脳内妄想無双は好きだが実現するのは違うと思う   作:大鷹とび

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いつも見てくださってありがとうございます。大鷹とびです。

仕事が忙しくて先週は投稿できませんでした...
なるべく頑張って投稿するので気長に待っていただけるとありがたいです。

今回は夏祭りの話になります。

楽しんでいただければ幸いです。


43話 想いの熱と甘い夏

--篠ノ之神社前

 

<海視点>

 

「ほんと久しぶりの夏祭りだな...重要人物保護プログラムで出来なくなってたから小学生の時以来だもんな...」

 

現在俺は篠ノ之神社の前で簪さんを待っている。一夏達もまだ来ていないのでどうやら俺が一番乗りの様だ。

 

「海!お、お待たせ!」

 

「ああ、簪さん、俺も今さっき来たところ...」

 

簪さんの声が聞こえたので返事をしながら顔を上げると明るいオレンジ色に桜の柄の浴衣を着た簪さんが視界に入って思わず返事が途中で止まった。

 

「か、海?どうしたの?」

 

「あ、いや...に、似合ってるよ...浴衣」

 

「っ///ありがとう///」

 

簪さんの着ている浴衣は簪さんの青い髪との対比が綺麗で本当によく似合っている。ただ...

 

「(何とか褒められたけど...これ以上が続かない!)」

 

この状況を打開する為にもまずは声を...

 

「「あの!」」

 

いつぞやのように簪さんと全く同じタイミングで声が被った。

 

「「そっちから...」」

 

更に被る、どんどん泥沼に...

 

「おーい!海!簪さん!」

 

空気が微妙な感じになりかけたところで一夏達が俺たちに向かって叫びながら歩いてくるのが見えた。

 

「「...」」

 

「いつぞやもあったよねこんなこと」

 

「うん...私も凄いデジャヴった」

 

「一夏達も来たし行こうか、簪さん」

 

「分かった」

 

後で一夏には何か奢ってやろうと思いながら俺は簪さんと一夏達の方に向かって歩いて行った。

 

———————————————————————

 

一夏達と合流したあと俺達は屋台を色々吟味しながら夏祭りを楽しんでいた。

 

「祭りの屋台で買って食べる焼きそばとかたこ焼きとかってほんとおいしく感じるな」

 

「同感、なんでこんなにおいしんだろう?あ...」

 

食べ歩きを楽しみながら金魚すくいやら型抜きやらの屋台もあるなと色々と見ていると、ふと簪さんが足を止める。

 

「簪さん?どうしたの?」

 

「あの射的の景品のフィギュア...人気過ぎて直ぐに予約が埋まって手に入らなかった限定品...」

 

簪さんの視線の先を見ると射的の屋台の景品が置いてある棚にかなり大きめなロボットのフィギュアの箱があり、『特賞』の紙が貼られていた。

 

「あれは...『Blue machine soldiers』の主人公機の限定フィギュアか...元ネタの人間としてはなんとも言えない感情になるな...」

 

『Blue machine soldiers』は読んで字のごとく蒼機兵を元にしたロボットアニメであり戦争とは何かを視聴者に問いてくるこの世界ではガンダム的ポジションのアニメの1つだ。

 

「どうしても欲しかった...!今この機会を逃す手は無い...!」

 

そう言って簪さんは真っ直ぐに射的の屋台へと向かった。

 

「一夏!他の皆と先行っててくれ!俺は簪さんの方に行くから!」

 

「おーう!分かったぜ!」

 

一夏達を先に行かせて俺は簪さんを追いかけようと振り返るとその時には既に簪さんは射的の屋台でコルク銃を構えていた。

 

「当てる...」

 

俺が横に来ても気付かない程の集中力で簪さんが特賞の的を狙っている。

 

「っ!」

 

そして簪さんの撃った弾は見事に特賞の的の上部、一番倒れやすいところに当たった、だが特賞の的は微動だにしなかった。

 

「くっ...」

 

そのまま簪さんは同じように撃ち続けて全弾完璧に当てていたがそれでも的は全く動かなかった。

 

「(おそらくあの的はあのコルク銃で普通に撃ったんじゃ絶対に倒れない重さになってるんだろうな...)」

 

「全然倒せない...どうして」

 

簪さんが3回目の挑戦も失敗した所で俺は声をかける。もっと早くに声をかけるべきだとも思ったがあまりの集中力に声をかけられなかったの内緒だ。

 

「ちょっと俺もやってみていいかな?おっちゃん!2回分の料金出すから弾一度に貰える?」

 

「海?」

 

「おう、いいぞ!でも特賞はそうそう取れないぞ?」

 

「分かってるって!じゃあ遠慮なく」

 

俺は銃を持って1発弾を込めた後更にもう1発押し込んで装填し構えて特賞の的に向かって撃った。これは小学生の頃俺が良くやっていたテクニックで、射的の屋台の銃はバネで弾を押し出して発射するものだが、1発目を押し込んで少し隙間を空けて更に2発目を詰め込む事で1発目を犠牲にして2発目の威力を空気圧と1発目の勢いで上げるという裏技のようなものだ。銃に負担がかかるから基本的に禁止されてる技で今回も2発目はこっそり詰め込んでいたりする。

 

「揺れた!?」

 

「これならいけるか...じゃあガンガン行きますか!」

 

俺は的が揺れることを確認すると残りの弾を全て左手に持って2発込めと早撃ちの併用を開始する。

 

「よっ...と!」

 

「海...凄い!」

 

引き金を引いた瞬間に左手で2発そろえて持っていた弾を込めて直ぐに銃のレバーを引き、直ぐに次弾を発射する。それを5回繰り返すと弾が当たるたびに大きく揺れていた特賞の的が観念したようにパタリと倒れた。

 

「こりゃ参った!見事な早撃ちだ!もってけ兄ちゃん!」

 

そう言って屋台のおっちゃんは俺にフィギュアを大きな袋に入れて渡してくる。

 

「はい、簪さん、欲しかったんでしょ?これ」

 

俺はそのフィギュアを簪さんに渡した。

 

「え!?良いの?」

 

「うん、簪さんにあげるつもりで取ったし」

 

「ありがとう...!」

 

簪さんは大事そうにフィギュアを抱えながら満面の笑みを浮かべていた。これなら取った甲斐もあったかな。

 

「さて、一夏達に先行ってもらってるから合流しよう、行こうか簪さん」

 

「うん...!」

 

———————————————————————

 

射的でフィギュアを取った後、一夏達に合流してそのまま俺達は神楽舞を見ることにした。今年はなんと箒が踊るということで元々皆で見ようということになっていた。

 

そして神楽舞が始まると皆驚き半分、感動半分といった表情で神楽舞を踊る箒に釘付けになっていた。途中でチラッと一夏の方を見たが何やら少し赤い顔で箒の事を見ていたのでこの唐変木も少しは成長したのだと思おう。

 

「箒...凄い綺麗...」

 

「そうだなぁ...俺もびっくりだ...」

 

あっという間に神楽舞は終了して後は花火を残すのみとなった。

 

「お前は箒を待つんだろ?一夏」

 

「おうなんか皆『今回は箒に譲る』って言ってどっかいっちまって」

 

「そうか、花火を見るなら第1スポット譲ってやる」

 

第1スポットというのは俺と一夏が小学生の頃駆け回って見つけた花火が最高によく見えるポイントである。

 

「いいのか?」

 

「ああ、俺は第2スポットに行くから」

 

ちなみに第2スポットもある、第1スポットより行くのが少し大変だが同じく花火が最高によく見える。

 

「んじゃ、ちゃんとやれよ」

 

「?あ、ああ」

 

「という訳で簪さん着いてきて」

 

「わ、分かった」

 

俺は一夏に別れを告げて、箒に色々と成功を祈りつつ簪さんとその場を離れた。

 

「これから花火が良く見える場所にいくけどちょっとだけ行くのが大変なんだ、大丈夫かな?面倒くさいなら適当な場所で見るけど」

 

「ううん大丈夫」

 

「分かった、じゃあ改めて着いてきて」

 

簪さんからOKも出たので俺は神社の本堂の横にある小道に入る。一応道にはなってるから簪さんの浴衣が引っ掛かるということも無いだろう。

 

「凄いところだね...ちょっと怖い」

 

「それでも苦労する甲斐はあるよ...よし到着」

 

小道に入ってからほんの少し...2分ほど歩いたところでひと際大きな木の根元に着く。

 

「そしてこれを...よっと」

 

俺はその辺の草むらに隠してある脚立を引っ張り出して木に立てかける。

 

「あそこに伸びてる太い枝が人2人ぐらいなら余裕で支えられて花火が良く見えるんだ。簪さんは浴衣だから登るの大変だけど見える景色は保証するよ」

 

「登るのは大丈夫だけど...脚立はこの格好じゃ登れそうにない...」

 

「うえっ!?ミスったなぁ...もう少しで花火始まっちゃいそうだし...じゃあ俺が簪さんを背負って上まで一緒に運ぶよ、それでどう?」

 

「えっ!?」

 

「嫌だった?」

 

「嫌じゃない...嫌じゃないけど大丈夫?」

 

「そんなやわな鍛え方してないよ、安心して任せて!ほら!」

 

俺は簪さんに背を向けてしゃがんで待つ。

 

「じゃ...じゃあ、お願いします...」

 

そう言って簪さんは俺の背中にもたれかかって腕を首に回す。

 

「よし、じゃあ登るからしっかり捕まっててね?」

 

「う、うん///」

 

簪さんをしっかりと支えながら俺は脚立を軽々と登っていく。極端に高いところに登る訳でも無いのであっという間に上までついた。

 

「到着!簪さん気を付けて降りてね」

 

「うん...っ!」

 

簪さんが下りて安全なのを確認してから俺は立っている枝の上に腰掛ける。

 

「簪さんも座って大丈夫だよ、ここの景色は中々でしょ?」

 

「びっくりした...!こんなによく見える場所があるなんて」

 

「小学生の頃一夏や他の奴らと見つけた場所なんだ、お、花火始まったよ簪さん」

 

ヒュ~~~~...ドパァン

 

撃ちあがる音が聞こえた方を向けば夜空に大きな花が開いて辺りを綺麗に照らし出した。

 

「綺麗...」

 

「気に入ってもらえたならよかったよ」

 

簪さんは目の前の光景に目を奪われていた。これだけしっかり見てもらえるなら連れてきた甲斐があったというものだ。

 

「...空に上がって綺麗に光った後は消える...か...」

 

ふと自分も花火のように消えていくのだろうかと思って呟いた言葉は花火が開く音にかき消されて夜空に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「MSの供給数有人機、無人機合わせて5000機を突破...あと少しで始まるな、我らの戦争が...」

 

「僕らの機体もあと少しで完成だよ、兄さん」

 

そう話す二人の男の前には赤と黒のISが鎮座しているのだった...




というわけで今回は夏祭りを楽しむ日常回でした。

オリ主達が思い出を作っている間に着々と進むMSの供給...

それでは次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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