ヒロアカ世界で没個性を演じるのはかなりムズイ   作:仁義なき類人猿

2 / 2
2話 実習

変態スーツを気にするのは一旦止めにして俺は授業に集中することにした。

例年通りのカリキュラム通りであれば2対2のバトルであり、先ほどオールマイトからの説明にも合った通りで予習はあらかじめしている。

しかしまだほかのクラスメイトの個性については把握しきれていないのでそこを踏まえて作戦の立案が必要になってくる。

 

オールマイトが完全ランダムに選んだという今回のチーム分けだが、僕の相方は峰田君になった。

変態スーツコンビの誕生に忘れようとした努力を返してほしいと思いながらも俺は峰田君に話しかける。

 

「もぎり、対戦相手次第だけどもぎりの個性フル活用で行こうと思うんだけど、どう思う?」

 

もぎりというのは峰田君の愛称だ。

1カ月何も席に座ってじっとしていたわけではない。

目立たないように生活をしたいだけでボッチを楽しむとかコミュニケーション能力に不足があるわけではないのだ。

 

「太郎が言うんなら大丈夫だと思うけどほんとにいいのか?」

 

峰田君は自分に自信があまりないように思える。

それは彼の個性があまり強いものではないと彼自身が思っていることの現れるだ。

 

だが物は使いようというように、彼の個性は使用者の技量に大きくかかわってくる。

俺としてはかなり強い部類に入ると思っているのだ。

今回はそこをうまく活用して彼に自信をつけてもらおうと思う。

 

「大丈夫さ!相手が女子だったら君の独壇場だよ。」

「マジか!やったろうぜ!太郎」

 

うまく峰田君を乗せることができたので対戦表に注視する。

 

(対戦相手は芦土・八百万の女子ペアか)

 

俺は内心でほくそ笑む。

大丈夫だ峰田君、この勝負勝ったぞ。

 

 

初戦は緑谷・お茶子さんペア対飯田・爆轟ペアだ。

 

自分の個性の調整ができず一度発動すると大怪我は必至だが一撃のパワーはプロ顔負けの威力を誇る緑谷君、触れたものの重さを0にする強個性のお茶子さん。

めっちゃ早い飯田君ともはやヴィラン然りだが圧倒的なバトルセンス持ちの爆轟君。

 

正直どっちが勝ってもおかしくないとは思う。

俺は勿論お茶子さんを応援するが、勝つのは飯田・爆轟ペアだと思う。

何故なら緑谷君が使い物にならない可能性があるのだ。

もしかしたら個性使用するタイミングでまた止められる可能性すらある。

 

(さぁ、どうなるかな)

 

今回ヴィラン側はビル内に設置された核兵器を時間15分守り切ることが勝利条件になっている。

飯田君チームがヴィランなのだが、爆轟君は守りに入らずに積極的に攻めに入っている。

そう、隠れずに建物を破壊しながらヒーロー側を探し回っているのだ。

 

(さすがヴィランっぽさならその辺のヴィランにすら勝てそうな勢いだな爆轟君は)

 

対してお茶子さんは自分を浮かせてビル外周から探索開始してさっそく最上階にターゲットを見つけたようだ。

ヒーロー側の勝利条件はヴィランの戦闘不能か核兵器の奪取だ。

 

「デクゥゥぅぅうぅ、出てこいややぁぁぁぁぁ」

 

爆轟君が叫ぶ。

その内容だけで誰が目当てなのか大体わかるというものだ。

 

この1カ月こんな光景はよく見た。

何故か知らないが爆轟君は緑谷君に対して強烈な嫌悪感を示している。

それに積極的にいじめの対象にしていると言ったほうがいいのかかなり暴力に訴えている節がある。

 

彼らは幼馴染との事なのだがどんな因縁関係があるのだろうか。

 

おっと、そんなことを考えている間に進展があった。

 

爆轟君と緑谷君が接敵した。

 

叫べば会話内容が分かるのだが、さすがに普通の会話内容は常時発動の”耳がよくなる”個性にも無理がある。

なにやら爆轟君がかなり怒っているのだが、緑谷君はどんな油の注ぎ方をしたのだろうか。

 

「爆轟やっぱ強ぇぇ!」

 

クラスメイトの一人で普段爆轟君と上成君とよくつるんでいる切島君が興奮した様子で大声を出す。

 

確かに粗削りな雰囲気はあるが相当にセンスがいいのか緑谷君は防ぐので精一杯といった感じがする。

防ぐのに精いっぱいな気がするだけなのだが、爆轟君の動きを読んでいるのか危なげないが未だに良いのは貰っていない。

 

(たしか緑谷君はかなりの個性オタクだったな、それに幼馴染だから相当研究されているのだろうか?)

 

俺の予想が正しいのかは定かではないがふたりはかなり強い部類にいる。

 

二人のバトルが白熱していく最中、飯田・お茶子さんも戦端を開いたようだ。

 

飯田君はお兄さんが韋駄天ヒーロー『インゲニウム』だからなのかかなりヒーローに強いあこがれを抱いている。

そのことから彼はすごくまじめなのだ。

真面目ゆえに授業とはいえヴィランを演じることに腐心している彼は見ていてとても面白い。

 

「ふあはは、俺は悪いぞ!ヴィランだぞ!」

 

今も普通のヴィランは絶対そんなことは言わないだろうという事をお茶子さんに言って悦に浸っている。

お茶子さんはそんなことに気を取られることなく。核兵器を取りに行って様だが飯田君が核兵器を持ち上げて危なげなく避けていた。

 

(あれ張りぼてなのか)

 

俺は自分の戦闘になった際のプランを再構築する。

張りぼてであるのならもっとやりようがある。

幸い今回はヴィラン側なのでヒーロー側に負けない策を練るのにあまり苦労はしない。

ぶっちゃけヴィラン側のほうが楽だとすら思う。

 

勝負は一瞬だった。

 

俺は見逃していたのだが、いつの間にかビルの内部にどでかい穴が空いていて、お茶子さんが核兵器にタッチしていたのだ。

 

「今何があったの?」

「緑谷がビル1階から屋上場までをぶち抜いた!その破片を麗日が飯田にぶっ叩いて当てて終了だったよ」

 

隣にいた切島君に聞けば食い入るように見ていた彼は興奮しながら答えてくれた。

 

俺は後でリプレイを絶対見ようと決意した。

聞いただけじゃよく分からなかった。

 

モニターをよく見れば緑谷君の右腕は赤黒く腫れあがっているので個性を使用したのだと分かるが、1発で形勢逆転狙えるのならばデメリットにも目を瞑れるか?

検討の余地があるので頭に入れておくことにした。

 

「緑谷少年は『リカバリーガール』に見てもらってきなさい。爆轟少年は授業後話があるので残るように」

 

(やっぱり爆轟君やりすぎだったんだ)

 

俺はビルを壊さないように気をつけようと思った。

 

 

「じゃあ次は峰田・佐藤太郎ペア対芦土・八百万ペアで対戦するように」

 

緑谷君たちの対戦から数戦を終え、やっと俺たちの順番になった。

 

「じゃあもぎり行こうか」

「おう!」

 

俺は峰田君こともぎりとひじを打ち合って意気込んだ。

 

相手は酸性の液体を出す芦土と構造を知っている物質なら何でも出せる八百万だ。

正直芦土はそうでもないが八百万はチートだろうと思う。

芦土はもぎりの個性で完封ができるのだが、八百万にローションでも出された日にはこちらが完封されてしまう。

 

「まずは芦土から狙うんだろ?」

 

もぎりが問いかけてくる。

 

「うん、ばらけていたらそうするつもりだけど、どう考えても一緒に行動していた方が強いって気づいてるはずだからそうなったときの準備もしておこうか。」

 

芦土さんは脳みそ筋肉なので気づかないだろうが、八百万さんは自頭がかなりいので絶対単独行動を許さないだろう。

それに二人は一人より人数が多い方が強くなる個性を持っているのだ。

 

「もぎりプランBで行こう」

「OK!じゃあ太郎は準備よろしく!」

 

プランBはもぎりを遊撃に出す、もぎりがかなり嫌がった戦略だ。

相手が女子じゃなかったらこの作戦は出来なかっただろう。

 

もぎりのスーツは彼の細胞を利用して作られているので彼の個性でくっつかない性質を持っている。

そして彼はこの個性と10年以上付き合ってきているのだ。

俺自身『変身』を使えば十全にみぎりの個性を使用することができるしいくつかもぎりでは考えつかない利用方法もある。

それでもスーツの機能性はもぎりに軍配があるし、デメリットとの付き合い方もあるだろう。

 

そう言った点から彼を遊撃にしてバウンドマンになってもらおうと思っている。

 

個性テストの反復横跳びで彼はもぎった髪の毛でバウンドして暮らす1位をもぎ取っていた。

それを今回もっやて貰おうと思っている。

 

そして俺も彼の個性を使用して核兵器のある部屋中にもぎった髪の毛=もぎ球を散らばし対策を取る。

やることは二人で二人でバウンドマンだ。

あいにく俺のスーツはもぎりの個性に対応していないのでちらばした髪の毛に触れた瞬間くっついてしまう。

それだけは避けなければならないので俺は自身の手のひらと足裏にもぎった髪の毛をくっつけたのだ。

一度くっついた場所からは個性を解除しなければ離れない性質を利用して、散らばしたもぎ球を掌などにつけたもぎ球でバウンドする方法にした。

 

「太郎、こちら標的発見した。これから接敵してやんよ」

「任せた。こっちも準備できてるから危なくなる前に帰って来いよ。」

 

そう会話を終了して俺たちの戦闘が始まった。

 

 

 

緑谷視点

 

かっちゃんとの戦闘はやっぱり大変だったなぁ

憧れの相手だし、そもそもあの強個性は研究しても対応できていなかった。

それにバトルセンスがずば抜けてるからこっちの対応を見てから超えてくるんだ。

やっぱりすごいや。

 

右手の治療を終えて控室に戻ると麗日さんが寄ってきた。

 

「イズク君怪我大丈夫だった?」

 

麗日さんが心配そうに尋ねてきたので僕は安心させるように努めて笑顔で返答する。

 

「うん、まさか『リカバリーガール』の治療方法があんなことするとは思わなくて軽くトラウマものだったけど大丈夫だよ」

 

あまり思い出したくないけど...うん、思い出さなくていいな。

正月のガキ使の松ちゃんは凄いなと改めて思った。

 

「そうなんだぁ、大丈夫ならいいんだけどね」

 

麗日さんは笑顔でそういうと僕が治療中の戦闘について教えてくれた。

僕はそれをイズクノートに記入しながらモニターを眺める。

 

「次は峰田・太郎ペアと芦土・八百万ペアか。どっちが勝つんだろうね?」

 

麗日さんが聞いてくるが僕は答えに窮してしまう。

 

「峰田君の個性は戦闘向きではないから単純に考えれば芦土さんたちのほうが強いと思うんだけど、太郎君がいるから分からないんだよね」

 

太郎君の個性は『変身』というもので、世界で確認されているのは彼だけらしい。

個性の内容は”見たことある個性の複製”ととても強いものだ。

今回の戦闘ではどの個性を使用してくるのかと思ったけど、なぜか峰田君の個性を使用して準備をしている当たり、どちらが勝つかという質問には答えずらい。

 

「太郎君頭もよさげだし強そうって感じはしないのに負けるイメージがつかないってのはなんだか可笑しいね」

 

そう、太郎君が負けるイメージが全然湧かないのだ。

彼はクラス内でも比較的大人しい。

よく峰田君と猥談をしているのだが不思議と峰田君やHな話大好きな上成君より女子受けがいいのだ。

 

「おっと始まったね」

 

僕はモニターを見つめる。

画面は8分割されており。

ビル内の映像が映し出されている。

それプラスで各人の背後に追尾型のカメラが浮いているので8+4の画面があるのだ。

 

(峰田君が遊撃ポジション?そんな好戦的だったっけ?)

 

峰田君がビル内を徘徊する様子が写し出されている。

自分の個性であるもぎ球をその辺の壁や天井に投げつけて歩いていた。

 

「女子ぃぃぃぃlどこだぁぁぁl」

 

峰田君がさっきのかっちゃんばりに叫び声を上げた。

 

峰田君の表情はそれはもう緩み切っている。

多分これが授業だという事を忘れているのだと思う。

そう甘い考えで大丈夫なのか心配になったが隣にいる麗日さんから氷のように冷たい雰囲気が来たのでこの話題に踏み込む勇気が消えた。

 

そうこうしている間に峰田君は芦土さん・八百万さんと接敵した。

 

何か話しているようだがモニターは声までは流れない。

ただ女子二人の視線がかなりひどいことになっているので相当軽蔑されているのだろうと思う。

 

「百ちゃん網作ってるね。捕まえるつもりなんだ」

 

芦土さんが前衛で水鉄砲のように酸の液体を放出する傍らで八百万さんが自身の腹部から投網を生成していた。

 

峰田君は「危ない、あぶっ」と言いつつも髪の毛でうまいことバウンドして避けていた。

そうして徐々に後退してく峰田君は合間合間にもぎ球を二人に投げつけている。

 

だが後退していた峰田君が階段の踊り場まで来たあたりで「もう無理だぁぁ」と叫び声をあげて完全なる逃走を図ったのだ。

 

これに二人は若干遅れをとりながらもさすが雄栄生、すぐに機転を利かして追いかけていく。

 

階段をどんどん上っていく二人と必死の形相で逃げつつも各階のフロアを逃げ回り何故か随所でもぎ球を散らばせていく峰田君。

 

「峰田君何がしたいんだろう」

「なっ?あいつ何やってるんだろうな?それに太郎の方も動きがないし」

 

僕のつぶやきに上成君も同意している。

はたから見ればかなりおかしな行動に出ているのだ。

峰田君らしく無い行動という印象を受ける。

 

そうしてらしくない行動しながら逃げ回っていた峰田君はついに最上階に逃げ込んだのだ。

その部屋はモニターを見ていればわかるがれ核兵器のある部屋だった。

 

峰田君は部屋に入るときに扉を閉めていた。

それを警戒して芦土さんがバスケットボールほどの酸の球を作り上げて扉に投げつけた。

扉はシューーと音を立てて溶けていき次第に無くなった。

そして開かれた視界には部屋の奥に核兵器が置いてある。

その前に太郎君と峰田君の二人が立っている。

 

「ここにきてガチンコスタイルかよ!」

 

切島君が興奮している。

彼は本当にこういうのが好きだなと思った。

 

部屋に入った二人は、まず八百万さんが今まで使う機会がなかなかなかった投網を先制で投げたがそれを二人してもぎ球を利用して避ける。

 

「成程そういう使い方をするのか!」

 

僕はつい声を出してしまった。

慌てて口をふさいだが麗日さんには聞かれてしまっていたので少し恥ずかしい。

 

その後も部屋の中を縦横無尽に跳ね回る二人に芦土さん達が翻弄されているのを見ていると『オールマイト』がマイクを握り残り時間が3分であることを告げる。

以外にも峰田君の闘争に付き合ってしまった二人には時間が無いようだった。

 

そしてこれが作戦だとしたら相当巧妙な仕掛けだなとも思ったのだ。

 

(峰田君立案じゃないなこれ、絶対太郎君だ)

 

峰田君は座学の成績が意外に良いのだがたまにある作戦系の授業ではそうでもないのだ。

じゃあ太郎君がいいのか?と言われるとそういうわけではないのだが僕には太郎君のせいにしか思えなかった。

 

残り時間が少ないことに焦った芦土ペアは二人を放置する方針に切り替えたようで一直線に核兵器目掛けて走り出した。

ヒーロー側の勝利条件は確保ではなくタッチなのでそれは行動として正しい。

のだが一抹の不安がある。

 

(それは対策済みなんじゃないかなぁ)

 

案の定、飛び跳ねていた太郎君がまず核兵器を持ち上げた。

その手にはもぎ球を掌に装着しており手に核兵器を付着させてという表現の方が正しかった。

 

そしてなにやら太郎君が大声を上げた様子が見えた瞬間8台のカメラ映像が映し出されていたモニターのうち最上階につけられていた2台を残してすべてが砂嵐になり、芦土ペアの姿が消えうせた。

 

僕はじっと見ていたはずなのに何が何やら分からない展開なのだが、他の皆もそのようで戸惑いを隠せないようだった。

 

最上階設置の定点カメラ2台に太郎君と峰田君喜んでいる映像が映されている以外の情報がないまま3分経ち『オールマイト』がマイクを握りながら太郎・峰田ペアの勝利宣言をした。

 

「ねぇ麗日さん今どうなったの?」

 

僕は隣で事の顛末を見ていたであろう彼女に聞くとすこし眉を下げて彼女は困った表情で答えてくれた。

 

「うーん、モニターがないから私もよく分かんなかったんだけど、太郎君が核兵器に峰田君の髪の毛の球を付けて天井に固定したら勝負決まってたんだよねぇ」

 

何があったのか私もよく分からないや。

そう彼女は言って締めくくった。

モニターでは最上階で喜びを現している峰田君たちと何故か最下層にいて煤だらけになっている芦土さん達が今なお映り続けていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。