ネーナ・トリニティに憑依したけど死にゲーでは? 作:砂岩改(やや復活)
「トランザム!」
アインが赤く染まり、トランザムの高速移動でファングを避けながら迎撃する。GNランチャーを照射しファングの軌道に置きビームをすると二つ撃破出来た。
「まだ多い!」
レグナントのファングは10もある。それに加え、アンドレイの射撃とレグナントの曲がるビームが迫る。
「ぐ、ぐぐぐっ!」
狙いもつけず、しっちゃかめっちゃかにビームを撃ちながらアインを振り回す。襲いかかるGに歯軋りをしながら踏ん張り続ける。
「いい加減、しねぇ!」
レグナントのエグナーウィップがアインを捕らえ、高圧電流を流す。
「あああっ!」
「ネーナ!」
「戦いに集中せんか!」
対してダブルオーもスサノオに蹴り飛ばされ体勢を立て直す。
「わた…しは、生きて…」
アインのコックピットにレグナントの爪が向けられる。
「パパとママはそんな言葉すら言えなかった!」
(流石にここまでか…)
電撃を浴びながら迫るレグナントの爪を見つめているとエグナーウィップが狙撃されアインは自由となりレグナントから離れる。
「なに!?」
驚くルイスだったがすぐさま四方八方からビームを浴びせられ大きく後退する。
「へぁ?」
ぶっちゃけ予想外の事態に変な声を出すネーナ。
「ネーナ!大丈夫?」
「その声、まさかアニュー!?」
漂っていたアインを掴んでレグナントから引き離すツヴァイを見て自分なりに納得する。
ツヴァイのバイオメトリクスは登録してなかったからアニューでも使えたのか。
あげた対脳量子波のパイロットスーツを着てやってきたアニューはファングを使ってルイスとアンドレイを牽制しながら離脱する。
「このぉ!逃がすかぁ!」
仇を救い出され怒り狂っているルイスはファングを放とうとするが絶妙なタイミングで狙撃により邪魔され、アンドレイのアヘッドの左腕も吹き飛ばされてしまう。流石に不味いと判断し、二人は後退する。
「覚えてろ!覚えてろ!絶対に殺してやるからなぁ!」
ルイスの絶叫にネーナは身震いを感じながらも目の前にリィアンが見えて安心する。
「無事で何よりだ。借りを返せるのがすぐで助かったぜ」
「本当に良かった」
ツヴァイを運んで来たリィアン、それに装備していたGNロングライフルで狙撃していたロックオンはアインを運んで来たツヴァイを見て安堵の声を漏らす。
「本当に助かったわ。ありがとう」
「当然よ。私たち貴方が居なかったら殺しあってたかもしれないんだから」
「俺は義理堅い方でね」
「ったく…っ……」
突然、とんでもない眠気に襲われ、意識を手放す。それを見ていた二人は最初は驚いていたが、ただ寝ているだけだと言うのが分かると一息つく。
「無事のようだな…」
「おう、刹那。そっちもケリが着いたのかい?」
「あぁ…」
刹那の少し悔しそうな雰囲気を感じ取ったロックオンは少しだけ笑いながら声をかける。
「気にすんなよ。結果的に助かったんだから良いじゃねぇか」
「そうだな…」
「でもなんで?」
沙慈の質問に二人が答える。
スメラギたちはラグランジュ5に向かうレグナントたちを察知したもののセラヴィーもアリオス、ケルディムも先の戦闘で損傷し万全な機体がツヴァイしか居なかった。
そこでアニューが行かせて欲しいと懇願して、もしもの時のためにロックオンが付き添いとして向かわせてくれたのだ。
ツヴァイをリィアンに乗り込ませ、トランザムで急行、正直な話着いた時点でかなり粒子残量が少なかったがなんとか救出に成功したと言うことだ。
「何故アニューが」
「ネーナ、ケジメをつけに行くって言ってたのが気になって…最初は王留美の裏切りに荷担してたからって意味だと思ったんだけど。そんな目じゃなかったから」
アニューも彼女なりにネーナの覚悟を感じ取っていたようでレグナントの件も含めて嫌な予感がしたのだろう。
「それにこのツヴァイはガッデスに武装構成も似てたから使えると思って」
確かにガッデスは偵察用だがファングと近接戦闘を主体にして戦闘するので扱いが似ていたツヴァイは乗りやすかっただろう。
「これでアニューが変な干渉を受けないって分かったし俺としてもありがたい話だな。まぁ、ケリが着くまであまり脱がせられないのが難点だが」
「ライル!」
イチャつく二人を見て苦笑いを浮かべる沙慈だったが沈黙を貫く刹那を心配そうにするのだった。
ーーーー
そして無事にプトレマイオスⅡに帰投した一同はネーナが王留美から奪ってきたデータを元にヴェーダの位置を割り出し、ついに決戦へと至る。
「行くよ。僕の戦いをするために」
沙慈の言葉に全員が頷き、覚悟を決める。
「私にも参加させてもらう」
「ソーマ・ピーリス」
「私にもそうするだけの理由がある」
「そうだな、目的は違っても俺たちはあそこに向かう理由がある」
「そして、その思いは未来へ繋がっている。俺たちは未来のために戦うんだ」
さっきまでヴェーダの位置割り出しまでゴタゴタしていたがレグナントを乗り越えて自分は原作を越えてここに居る。それが少し信じられなくてフワフワした気持ちになる。
「イノベイターの支配から人類を解放するために」
「僕やソーマ・ピーリスのような存在が二度と現れない世界にするために」
「連邦政府打倒が俺の任務だ。イノベイターを狙い撃つ」
「私と…ネーナも人としての人生を歩む為に」
アニューの言葉にしっかりと頷く、まだルイスは待ち構えている。自分を殺すために、だがこうして皆とここに立っているだけで勇気が貰える。そんな気がする。
「俺たちは変わる。変わらなければ未来とは向き合えない」
「刹那…」
「補給が済み次第、トレミーを発進させるわ」
プトレマイオスⅡの操舵手が不在であったがラッセが復帰し事なきを得る。アニューはネーナに助け出されてから定期的にラッセの治療をして贖罪に努めてくれていた。それに対してラッセも撃たれたことに特に思うことはない。
「行こう、月の向こう側へ」
ーー
「それでこのモニターなんだけど…」
「ネーナ」
ラグランジュ2に向かう道中、ツヴァイの事を説明していたネーナは刹那に呼ばれる。
「どうしたのよ。ずっと辛気臭い面して」
「言葉にするのは難しい」
「ハハッ!素直ね!」
彼の言いたい事は分かる。だがこっちから言うのもどうかと思って言わないでいたら刹那は思ったより気まずかったらしい。
「俺はネーナに何も返せていない」
「なに言ってんのよ。充分貰ってるわ」
笑いながらジュースを飲みながらもう1本を刹那に投げる。
「貴方が居なかったら私はトレミーと合流できてなかったし、アニューも助けに来なかったわ、それに…」
「……」
「ラグランジュ5に向かう途中。嬉しかったわ、あんなこと言ってくれて…私は刹那に救われた」
まだ最大の難関であるサーシェスを殺すことが出来ていない、だから素直に言っておく。
「ありがとう刹那」
「あぁ」
刹那も納得してくれたのか心なしか顔が晴れやかな気がする。
「お互いに生きてこの戦いを終わらせましょ」
ネーナは手を伸ばしてハイタッチの体勢を取る。刹那はなんとか理解したようで不器用ながらもハイタッチを交わすのだった。
ーー
そうこうしているうちにラグランジュ2に接近アロウズ艦隊が目の前に迫ってきていた。
ネーナもアインに、アニューはツヴァイに乗り込んで発進指示を待つ。
セラヴィーやアリオス、ケルディムが発進すると自分の番になる。
(なんか新鮮ね)
「スローネアイン。発進準備完了です!」
そう言えばこうやって送り出されるのは初めてな気がする。いままでずっと一人だったからだが送り出してくれる人が居るのも悪くない。
「ネーナ・トリニティ。ガンダムスローネアイン、行くわよ!」
カタパルトのGを感じながら飛び立つとアニューのツヴァイも追い付いてくる。
「アニュー、行くわよ!」
「ええ!」
こうして生まれ変わったネーナ・トリニティの決戦が幕を上げたのだった。