パッシブスキル『スーパーアーマー』を手に入れた我氏、いつの間にか龍騎士団の長になってました   作:サンサソー

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トーナメント開始

 昼休憩もそろそろ終わりに近づいていた。観客らも昼食を片付け、今か今かと待ちわびていた。

 

 そこへ、突如係員が鐘を鳴らし会場を静かにさせた。

 

『ここで、皆様にお知らせがあります!トーナメントへ出場する予定でありました参加者8名が、アクシデントにより欠場となりました!よって、トーナメント戦は残る8名で執り行います!』

 

「アクシデント…?」

「いったい何があったんだ…」

 

 騒然とする観客。出場者の半分が欠場という前代未聞の事態に混乱が起こっていた。

 

『すでに抽選はベテルギアス帝が行っており、大会終了も大幅に繰り上げられました!欠場しますのは以下8名』

 

 司会が欠場者の名を述べていく。中には名の知れた強者の名もあり、観客のざわめきはより大きくなっていく。

 

『たった今、トーナメント戦の組み合わせが決定したとの連絡が入りました!それでは、選手入場!』

 

 大扉が開き、トーナメント参加者がリングへと上がっていく。それぞれの手には1枚の紙が握られていた。

 

『それでは、組み合わせを発表致します!第1試合は……4番と7番!』

 

 紙の中には割り当てられた数字が書かれている。番号を呼ばれた選手は前へ出た。

 

 4番は傭兵の格好をした男性、そして7番は軽い魔法のローブを纏った女性だ。

 

『続いて第2試合!2番と8番!』

 

 2番は長杖を持った老齢の男性、8番は……。

 

「……俺か」

 

 ドラングル・エンドリー。

 

『第3試合は1番と3番!』

 

 1番は2本の杖を持つ軽装の女性。3番は……。

 

「フン…」

 

 魔闘会覇者、ロウ。

 

『そして残る第4試合!出場は5番と6番だ!』

 

 5番は深くローブを被った少年。6番は……。

 

「僕は最後かぁ…」

 

 前大会優勝者、ハイ。

 

『いずれもバトルロワイヤルを勝ち上がった強者たち!我こそはと思わん自信家たちです!素晴らしい試合を期待しましょう!それでは、第1試合出場者を除く参加者は退場してください!』

 

 

 

 数十分前━━━

 

 俺はハイ、ロウと共にベテルギアス帝へ謁見していた。

 

 その荘厳な威圧感はまさに帝王の名に相応しく、魔闘会の最中に時おり見せていた気の抜けた様子は一切ない。

 

「参加者が賊に襲われただと?」

「はっ!どれも瀕死の重症であり、すでに2名の死亡が確認されています。賊も数多く侵入していたようで、捕らえられたのはこちらのドラングル氏が捕縛した数名のみです」

「ほう、ドラングルとな…」

 

 ベテルギアス帝の鋭い視線が俺に突き刺さる。見定めるべき相手との会合。何か思うところがあるのだろうか。

 

「……ふむ、そうか。してドラングル・エンドリーよ。お主はどうすることが正解か、申してみよ」

 

 その場が驚愕に染まった。よもや皇帝が忠臣の倅とはいえ参加者一人に意見を求めるなど。

 

 さて、これは試験の内なのか。どうあれ答えなければなるまい。

 

「……では恐れながらも意見を申させていただきます。まず、大会はこのまま続けた方がよろしいかと」

「な、正気か貴様!?中止ではなく続行とは、これ以上の被害が出る前に中止すべきであろう!」

「大臣」

「っ……申し訳ありません」

 

 大臣が思わず叫ぶ。もしこれ以上死傷者を出せばマヌカンドラ帝国の顔に泥を上塗りすることになる。

 

 このような事態となった場合、ここで切り上げ賊の拷問、敵の狙いを聞き出すのが先決だとしたのだ。

 

 しかし、それだと状況が悪化する可能性が高い。

 

「今回、賊はトーナメント参加者のみを襲いました。そしてその存在を気取られないように徹底しています。ここまでの手練が絡むということは、ある程度狙いも絞れます」

 

 俺は3本指を立てた。それは推測した敵の狙いの数を意味する。

 

「まず1つは混乱をもたらし何かしらの意図を示すこと。しかし、それにしては相手からのメッセージを感じさせる行動が見られません。なので違うでしょう」

 

 薬指を折る。

 

「次に2つ目は、この大会を台無しにすること。しかしそれならもっと大それたことを起こした方が早い。なのでこの可能性も低い」

 

 中指を折る。

 

「そして3つ目が……この大会に参加し息のかかった者を勝ち上がらせること。そのために参加者を減らそうとした可能性は高い。痕跡も見つからなければ行方不明、おそらく私が賊を撃退したことで他の賊が始末する予定だった死体等はそのままに退散したのでしょう」

「勝ち上がらせる…か。それは何のために?」

「まだ情報が少ないのでわかりませんが……優勝して団長のどちらか、または帝王様の抹殺」

 

 王室内がざわめき始める。ベテルギアス帝は目を閉じ、思考に耽っているようだ。

 

「大会を続けるのは、皆の安全のためです。ここまでの人数を確保し動かせる相手。相応の覚悟をもって成功させる手段と自信を持っているかと。下手に大会を中止すれば、何をするかわかりません。もし何事も無くとも、次の魔闘会にもまた同様の危険が残ります。であればいっそ、ある程度思い通りに泳がせ、行動を起こしたところを一網打尽にするのが良いかと」

「……よい。決定は然る後に下すものとする。下がれ」

「はっ!」

 

 俺はハイ、ロウと共に退室したのだった。

 

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