の長の貴方なら余計に...IS学園が火の海になる可能性だってある」
「それはこちら側でも既に警戒済みよ、国内でMSを購入しようとしてる企業や団体なんかはもう監視してるし他にも対策は準備中」
「そうですか...それなら今直ぐに問題にはならなそうですね」
流石は暗部の長をやっていることはある、動きが早い。
「それで?それだけの為に話に来た訳じゃないでしょう?」
「ええ、俺も蒼機兵として独自に動く可能性があるのでそれも一応お知らせに」
MSがこの世界に広まってしまう以上、俺は真っ先に動く必要があると考えた。生徒会長である楯無先輩に伝えておけばIS学園内の問題や俺自身の不在にも対応してくれるだろうと思っていたので話に来たのだ。
「独自にって...いったい何をするつもりなの?」
「MSとISによって戦争が起こるなら...それを止めるために戦います。俺1人でも」
「1人でなんていくら貴方が蒼機兵で機体が第二形態移行してても無茶よ!」
「あくまで可能性の話ですから頭の片隅に置いておいてください、基本的には学園の防衛等に専念しますから」
「そう...分かったわ、くれぐれも無理はしないでね」
「もちろんです、では失礼します」
俺は頭を下げてから生徒会室を出て廊下を少し歩いて人気がなくなったところで立ち止まる。
「ゴホッ!ゴホッ!思ったより早いな...」
口を押えた俺の手には血がべったりと付き、刻々とタイムリミットが迫っていることを示していた。
「かーくん...私は絶対に諦めない...君を絶対に助けてみせるから!」
今回はMSがISの世界に解き放たれてしまう回でした。
虐げられてきた人間の多いこんな世界でこんなものがでたら向かう先は...
それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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