目が覚めた、寝起き特有のぼ~っとした頭で考える。
死んでない?
ゆっくり起き上がって周りを見渡してみると、見渡す限り延々と荒れ地が広がっていた。空はあまり好きではない晴れだった。初めて見る風景をしばらく眺めていると、死んだ時のことを思い出した。あの真っ暗な感覚は二度と忘れられないだろう。
嫌なことを思い出し憂鬱な気分になりながら、よっこらせと立ち上がると少し離れたところに太陽の光を反射しているものに気がついた。歩いて近づくとコンパクトなアタッシュケースであることが分かった。その場に膝をついて留め金を外し中身を見ると、中には俺が知っているものより分厚く銀色に光るベルトがあった。他にも何かの部品のようなものがあったが、とりあえず放置することにした。ベルトを手に取り改めて観察してみると、バックル部分が何かをはめ込むような形状をしていた。ケースの中にある携帯電話のようなものを取り出してみると、ちょうどはまりそうだった。
ベルトを腰に巻きつけ、携帯をはめ込む・・・が特になんの変化も起きなかった。少し残念に思ったが、今はそれよりやるべきことがあった。このままでは餓死より先に脱水症状で死んでしまうことはすぐに分かったので、ベルトをケースに戻し肩にかついで歩き出した。
あてもなくけっこうな時間歩くと、前方にかなり大きな城が見えてきた。どこかおかしく思いながらもその中に入ることにした。
城内の市場は活気があり多くの人が行きかっていた。その人たちのほとんどが自分のことを訝しげな目で見ているのが分かる。
今の俺は黒いズボンに灰色の長袖という格好をしていて色的には目立っていないが、着ている服の造形そのものが周りの人と違っていたためかなり浮いていた。人目を避けるために近くの店に入って適当な椅子に座る、店内はそこそこ繁盛していて客達が食事や談笑を楽しんでいた。俺は適当な席に腰掛けるが何かを買おうにも、通貨が違うようで困ってしまった。考えていると隣の席から紫色の髪をした女の人が
「プハー、やっぱり昼から飲む酒も美味いな。なぁ、あんたもそう思うやろ」
「・・・」
「なんやつれんなー、なんかあったんかお姉さんに話してみ」
「・・・実は・・・」
その人に毒気を抜かれ話し始める、もちろんベルトやオルフェノクのことは伏せた。
話を聞き終わるとその人はしばらく黙っていたが、ぽんっと手を打つと
「よし、あんたちょっとついてき」
というとおもむろに立ち上がり近くに立てかけてあった槍を掴んで勘定を済ませると、こちらにちょいちょい、と手招きをしてきた。どうするべきか迷ったがこのままここにいても、なにかあてがあるわけでもないのでついていくことにした。
「どこへ向かってるんですか?」
「アタシらが仕えてる主のところや。月ならあんたみたいなもんも面倒みてくれると思うで」
「主、ですか?」
「ああ、主の名前は董卓ってゆーてな、この城をおさめとるんや。あんたは遠くから来たみたいやで知らんかもな」
「んー、今から会いに行くならちゃんとした服で会いたいですね」
「そんなん気にせんでもええで?」