エースを目指して~転生して人生やり直す~   作:トーキチ

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第12話

大会メンバーを決める為の紅白戦は続いていた。

 

紅白戦もこれで6試合目、この試合までの結果をもって秋の大会のメンバーが決まる。

 

比呂達3年生が、最初の試合で活躍したことにより同級生はもちろん上級生達も刺激を受けここまで熱い試合を繰り広げていた。

 

打者としてベンチ入りを目指している比呂は、代打等も含め6試合で16打数6安打打率.375と好成績を残す。

 

チームの方針でピッチャーとしては出れないが、紅白戦では登板機会があり最初の試合を含め3試合に登板。

 

成績は7イニングで4失点であった。

最初の試合以降主力メンバーも参加したことにより対戦するメンバーの力が上がり、また比呂自身が、最初の試合の時程絶好調ではなくストレートしかない現状で無失点に抑えることが出来なかった。

 

健や祐吾も同じような結果であった。

 

佐藤先輩や小湊先輩、大和先輩はしっかり結果を残し、レギュラーが確実視されている。

 

特に大和先輩は、12打数9安打打率.750 ホームラン3本(内1本は比呂から打った)と脅威的な数字であった。

 

 

最後の紅白戦が終わり、監督から秋の大会のメンバーの発表を待つだけとなった。

 

 

 

-----------------------監督side

 

 

現在、秋の大会のメンバー選考兼ねた紅白戦を行っている。

 

毎年、夏の大会後に引退してしまう選手がいるなかで新しい戦力の発掘を目的としてやっている恒例行事だ。

 

例年この紅白戦で意欲的にアピールするのは上級生である5年生や6年生が多い。

下級生の3年生や4年生の中にも光るものを見せてくれる選手が1人、2人はいるが上級生と比べると数は圧倒的に少ない。

 

そんな中、今年は最初の紅白戦で活躍したのは3年生と4年生の下級生だった。

 

特に今年入団した3年生の活躍は、下級生や上級生ともに刺激となりチーム全体の意識が変わったと感じた。

 

チーム全員がベンチ入りのメンバーを目指し切磋琢磨する様子は指導者になって数年だが見たことがなかった。

 

どの選手も成長を感じ、大会のメンバーを誰にしようか悩む程に選手層に厚みを増し、監督として嬉しい悩みだ。

 

「(これだけ充実した紅白戦は初めてだ。橘の存在がチーム全体の雰囲気を変えたな。秋の大会以降も楽しみが尽きないな。)」

 

選手達の様子を見て監督は笑みを浮かべた。

 

 

-----------------------監督sideEnd

 

 

紅白戦が終わり秋の大会のメンバーが発表された。

 

俺は、3年生で唯一選ばれ背番号は20番となった。

 

佐藤先輩や小湊先輩、大和先輩はそれぞれ2番、4番、3番と一桁の背番号を貰いレギュラーを獲得した。

 

監督からメンバー発表の後、健と祐吾が近づいてきた。

 

「比呂おめでとう。来年は俺もメンバー入りするからな。」

 

「比呂君おめでとう。3年生の代表として頑張ってね!」

 

「うん。選ばれたからにはチームの力になれるよう頑張るよ。」

 

健と祐吾のエールに力強く答える比呂だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

迎えた秋の大会。

 

 

初戦は、レギュラー全員がスタメンとなり俺はベンチスタートで試合を見つめる。

 

試合は初回から打線が爆発し、大和先輩のホームランなどもあり3回までに10点を取る。

 

4回表、2アウトランナー3塁2塁の場面で七番の先輩の代打で出場する。

 

相手ピッチャーは3人目の右横手投げのピッチャー。

 

初球のインコースの甘いボールを振り抜き右中間を破るタイムリーツーベースヒットを放つ。

 

2塁へ到達し俺はベンチに向かってガッツポーズをする。

 

公式戦初打席をタイムリーヒットで飾った比呂であった。

 

 

ベンチへ帰ると佐藤先輩と小湊先輩が迎えてくれた。

 

「ナイスバッティング!比呂は緊張とかしないの?公式戦初打席がタイムリーとか可愛くない後輩だな。」

 

「寿の言うとおりだね。でも紅白戦のプレー見てたら何となく納得しちゃうけどね。」

 

「いやいや緊張してますよ。たまたま甘いボール来たんで振り抜いたらタイムリーになっただけですよ。というより後輩が、公式戦の初打席で結果出したんですからもっと褒めて下さいよ。」

 

「まぁ比呂だからね。嫌みの1つくらい言いたくなるよ。」

 

「俺もそれに同意。年齢偽ってるでしょ?って思うくらい比呂は落ち着いてるからね。」

 

小湊先輩の最後の言葉は核心をついていたので焦ったが表情には出なかったのでホッとした。

 

 

 

その後4回裏はライトの守備についたが守備の機会は無く、3アウトを取るのを見届け12-0の4回コールドで初戦を突破した。

 

 

続く2回戦、3回戦とコールド勝ちを納め準々決勝へ進出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準々決勝横須賀リトルとの試合。

 

 

この試合もベンチからのスタート。

 

試合は序盤から両チーム点を取り合いになり、2回を終わって4-4となる。

 

しかし、ここから横浜南リトルの打線が力を見せ3回に2点、4回も2点と追加点を取りリードを4点と広げる。

 

5回表も更に2点を追加し、2アウトランナー3塁の場面で代打で出場する。

 

相手は左の長身の選手でベンチで見たところストレートとカーブが持ち球のようだ。

 

初球アウトローへのストレートを見逃し1ストライク。

 

2球目も同じくアウトローへストレートが来たので逆らわず打ち返すも三塁線を僅かに切れてファール。

 

2ストライク0ボールと追い込まれてしまったが、そこから3球粘りカウント2ストライク1ボールとする。

 

6球目、アウトコースを意識させた相手バッテリーはインコースのカーブを選択。

 

肩口から入ってくるカーブに身体が上手く反応して打ち返す。

 

放った打球は一二塁間を抜けてライト前へのヒットとなり、3塁ランナーを返すタイムリーヒットとなる。

 

これで11-4となり次の回を抑えればコールド勝ちになる点差となった。

 

続く5回裏の守備もそのままライトで出場し、2アウトランナー2塁の場面で相手の七番バッターが引っ張り大和先輩と小湊先輩の間を抜けるヒットとなる。

 

ライトを守る俺は前進しながら打球を捕り、その勢いのままホームへ送球する。

 

ワンバウンドでストライク送球になったボールを佐藤先輩が捕りホームへ帰って来た2塁ランナーにタッチをしホームでアウトを取って試合終了となる。

 

11-4で横浜南リトルは準決勝進出を果たす。

 

 

 

 

しかしここでアクシデントが発生。

最後のホームでのクロスプレーで佐藤先輩が左手首を負傷してしまう。

 

試合後、病院へ行き戻ってきた佐藤先輩に声をかけた。

 

「佐藤先輩怪我の具合はどうですか?」

 

「お医者さんの話だと10日は安静にしていないといけないみたいだね。残念だけど来週の準決勝・決勝には間に合わないかな。こんな形でチームを離れるのは悔しいけどチームみんなのサポートに回ることにするよ。」

 

「そうですか。佐藤先輩はしっかり怪我治して下さい。俺も来週の試合に出場出来たら佐藤先輩の分まで頑張るんで。」

 

「うん。その時は頼んだよ。」

 

こうして正捕手を欠いた状態で準決勝を戦うことになる横浜南リトルであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えた準決勝、相手は今大会優勝候補の平塚リトル。

 

決勝進出を懸けて両チームが激突する。

 

 

 

試合は序盤から動く。

 

夏の大会まで佐藤先輩と引退した6年生のキャッチャーが主に試合で出ていた為、キャッチャーの層が薄い横浜南リトル。

 

今大会初めてスタメンで5年生のキャッチャーが出場するも上手くピッチャーをリード出来ず平塚リトルの打線に捕まり2回までに7失点してしまう。

 

打線も早めに点を返そうとするも平塚リトルのエースの前になかなか得点を奪えずにいた。

 

 

しかしここで終わらない横浜南リトル。

3回以降ピッチャーが奮起し平塚リトルの打線を0点で抑え守備からリズムを作る。

打線も大和先輩を中心にピッチャーの頑張りに応えるように5点を返し5回までに5-7と2点差まで追い上げる。

 

 

 

最終回となる6回表。

五番から始まる攻撃は、先頭の五番、六番と連続ヒットを放ち出塁する。

続く七番はしっかり送りバントを決め、1アウト3塁2塁のチャンスの場面。

 

ここでベンチが動く。

 

今日ここまで当たりのない八番に代えて今大会代打で2打数2安打3打点とチャンスで結果を残している比呂を代打に送る。

 

「(この場面なんとしてもアウトカウント増やさずに1点もしくは次のバッターへ繋ぐ。)」

 

集中力を高めながら左打席へ入りピッチャーを見据える。

 

対する平塚リトルのエースもこのピンチの場面で集中力が上がっていた。

 

初球、右のオーバースローで投げ込まれたボールはインコース低めに決まり1ストライク。

 

2球目、アウトコース低めに同じくストレートを投げ込むが僅かに外れボールに。

 

 

集中力の上がった比呂はしっかりボールを見れていた。

 

 

3球目、今度はインコース高めのストレートを投げ込まれこれに反応し打つもバックネットへのファールとなる。

 

4球目は外に緩いカーブを投げてきた平塚バッテリーここは食らいつき何とかファールとする。

 

1ボール2ストライクからの5球目。

相手バッテリーが選択したのは、インコース低めのストライクからボールとなるスライダーを投げ込む。

 

比呂は体勢を崩しながらもボールを捉え一二塁間へライナー性の打球を放つ。

 

 

「(よし上手く捉えた。間を抜けてくれ━━━)」

 

 

 

しかし比呂の願いは無情にも相手の二塁手が飛び込んで捕るファインプレーによって阻まれた。

 

 

 

その後の九番にも代打を送り何とか得点を目指すも代打のバッターが三振に倒れ横浜南リトルは5-7で敗れた。

 

 

 

 

 

試合が終わりベンチ裏へ引き上げる。

俺はチームの期待に応えられず悔しさで立ち尽くしていた。

 

するとそんな様子を見ていた6年生の先輩に声をかけられた。

 

「おい比呂。今日の試合お前のせいじゃないから気にするなよ。あの打球を捕った相手を褒めるしかない。この大会で3年生にも関わらずチームに貢献したことはチームメンバー全員分かってるから。あのチャンスの場面でお前に託すしかなかった俺が不甲斐なかっただけだ。」

 

「でも俺が打っていたら先輩達はまだ引退しないで済んだと思うと悔しくて。」

 

「そう思ってくれるのは嬉しいけど俺達はこれからシニア、高校とまだ野球は出来る。それにお前まだ3年生だ。この試合の悔しさや今回の大会での経験を来年以降に繋げて活躍してくれ。」

 

 

その言葉を聞き俺は先輩に宣言した。

 

 

「わかりました。来年は必ず全国に行って先輩達が果たせなかった全国の頂点を取ります!!」

 

「って後輩が言ってるけど5年生と4年生はどうなんだ?」

 

 

 

この俺の宣言を聞いていた大和先輩達が答える。

 

「ちび助に言われるまでも無く俺が打ってチームを全国制覇に導きますよ。」

 

「そうですね。後輩に頼りなくてもいいくらい活躍して全国の頂点に立ちます。」

 

 

後輩からの宣言を聞き先輩は笑ってこう言った。

 

 

 

「今日で俺達の6年生は引退するがお前達なら必ず全国制覇出来るって信じてるから。全国制覇して5年生、4年生はシニアに上がって来いよ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

試合に負けて沈んでた雰囲気だったが先輩からの言葉で来年へ向けて士気を高めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

秋の大会を終え、新チームがスタートをした。

 

来年の大会へ向け、今回の秋の大会のメンバーを中心に練習に力が入る。

また、大会のメンバーに選ばれなかったメンバーも大会のメンバーに負けないように練習に励んだ。

 

そんな中俺達3年生のピッチャー陣はそれぞれの課題とする練習をこなしながら、上級生のバッターを相手により実戦的なピッチングを覚えるため何度も対戦をした。

 

全国クラスの打撃陣を相手にする練習は実戦経験が少ない3人にとってとても良い練習となった。

 

 

俺自身としても秋の大会でバッターとしての課題も見つかり、週末の練習だけでなく平日の習い事に加えお父さんに相談してバッターとしての練習メニューも組んでもらいながら日々を過ごした。

 

 

 

 

 

 

こうして季節は秋から冬へ、そして春を迎えた。

 

 

 

 

 




今回はかなりダイジェスト的になってしまいました。

次回以降じっくりと書けるところはじっくり書くのですみません。


実際のリトルリーグの試合ではメジャー、マイナーなど学年毎にクラス分けされているので主人公の比呂や佐藤や小湊みたいに3・4年生から5・6年生たちの試合に出ることは出来ません。

ただそれだと話を作りづらいのでご了承お願い致します。

またベンチ入りメンバーも話の中だと20人となっていますが出場する大会によっても変わるみたいです。
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