ULTRA XROSS DREAM セブンガー&グリージョ feat.カミーラ 作:シャイマスΩ
第4話『侵略者をぶっ飛ばせ!』
--1--
別次元にいるネメシスから連絡があった。
どうやら従えていた下僕が全て倒されたらしい。
だから新たな下僕を妖術で召喚するとの事だった。
俺に怒りはない。
何故ならネメシスの事は最初からあてにはしていない。
これだから女は困る。
まあ精々、自分がいる次元の宇宙を支配出来る様に努めるのだな。
奴がどうなろうと、俺の知った事ではないのだし。
「ラティノ様、ここは我らにお任せを。必ずや、期待通りの結果を出してみせましょう」
「バルタン星人……そうか、ネメシスが呼んだのはお前達だったのか。まあ期待しておこう。俺の為に存分に働くがいい」
俺はゆっくりと振り返ってそう告げた。
お前達という言葉を使ったのは、話しかけてきた奴の他に二体の怪物がいたからである。
【宇宙忍者 バルタン星人】
蝉の様なフォルムと鋏の形をした両腕が特徴的で、二つ名にある通り忍術を使ったトリッキーな戦法を得意とする。
【どくろ怪獣 レッドキング】
とある島に生息する怪獣で、豪腕から繰り出されるもの凄いパワーが特徴的。
【ウラン怪獣 ガボラ】
顔に付いた六枚のヒレが特徴的な四足歩行の怪獣で、口から物体を一瞬で破壊する放射能光線を吐き出す。
中々悪くない面子だ。
少なくとも、ゴメス達よりは役に立つであろう。
唯一心配なのはレッドキングはとても頭が悪いので、バルタンの命令を無視してガボラなどを襲わないかという点だな。
だがまあ、もしレッドキングが勝ち残る様な事があっても、俺の剛力で粉砕してやるが。
「よし、では行ってこい。失敗すればこの手で捻り潰す。いいな?」
バルタンは俺の言葉に対して少し怯えた表情を浮かべたが、すぐに返事をしてレッドキング、ガボラと共にその場から姿を消した。
俺は回れ右をし、ニヤリと笑みを浮かべる。
それでいい。
所詮お前達は、俺の忠実なる駒に過ぎないのだから。
--2--
ストレイジに休みの時はない。
いついかなる時でも、怪獣や宇宙人の襲撃に備え、奇怪な事件が起きれば事の大小に関わらず出撃する。
そして私は今、まさにその事件が起きてるであろう一つの建物の中にいた。
手にはビームライフル。
下では万が一の時の為に四人のスタッフがスタンバイしている。
応援が二人。
ユカと連絡を行う者が一人。
そして巨大生物が出現した際、セブンガーをリモートコントロールでこの場所に呼び寄せる者が一人。
役割はこんな感じである。
安全かと言われればそうではない。
特空機に乗り込めるとはいえ、私とて一人の人間。
不意打ちを喰らえば、ピンチに陥る可能性だってゼロではない。
相手はそう、未知の力を持った生命体なのだから。
「こちらナカシマ。現在建物を捜索中、今の所異常はなし」
「気をつけてねヨウコ。昨夜確かに、そこで異常なエネルギー反応をキャッチした。もしかしたら相手は、身を隠すのが得意なのかもしれない」
私は何も返さなかった。
そんな事は重々承知である。
宇宙人というのは本当に奇怪な者達ばかりで、分身したり、手から光線を出したり、姿を消したりなどという行為を平然と行なってくる。
しかし妙だ。
昨夜この場所でそれだけのエネルギー反応があったなら、完全に隠し切る事が出来るとは考えにくい。
もしや、相手もそれに気付いてしまっていて、別の場所に移ったのではないだろうか?
まあ、まだ断定するのは早いので、もう少し調査を続けはするが。
「フォッフォッフォッフォッフォッフォッ! フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ!!」
「っ!? 誰!?」
何処からか聞こえた声。
私はその場所が特定出来ず、ビームライフルをやたらめったらに向けた。
これだけハッキリと聞こえるという事は、場所はそんなに遠くない筈である。
恐らくこの声の主が、今回の事件の黒幕。
しかし油断は禁物。
もし背後を取られて攻撃されてしまったら、そこで終わってしまうのだから。
すると、左から光線の様な物が放たれる音が聞こえ、私はそこに体を向けると共に右方向にロールした。
私の左を赤い線の様な物が通り過ぎ、壁に当たると同時に跡形もなく消え去る。
私は光線が放たれたであろう方向にビームライフルを向けた。
そこにいたのは蝉の様なフォルムをした、明らかに地球人ではない何か。
ユカに比べれば怪獣や宇宙人の知識は乏しいが、そんな私でもその者の正体はすぐに分かった。
バルタン星人だ。
この建物には、バルタン星人が潜んでいたのだ。
「あなたの目的は何? もし侵略だとしたら、私はあなたをこの場で射殺しなければならないわ。さあ、答えなさい!!」
「自らを守る為なら暴力も厭わない。やはりこの惑星の人間は野蛮で醜悪だ。しかしその必要はない……お前達は私達の手によって、一人残らず死ぬのだから」
私はバルタンが言った『私達』というワードに戸惑った。
しかしバルタンはそんな私を他所に体を発光させ、ビルを突き破って巨大な姿へと変わる。
そしてそれと同時にバルタンの両側に二足歩行の怪獣と四足歩行の怪獣が並び立ち、私はそれを見て先程のバルタンの言葉の意味を漸く理解した。
左側にいるのはレッドキング。
過去に戦った事のある怪獣だ。
しかし右側の四足歩行の怪獣は知らない。
顔に付いた、六枚のヒレが特徴的である。
「ヨウコ! あれはウラン怪獣のガボラだよ! アイツは放射能を光線として撒き散らせる。こんな所で使われたら人が住めなくなっちゃう!!」
「分かったわ。セブンガー出撃用意! 急いで!!」
ユカからの通信を聞いて、私は担当の者に指示を出した。
そんな事絶対にさせない。
この街は、私が必ず守る。
--3--
要請を出してから約一分。
リモートコントロールで基地から発進したセブンガーが現地に到着し、私はビームライフルをスタッフに預けた後にコックピットに乗り込んだ。
エネルギー充電率百パーセント。
感度良好。
左腕には電球を思わせる装備が付いている。
きっとこれは、ユカが即興で造った新武器なのだろう。
何に使えるかはピンと来ていないが。
「ヨウコ、左腕の武器は強い閃光を発射出来る装置。バルタン星人は分身を使うから、それで目を眩ませて本体を炙り出して!」
「なるほどそういう事ね。分かったわ! セブンガー、行くわよ!!」
ユカの通信を聞いて納得した私はレバーを引き、セブンガーは全身からスチームを噴出した後にバルタン達めがけて駆け出した。
まずはレッドキングが駆け出し、巨大な腕でラリアットを放ってきたがセブンガーは体を屈ませてこれをかわし、右拳を腹部に打ち込んだ。
しかしレッドキングは効いている素振りを見せず、反撃せんとセブンガーに蹴りを放つ。
セブンガーは後ろに吹き飛んで地面に倒れ込み、衝撃がコックピットにいる私の体にも襲いかかった。
何てパワーだ。
普通に仕掛けたのではこちらがやられてしまうだけ。
何とか、的確にダメージが与えられる方法を考えないと。
だがその考えが纏まるより先に、今度はガボラが口にエネルギーを集め始めた。
私はそれを見てマズいと感じ、レバーを引いてブースターを点火させるとその勢いを利用し、倒れたままセブンガーの体を前に押し出す。
セブンガーはそのまま両足による蹴りをガボラの顔面に打ち込み、ガボラは後ろに吹き飛んで地面に倒れ込んだ。
レッドキングも厄介だが、まずはガボラをどうにかするのが先だな。
グズグズしていたら、バルタンによる攻撃が来る可能性がある。
他の二体と違って知性がある分、一発でも喰らったら行動不能になりかねない。
「フォッフォッフォッ! フォッフォッフォッフォッフォッフォッ!!」
また聞こえてきた奇怪な笑い声。
それと同時に無数に分身したバルタンが、まるで壁を作る様にセブンガーを取り囲んだ。
ユカが言っていたのはこれの事か。
ここでこの新武器が役に立つという訳だな。
見せてやる。
人間の底力を。
「フラッシュライト……点灯!!」
叫ぶと共に、私は左のレバーをグッと引いた。
セブンガーは左腕を空に掲げ、先端の丸い部分から激しい光が放たれる。
バルタンの分身の壁は一瞬にして消滅し、バルタン、ガボラ、レッドキングの三体は眩しさのあまりか目を瞑りながらその場で悶えていた。
凄い。まさかこんなにも強い効力があったなんて。
とにかく今視界が奪われているこの時がチャンスだ。
一気に畳みかけてやる。
そう思って動き出そうとした瞬間、背後から目が見えないままのレッドキングがセブンガーめがけて駆け出し、セブンガーは左に移動してそれをかわした。
その際にレッドキングは足をセブンガーの足にぶつけ、バランスを崩してガボラの方へと倒れ始める。
ガボラは見えない為に避ける事が出来ず、そのままレッドキングの下敷きとなって完全に動きを停止した。
よく見ると、ガボラのヒレが何枚か地面に落ちてしまっている。
可哀想に。
きっと重圧によって、ヒレが千切れてしまったのだな。
「さあて、残るはアイツだけか」
私はレバーを動かし、セブンガーをバルタンの方へと向けた。
セブンガーは右腕をグッと引き、腰を落として構えを取る。
きっと普通に戦っていたなら、まあまあ苦戦していたであろう。
このフラッシュライトを作ってくれたユカには、感謝しかないな。
「硬芯鉄拳弾……発射!!」
私は右のレバーを強く押し込み、それに連動してセブンガーは右腕を強く押し出すと共にそれを切り離してバルタンめがけて発射した。
右腕はバルタンに命中して爆発を起こし、バルタンは体を舞い上がらせた後に地面に倒れ込む。
もう立ち上がる事は出来まい。
ダウンした以上、追撃をするのは野暮という物である。
ガボラとレッドキングは捕獲した後に元の場所へ戻す。
バルタンは地球から永久追放の処置となるな。
まあ、当然である。
「バルタン、ガボラ、レッドキング、共に沈黙。作戦を終了します」
私はそう報告した後にホッと一息吐き、セブンガーは夜空に浮かんでいる丸い月を見上げていた。
時刻は午後十時半。
帰ったらきっと、ぐっすり眠れるであろう。
--4--
またしても、またしても失敗したか。
あんな玩具如きに二度も挫かれるとは、腹立たしい事この上ない。
一体何だ?
一体何が奴らを勝利に導いている?
こうなれば、俺が直接出て奴らを叩きのめすより他ないか。
それとももう少し下僕を使い、様子を見るべきであろうか?
うむ、悩ましい所である。
「あら? その様子だとまたやられたみたいね? しっかりしてくれないと困るわ。幾らリーダーとはいえ、目に余る物があってよ?」
「黙れネメシス。お前に命令される覚えはない。まあ見ていろ、必ずこの次元の宇宙は……俺が支配してやる!」
別次元を通して話しかけてきたネメシスに対して、俺は強気な態度を示した。
そうだ、考えるなど俺らしくもない。
これからもっと強力な下僕を送り込んで、奴らを苦しめてやれば良いだけの事だ。
そしてそれでさえ怯まぬというのなら、この俺が直接相手をしてやる。
その時こそ、この宇宙は俺の物となるのだ。
焦る事はない。
戦いはまだ始まったばかりなのだから。
次回『真夜中の徘徊者』
ご期待ください!
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