幻の流れ星   作:きなこモチ

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〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

颯 (...あいつ、〇〇駅って言ってたよな。

どこにいるんだよ。

 

 

...あ)

 

 

 

 

少し離れたところで遥が立っていた。

遥は僕の存在に気付くと、またどこかへと歩き出した。

 

 

 

 

颯 (何だよ...ついて来いってことか?)

 

 

 

 

雨はさっきよりも強くなっている。

 

僕は相変わらずびしょ濡れだが、遥は傘をさしているため濡れていない。

 

 

とりあえず、遥の後ろをついていくことにした。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

20分後。

 

少し先を歩いていた遥は、倉庫のような大きな建物の中に入っていった。

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

遥「入って」

 

 

 

 

中に入ると、遥は入口の大きな扉を閉めた。

 

 

 

 

遥「あいつは?」

 

 

 

颯「連れてきてない」

 

 

 

遥「...そう」

 

 

 

 

倉庫内には明かりが無く、遥の姿はほぼ見えていない。

 

 

 

 

遥「ねぇ、あんた」

 

 

 

颯「...何」

 

 

 

遥「さっき、私の事...

 

 

 

 

殺すって言ったよね?」

 

 

 

 

颯「!!」

 

 

 

 

まさか、聞こえていたとは。

 

 

 

 

颯「...まあ」

 

 

 

 

僕がそう言うと、少しの沈黙の後に遥が口を開いた。

 

 

 

 

遥「ねぇ。殺してくれてよかったのに、なんで諦めたの?」

 

 

 

颯「...は?」

 

 

 

 

殺してくれてよかった!?

ど、どういうことだよ!?

 

 

 

 

遥「...もういい」

 

 

 

颯 (...っ!!!)

 

 

 

 

次の瞬間...

 

 

 

自分でも分からないが、無意識に遥のいる方へとっさに走り出した。

 

 

 

 

颯「...」ダッ

 

 

 

遥「...」

 

 

 

 

ドン!!

 

 

 

 

遥「うわっ!!

...何すんだよ!!」バタン

 

 

 

颯「...」

 

 

 

 

僕は思い切って遥にぶつかった。

 

 

 

遥は不意を突かれたのか、勢いよく後ろに倒れた。

 

 

 

 

遥「いってぇーなぁ!!」

 

 

 

 

それと同時に、遥が手に持っていたであろう物を落とした音が建物全体に響いた。

 

 

その音から察するに、それは軽くて金属製のものだ。

 

 

 

 

颯「やっぱりな」

 

 

 

遥「何がやっぱりだよ!

...なんだよお前、痛えんだよ」

 

 

 

 

 

颯「ナイフはもっと痛いんだよ!!」

 

 

 

 

 

遥「...そんなの、知った事じゃない」

 

 

 

 

僕はナイフを遥から遠ざけるように、床を滑らせてどこかにやった。

 

 

 

 

颯「なぁ、教えてくれよ。

なんで紬をいじめるんだ」

 

 

 

 

 

遥「...私にとって、丁度いいサンドバッグだったんだよ」

 

 

 

 

颯「...?」

 

 

 

 

―――――高校入学前のこと―――――

 

 

 

 

遥「...」テクテク

 

 

 

「ねぇ、君」

 

 

 

遥「...はい?」

 

 

 

「今、何してるの?」

 

 

 

遥「そこの高校に願書を提出しに行くんです」

 

 

 

「もしかして、入学する子?」

 

 

 

遥「...受かればの話ですけど」

 

 

 

「あはは!

そうネガティブになるなよ!

それにしても奇遇だねぇ」

 

 

 

遥「...で、何ですか?」

 

 

 

「そんな君にお願いがあってね。

俺の会社の取引先の社長の娘が今度、君と同じ桜が丘高校に入学するらしいんだ」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

「その子をちょっとね。

 

 

 

 

...いじめてくれないかね?」

 

 

 

 

遥「...はい?」

 

 

 

「実はさ、俺の会社と、今言った子の親が経営してる会社で契約する方向だったんだよ。

 

なのに、急に契約中止だって言い出しやがってよ」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

「その社長は、琴吹っていうんだ。こうなったらとことん痛めつけてやる。

だから、頼んだよ?」

 

 

 

遥「...言ってること全然分からなかったんだけど、それって私関係なくない?会社の事だしさ。

仕返し?もなんか遠回りだし、もっと他の――」

 

 

「そうやって反抗するんだったら、こっちも態度変えないとな。

あ、ごめんね。願書の住所見ちゃって」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

遥「知らねえおっさんにそんなこと言われてさ。

社長令嬢とはいっても、見ず知らずの人をいじめろなんて意味分かんなくて」

 

 

 

颯「...」

 

 

 

遥「あいつとは一年の一番最初の頃に何度か喋ったことあってさ」

 

 

 

颯「紬と同じクラスだったのか?」

 

 

 

遥「そう。

そのおっさんに対抗するように、できるだけ琴吹と仲良くしようとしてた」

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

遥「...ねぇ、あなたが琴吹さん?」

 

 

 

紬「はい!琴吹 紬っていいます。

...えーと」

 

 

 

遥「...あ、ごめん!

私は、成瀬 遥!」

 

 

 

紬「遥ちゃん、よろしくね!

...どうして私の名前知っててくれたの?」

 

 

 

遥「ちょっと...予習をね」

 

 

 

紬「遥ちゃん?

私の名前なんて予習してもテストに出てこないよ?」

 

 

 

遥「あははは!!嘘だよ!

さっき紬ちゃんを呼んだ子がいたじゃん!」

 

 

 

紬「なるほど〜!」

 

 

 

遥「...ねぇ、次の数学Iの教室、一緒に行こ!」

 

 

 

紬「うん!」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

遥「それで、入学して三ヶ月経ったくらいに、真面目な話をしたんだよ」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

遥「――えっ!?別荘なんてあるの!?」

 

 

 

紬「ま、まあ」

 

 

 

遥「じゃあその別荘で遊ぶのは!?」

 

 

 

紬「ごめんなさい、先約が入ってて遊べないの。

遥ちゃんの家は どうかな?」

 

 

 

遥「...実は私、今親戚の家に住んでてさ。実家はあるんだけど...親が嫌でさ―――」

 

 

 

 

 

 

 

紬「―――ごめんなさい」

 

 

 

遥「ううん!気にしなくていいよ!」

 

 

 

遥 (本当は、紬ちゃんが想像するレベルの"嫌"じゃない。

 

 

両親は私に興味が無かったんだよ。

大きくなって気付いた。

 

 

 

父親は腹の立つことがあると、私に暴行をしてきた。

 

 

父親が私を殴ってると、母親は自分の身の危険だけを気にして、ある時に離婚を決意した。

 

 

 

『ごめんね。私自信無いから、親戚のところに行ってね』

 

 

 

母親は私にそう伝え、私を親戚の元へ連れていった...)

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

 

遥「琴吹にその話をして以来、なんか鼻につく感じがしてさ」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

遥「...はぁ」

 

 

 

 

 

律「...なぁムギ!」

 

 

 

紬「うん?」

 

 

 

律「今度の夏休み始まってすぐの三日間、軽音部で合宿するんだけどさ〜、場所はムギんちでも大丈夫?」

 

 

 

紬「ごめんなさい!始めの一週間は家族と旅行する予定なの。別の日なら大丈夫だから」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

律「じゃあその次の週の三日間で決定だな!

お土産よろしく頼むぞ!」

 

 

 

紬「ええ、もちろん!

 

 

...遥ちゃん!」

 

 

 

遥「...?」

 

 

 

紬「遥ちゃんもお土産、お楽しみにしててね」

 

 

 

 

遥「...あー。

いいや、私は」

 

 

 

紬「...えっ?」

 

 

 

遥「家族旅行とか、そんなの知らないし」

 

 

 

紬「遥ちゃん...?」

 

 

 

―――――別の日も―――――

 

 

 

紬「...」スルッ

 

 

 

 

遥 (あ、何か落とした...何これ...

家族写真...)

 

 

 

遥「...紬さん、これ落ちたよ?

大切なやつなんじゃないの?」

 

 

 

紬「ハッ...!

遥ちゃんありがとう〜」

 

 

 

遥「...それ、小さい頃の紬さん?」

 

 

 

紬「うん!

あ、まだ言ってなかったよね!

これが私のお父様で、これがお母様なんだ~!

それからこれが―――」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

遥「あいつもここに来て直接言う予定だったんだけどさ、いないから後であんたが伝えといて」

 

 

 

颯「...」

 

 

 

遙「何なの、あいつ。

私に幸せアピールしたいの!?

 

 

『ごめんなさい』って、あの時の琴吹は同情してくれたんじゃなかったの??

 

 

...日付が変われば、あいつは同情のかけらも無いってか。

 

 

私の言った事を忘れてたとしても、そもそも忘れる事自体、琴吹にとって私は所詮その程度って事なんでしょ。

 

 

 

琴吹の暇潰しに付き合わされただけ...」

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

 

遥「私は...私が一番大好きなんだよ!!

私にとって、私が主人公なんだよ!!

 

 

自分の幸せのために生きたいのに...なんで邪魔するんだよ!!」

 

 

 

 

遥の姿はうっすらとしか見えないが、今にも泣きそうな声で話した。

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

遥「...何だよ

何笑ってんだよ」

 

 

 

 

颯「遥のこと全然知らなかったけど...

 

 

 

 

話聞いてたら、なんか親近感湧いてきちゃって」

 

 

 

 

遥「...えっ」

 

 

 

 

颯「...俺、今からあそこの広い公園に行くんだけど一緒に来ない?」

 

 

 

遥「は...?」

 

 

 

颯「あの場所行くといろんなこと忘れられて、結構気が楽になるんだよな〜」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

 

そう言っても、遥はうつむいたままだ。

 

 

 

 

颯「おしゃべりしようよ?

...嫌なら別にいいんだけどさ。

もう結構暗いし、気をつけて帰りなよ?」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

 

僕は余裕そうな口調で話した。

だけど内心は、めちゃくちゃ怖かった。

 

今も怖い。

背中を向けて歩き出したから、何されるか分からない。

 

ましてや今から一緒に公園で過ごすなんて。

 

まあ、自分が誘ったんだけど。

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

 

僕がそう言ってその場を離れると、いつの間にか遥が横で歩いていた。

 

 

 

 

遥「...なぁ」

 

 

 

颯「...?」

 

 

 

遥「『親近感湧く』って、どういう意味だよ?」

 

 

 

颯「え?

自分に似たようなものを感じると―――」

 

 

遥「そうじゃない。そんな事くらい分かってるよ。

なんであんたが親近感湧くんだよ、って」

 

 

 

颯「あ~。

...実は遥と、家の環境が一緒だって事、今知ってさ」

 

 

 

遥「え...?」

 

 

 

颯「遥がそうやって教えてくれたから、なんか安心したよ」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「俺は、母親から聞いたんだけど、俺が産まれてすぐに離婚したらしくてさ。

 

 

だから俺、父親の顔あんまり分からないんだよな。

 

 

それから今まで、母親と二人で過ごしてきたけど、母親と喧嘩した記憶がなくて。

 

 

それに今思えば、俺が興味持ったことは結構頷いてやらせてくれたんだなって。

 

 

なんであんなに優しかったのか、最近になって分かった気がする」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「俺は何も考えずに生きてきたけど...色々考えてくれてたんだなって」

 

 

 

遥「...何あんた」

 

 

 

颯「?」

 

 

 

遥「親近感湧く要素どこにあるんだよ。

私に皮肉を言ってんの?」

 

 

 

颯「え...?いや、俺は恵まれてたんだなって。

 

...ごめん。

 

でも、遥についてもっと知りたい。公園に着いたら色々教えてよ」

 

 

 

遥「...嫌」

 

 

 

颯「...」

 

 

 

遥「なんでクソさみい公園で喋んなきゃいけないんだよ。

 

罰。あんたの家で」

 

 

 

 

颯「い、家!?

 

 

 

まあ...

 

 

 

...分かった。

じゃあ、こうしよう。

 

今日は一緒に過ごして、明日の朝帰る。

いいか?」

 

 

 

遥「...好きにしな」

 

 

 

 

家に入れるとか怖すぎる。

けど承諾してしまった。

 

 

もうここまで来たら何されてもいいや。

 

 

 

いや、違う。

今は遥のことを信じてみる。

 

 

 

遥は散々、僕の好きな人を傷付けてきたけど...

 

 

遥は本当は良い子だと思う。

 

 

どんな言葉をかけるのが正解なのか自分は思いつかないし、さっきも傷つけてしまった。

 

 

だけど、遥と似た境遇の僕は、家族や仲間と一緒に過ごしてて感じる温もりや楽しさを感じてほしいと思った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「あれ?びしょ濡れじゃん。

傘さしてたんじゃないのか?」

 

 

 

遥「置いてきた」

 

 

 

颯「...まあ、ちょっと待っててくれ。

お風呂沸かすから」

 

 

 

遥「...う、うん」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

遥「風呂今上がったよ」

 

 

 

颯「おう」

 

 

 

遥「なんか...悪いね。

急に風呂入ったり、料理作らせたり」

 

 

 

颯「全然良いよ。

それで、その料理の事なんだけど」

 

 

 

遥「...なに?」

 

 

 

颯「...ここからどうすればいいか分かんなくてさ」

 

 

 

遥「...こんなの適当でいいんだよ」バサッ

 

 

 

颯「ああーーっ!そんな一気に入れたらダメじゃ...」

 

 

 

遥「大丈夫だって」

 

 

 

颯「う〜ん...」

 

 

 

遥「...ねぇ、私がやってもいい?」

 

 

 

颯「お、おう。頼んだ」

 

 

 

 

〜〜〜〜~~

 

 

 

 

颯「―――ごちそうさま、美味しかったよ」

 

 

 

遥「...ありがと。じゃ――」

 

 

颯「あ、いいよ。俺が片付けるから」

 

 

 

 

ご飯を食べ終え、僕が片付け始めると、遥はそれを見つめていた。

 

 

 

 

颯「料理できたんだね」

 

 

 

遥「最近やってるからさ」

 

 

 

颯「そうなんだ...

 

ありがとう。

 

...でも、俺からしたら何か変な気分だよ。

遥にご飯作ってもらってるって」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

寝室にて。

 

 

 

 

颯「...ゴクゴク

っはぁ〜」

 

 

 

遥「あんた、独特な飲み方すんだね」

 

 

 

颯「...独特なのか?」

 

 

 

遥「かなり」

 

 

 

颯「まじか、気をつけるわ。

...もう電気消していい?」

 

 

 

遥「うん」

 

 

 

 

パチッ

 

 

 

 

颯「...よいしょっと」バサッ

 

 

 

 

僕はコップ一杯のお茶を飲み干し、部屋の照明を消すと布団の中に入った。

 

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「...」

 

 

 

遥「...ねぇ、起きてる?」

 

 

 

颯「...起きてない」

 

 

 

遥「起きてんじゃん」

 

 

 

颯「当たり前だろ!いま横になったばっかだよ」

 

 

 

遥「...はぁ」

 

 

 

颯「...」

 

 

 

 

しばらく静かな空間が流れる。

 

 

すると、遥は今までよりも小さな声で話した。

 

 

 

 

遥「...ねぇ」

 

 

 

颯「ん?」

 

 

 

遥「私、小さい頃から他人を信じられなくてさ。

信じれるようになるには、どうすればいいのかな...?」

 

 

 

颯「遥も考えてたんだな」

 

 

 

遥「...え?」

 

 

 

颯「う〜ん...俺も正確な答えが出てないから、なんとなくだけど...

 

 

 

この空間も、その答えの一部だと思ってるよ」

 

 

 

遥「どういうこと?」

 

 

 

颯「遥」

 

 

 

遥「はい?」

 

 

 

颯「正直、今も紬に対して苦手意識あるでしょ?」

 

 

 

遥「...うん」

 

 

 

颯「それを紬だけじゃなく、俺にも遥自身のこと教えてくれて嬉しかったんだ。

俺が遥の立場だったら多分教えなかったと思う」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「"罰" を宣告されたときはびっくりしたけど、打ち解けてくれたお返しになればと思って、"罰" を受け入れたんだ。

 

『信じてる』って言葉で伝えたわけじゃないけど、一緒に過ごす選択肢を選んだのは、少しでも遥を信じてるからだと思う。

 

 

...って、自分で言うのも変だけど」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「でも...人を信じるって、勇気がいることなんだって俺は思う。

 

 

 

別に遥のこと許したわけじゃないよ。

 

 

でも、遥が何も変われなくて、この先また誰かに迷惑をかけて。

 

 

 

今度は自身が―――。

 

 

 

そんな目に遭って欲しくない」

 

 

 

 

 

遥「ありがとう...でも、それを他の皆が聞い――」

 

 

 

颯「うん、いいよ。

皆が俺に『遥をかばってるだろ?』って言ってくる、って事でしょ?

 

いいよ、別に」

 

 

 

遥「...?」

 

 

 

颯「紬に、友達に、何と言われてもいいよ。

 

 

 

 

だって、あの子達とは...

 

 

 

 

 

 

そんなことで絶縁しないって、俺、信じてるから」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「馬鹿だよなぁ、俺も。

中学の時に騙されて...

それでも楽しい時間を過ごしたくて、高校で友達つくって、大切な人もできて」

 

 

 

颯「また大変なことに巻き込まれて、大切な人が傷ついてるのに...また仲良くなろうとしてさ。

確かに中学の時の事があって以来、慎重になったけどさ」

 

 

 

颯「学校ではヤな感じでも、その人の "皆知らない本当の顔" を想像したら、居ても立っても居られなくなるというか」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「って、これ答えになってないな」

 

 

 

遥「...」

 

 

 

颯「...あれ?もしかして寝た?」

 

 

 

遥「...寝た」ボソ

 

 

 

颯「なんだ起きてるじゃん」

 

 

 

遥「当たり前じゃん!」

 

 

 

 

 

颯「冗談は置いておいて...

ちゃんと謝るんだよ?

ちゃんと話せば許してくれると思うから。

...多分」

 

 

 

遥「うん、謝る。許してくれなくても」

 

 

 

颯「あとさ...

今後の学校で、遥が周りに何かされた、となったら俺に教えて。それは話が変わってくるし、結構あることみたいだから」

 

 

 

遥「そこまで...

ありがとう。

でも、その心配は無いよ」

 

 

 

颯「そ、そうか?」

 

 

 

遥「私は、この学校から去るべきだから。

 

皆言わないだけで、そう思う人がほとんどだし、盛大に迷惑かけた私が平然と居座るのはおかしいからさ。

 

別の道でイチから頑張るよ」

 

 

 

颯「そ...っか...」

 

 

 

遥「言葉じゃ伝えきれないけど...

 

 

 

 

今まで、ごめんなさい。

 

 

 

 

それと

 

 

 

 

ありがとう」

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

 

すると、遥は顔を掛け布団で覆い、布団の中に潜り込んだ。

 

 

 

 

そして少し時間が経ち、まだ眠れなかった僕は遥の名前を呼んでみたが、返事は無かった。

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