今回は楯無参加後の訓練、更に曇る簪、学園祭について...
の三本でお送りしていきます。
楽しんでいただければ幸いです。
---IS学園 第3アリーナ
柔道場でのやり取りの後、俺達はそのままアリーナに行って操縦訓練を始めたのだが...
「おい海!あれはいったいどうゆうことだ!一夏にはお前が訓練を付けているんじゃなかったのか!?」
「そうですわ!それにあれは生徒会長ではありませんか!いったいどうゆうことですの簪さん!?」
いつもは俺が一夏のコーチをしていたのに今日突然一夏とともに生徒会長が現れ一夏のコーチをする事になったと告げられ、訳が分からないと俺と簪さんに箒達が詰め寄ってくる。
「た、確か織斑君が勝負に負けたからコーチしてもらう事になったって...」
「そ、それは分かっていますわ!問題はそちらではなく───」
「皆落ち着けって..」
俺は簪さんに迫るセシリアさんや俺の目の前にいる箒を宥めようとするが...
「簪よ!あの人はお前の姉なのだろう?これは一体どういう事なのだ!?」
「コーチングするのは分かるけどあんなにくっつくのはおかしいよ!」
「一夏もなんか鼻の下伸ばしてるしどうゆうことよ!」
更に3人が俺達に迫ってくる。
楯無先輩が一夏にえらくくっついたりそれとなくきわどい体勢をしながらからかったりしているのだ。練習内容こそしっかりしているし説明も分かりやすく効率もいいが...
訓練内容云々ではなく楯無先輩の一夏をからかう行動に気が気でないようだ。
「お前らほんと一回落ち着けって、簪さん怯えちゃってるだろ」
「海...!」
簪さんが縮こまりながら俺の後ろに移動する。なんだか小動物みたいで可愛い...
箒達はハッとなると一夏と楯無先輩の方を向いて様子を見始める。
「たしかに少し取り乱し過ぎたか...。だがいささか距離が近すぎるぞ...」
「楯無先輩っていっつもあんな感じだから慣れた方がいいぞ」
「精神的に休まらないね、それ...」
シャルロットさんが苦笑いを浮かべ、他のメンバーも不安そうな表情をしている。
「えっと...お姉ちゃんが迷惑かけてごめんね?」
簪さんが楯無先輩に代わって謝罪をする。ちなみに夏休みの間に簪さんは楯無先輩とサシで話をして仲直り出来たそうだ。よかったよかった。
「別にそういう訳ではありませんのよ?何と言うかその────」
「簪、実際どうなんだ?お前の姉は嫁のことが好きなのか?」
申し訳なさそうにする簪にセシリアは慌てて弁明する。
そんな中思っていた事をラウラはストレートに疑問にする。その瞬間一同の視線が簪に集まる。
「お姉ちゃんからそういう話は聞かないけど、見た感じだと純粋にリアクションを楽しんでるみたい」
「そ、そうかならいいのだが...それにしても海、お前はいいのか?一夏に訓練を付けていたのは元々海だろう?」
箒が俺にふと思ったのだろう疑問を投げつけてくる。まあそれも最もだろう。
「ああ、体力やら筋力やら基礎的な部分から俺が鍛えてやってたからな。でももう基礎トレーニングは一夏1人でも出来る。それに俺はISも戦い方も普通のISと比べるとかなり特殊だろ?」
「それは...そうだな...」
「だから操縦技術的な部分は楯無先輩に任せることにしたんだ。俺は俺でやることあるしな」
「成る程、そうゆうことでしたのね」
俺の返答に箒やセシリアさん達は納得したように頷いた。
「さて...みんなが納得した所で簪さん、ちょっとこれ見てくれない?」
そう言って簪さんに今日の柔道場で襲われた時の録画データを送信する。
「これは...はぁ...お姉ちゃん...」
「簪さんからが一番ダメージ大きそうだからちょっとお灸を据えといてくれるとありがたいんだけど」
「ん...分かった...私に任せて...」
「助かるよ、ありがとう簪さん」
操縦訓練が終わった後、楯無先輩を恐ろしく号泣させたと簪さんから部屋に戻った後話をされたので俺は非常にすっきりした。
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---IS学園 学生寮 1035室
ちょっとしたトラブルもあったが今日も無事に操縦訓練を終えて俺は簪さんと飲み物を飲みながら反省会をしていた。
「簪さんは山嵐さえ使えればほぼ必勝パターンだからそこに持っていくまでに...どうしたの?」
ふと簪さんの方を見ると少し俯いて物憂げな表情をしていたので声をかける。
「えっ?あ、ううん何でもないよ...ごめんね」
今日の楯無先輩の事があって疲れたのだろうか?
「今日は楯無先輩が来たりしてたしいつもと色々と違ったから疲れたんじゃないかな?反省会はここまでにして寝ようか」
「うん...そうするね」
「じゃあ先にベッドに入ってて、俺は一杯水を飲んでから寝るから、明かりは俺が消しとくね」
「分かった、おやすみ...」
「おやすみ...簪さん」
簪さんがベッドに入ったのを確認して俺は明かりを消し、洗面所に向かう。
洗面台の鏡に映った自分を見ていると...
「ゴホッゴホッ...」
急に胸が苦しくなりせき込むと口を押さえた手に以前より多い血が付いていた。
直ぐに手を洗ってコップに水を汲み一気に飲み干す。
「はぁ...はぁ...束さんの薬ではあくまでも1年持たないのがギリギリ1年持つようになっただけ...何とか隠しきらないと...」
俺は鏡に手を突きながら息を整えて洗面台から血の痕跡が残らないように処理をする。
その時、後ろから俺の事を見ている視線に気づくことは出来なかった...
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楯無先輩が一夏の訓練を見るようになった次の日、突然体育館に集められたかと思えば壇上に上がった楯無先輩から学園祭の説明がされた。
それ自体は何ら変わったものではなく俺も一夏もも楽しみだと思いながら聞いていた。
『以上の通り、今年の学園祭は投票制にて1番を決めるものにします。売上は別枠で例年通りにランキングするから、そっちも頑張ってね。ちなみに投票制の方で1位になった部活には───織斑一夏を生徒会権限で強制的に入部させる事を約束するわ』
突然投下された爆弾。
俺の横にいる一夏が呆気に取られて口を半開きにしてる。
そして俺はそんな一夏を見て笑いをこらえるのに必死だ。ちなみに俺はどうしてこうなっているのか理由を全て知っているのだが――
事の発端は全世界にMSの発表がされた後、俺が生徒会室に行ったときまで遡る。
「海くん、貴方生徒会に入らないかしら?」
「それはまた突然どうして?」
MSに関する会話が終わった後、楯無先輩は俺を生徒会に勧誘してきていたのだ。
「だって貴方部活に入ってないわよね?この学園の校則では生徒は必ず何かしらの部活動をしなければならないのよ」
「俺、部活入ってますよ?」
「え?」
「模型部に入ってます、一夏の訓練やら企業代表の仕事やらで幽霊部員一歩手前ですし、模型部自体かなりひっそりと活動してましたから気付かなかったかもですけど...」
「嘘...」
別に隠している訳でも無かったが、俺は模型部に所属している。といっても操縦訓練や、企業代表としての仕事という名の束さんのお願いを優先しているため、月に何度か顔を出しつつ隙間時間に作った作品を部室に展示する、という形式をとってもらってはいるが...
「嘘ではないですよお嬢様、武藤君は確かに模型部に所属しています」
「そ、それでも生徒会は兼任も可能だからいつでも待ってるわ!じゃあせめて一夏くんを...」
「分かりました。まあ協力出来そうならしますから楯無さんも頑張ってください。
ご愁傷さまだ一夏...」
というやり取りがあったのだ。一夏は部活動には入っていなかったし、校則の事も忘れていただろうから見事に策に嵌ったのだろう。そして生徒会に取り込まれるところまでは見えている。
賞品として自身の名前がいきなり挙がった一夏は理解が及ばずぽかんと口を半開きにしたまま動けないでいるようだった。
「ところで海くんが作っている模型ってどんな物なのかしら?」
「現物が見たければ模型部の部室にありますけどとりあえずこんな感じです」
俺は携帯で撮った写真を楯無先輩に見せる。
「え!?な、なにこれ!?学生が作るレベルのものじゃないわよ!?」
「そうですかね?まあ趣味が高じてってやつです。」
恋は盲目...一夏ラヴァーズはどうするのか?
そしてとうとう見られてしまった海は...
今後も楽しみにしていただければと思います。
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