今回は簪視点で話を進めていきます。
楽しんでいただければ幸いです。
--月兎製作所 整備棟
「ここがうちのIS開発。整備施設だよ、もう許可は取ったから簪さんも遠慮なく使っていいよ、でもここの情報は誰にも秘密ね」
「凄い...IS学園以上の広さのアリーナに、最新の施設や道具が全部ある...!」
束さんから許可がもらえたので俺は簪さんを連れて月兎製作所の整備棟に来ていた。最新の設備に簪さんは目をキラキラと輝かせている。
「あとは...スタッフだけど...」
束さんに弐式の整備を手伝ってくれるかどうか頼みに行くか悩んでいると整備棟の自動ドアが開いて変装もなにもせずに束さんが入ってきた。
「かーくんお疲れー、束さんも倉持の奴らの焦った顔見てすっきりしたよー」
「えっ!?篠ノ之博士っ!?」
ISの生みの親の突然の登場に簪さんが驚く。まあ俺が束さんと関係があることは全世界に知れ渡っているがここにいることはまだバレてないから驚くのも当たり前だろう。
「はろはろ~、君がかーくんの言ってた同級生の子だね~」
「は、はい」
俺や千冬さん、一夏を除けば興味を全く持たず関わることはまずしない束さんが簪さんを見るとそのまま話しかけた。
「束さんが俺達以外の人にまともに話しかけてる...」
「むーっ!失礼しちゃうな!束さんでも普通に人と会話ぐらいするんだからね、かーくん!まあそれはそれとして1回君とは話してみたかったんだよ」
「わ、私と?」
「そうそう、だからちょっと借りてくねかーくん」
「これまた急ですね、まあ簪さんがいいならいいんじゃないですか?」
「私は一応大丈夫です...」
「おっけー、じゃあ向こうで話そうか!飲み物もあるし」
そのまま束さんは簪さんを連れて整備棟を出て行ってしまった。こうなってしまうと待つしかないので俺も整備をしながら待つことにした。
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<簪視点>
篠ノ之博士に連れられて私は休憩所のような会議室のような部屋に通された。
「まあまあ、とりあえずそこに座ってよ」
「は、はい」
促されるまま私が椅子に座ると対面に篠ノ之博士が座った。
「さて...」
次の瞬間には篠ノ之博士の纏う雰囲気が一変して空気が張り詰める、私は思わず息を呑んでしまった。
「お前...更識 簪とかいったっけ?面倒くさいから早速聞くけど、お前かーくんの事好きだろ?」
「えっ...!?あっ...その...そうです...けど」
突然篠ノ之博士に海が好きかどうかを聞かれ私は思わず正直に返してしまう。
「まあ、色々監視してたから知ってたし確認以上の意味は無いけど...」
「監視?篠ノ之博士が私なんかを?」
確かに海には弐式の事とか色々と手伝ってもらってるし仲良くしてると思うけど何故...
「お前かーくんが好きって自分で肯定したじゃんか、恋敵が出来れば監視するのは当たり前のことだと思うけど?」
「恋敵...?えっ!?じゃあ篠ノ之博士も海を...」
「そうだよ、私もかーくんの事が好き、もちろん1人の女としてね...だからこそ聞きたかったし、試したかった」
「試したかった...?」
篠ノ之博士も海の事が好きだったなんて...でも試したかったってどうゆうことなんだろう?
「今から話すこと、そして見せるデータは絶対に口外したりしないこと、他の誰かに言ったりしたら私がお前を殺す」
「っ...」
「かーくんを好きになってずっと隣にいるって事はこのぐらいの覚悟が必要な秘密をかーくんと一緒に抱えて生きるって事、その覚悟が無いならここで話を切り上げる、そしてかーくんの事は諦めた方がいい」
私は篠ノ之博士の言葉、そして鋭い眼差しと雰囲気に逃げたくなってしまうが、その瞬間に海と弐式を開発したことや相談に乗ってもらったこと、そして一緒に映画を見に行った時のことを思い出して...覚悟を決めた。
「分かりました...私にも...話してください!」
「ふぅん...覚悟はちゃんと本物みたいだね、じゃあ話すよ、この世界で私とちーちゃんしか知らない、かーくんの抱えてる秘密...そして覚悟を」
そして私は篠ノ之博士から海の抱えている秘密、そして覚悟を聞くことになった...
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篠ノ之博士から全ての話を聞いた後、私は篠ノ之博士と一緒に海のいる整備施設へ戻った。
『かーくんは現在進行形でGN粒子の毒素に身体を蝕まれてる、そしてそんな身体を押してかーくんはこの世界に生まれてしまった『敵』を全て消し去ろうとしてるの、自分ごと...』
少なくとも私と一緒にいるとき海はそんな素振りは全くしていなかった。きっと私や皆の前では我慢し続けていたんだろう。
『そして...この世界にかーくんが本当の意味で心を許せる人はきっといない...私を含めてね...かーくんはずっと孤独なんだよ...自分の事を異物だと思い続けてる...』
海は元々は別の世界の人間で生まれ変わってこの世界に来ているのだと篠ノ之博士は言っていた。そして海の世界では私達のいるこの世界はアニメとして存在していて、海は私達の事をアニメのキャラクターとして無意識に線を引いて接しているのだろうとも...
「っ...」
ともすれば私は泣いてしまいそうだった。
自分は世界の異物として本当に信じられるものは何1つ無く、1人孤独に戦い続ける事がどれだけ過酷で苦しい事なのか...私には想像することも出来なかった。
「簪さん大丈夫?」
「っ!?だ、大丈夫だよ...」
海に声をかけられて私は我に返った。
「なんか考え事してたみたいだから...」
「何でもないよ、心配かけさせてごめんね」
「そう?ならいいんだけど、束さんとは何を話してたの?」
「それはねー、かんちゃんのISの整備は束さんが手伝ってあげるよって事と先んじて『敵』の事を言っちゃいました!てへぺろ★」
「しれっととんでもない会話俺抜きで進めないでくださいよ...しかも簪さんの事名前呼びになってるし...」
私が言い淀んでしまう前に篠ノ之博士が割り込んでごまかしてくれた。海は色々と鋭いから危ないところだったかもしれない。篠ノ之博士が私に話してくれたことは『敵』の事以外は本来誰にも教えちゃいけないと海に言われている事だったのだから...
「束さんが話しちゃったなら俺から伝えることはあんまりないかなぁ...まあ一応資料は作ったし、一夏達にも休み明けに話すつもりだけど」
「あのMSって技術的に凄いなって思ってたけどまさか危険な裏があるなんて思わなかった...」
MSに関しては本当に素直に凄いなと思っていたけど話を聞いてはっとさせられた。
「あとは『アレ』をどうするかだけど...まあそれは皆に説明が終わってからでいいか」
「『アレ』って何のこと?」
「うーん...企業秘密」
海が意味深なことを言っていたので何のことか聞いてみたけどはぐらかされてしまった。
「さて、話をしている間にかんちゃんの弐式のメンテ終わったよー、はいどうぞ」
「えっ!?早過ぎる...」
「まあIS生みの親の束さんだからなぁ...」
私と海が少し話している間にメンテナンス用の台座に展開していた弐式を篠ノ之博士があっという間にメンテしてしまった。
「さて、今日の所はここまでかな?」
「そうですね、簪さん帰りは大丈夫そう?」
「うん、大丈夫、道は覚えてるし教えてもらったマップデータのダウンロードも終わってるから」
「なら大丈夫だね、あっと、1つ聞き忘れてた!簪さん明日は空いてる?」
「え?多分大丈夫だと思うけど...」
「明日箒の実家で久しぶりに夏祭りやるからもしよかったら一緒にどうかなって、一夏達にも合流しようぜって言われてるし」
「ん...分かった、私も行く」
「良かった!集合場所とかは後で送るね!」
「うん、私も楽しみにしてる」
海と夏祭りに行く約束をした後に私は月兎製作所の施設を出て帰路に着いた。誰にも見られてないと思うけど帰ってる時の私の顔は真っ赤だったかもしれない。
「青春だねぇ~束さんもそんな高校生活が送りたかったよ~」
「にやにやしながらねっとりいうのやめてください...」
今回は束が簪に海の秘密を話して簪が真実を知ってしまう回でした。
オリ主の真実を知った簪はどうするのか...
それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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