パッシブスキル『スーパーアーマー』を手に入れた我氏、いつの間にか龍騎士団の長になってました   作:サンサソー

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頭冷やしてきました。

結局、発散方法は絵を描くか小説を書くぐらいしか無さそうです。ゲームとかやっても前のようにイマイチのめり込めなくなってしまって、小説のネタになりそうなものに目が行きがちになってました。

たぶん評価とか気にせずいつも通りに没頭するのがいい気がします。感謝の言葉は今まで通りやりますが、深く指摘したりすることはもう無いでしょう。

とにもかくにも、ご迷惑をおかけしました。


評価・お気に入り登録ありがとうございます。推薦にこの作品が載るとは光栄です。



ロウの意想外

『続いて第3試合。選手を紹介させていただきます!大扉側におりますは、旧都カサンドラより来たる魔道士、サランサ!』

 

 いよいよ試合。意を決したようにサランサは杖を構えた。しかしその立ち振るまいはどこか拙く、とてもトーナメント参加者とは思えない。

 

『司会席側におりますは、お待たせしました。ギアルトリア魔闘会にて幾度となく優勝を飾った覇者、ロウその人です!』

 

 ロウはそんなサランサの様子を見てつまらなそうにしている。杖を取り出し引き延ばす。それだけを行い、構えもせずに立っている。

 

『ロウ選手は言わずもがな、サランサ選手もまた狂魔導士と呼ばれる強者です!どちらが勝利の栄光を手にするのでしょうか!それではトーナメント戦第3試合、試合開始です!』

 

「スキル【詠唱短縮】発動!ブレイズ!ブラスト!」

 

 鐘が鳴らされた。サランサが右の杖で中級炎魔法『ブレイズ』を、左の杖で中級爆発魔法『ブラスト』を放つ。ロウの足元が爆発で崩れ、そこへ火球が迫る。二本の杖を持つがゆえに使える戦闘法だ。

 

 しかしロウもただで食らいはしない。足元へ風の魔法力を展開し空へ身を躍らせる。火球から逃れたロウはすぐさまスキル【無詠唱】を発動。中級雷魔法『ライトニング』を瞬時に放つ。

 

 魔法の詠唱は相手に情報を与える。放つタイミングや魔法の属性などを詠唱で察知し、迎撃などの対抗手段を講じるのがセオリー。しかしロウの使う【無詠唱】はすべての攻撃が予測不可能の不意打ち。これが魔闘会覇者の常勝を支えているのだ。

 

『ロウお得意の、【無詠唱】発動からの怒涛の連発だぁ!これに耐えきれるかで戦いの展開は変わると言えるでしょう!』

 

 ロウはバトルロワイアルほどではないが、それでも放たれる魔法の弾幕は捌き難い。手数では圧倒的に有利なこの状況。しかしロウは手を抜かない……いや、抜いてはいるのだがその顔は真剣味を帯びている。

 

「キャッ!?」

 

 やがて避けきれず被弾したサランサ。彼女は床を転がるとうつ伏せのまま動かなくなった。

 

『これは!?どうしたサランサ選手、身代わりの札は確かに所持していたはずですが、起き上がりません!やられたフリもこの大会では意味は無い!何が目的なのでしょうか!』

 

「………………」

 

 ロウは追撃するでもなく、ただじっと倒れ伏すサランサを見続ける。その鋭い視線は、ほんの少し、ほんの僅かにサランサの指が動くのを見逃さなかった。

 

 咄嗟にその場から跳躍し離れるロウ。次の瞬間、先程までロウが立っていた場所に凄まじい爆発が起こった。

 

「うわあああ!!?」

「キャアアアッ!」

 

 その爆風はバリアによって阻まれるも、轟音は観客らの耳を攻撃する。リングには巨大な土煙が上がっており、状況は何も掴めない様子だ。

 

 会場が騒然とする中、ゆらりと土煙の中で人影が立ち上がるのが見える。晴れればそこに居たのは、髪を振り乱し狂気の笑みを浮かべるサランサだった。

 

「ギャハハハハハッ!!」

『な、なんということでしょう!サランサ選手の様子が豹変!先の爆発は彼女の起こしたものでしょうか!?これが狂魔道士と呼ばれる所以なのでしょうか!』

 

 爆発の爪痕は大きく、リングはその三分の一が跡形もなく消えており、さらには下の土肌さえも深く抉っている。

 

「なんて威力……」

「お、おい見ろ!アレ!」

 

 その上空に浮かぶものがあった。爆発から逃げきれなかったのか少々ローブが焼けているが、確かにロウは健在していた。

 

『これは……風魔法の応用でしょうか!?ロウは空中で風を纏い浮かんでいます!第1試合にてロザリア選手が見せた技のようにも見えます!』

 

「フン……見当違いも甚だしい。こんなものは魔法力を纏い姿勢を維持しているだけ。あのようなスピードは出ん。だが、これもれっきとした私の闘法だ」

「ギヒヒヒィ?」

「見せるのはもっと後になると思っていたのだがな。さあ、闘いを楽しもうか」

 

 スキル【連続魔法】【無詠唱】発動。ロウがそう呟くと同時に、杖の先端からあらゆる中級魔法で構成された弾幕がサランサ目掛けて放たれた。

 

『おおーっと、これは!バトルロワイヤルにてあらゆる反撃も許さず、尽くを薙ぎ払った魔法の弾幕だ!40余名の参加者を吹き飛ばしたその全てが、たった1人へ向けて放たれている!』

 

 照準など必要ない。リング上を空から魔法の弾幕で覆い尽くしてしまえば為す術などありはしない。

 

 一方的、そして徹底的なロウの攻撃は残り半分近かったリング上を無慈悲にも破壊していく。常人であれば弾幕に飲まれ転移。ある程度の強さを持つ猛者であっても防ぐのに精一杯であろう。

 

 しかしサランサは違った。彼女は狂人、その思考は常人では辿り着かぬ場所にある。

 

「ギヒ、ギヒヒヒ!グ、ギギ!」

 

「ヒッ!?」

「おいおい、笑ってやがる……」

 

 サランサは魔法を避けるでも撃ち落とすでも無く、それらを受け入れた。身代わりの札が凄まじい勢いで削られていく。しかし彼女は気にしない。

 

 己の内にあるものを溜めて溜めて溜めて……今。

 

「ア゛ッッッハア゛ッ!!!」

「むっ!?」

 

 空へと咆哮したサランサ。魔力が激流のようにロウの周囲をうねったことを感知したロウはすぐさまその場を離れようとするが間に合わない。咄嗟に魔法障壁を展開しスキル【魔法防御壁】を発動させるので精一杯だった。

 

 

 

 上級爆発魔法『エクスプロージョン』

 

 

 

 まず初めに感じたのは目を眩ませる閃光。気付けばロウの身体は闘技場のバリアに激突しており、展開されていた弾幕は全て吹き飛んだ。魔法障壁も【魔法防御壁】も大した効果は無く、感じるのは激しい目の痛みと激しい耳鳴り。身体のダメージは身代わりの札が受けてくれたのだろうか。

 

「ギア゛バァッ!!」

 

 

 上級爆発魔法『エクスプロージョン』

 

 

 再び目を焼く極光を前に、ロウの意識は暗転した。

 

 

 

 

『予想だにしなかったどんでん返し!魔闘会覇者ロウ、まさかの初戦敗退!!第3試合、勝者はサランサ!』

 

 こうして、ロウはギアルトリア魔闘会にて初めて第3試合敗退という結果を残すのであった。

 




雨っていいよね。土砂降りだろうと小雨だろうと、なんだか小説を書きたくさせる。少し悲しいような、切ないような。でも洗い流されるようで。好き。

現状を知りたいので、アンケートご協力お願いします。この作品止めるとかではなく、ただ成長のために。よろしくお願いします。

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