この世界はどんどん酷くなっていきます。ガンダム取り込んでるから当たり前ですね!
---中国国内
<鈴視点>
「はぁっ...はぁっ...」
政府の指示によって帰国した私を待っていたのは地獄だった。
病気の治療中で動けないお父さんを実質的な人質にされ、国内の紛争の制圧と開発中の試作MSの相手を強制される。
紛争の制圧はまだしも試作MSの相手が本当に辛い、甲龍を倒すことだけを考えているような重装甲、長距離戦闘用のMSが何機もいて私にレーザーや実弾を撃ってくる。
衝撃砲は通らないし、弾幕が厚すぎて近づけない。
「なんなのよっ...っく...はぁっ...はぁっ...」
何発か食らってSEがギリギリになったところで試験は終了する。
『1時間後に紛争の鎮圧に向かえ』
「はぁっ...はぁっ...了解...」
紛争の鎮圧だって身体的に試作MSの相手より楽ってだけで毎回犠牲になった人達の亡骸を見るのは慣れないし、いつも吐きそうになる。ただでさえ少ない食事が喉を通らなくなった。
ボロボロの身体を引きずってあてがわれた狭い部屋に戻るとそのまま私は床に倒れて気絶するように眠った。
「皆...一夏...」
———————————————————————
--月兎製作所
<海視点>
アイルランドから戻って2日後の早朝、予定通り俺とラウラは鈴の救出作戦を開始すべく準備をしていた。
「という訳だ。ステルスシステムの使い方はこれで大丈夫かラウラ」
「ああ、問題ないぞお兄様、それにしてもGN粒子というのはかなり万能なのだな、MSの動力という事しか分からなかったが...」
「まあそりゃあなぁ...今でこそMSの動力の1つとして世に出回ってるけど、前までは俺のダブルオ―ガンライザーにしか使われてなかったからな、使い方は俺達以外ほぼ分かってないのも当然だ。でもなラウラ、お前のシュバルツストライクの装甲材...VPS装甲もかなりのオーバーテクノロジーだ、ドイツに残らなくて良かったよ」
ラウラのシュバルツストライクの装甲材は調べてみたらしっかりVPS装甲だった。本来高重力下でしか作れない装甲材を作ってしまうISはやばいなと改めて思った。
「一定の電圧の電流を流す事で相転移する効果を持った特殊金属でできた装甲...物理的な攻撃はほぼ無効にできるあたり私も反則に近いなと思ってしまう...エネルギー切れの時に装甲の色が灰色に変わって敵に悟られてしまう可能性があるのが弱点だが、そもそもISはSEが切れたらどちらにしろ終わりだ。まあ燃費はかなり良い様だから心配もないだろうが...」
「そういうことだから色々と気をつけてな、捕まるのはもちろん何か残すのもアウトだ」
「分かっているお兄様、迅速かつ一切の痕跡を残さずに鈴の父上を救助する」
「頼りにしてるぞ!という訳で準備完了だ。束さん!海、ラウラ両名準備完了しました!これより鈴の救出作戦を開始します!」
「りょうかーい!中国には直ぐに着くだろうし、状況は常に束さんがモニターしてるけど万が一があるから気を付けてねー」
「ありがとうございます!ダブルオ―ガンライザー 武藤 海 出る!」
「シュバルツストライク ラウラ・ボーデヴィッヒ 発進する!」
こうして俺とラウラは朝日が昇り始めている空へと飛び立つ。
「ステルスシステム起動確認!お兄様!」
「よし!掴まれラウラ!『TRANS-AM-FX』始動!」
あらかじめ渡しておいたステルス装置をラウラが起動して俺達の姿を隠し、俺は移動に全てを回してラウラを運ぶことでラウラはエネルギーの節約になるし、最高速度が速い俺がラウラを運ぶことで移動時間も短縮できる。
「改めて体感すると早いな...お兄様のISは」
「その辺のISとは一線を画してるからなぁ...まあ30分もせずに目標ポイントに到達するから準備していてくれ」
「了解した!」
「潰れるなよ、鈴!」
俺は鈴の身を案じながら中国に向けて速度を上げた。
———————————————————————
---中国国内 某所
<鈴視点>
「話が...違うじゃない!」
1時間気絶するように眠った後、向かった紛争地域は今までの歩兵中心、あっても戦車が1~2台の小規模の戦闘ではなく大量のMSが好き勝手に暴れていた。
「まともに戦えるのは私だけ...」
他のISはそれぞれ別の紛争の制圧に行っていて今ここに存在しているISは私の甲龍だけ...
「私以外の政府軍は...っ!げほっ!おえぇぇぇ...」
私以外に戦力がいないかハイパーセンサーで探すとすぐ近くに
「はぁっ...はぁっ...」
胃の中のものをひとしきり吐いた後、再度センサーを確認するとMSが最低でも30機、こちらに向かってきているのが分かった。
「こんなところで死ねない...私はまだ一夏に気持ち伝えてないんだから!」
覚悟を甲龍のスラスターに込めるように吹かして私は一気に近づいてくるMSに接近する。甲龍は燃費は良いけど遠距離戦は不向き...接近してかき回しながら戦うしかない!
「なんだ!?」「ISがくるぞ!」「撃て撃て!」
私の接近に気付いた何機かが撃ってくるけどそんな射撃当たらない!
「このぉぉぉ!」
反応が遅れていた1機に双天牙月を思いっきり振りかぶって渾身の一撃を食らわせる。
「まず1機!」
衝撃でパイロットが気絶して地面に墜落したのを確認すると同時にその場を即座に離脱するとさっきまでいた空間にビームが通り過ぎる。
1機墜としたところで戦力差は最低でも29対1...ここからが本番...
「死ぬもんですか!それに...あんた達に何があったかなんて知らないけど、罪の無い人を巻き込むんじゃないわよっ!」
「俺達はこのMSでお前ら女に復讐する!皆殺してやる!」
私の前にいるMSのパイロットはそう叫ぶ、完全に復讐することに囚われているみたいだった。
「何が復讐よ!あんた達のやってることはただのテロよ!関係ない人達まで殺して!」
降り注ぐビームの雨を回避しながら再度接近する。
「はぁぁぁぁっ!」
叫びながら私は双天牙月を握りしめ戦い続ける。たとえ助けが来なくても、国に使い潰されようとしていてもこいつらだけは行かせちゃならない...そう思ったから...
———————————————————————
---中国国内 上空
<海視点>
「予定通りだ、このままステルスを維持しながら海上に降下し、そのあとはそれぞれ目標に向かう」
「了解したお兄様」
『かーくんかーくん!大変だよ!』
「何かあったんですか?束さん」
「目標の中国娘がテロリストのMSと戦闘してる!頑張って5機は墜としたみたいだけどまだ25機残ってるし機体のSEが危険域だよっ!」
「マジかよ...束さん座標を!」
「もう送ったよ!急いで!時間がもう無い!」
「了解!ユメ!全エネルギー、粒子をスラスターに回してくれ!ラウラ!ここで別れるぞ!そっちは任せた!」
『分かった!』「了解!」
「間に合ってくれよ!鈴!」
束さんから送られてきた座標を確認すればダブルオーガンライザーの全速で飛ばせば5分もかからずに行けると分かり俺は全力で鈴のいる戦場へと向かう。今いる高度なら誰かに見つかることもない。
3分程全速力で進むと眼下に映る景色が自然の緑から戦いの赤に変わり俺の頭の中にアイルランドの時と同等かそれ以上の怨嗟の声が響き始める。
「ぐぅっ...これは...あの時より人が死んでるな...くそっ...」
『海?大丈夫なの?』
「ああ、一度経験してるからなんとかな...それでも頭が割れるように痛いが...」
『無理しないでね?』
「善処はするよ...ってあれは...鈴っ!」
ユメと話しているとハイパーセンサーが多数のMSと戦っている鈴の甲龍を捉えた。既にボロボロでSEも残り僅かだろう。今この瞬間にも攻撃され続けている。あと一発攻撃を食らえばISの展開そのものが解除されるだろう。
「やめろぉぉぉ!」
俺はツインドッズキャノンをMSに連射しながら鈴とMSの間に割り込んだ。
———————————————————————
<鈴視点>
「やめろぉぉぉ!」
満身創痍で戦っていた私の耳に急にこの場にいない筈の海の声が聞こえたかと思えば、上空からビームが降り注いで私を追いかけてきていたMSの武装が破壊されて、その直後には私の目の前に海のダブルオーガンライザーが存在していた。
「鈴!大丈夫か!」
「な、んで...どうして海が...」
「お前とラウラに関しては国がMSを主力にした時点で危ないと踏んでた、ラウラの方が緊急性が高くなったから先にラウラを助けてたんだ、遅くなってごめん!」
「そう、なんだ...私助かるの?」
「ああ!もう大丈夫だ!お前をちゃんと一夏に会わせてやる!」
「で、でも私はお父さんを人質に...」
「それも大丈夫だ!今ラウラが...っ!そうか!じゃあラウラはそのまま離脱してくれ!丁度今ラウラから連絡があった、鈴のお父さんは無事に救助出来たみたいだ!」
私がお父さんを人質に取られている事も分かって海は助けに来てくれたんだ...
「私...また一夏に会えるの?」
「そうだ!だからもう少しだけ頑張ってくれ鈴!」
もう二度と会えないと思っていたのにもう一度一夏に会える...それが分かっただけで身体が羽のように軽くなった気がした。
「何故男性操縦者の内の1人である貴様が俺達の邪魔をする!武藤海!」
「当たり前だろ!罪の無い人間を殺すテロリストの邪魔することの何が悪いってんだ!」
海が私を庇いながらテロリストと戦っている。このままじゃ私は足手まといだ。
「俺達は今まで女共に虐げられてきた男達の無念を晴らすために戦っているんだ!何故それが分からん!」
「何が無念を晴らすだ!関係ない人達まで巻き込んで!」
海1人に全部やってもらって助かるなんて...私にはなにも出来ないなんて...
「全てISとISによって増長した女が悪いのだ!俺達はISと女を粛正する!」
「自分達の八つ当たりの責任を擦り付けてんじゃねぇよ!」
「そんなの絶対に嫌!」
私が叫んだ瞬間、私の身体は眩い光に包まれた。
「ISが悪い...ね...」
「束様?大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、くーちゃん...ただしっかり責任は取らなきゃなって再確認しただけ」
という訳で鈴救出作戦でした。ガンダムっぽくするなら世界の闇は深くないと!
次回は鈴の覚醒回の予定なのでお楽しみに!
それでは次回も楽しみにしていただければと思います。
よければ評価や感想、誤字報告などいただけると励みになります。