幻の流れ星   作:きなこモチ

3 / 22
期末テスト

健「じゃあ、土曜日タックルしたんだ?」

 

 

 

颯「アタックだろ...うん、したよ」

 

 

 

健「で、どうだった?」

 

 

 

颯「『よろしくお願いします』って」

 

 

 

健「え!マジで?!」

 

 

 

颯「うん!おかげさまで」

 

 

 

健「良かったじゃん!!おめでとう!」

 

 

 

颯「ありがと!」

 

 

 

 

颯 (それにしても本当可愛いな~) ジーー

 

 

 

今は昼休憩で、健と一緒に昼ごはんを食べている。そしてその僕は、友達とおしゃべりしている紬を見つめていた。

 

 

すると紬が、僕に気付くと微笑んだ。

 

 

 

 

颯 (ぐはっ!気絶するってだから!)

 

 

 

 

...という遠隔のやりとりに気付いた健はニヤニヤしていた。

 

 

 

健「...そんなに紬ちゃんに依存してて大丈夫なのかよ!」

 

 

 

颯「何が?」

 

 

 

健「もし急にいなくなったらどうすんのさ~」

 

 

 

健「転校とかで、遠く離れざるを得なくなったりしたら」

 

 

 

颯 (紬ならあり得るな...)

 

 

 

そう、半年に1回くらい、紬は琴吹家の諸事情で海外に行くことがある。

 

 

だからいつか、忙しくてそのまま帰って来れないってことになるような気がして不安になってきた。

 

 

 

颯「...まあ、その時はその時だよ」

 

 

 

 

 

健「...それに、そんなに遊んでて大丈夫なのか?」

 

 

 

颯「何で?」

 

 

 

健「ほら、勝負の期末テストまであと1週間だろ?」

 

 

 

 

 

 

颯「...あ」

 

 

 

健「この前のテストの結果返却された時、お前めちゃくちゃ分かりやすい顔してたじゃねぇか」

 

 

 

健「それに、俺が『次のテストの合計点で勝負しよう!負けた方が勝った方に千円あげること』って言ってただろ?」

 

 

 

健「その時の颯汰は快諾してたぞ。

...まさか、忘れてたんじゃないだろーな??」

 

 

 

やべぇ...勝負どころか、テストの存在すら完全に忘れてた。

 

 

 

前回の中間テスト最悪な結果だったのに、今回も失敗したらもうあとがない!

 

 

 

颯「このままだと数学欠点間違いなしだから、健!教えてくれないか!?」

 

 

 

健「俺が教えたら、降参したことになるよ?」

 

 

 

健はそう言い、どこかへと視線をずらした。

 

 

 

颯「じゃあどうすれば......?」

 

 

 

その視線の方を見ると、僕は思わず笑ってしまった。

 

 

 

颯「...分かったよっ!!」

 

 

 

健「はははっ!」

 

 

 

実は紬は健より成績が優秀。特に数学が良く、クラスメートは授業で分からないところがあると、紬に聞いている。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

キーンコーン...

 

 

 

颯 (やっと放課後だ~)

 

 

 

颯 (...明日からテスト1週間前か)

 

 

 

健「よし、颯汰帰るぞ」

 

 

 

颯「...ちょっと今から音楽準備室に寄りたいから待っててほしい」

 

 

 

健「うん、いいけど...?」

 

 

 

颯 (さすがに1週間前だから、今日は軽音部休みだよな)

 

 

 

最近はバイトで忙しく、軽音部におじゃまできてなかったので久しぶりに顔を出そうとした。だが、テスト前なのでダメ元で―――。

 

 

 

 

教室を出て、軽音部室へ行く階段を上っていると、最上階から声が聞こえてきた。

 

 

 

 

健(...安定だなぁ~)

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

律「えっ、マジで?!」

 

 

 

紬「...うん」

 

 

 

唯律澪「「おめでとう~!」」

 

 

 

紬「あ、ありがとう」

 

 

 

唯 (...あ!ムギちゃんが赤くなってる!)

 

 

 

律「それにしても、もうそんなとこまで進んでいたとはな~!」

 

 

 

 

 

律 (...ん?)

 

 

 

律「あ、ムギ!そろそろだから隠れて!」ヒソヒソ

 

 

 

紬「う、うん」

 

 

 

~~~

 

 

 

音楽準備室に着き、扉の外から様子を見た。

 

 

 

颯 (って、練習してないじゃん!)

 

 

 

颯 (てか、あの子たちが使ってるティーカップ、すげぇ高そうだなぁ)

 

 

 

部室内をボーっと覗いていると、唯と澪は僕の方を見ていた。

 

 

 

颯 (え、何?)

 

 

 

すると突然、目の前の扉の下方から律の顔がヒョイっと出てきた。

 

 

 

颯「うわっ!!ビックリした」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

律「いたんなら、入ってくればいいのにぃ~」

 

 

 

唯澪「颯汰くん久しぶり~!」

 

 

 

颯「久しぶり~」

 

 

 

颯「あれ、紬は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

律「よし、当たった!!唯の100円はいただくぜ!」

 

 

 

唯「えぇ~!!私は『やあ皆の衆、元気でござるか!』だと思ったよ~」

 

 

 

颯 (...?)

 

 

 

律「颯汰はそんなこと言わな~い!ごめんムギ、もう出てきていいよ~」

 

 

 

すると、奥の倉庫の扉から紬が出てきた。

 

 

 

紬「ごめんね~。颯汰くんが部室に入って、一言目に何と言うのか予想してたの~」

 

 

 

颯「そ、そうだったんだ」

(ここでも勝負してるのかよ...)

 

 

 

紬「あ、颯汰くんのお茶用意するわね」

 

 

 

颯「ごめん、今日はもう帰るんだ...下で友達待ってるし」

 

 

 

澪「はやっ!」

 

 

 

唯「えっ、もう帰っちゃうの!?」

 

 

 

颯「うん、それにテスト1週間前だし。夏休みが楽しく過ごせるかどうかが、今度の期末テストにかかってるからね!」

 

 

 

颯「律は大丈夫なのか?勉強の方は」

 

 

 

律「うん、徹夜で澪に教えてもらうから」

 

 

 

澪「当然のように言うな!それに、そんな約束してないぞ」

 

 

 

 

颯「あ、そうだ。紬、ちょっと来て」

 

 

 

 

そう言い、紬を部室の外へと連れた。

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

紬「颯汰くんどうしたの?」

 

 

 

颯「あのー、お願いなんですけど~」

 

 

 

紬「うん?」

 

 

 

 

颯「明日から自習室で僕と一緒に勉強しませんか?!...というより、教えてほしい!」

 

 

 

紬「うん、いいよ!」

 

 

 

颯「マジで?ありがとう~!」

 

 

 

颯「健と、期末テストの点数で勝負するから負けられないんだよね。特に数学が俺の足を引っ張りそうで。」

 

 

 

紬「...まかせて!」

 

 

 

颯「紬先生よろしくお願いします!」

 

 

 

紬が味方についたことで、数学満点とれるんじゃないか、と変な自信がついてきた。

 

 

 

 

颯「...あと、ごめんね。今日一緒に帰れなくて」

 

 

 

紬「ううん、全然大丈夫よ」

 

 

 

颯「じゃ、帰るね。また明日!」

 

 

 

紬「うん、ばいばい~」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

一階まで下りると健が待っていた。

 

 

 

颯「ごめん遅くなった」

 

 

 

健「ううん、全然いいよ」

 

 

 

 

 

 

健「...彼女かぁ、羨ましいな~」

 

 

 

颯「彼女いるんじゃないのか?」

 

 

 

健「いないよ」

 

 

 

健「でも、最近気になっててさ~」

 

 

 

颯「誰のことが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

健「紬ちゃん...」

 

 

 

 

 

 

 

颯「...は?」

 

 

 

 

 

健のその言葉を聞いた瞬間、僕は反射的に怒りをあらわにしてしまった。

 

 

 

 

健「あっ、ごめん...言い方が悪かった」

 

 

 

颯「そ、そうか」

 

 

 

気まずい空気にしてしまった。

何も知らない健に腹を立てても意味無いだろ、俺。

 

 

 

 

健「...颯汰は紬ちゃんのどこに惹かれたのかなって思って」

 

 

 

健「紬ちゃんとあまり話したことなくてどういう人なのか知らないからさ...」

 

 

 

颯「う~ん......」

 

 

 

颯「『純粋さ』かなぁ...」

 

 

 

颯「いや、『惹かれた』というより『救われた』の方がいいかも」

 

 

 

健「救われた...?」

 

 

 

 

颯「俺、中学の時好きな子がいてさ」

 

 

 

健「うん...」

 

 

 

健は真剣な表情で、僕の話を聞いてくれている。

 

 

 

颯「その子の事でめちゃくちゃ悩んでたら、小学校からの友達が相談乗ってくれて。」

 

 

 

健 「......」

 

 

 

 

 

 

―――――中3の2月頃―――――

 

 

 

 

颯「...」

 

 

 

「何ためらってんだよ。そんなのやってみないと分かんないだろーが」

 

 

 

颯「うん...。でもやっぱ怖いかも」

 

 

 

「...何が?」

 

 

 

颯「振られるの」

 

 

 

「...何を今更」

 

 

 

「もうちょっとで公立入試あるだろ?早くしないと、ダメだったら立ち直れないまま入試迎える事になるぞ?」

 

 

 

「それに、席隣どうしになってから、あの子とずっと喋ってただろ?楽しそうだったじゃん!!」

 

 

颯「まあ楽しかったけど...」

 

 

 

「あの子も『楽しい!』って言ってたし、颯汰なら絶対大丈夫だから自信持ちな」

 

 

 

 

颯「...ありがとう。頑張ってみる」

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

颯「真面目な顔でそう言ってくれたんだ。」

 

 

 

健「...」

 

 

 

颯「だから...」

 

 

 

 

 

颯「次の日告白したんだ。」

 

 

 

健「...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「そしたら、『ごめんなさい』って。」

 

 

 

颯「相手は俺と違う高校を志望してたし、勉強が忙しいからそりゃそうか、って。」

 

 

 

颯「俺と一緒にお喋りして、その時は楽しかったかもしれないけど、将来を考えて、出した答えなんだと思ってね」

 

 

 

颯「こうなることはだいたい予想出来てたから、ダメージは小さかった」

 

 

 

颯「というか、自分の気持ちを伝えることができてむしろスッキリした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「そして3月上旬のある日、周りの会話を聞きながら、下校する準備をしていたら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「相談に乗ってくれた友達と俺の好きだった人が付き合ったって情報、耳に入ってきてさ」

 

 

 

健「...」

 

 

 

颯「それを知った瞬間、相談に乗ってくれた時の()()()は上辺だけだったんだなって思ってさ。そう考えると、振られたときよりも立ち直れなくて」

 

 

 

颯「結局立ち直れないまま受験の日を迎えて...公立高校落ちちゃった」

 

 

 

 

 

健「...それでこっちに来たってわけか」

 

 

 

颯「うん」

 

 

 

健「そうだったのか...」

 

 

 

 

健 (それと紬ちゃんはどう関係してるんだろう?)

 

 

 

 

颯「小学校からの友達...だと思ってたのは俺の方だけだったんだって。」

 

 

 

颯「友達ってそういうもんなのかなって思いながら、高校に進学して...」

 

 

 

颯「それ以降、友達との付き合いが怖くて、自然と自分から距離を置いていた」

 

 

 

颯「2年に進級した時も、そうやって過ごすつもりだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「始業式の後、教室に入って席に座ろうとすると、隣の席の子が話しかけてくれてさ」

 

 

 

颯「それが紬だった」

 

 

 

 

颯「話しかけてくれて、やっぱり嬉しかったし楽しかった。

持つべきものは友達だって思ったよ」

 

 

 

 

 

―――――3か月前の下校中―――――

 

 

 

 

紬「昨日だけどね!」ニコ

 

 

 

颯「はははっ!そうなんだ!!」

 

 

 

颯 (面白いな、紬さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紬「...私って、颯汰君とは初対面だよね?」

 

 

 

颯「う、うん...??」

 

 

 

颯 (どうした!?難しい顔でいきなり)

 

 

 

紬「どこかで会ったことがあるような気がして...」

 

 

 

颯「え、無いよ!?」

 

 

 

颯 (え、無いよね...?うん、無い無い)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紬「そうだよね!親近感が湧いてきて...つい」

 

 

 

颯「えっ」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

颯「急にそんな事言われたからドキッとしたよ、ほんと」

 

 

 

健「...」

 

 

 

颯「特別なこと言われたわけでもないのに」

 

 

 

颯「何だろう...紬って不思議な力でも持ってんのかなぁ」

 

 

 

颯「やっぱり、どこに惹かれたのかよく分かってないや」

 

 

 

健「分かんないか...まあ、関わってみなきゃ分かんないよな」

 

 

 

颯「ま、健には譲らないけどね!!」

 

 

 

健「おう、警戒したほうがいいぞ!俺、隙を突いて取るかも知らねーからな!!」

 

 

 

颯「何を~~!」

 

 

 

話に夢中になっていると、いつの間にか駅に着いていた。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

律「う~ん、どこが間違ってるんだ...?」

 

 

 

律「あ、わかったよ唯。ここの2はマイナスだ!」

 

 

 

唯「あ、ホントだ。だから解けなかったんだ、ありがとう~」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

律「あ、さわちゃん」

 

 

 

さわ子「あなたたち、残って勉強するのは素晴らしいけど、早めに帰りなさいね?」

 

 

 

律「もうそんな時間か、早いな。じゃ、今すぐ帰りまーす!」

 

 

 

唯「帰りまーす!」ビシッ

 

 

 

さわ子「...二人ともテスト頑張るのよ!終わったらお茶できるから!じゃ、ばいば~い」

 

 

 

律「さわちゃんが言うな!」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

律「...よし、帰る準備するか」

 

 

 

唯「テストまであと4日...早いね」

 

 

 

律「うん...それにムギがいないとさみしいな。数学も分かんないし」

 

 

 

唯「うん」

 

 

 

 

テスト1週間前になると、澪と梓は「家の方が集中できる」らしく、残らずに帰って勉強している。

 

 

だが、唯と律は「家だと勉強できない」ので、軽音部の部室に残って勉強をしている。

 

 

 

 

紬は家でも学校でも集中できるので、できれば「皆で楽しく勉強」したく、部室での勉強を選んでいた。

 

 

 

だが、颯汰に自習室で一緒に勉強しようと誘われたので、今回のテスト週間から部室に来なくなった。

 

 

 

 

律「...あ~~!!!私も青春したいな~!」

 

 

 

唯「高校生ってだけで、十分青春してるんじゃないかな?」

 

 

 

律「違う!唯は何も分かっていない!」

 

 

 

律「そうかもしれないけど、高校生が繰り広げる純粋な恋愛が一番甘くて楽しいんだよ!多分!」

 

 

 

 

 

 

唯「...りっちゃんはおいくつでいらっしゃるか?」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

颯 (家だとスマホばっか触っちゃうし、ここの自習室が一番集中できるな。紬も親身になって教えてくれるし)

 

 

 

 

紬「――だから、ここが3になるの」ヒソヒソ

 

 

 

颯「あ、ごめん―――」ヒソヒソ

 

 

 

紬「もしかして、聞こえてなかった?」ヒソヒソ

 

 

 

颯「ごめん、余計な事考えてて...」ヒソヒソ

 

 

 

紬「ちゃんと聞くのよ!!」ヒソヒソ

 

 

 

颯 (...怒られた!!)

 

 

 

紬「...でも、小声で聞き取りづらいよね、ごめんね」ヒソヒソ

 

 

 

紬「えっと、ここが3になるのは――」ヒソヒソ

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

颯「よし、ひと通り解けたぞ!」

 

 

 

紬「家で何度も解いて慣れておくといいかも」

 

 

 

紬は伸びをしながらそう言った。

 

 

 

颯「ありがと、教えてくれて」

 

 

 

紬「ううん、颯汰くんの為になるなら全然問題ないよ!」フンス!

 

 

 

紬と勉強を始めてから3時間が経ち、午後7時を回ろうとしている。

 

 

今自習室に残っているのは、僕と紬の二人だけ。

 

 

 

 

颯「外結構暗いな、帰るぞー」

 

 

 

紬「うん!」

 

 

 

その時、健に言われたことを思い出した。

 

 

 

颯「あ、聞きたいことあるんだけど...」

 

 

 

紬「うん、なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「紬は、近頃海外に行く予定とかあったりする...?」

 

 

 

紬「ううん、無いよ。」ニコ

 

 

 

 

紬「あ、でも、卒業までに1回行くかも。長くないけどね」

 

 

 

 

颯「そっか」

(良かった~!!)

 

 

 

紬「...なんで?」

 

 

 

颯「最近、紬が急にいなくなったら、って考えてて...」

 

 

 

紬「...気にしないで。その時は」

 

 

 

颯「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紬「一緒に来てもらうから」

 

 

 

颯「え?嘘だろ」

 

 

 

紬「うん」エヘヘ~

 

 

 

颯「真剣な顔して何言ってんだ...」

 

 

 

颯「もし一緒に行くことになったとしても俺

外国語話せないから、ずっと一緒じゃないと身動きできないよ?」

 

 

 

紬「ハッ!!」

 

 

 

紬は何かに気付いたような様子だった。

 

 

 

颯「ん?」

 

 

 

紬「ホントに連れて行こうかしら...」ボソ

 

 

 

颯「おいおい!」

 

 

 

颯「ホントに連れてかれそうで怖いよ~」

 

 

 

 

 

颯 (紬が一緒だったとはいえ、久しぶりに真剣に勉強したから疲れたなぁ)

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

テストまであと2日。

今日も自習室で勉強。

 

 

 

颯「おととい教えてもらった問題、家に帰ってから解く練習したんだけど、一個わかんないとこあってさ」

 

 

 

紬「どれどれ...」

 

 

 

紬「う~んとね、ここが―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「―――お、本当だ解けた!ありがと」

 

 

 

紬「どういたしまして!」

 

 

 

颯「いや~本当凄いな!どうやったらそんなに数学に強くなれるのかも教えてほしいよ」

 

 

 

紬は隣の机で、クリアファイルの中のプリントを整理している。

 

 

 

すると僕は、ある一枚のプリントを目にした。

 

 

 

 

颯 (...!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯 (22点...)

 

 

 

 

 

颯「紬...」

 

 

 

紬「えっ?」

 

 

 

颯「化学苦手なんだ...?」

 

 

 

紬「!!!」ササッ

 

 

 

すると紬はプリントを隠すように、急いで突っ伏した。

 

 

 

颯「教えようか...?」

 

 

 

紬「...」

 

 

 

紬は突っ伏したままうなずいた。

 

 

 

化学は得意な方なので紬に教えることにした。

 

 

 

 

数学教えてくれたお礼に。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

颯「おはよー」

 

 

 

健「お、颯汰おはよー!」

 

 

 

健「...ついに来たなテストの日が」

 

 

 

颯「...来てしまったな」

 

 

 

健「欠点回避できそうなのか?」

 

 

 

 

颯「....ごめん、なんて言った?」

 

 

 

健「...もしかして暗記科目まだ覚えてなかったのか?」

 

 

 

颯「そんなわけ。最終確認してるの!」

 

 

 

健「おっ、そうか」

(コイツ、ガチだ...!!)

 

 

 

テスト開始まで少し時間があるので、暗記科目の確認をしたり、数学の問題を解いていた。

 

 

 

健 (...それもそうか、紬ちゃんが勉強教えてくれたみたいだし。俺も頑張んなきゃだな)

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

 

颯 (そろそろ始まる...)

 

 

 

キーンコーン

 

 

 

「それじゃあ、名前書いてから始めてください」

 

 

 

 

 

颯 (...あ!ここ紬に教えてもらったとこだ!)

 

 

 

 

 

このテストに向けて存分に勉強したんだ。

 

 

スラスラ解けるって気持ちいいな~!

 

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

 

5日後、軽音部の部室にて。

 

軽音部の皆に確認したいことがあるらしく、健も部室に来ていた。

 

 

 

キーンコーン...

 

 

 

颯 「やっと解放された~~!」

 

 

 

紬「中間の時より少し難しかったね」

 

 

 

健「難しくなり過ぎだろ数学...」

 

 

 

健「でさ~、数学の最後の問題って12になった?」

 

 

 

颯「え、12じゃないよ?」

 

 

 

すると健は紬を見た。

 

 

 

紬「えっと...私は78になったわ」

 

 

 

颯「そう、78」

 

 

 

健「げっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯「...いや~結果が待ち遠しいな~!」

 

 

 

紬「そうね~!」

 

 

 

健「二人して何なんだー!」

 

 

 

 

健「言っておくけど、全然勉強してないわけじゃないからな!」

 

 

 

健「それに、俺が合ってて2人が間違ってることもあり得るからな!」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

唯「やっほ~」

澪「やあ」

 

 

 

健「あ、唯ちゃん澪ちゃん!2人に聞きたいんだけど!」

 

 

 

唯澪「うん?」

 

 

 

健「数学の最後の問題って何と答えた?」

 

 

 

澪「う~ん...12だったと思う」

 

 

 

唯「私も~」

 

 

 

健「おお~!わからなくなってきたぞ!颯汰と紬ちゃんは78って答えてて不安になってたんだよ!」

 

 

 

澪「でも、両方とも違うって事もあるかもしれないぞ」

 

 

 

唯「逆に、両方とも合ってるかもしれないよ」

 

 

 

澪「それは絶対ありえないから...」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

テスト返却当日

 

 

 

颯 (一番気になってた数学が最後に来たか。点数は...)

 

 

 

颯「きた!!72点だ!...健は??」

 

 

 

 

 

健「俺は...82点!」

 

 

 

颯「...えっ、まじかよ」

 

 

 

颯「じゃあ、12教科全部で何点だった?俺は850点だったけど」

 

 

 

健「ちょっと待って、計算する」

 

 

 

颯「お、おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

健「えっと...920点だった」

 

 

 

颯「え」

 

 

 

 

 

颯「惨敗じゃねーか!降参だ!!」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

颯「...健に負けちゃった」

 

 

 

颯「結局、数学の最後の問題も12が正解だったし」

 

 

 

紬「そうだったね...」

 

 

 

颯「千円は、約束だから渡そうとしたけど『紬ちゃんにも勝てたような気分だし、いいや』って断られた」

 

 

 

紬「そうなんだ」

 

 

 

学校が終わり、私は颯汰君とおしゃべりしながら帰っていた。

 

 

 

颯「...あ~悔しい~」

 

 

 

紬 (颯汰君ってすごく負けず嫌いなんだ...!)

 

 

 

颯「ごめん、せっかく教えてくれたのに」

 

 

 

紬「どうして謝るの...?」

 

 

 

颯「いや、だって...」

 

 

 

紬「この前のテストより結果が良くなったよね?」

 

 

 

颯「うん」

 

 

 

紬「じゃあ颯汰君は勝ったの」

 

 

 

紬「颯汰君の成績が良くなって、私すごく嬉しい!だから、謝ることはないよ!」ニコ

 

 

 

紬「それに―――」

 

 

 

颯「...?」

 

 

 

紬「...ううん、なんでもない!」

 

 

 

紬「一生懸命頑張ったんだから、他の子と比べて落ち込まないで...?」

 

 

 

私は颯汰君が『健君』ではなく『過去の颯汰君』より良い結果を出せたことに喜びを感じ、教えてよかったと思った。

 

 

 

それに、颯汰君の真剣に勉強する横顔が本当にかっこよかった。

 

実はそれが、教えてよかったと思えた一番の理由だった。

 

 

 

...颯汰君には恥ずかしくて言えないけど。

 

 

 

 

颯「うん、わかった」

 

 

 

 

颯「...そうだ、紬は化学何点だった?」

 

 

 

紬「80点だった!」

 

 

 

 

 

颯「え、俺より高いじゃん!」

 

 

 

紬「えっ!ほんと!?やったぁ!!」

 

 

 

私は思わずガッツポーズをとった。

 

 

 

 

 

颯(...紬の言うことがわかった気がする)

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

颯「帰ったらまた連絡する。じゃあ、バイバイ」

 

 

 

紬「バイバイ!」

 

 

 

 

 

 

紬「...」

 

 

 

紬 (明後日から夏休みか...)

 

 

 

もうすぐ8月に入ろうとしている。

 

 

今日は、テスト明けで久しぶりだったので、少し遅くまで軽音部でお茶をしていた。

 

 

気づくと日が暮れ、少し涼しくなってきていた。

 

 

 

紬 「...」

 

 

 

振り返るともう、颯汰君の姿は見えなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

健「やっほ、紬ちゃん」

 

 

 

紬「あ、健君」

 

 

 

紬「でも、どうしてここに?」

 

 

 

健「ちょうど買いたいものがあってさ。ちょっとコンビニに寄ってたんだ」

 

 

 

紬「そうなんだ...」

 

 

 

健「うん。それじゃ、バイ―――」

 

 

紬「あ、あの...」

 

 

 

 

健「どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紬「ちょっといいかな...?」

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