ネーナ・トリニティに憑依したけど死にゲーでは? 作:砂岩改(やや復活)
それからと言うもの対ELS のために駆けずり回ることになる。
刹那やスメラギさんたちプトレマイオスチームはアロウズ消失からの不安定な世界の安定を計るために世界中を駆け回ることに。
そしてネーナはその補佐に立候補してくれたアニューとヴェーダ(ティエリア)の三人を主軸として動くことになる。
とりあえず最短最速でクアンタのツインドライブ製造はやって貰っている。ティエリアの手配で世界各地にいるイノベイドたちから協力して貰い、人員、資材の手配をして貰うことになり原作よりもクアンタを初め、ハルート、サバーニャの製造も早く手配できそうだ。
「ところでアレルヤとマリーはどうするの?」
「それは私も悩んでるのよね」
改良されたネーナたちの拠点リィアンⅡでアニューとカードゲームをしているとネーナは自身の頭を撫でる。
ティエリアやソレスタルビーイングの皆に話してからもう1年が経過していた。
「傷心の二人とはいえ事情を聴いたらこっちに戻ってくるでしょうし、まだ確定情報が揃うまではそっとしておこうかなって」
「そうね。私、あんまりマリーと話せてなくて」
「そうなの?」
確かに途中からソーマになっていたとはいえそれほど交流がないとは思わなかった。
「私、スパイしてたでしょ。脳量子波に敏感な彼女とは距離を置いてたのよ」
「なるほど、最後はそれがバレて殺されかけてたじゃない」
「あれは驚いたわ」
笑いながらゲームを進める二人、こうやってちょっとしたブラックジョークを言えるのもソレスタルビーイングの風通しの良さ故だろう。
それより目下の悩みは刹那に対してだ。原作通りに行けば彼は50年に及ぶ大航海に出ることになる。もちろん同行するつもりだし、その為の算段をイアンとティエリアには話して協力して貰っているところだが。
(他に解決策が無いとはいえ、刹那に押し付けているようで嫌だなぁ…)
他の策もヴェーダを使って考えているが他に方法が見つからないのだ。
「ん?」
そうやって悩んでいるとアニューに頭を撫でられる。
「貴方、悩んでると自分の頭を撫でるわよね」
「そうなの?」
「えぇ、だから代わりに私が撫でてあげるわ」
「ありがとう…」
アニューに撫でられながら思考していたネーナだったが途中で今、考えても時間の無駄だと悟り、考えるのをやめるのだった。
ーー
「どう?」
「姉貴、ぼちぼちかな」
ソレスタルビーイングが管理する工場。ネーナがスローネを製造した場所では新たにMSが設計されていた。
劇場版での手配は既に終えている現在、彼女たちがしていたのは戦後の話だ。
「廃棄予定のジンクスを手に入れた。指示通りこちらの技術を取り入れて改良作業を行ってる。まもなく完成予定、あとアニューの機体も用意してる」
「オーケー。ニーナ、良いわよ」
ニーナと呼ばれたネーナと瓜二つの黒髪の少女は彼女とは違い目付きが悪く、常にこちらを睨んで来るような印象を受ける。
「姉貴の妄想が事実になるか分からないけどね」
ニーナの役目はELS戦後の治安維持だ。ソレスタルビーイング、連邦軍が壊滅的な被害を受けた後に起きる混乱を鎮圧するための戦力を彼女に整えて貰う。
ソレスタルビーイングには宇宙渡航に出掛けたネーナと入れ替りで入る予定だ。
「相変わらず可愛くないわねぇ…」
「……」
ほっぺをムニムニとされながら作業を進めるニーナを見てアニューは心の中で実は仲が良いのではと思いながらも二人を眺める。
「まぁ、ソレスタルビーイングの別組織があるらしいけど。手は多い方が良いから」
「確かフェレシテだっけ?」
「そんな感じの名前だったわよ。私も詳しくは知らないけど」
正直、外伝なんて把握してないのでそっちはノータッチ。なんか上手いことやってくれればそれでオケ!
「そういえば姉貴、これイノベイターだって」
「あぁ、デカルト・シャーマンでしょ?」
「なんで知ってるの?」
「未来予知」
「便利なことで」
名前は知っていたが元アロウズだったのは驚きだ。書類によると《高濃度圧縮粒子を浴びたことにより覚醒したと考えられる》か。
高濃度圧縮粒子と言う事はトランザムバーストの範囲内にいたと言う事か。本人の適正もあるだろうが貴重なイノベイターだと言うのは変わりない。
「人格やや不適か…」
厳格な軍人でもなく人格者でもないか。精神的には一般人と大差ないと言う事か。
グレる前のデカルトが刹那に及ばずとも人類のために尽くすような人間であれば刹那の変わりにELSと対話させても良いかと思っていたが。
「能力と人格を持ち合わせてるのはやっぱり刹那ぐらいね」
「珍しい、ネーナが惚けてる」
「あぁ見えて姉貴は他人にそういうの見せないからな」
ネーナが資料を読みながら独り言を呟いているとアニューとニーナが彼女を見ながら話す。
「私もだけど、もう2ヶ月も会えてないから。やっぱり寂しいのかしらね」
「でも兄貴も兄貴でメルマガみたいに毎日決まった時間にメールが来るらしい」
「あのメール刹那からだったのね。ネーナいつも通知が来るとご飯作り始めるからアラームかと思ったわ」
「メールの着信音。アラーム代わりにしてるのかよ姉貴…」
ヒソヒソと話している二人に気づきながらもめんどくさそうな雰囲気を察知して無視していると刹那から定時連絡が入る。
(もうこんな時間か)
「さて、この近くに美味しいステーキ屋さんがあるのよね!アニュー、ニーナ行くわよ!」
「「……」」
「なによ?」
言った側からと言わんばかりにこちらを見てくる二人に疑問を持ちながらもネーナは二人を連れてステーキ屋に向かうのだった。
ーー
ピロン
「……」
「どうした刹那?」
プトレマイオスⅡの廊下で突然停止した刹那は端末の画面を見つめたまま黙っている。それが気になってロックオンが覗き込むとネーナ、アニュー、ニーナの三人で仲良くステーキを食べている写真が送られてきていた。
「良い写真じゃねぇか。俺の端末にも送ってくれよ」
「あぁ…」
刹那が書類かと言えるぐらいのメールを送っていたのは知っていたがネーナからの返事のほとんどは自撮り写真だ。
正直、あの文の塊のようなメールにどんな返事をしているのか気になっていたロックオンだがこれを見て納得する。
(流石、ネーナだな。刹那が欲しがってる物を良く分かってる)
トレミーメンバー総員が刹那のことを刹那以上に知っていると思われている彼女の返事を見て、静かに笑みを浮かべている刹那を面白そうに眺めているロックオンも楽しそうに笑うのだった。
「俺もアニューに会いてぇ」