パッシブスキル『スーパーアーマー』を手に入れた我氏、いつの間にか龍騎士団の長になってました   作:サンサソー

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魔闘会覇者

 第2ブロックの試合とは打って変わり、第3ブロックは大分大人しい。

 

 下級から中級まで様々な魔法が飛び交うが、その間隔は大きく常に周囲に気を配っている。ハイの竜巻によるインパクトは参加者たちを防御寄りの思考にしたのだ。

 

 何より彼がいる。いつとんでもない魔法が飛んでくるのか気が気でないのだろう。

 

「あっちゃ〜……やり過ぎたかな?」

「……明らかに貴公の行為が、彼への注意を倍増させてしまったのだろうな。見ろ」

 

 リング上で戦闘が起こる中、不自然なほど開けている場所がある。

 

 その中心には魔闘会覇者ロウが佇んでいた。

 

「周りにだ〜れもいないね」

「……挑戦しに行かない。そんな危険を犯すならば、他の参加者と戦う方が残りやすいとでも思っているんだろう」

「なるほどね……ダメだな」

「……何かあるのか?」

 

 ハイは大きくため息を吐き、画面を指さす。指示通り画面に視線を戻すと、そこには地獄が映っていた。

 

 

 

 

「………………」

 

 ただ黙って立ち続けていたロウが動く。ローブの中から杖を取り出し、端を掴むと一息に引き伸ばした。

 

「スキル【連続魔法】【無詠唱】発動」

 

 ロウが長杖の先を参加者たちへと向ける。逐一ロウを警戒していた者たちは戦いを中断し身構えた。

 

「退屈の極みだ。消えろ」

 

 次の瞬間、杖の先から数多の魔法が放たれた。その全てが中級魔法。火球が、稲妻が、氷塊が、爆発が参加者たちを次々と吹き飛ばしていく。

 

 中には反撃の魔法を放つ者もいたが、ロウが杖を振るだけで全てが撃墜。為す術もなく魔法の弾幕に飲まれていく。

 

 第2ブロックとはまた違った一方的な試合。リング上にいた参加者たちはロウの魔法によって一掃されていった。

 

 

 

 

「あの人、クールだけど戦いを心底楽しむんだ。なのにあそこまで露骨に避けられたら、そりゃ退屈になる訳で。とうとう我慢の限界が来たみたいだね」

「……詠唱せずに魔法を使うのか」

「ああ、あれはスキル【無詠唱】だね。効果は詠唱無しで魔法を放てるというものだ」

「……【無詠唱】」

 

 脳裏に浮かぶのは5日前のこと。クリスティーヌ様との立ち会いの時、背後から中級炎魔法『ブレイズ』を放たれた。大剣を突き付け、その口元を見ていたが詠唱はしていない。つまりはこの【無詠唱】とやらを使っていたのか。

 

「あれは相当厄介でね。いつ魔法が放たれるのかタイミングも測りづらい」

「……なるほど」

 

『ロウ選手、容赦ない連続攻撃!リング上が尽く薙ぎ払われたぁ!この熾烈な弾幕を前に、果たして耐えうる参加者はいるのでしょうか!』

 

 司会の声に再び画面へ注意がいく。リング上はその半分が立ち込める煙によつて確認できない。

 

 やがて煙が収まると、未だに5人ほど残っていた。

 

『耐えていたぁ!あの弾幕になんとか吹き飛ばされずにいた参加者が存在しました!しかしトーナメントへと進めるのは僅か4名。残り2人を退場させねばなりません!』

 

「フンッ…」

 

 ロウは長杖を変形させ短くすると、ローブの内にしまった。吹けば飛ぶような参加者たちに興味を失い、『後は好きにしろ』と言外に示しているのだ。

 

 ここでロウに挑むような者もおらず、ロウを除く5人が戦闘を始めた。やがて2人脱落者が決まり、トーナメント出場者は決まった。

 

『これにて4名が残り、第3ブロックバトルロワイヤルは終了となります!どのブロックも早めの決着となっていますが、脱落者となった彼らが弱い訳では決してありません!しかし今大会の試合は過去と比べ異例の速さと言えるでしょう!それでは、第3ブロック、試合終了!選手は大扉より退場してください!』

 

 リングに残っていた4人が大扉へと歩き始めたタイミングで、控え室の扉が開き係員が顔を出した。

 

「それでは、第4ブロックの方々!大扉へとお集まりください!」

 

「お、出番だね。行ってらっしゃい」

「……ああ」

 

 俺もまた大扉へと向かう。その途中で、第3ブロックの出場者たちとすれ違った。

 

「………………」

「………………」

 

 足が止まる。魔闘会覇者ロウが、俺の前に立ちはだかったのだ。互いに沈黙を貫いていたが、やがてロウが口を開いた。

 

「ここで終わるなよ」

「……無論だ」

「正直に言う。俺は貴様には期待している。上がってこい」

「……勝手に期待されても困るが、声援として受け取っておこう。期待を上回り過ぎて、足を掬われるかもしれんぞ」

「そうでなくては困る」

 

 言葉も少なく、そのまま別れる。さて、ようやく俺の出番だ。程々にやるとするか。

 

 大扉が開く。整えられた戦場が、俺の目に映るのだった。

 

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