ネーナ・トリニティに憑依したけど死にゲーでは?   作:砂岩改(やや復活)

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劇場版 -A wakening of the Trailblazer- 編
改めて考えれば2年は短い件について


 

「ここが?」

 

「あぁ。俺の家だった」

 

 中東の旧クルジス共和国、廃墟しかない土地に訪れていたのは刹那とネーナの2人。

 ネーナは家の廃墟に歩みを進める刹那を見送り周囲を見渡す。

 

(ここが最初のシーンの場所か)

 

 不謹慎ながら少しだけ感動しながらも刹那を待つ。

 髪が邪魔だったのでショートカットにしたネーナは軽くなった頭を触る。

 リボンズとかの件も決着がつき、沙慈たちも非公式ながら連邦軍に引き渡した。

 

 巡礼の旅に出るアレルヤとマリーを見送るために地上に降りたがせっかくなのでとロックオンとアニューも墓参りに出掛けていった。

 

 そこでまだ本調子ではないが刹那に両親に顔を出したらどうだと言ったところ。

 

「ネーナも来るなら」

 

 と言う感じで自分もここにいると言うわけだ。

 

「ネーナ」

 

 数分したあと、刹那に呼ばれて家に向かうネーナ。

 そこには血痕もなにもない、ただの瓦礫だけだ。だが刹那にとってこの場所に全てが詰まっているのだろう。

 静かに祈りを捧げる。そんなネーナの姿を刹那は静かに見つめるのだった。

 

ーー

 

「ネーナ」

 

「何故かって?簡単よ、少しは気が楽になったでしょ?」

 

 アザディスタンに入った2人は人混みに揺られながら歩を進める。

 

「そうだな…」

 

「誰が言ってたか忘れたけど。葬式は亡くなった方のご冥福を祈るのともう一つ意味があるらしいの」

 

「何だ?」

 

「遺された人たちが前に進めるようにするための儀式だそうよ」

 

 親しい者の死は誰だって辛い、それでも自分達は生きていかなければならない。遺された者が前に進むための儀式として葬式や墓参りがあるのではないかと思える。

 まぁ、刹那は刹那なりに踏ん切りはつけているとは思うが。

 

(原作だったら絶対に来てないでしょうしね)

 

 原作では描写されていなかったから分からないが多分、来ていないだろう。それなら来た方が良い。

 

(しばらく来れないかもしれないしね)

 

 このまま進めば二年後にELSが来る。それから刹那は50年に渡る渡航に繰り出すのだ。少しでも憂いは少ない方がよい。

 

「それにしても人が多いわね」

 

「今日は王宮でイベントがあるそうだ」

 

「なるほど」

 

 丁度、2期最後のマリナ姫の演説シーンか。

 

「会わなくて良いの?マリナ姫に?」

 

「必要ない。それに彼女に近づくべきじゃない」

 

 即答に驚きながらもネーナは屋台で美味しそうな串焼きを2本買って1本を刹那に押し付ける。

 

「まぁ、無理にとは言わないけどね」

 

「今は充分だ」

 

「…そう。じゃあ、遊ぶわよぉ!」

 

 その後、タピオカティーを飲ませたらタピオカパールごと吸ってしまい咳き込む刹那を笑いながら飲むネーナ。

 屋台の投げ輪を全部外して絶望するネーナを後ろから笑う刹那。

 こうしてあっという間に1日が終わるのだった。

 

ーー

 

「刹那とのデートは楽しかったか?」

 

「まぁ、否定はしないわよ」

 

 ヴェーダにリンクしたネーナは早速、ティエリアとの再会を果たしていた。理由は当然、今後の事についてだ。

 

「素直じゃないな。それはそれとしてデータは見させてもらった」

 

 あらかじめティエリア宛に今後、起こるであろう出来事を簡潔に纏めたデータを送りつけておいたので彼も大方の事情は把握していた。

 

「地球外変異性金属体、通称《ELS》の存在と到達予想か。イオリア・シュヘンベルクの予測では来るべき対話にはあと数百年後とあるがまさか2年後とはな」

 

「根拠はなにもない。妄想と捉えられても否定できないのに信じるのね」

 

「君はアニュー・リターナーを救出した実績がある。彼女救出の迅速さと的確さを見れば未来予知を得ていると言う発言も無視できない」

 

 だが未来は変わっている。アニュー、ネーナの生存と周囲の関係性の変化、だがこの変化はELSには関係ないことだ。よって劇場版には変化が無いと判断して動いている。

 その協力者としてティエリアを選んだ。

 

 正直、連邦政府やカティ・マネキンは劇場版において迅速的確に事態を処理してた。

 だが最終的には地球絶対防衛戦にて多大な被害を生む結果となってしまった。

 この2年という期間においてELS関連の歴史を大きく変えられることは出来るのか?

 

 答えは否である。

 

「同感だ。我々に出来ることは被害を無くす事ではなく。減らすことだ、君の知る未来より一人でも生存者を増やすことが我々の責務だろう」

 

「ダブルオークアンタ、ツインドライブを出来るだけ早く造らなきゃならないわ」

 

 そしてELS接触に伴う刹那の負傷を避け、迅速に処理するこれが被害を減らす第一歩になるだろう。

 

「こちらもELSの思念に対応できるように準備を進めよう」

 

「私も一応、スメラギさんたちに言っておくわ」

 

 不確定すぎる情報だが言わないよりかはマシだろう。神からの制限とかも特に無いし。

 

「あぁ、それと一つお願いがあるんだけど?」

 

「なんだ?」

 

ーーーー

 

「なるほどね」

 

 ティエリアにも手伝ってもらった説明の仕方で説明するとスメラギは考え込むような動作をする。

 プトレマイオスⅡは大規模点検のためソレスタルビーイングの秘密基地の会議室にてネーナの話を聞いていたのは全員。

 妄想と言われても仕方ないレベルの出来事を話された一同は驚きポカンとしている。

 

「それが貴方の言う《限りなく実現する可能性の高い未来》と言う訳ね。ったく、イオリア・シュヘンベルクはネーナの存在すら予言してたのかしらね?」

 

 持っていた酒を飲んだスメラギの軽口に全員が苦笑する。

 

「俺はネーナの言葉を全面的に支持する。ネーナはふざけてこの様なことを言わない」

 

 刹那のキッパリとした言葉にむず痒くなるが表面上は出さないようにするネーナ。

 

「残念ながらネーナが信じられないと言うことではないのよ。何一つ、確証がないのが問題なの」

 

「それは私も承知してるわ。だから可能性の一つとして考慮して欲しいと言うだけなの」

 

「そうね。とても信じられない話だけど、信じられないで片付けられない事態でもある。言うまでもなくアニューの件もあるから」

 

「えぇ、それが私も言いたかったんです」

 

「俺もだ。逆に納得いったぜ、感謝の気持ちは変わらねぇけどな」

 

 スメラギの言葉にアニューとロックオンも同意する。

 

「一応、新型機の製造を最優先にしてもらえる?」

 

「分かった。それを想定したプランを再検討してみる」

 

 イアンも同意し計画を練り直すために部屋を出ていく。

 

「申し訳ないわ」

 

「貴方を贔屓にしてる訳じゃないわ。むしろ想定しておくべき事なのよ。私たちはイオリア計画を盲信しすぎていたと言うことがよく分かったわ」

 

 対話すべき事態がいつ来るなんて誰も分からない。それがネーナの言う通り2年後に来ることだってあり得ることなのだ。だが我々はイオリア計画の通り、遥か先の出来事だと思ってしまっていた。

 

「とにかく現状は変わらないわ。ソレスタルビーイングの再建を最優先にして世界の安定のために力を尽くしましょう」

 

 スメラギの言葉に全員が同意し解散となった。

 

「すまない」

 

「なに謝ってるのよ?」

 

 会議室から出ていつものごとく刹那に牽引されながら廊下を進んでいくと謝罪されるネーナ。

 彼女は疑問符を浮かべながら問いかける。

 

「ネーナはこんなに悩んでいたのに俺は...」

 

「もう!」

 

「っ!?」

 

 背中をバチンと叩かれた刹那は驚きながらこちらを見る。

 

「私は悩んだり、辛かったりしたら貴方に言うわ。安心しなさい!むしろ私は満ちてるのよ」

 

「?」

 

「私は今まで、自分のためにしかこの知識を使えなかった。使う余裕がなかった。でもこれからは皆のために使える。私は見た未来に居なかった新たな一歩を踏み出したネーナ・トリニティとしてここにいる」

 

 考えることは多くあるが楽しいのは事実だ。この先に絶望が待っていたとしてもそれは自分と言う存在の轍なのだから。

 ELS以降の話は分からない、だからこそその先の未来が少しでも明るくなるように全力を尽くすと決めている。

 

「だから貴方も悩んだら私にすぐに言いなさいよ。貴方は溜め込む節があるから」

 

「すまない…」

 

「もう、それやめなさいよ」

 

 ネーナの言葉にまた首をかしげる刹那。

 

「《すまない》じゃなくて《ありがとう》でしょ?明るい未来を切り開く貴方が暗くてどうするの」

 

「あぁ、すまない…ではなく……ありがとう」

 

「よくできました」

 

 そうやって刹那の頭を撫でてやると彼は心地良さそうに目を細める。

 

「さぁ、部屋に戻りましょ」

 

 満面の笑みを浮かべるネーナにつられて刹那は静かに微笑むのだった。

 

 

 

 

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