今回から学園祭編に入っていきます。
学園祭編から物語を大きく動かしていければと思っています。
楽しんでいただければ幸いです。
---IS学園 第2アリーナ
夏休みも終わりIS学園も2学期が始まった。始業式の日からいきなりISの訓練があったので俺はISスーツに着替えて第2アリーナに来ていた。
「一夏はまだ来てないか...まあ理由は分かってるけど...」
授業開始時間になっても一夏が来ていないので織斑先生からの出席簿が確定したわけだが一夏が遅れた理由は...
『2学期から私も一夏君に接触しようと思うからよろしく♪ byたっちゃん』
とのことだ。まあ俺の訓練メニューで一夏は基礎能力は入学当初と比べてかなり伸びているが、技術的なものはまだまだ甘いので現国家代表の楯無先輩に見てもらえるなら更に成長できるだろう。
俺が教えてもいいが俺の戦い方は特殊過ぎるから楯無先輩の方が向いているだろう。
「す、すいません...」
今しがた遅れてやってきた一夏を織斑先生が睨みつける。
「ほう、遅刻するとはいい度胸だな」
「いや、その、あのですね。見知ぬ女生徒が──」
「そうか。お前は初対面の女子との会話を優先して授業に遅れたのか」
「ち、違います...」
有無を言わさない織斑先生に一夏は出席簿を警戒して1歩後ずさる。
織斑先生は溜息を吐き──
「織斑、話はそこまでか?」
「え?」
「デュノア。
実質的な処刑宣言...
一夏の顔から血の気が引くと同時に目が据わっているシャルロットさんが前に出る。
「海、データは取らないからあの大きいライフル貸して?」
「えっ?わ、分かった」
急に話しかけられた俺は部分展開でGNツインドッズキャノンを2つ取り出してシャルロットさんに使用許可を出して渡してしまった。ちなみにGNツインドッズキャノンは本体にGN粒子を貯蔵することが出来るのでそれだけでも10発程度なら発射出来るようになっている。
「あ、あのシャルロット?」
「何かな?
一瞬一夏が全てを諦めたような表情を見せた後、シャルロットさんがラファールを展開した3秒後、辺りには一夏の絶叫が響き渡ったのだった。
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---IS学園 廊下
「それで、あれは誰だったんだ?」
今日の授業も全部終わった放課後、俺と一夏は廊下を歩いていると一夏が俺に話を振ってきた。
「水色の髪の2年生だろ?」
「そうそう!なんで分かったんだ?まだ何も話してないのに」
「俺達の身近に似たような人がいるだろ?」
「似たような?ああ、確かに言われてみれば簪さんに似てたような気が...」
「そこまでいけば答えだよ、一夏が会った人の名前は──」
俺が言おうとした時、目の前から歩いてくる人影が俺達の前で止まった。
「──更識楯無。この学園の生徒会長よ」
自分達の目の前にいる水色の髪の少女──もとい楯無先輩を見た一夏はぽかんと口を開いている。噂をすればなんとやらだ。
楯無先輩は笑顔で一夏に近付き、観察するように彼を見ていた。
「ふむふむ、成程ね〜。休み中もちゃんと鍛錬してたようね」
「分かるものなんですか?」
「当然よ、だって私は──」
「この学園で最強だから、ってな」
「んもう!なんで大事な決め台詞取っちゃうのよ海くん!」
「なんとなくですね」
本当になんとなく悪戯心が掻き立てられたからセリフを取っただけだ。未だに一夏はぽかんとしてるが...
「覚悟っ!!!」
不意に大きな声と共に楯無先輩の背後に道着を着た女生徒が襲い掛かる。
が、楯無先輩はそれをほとんど動くこと無く受け流し、いなして、最後には転ばせて無力化する。
その直後に竹刀を持った別の女生徒がまた楯無先輩に襲い掛かる。
「覚えておくと良いわ。一夏くん」
「ちょっ!?危ない───」
襲い掛かってくる女生徒には目もくれず、楯無先輩は一夏に告げる。
「IS学園の生徒会長はね、ある1つのことを意味するのよ」
振り下ろされる竹刀をスレスレで躱し女生徒の懐に入り込んだ次の瞬間には楯無先輩の手に竹刀が握られ、女生徒は床に転がっていた。
「まあそうゆうことだよ一夏」
「どうゆうことなんだよ...」
楯無先輩はドヤ顔で扇子を開いて書かれている『最強』の文字を見せてくる。一夏の方を見ると頭の上に?マークが見えそうな程訳が分からなそうな表情をしていた。
「えっと...それでその生徒会長が俺に何の用ですか?」
「固いな〜。楯無さんでも良いわよ?たっちゃんでも可♪」
一夏に対しおちゃらけた様子で接する楯無先輩。相変わらずの人たらしぶりだ。
「率直に言うとね。君のコーチをしようと思ってきたの」
「悪いですけど、コーチなら間に合ってます。IS操縦においては最強の人間が俺の真横にいるので───どうして突然そんなことを?」
「そんなの簡単だよ。君が弱いから」
ムッと一夏の顔が不満に染まる。まあそりゃそうだな。ISじゃなくたってそう言われれば誰だってムッとする。
でもまだ基礎作りしかさせてないとはいえ俺の教え方が悪いみたいでちょっと癪に障るが...まあここは静観だ。
「それなりに弱くも、ないつもりです」
「弱いよ。滅茶苦茶弱い。海くん...『蒼機兵』に教わりながら他の専用機持ちに負け越してるようじゃ全然ダメ、何よりその海くんの足を引っ張ってるじゃない」
分かり切った挑発だが一夏は流すことは出来ないだろう、男として引けないのもあるし、何よりも...
「お断りします、確かに俺は海の足を引っ張ってるのかもしれないけど...約束したんです。」
守りたいものが何なのかそれを見つけて俺に教えるという約束が俺と一夏にはある。
「未熟なのに頑固ね。弱いままでいいのかしら?」
「未熟なのは認めます。けど、だからって会ったばかりの人に弱いって言われて『はいそうです』って言えるほど素直じゃないんですよ俺は」
一夏は自分の弱さは自覚しているのだろう。タッグトーナメントや臨海学校を通じて痛感している筈だ。一夏の複雑な思いがこもった楯無先輩は少し表情を柔らかくした後、扇子で口元を隠しながら提案をしていた。
「ふふ、それなら良いわ。勝負しましょう」
「勝負?」
「そ。互いが勝った方の言う事を聞く。簡単で良いでしょう?」
楯無先輩が扇子を開くと『必勝』と書かれていた。
一夏の表情は険しいものになる。多分舐められていると理解したのだろう。
「分かりました。それでいいです」
こうして一夏は楯無先輩との勝負に乗った。
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一夏と楯無先輩、そして何故かいる俺の3人は柔道場に来ていた。
楯無先輩と一夏は柔道着に着替えて向かい合っている。俺は端っこで見学だ。
「ルールは簡単、一度でも私を床に倒せたら君の勝ち。逆に君が続行不能になったら私の勝ち──それでいいかな?」
「それは──」
楯無先輩の言葉に一夏は困惑した表情を見せる。
「大丈夫。私が勝つから」
そう楯無先輩に言われた一夏はスイッチが切り替わったのか先ほどまでとは表情が変わり引き締まる。
そして勝負が始まり一夏が距離を詰めるが──
次の瞬間には一夏が投げられていた。
「どうする?まだ続ける?」
「当たり前ですっ!」
一夏は直ぐに起き上がり先ほどとは違った攻め方を試みる...
そうして一夏が楯無先輩に投げられ、倒され続けること十数分。
俺の目の前にはふらふらで何とか立っている一夏と始めたころと全く様子の変わらない楯無先輩が映っていた。
「どう?降参する気になった?」
「まだまだ!」
「うん。頑張る男の子は好きよ?」
ふらつく身体を押して前に出る一夏が見せたのは火事場の馬鹿力のようなものから繰り出される渾身の踏み込みだった。
「!」
勝負が始まってから初めて一夏が楯無先輩に触れた。そしてそのまま投げようと一夏が力を込めた瞬間に...
「あら?」
「ぶっ!?」
楯無先輩の道着がはだけて胸の谷間が、そして下着が少し見えてしまう。
「うわあぁっ!?」
「一夏くんのエッチ!」
わざとらしい悲鳴をあげながら楯無先輩はうずくまり、一夏は飛び退いたが、楯無先輩のあれは演技だろう。こんな状況でニュータイプ能力を使って人の感情を察するのは無駄遣いな気もするが...
「ねぇ、一夏くん」
一夏にさっと近づきながら楯無先輩が口を開く。
「──おねーさんの下着姿は高いわよ?」
その次の瞬間、一夏の身体は悲鳴とともには宙を舞ったのだった。
「さてと...」
楯無先輩が何故か俺の方を見てくる。
「次は海くんね」
「俺もですか?やる必要あります?」
「もちろんあるわよ、海くんには簪ちゃんの事について根掘り葉掘り聞く必要があるもの」
「はい?」
もしかしてまた発動しやがったか?このシスコン...
「最近海くんの事を見る簪ちゃんの視線に熱がこもってたり、海くんと話すときの簪ちゃんの表情が色っぽい事について聞かせてもらうわ!」
「やっぱりかよ!このシスコン!仲直りしたんだから直接聞けや!」
思わず敬語が崩れるが...
「問答無用!」
この後、俺はほぼ本気で襲い掛かってくる楯無先輩をXラウンダーとニュータイプ能力を駆使しながらなんとかいなして黙らせるのに2時間かかったのだった。
「楯無さん俺とやってる時は滅茶苦茶手加減してたんだな...とゆうか海も楯無さんもなんつー動きだよ...」
俺と楯無先輩が戦っている間、完全に蚊帳の外になっていた一夏はその壮絶な戦いに唖然としていたのだった。
シスコンをさばくのに能力をフル活用するオリ主でした。
そして原作通り始まる生徒会長による一夏のコーチング。
今後も楽しみにしていただければと思います。
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