ULTRA XROSS DREAM セブンガー&グリージョ feat.カミーラ 作:シャイマスΩ
第5話『真夜中の徘徊者』
--1--
さて、こちらもネメシスから補充のカードが届いた。
これであのグリージョとかいう奴もボコボコに出来るであろう。
ラティノもネメシスもまだ手こずっている状態。
先に支配してしまえば、リーダーの素質があるという事で下克上が出来る。
ラティノは脳筋の癖に、リーダー面してずっと気に入らなかったからな。
そろそろ痛い目を見て貰うとしよう。
「さあ諸君、諸君は地球を支配するに相応しい存在だ。その能力を充分に発揮して、務めを果たしたまえ」
俺は振り返った先にいた三人の人物にそう言い、三人はニヤニヤと笑みを浮かべながら『了解』の言葉を返した。
【宇宙忍者 バルタン星人 二代目】
バルタン星人の一人であり、胸に付いたあらゆる光線を跳ね返す『スペルゲン反射光』と呼ばれる装備が特徴的。
【凶悪宇宙人 ザラブ星人】
変身能力を持つ宇宙人で、かつてウルトラ戦士に化けて地球侵略を行なった。
【凶悪地底怪人 地底人】
氷河期の頃から地底で暮らしている種族で、『テレスドン』と呼ばれる怪獣を使役している。
実に良い人選だ。
それぞれが高い知能を持ち、地底人に至っては強力な怪獣を従えている。
負ける訳がない。
グリージョもいよいよ最期の時であるな。
しかし残念ながら、幾ら働いたとしても彼らに地球はあげられない。
地球を支配した後、纏めてあの世に送ってやろう。
あくまでその資格を持っているのは、この俺だけなのだから。
--2--
時刻は午前零時。
眠気と苛立ちを抑えながら、私はこの間知り合ったグリージョことアサヒ、そしてE.G.I.Sの社長である佐々木カナと共に街に出ていた。
何でも最近、ここらで徘徊している集団がいるらしい。
全く、こんな時代に宗教とはレトロな連中である。
とりあえずさっさととっ捕まえて、ベッドに潜りたい所だ。
どうせ理由なんて、神の信仰とかそういう物であるだろうし。
「ピリカさん、どうですか?」
「ううん……まだ反応はないかな? とりあえず、もう少し探してみる必要があるかも」
「全く、さっさと出てきてくれないかしらね? こちとら眠くて、倒れそうだってのに」
カナちゃんの言う事は最もだ。
しかし今回の捜索をするにあたり、発見率を上げる為に人体に反応するセンサーを持ってきている。
それからの反応は今の所ない。
ボヤいた所で、まだ帰れないのは明白。
私の予測では、一時間は探し回る事になるのではないだろうか?
「あれあれ? こんな時間にお散歩ですか? ハッピーハッピーじゃないですよ?」
私達は違和感のあまり足を止めた。
今、確かにアサヒの声が聞こえた。
しかしアサヒはここにいて、しかも口調が少し違う気がしている。
だとすると、この声は偽者?
しかし幾ら声真似とはいえ、ここまでクオリティが高い物があるだろうか?
或いは……
「ザラブ星人、その辺りにしておけ。我々の目的は揶揄いではないのだ」
「フン、お前に言われなくても分かっている。この私の力を、奴らに見せただけさ」
続けて聞こえてきた二つの声。
しかし反応してそちらを向くより先に、サングラスに黒いコートを着た謎の集団が私達の周りを取り囲んでいた。
コイツらが徘徊者の正体?
何とも物騒な者達であろうか?
まるで映画の世界の出来事である。
「悪く思うなよ? お前達は私達を見てしまった。生かして帰す訳にはいかない……ここで殺す」
「お生憎様。私達は警備組織でね? 簡単にやられてやる程、優しくないわよ?」
カナちゃんは腰に携えていた警棒を取り出し、眼前のサングラスの人物に飛びかかった。
しかしサングラスの人物は左に移動して振り下ろされた警棒をかわし、カナちゃんの腹部に膝蹴りを打ち込む。
カナちゃんは痛みのあまりその場で膝を着き、私はカナちゃんの名前を叫びながら側へ駆け寄った。
ザラブと呼ばれていた人物と一緒にいる時から薄々気付いてはいたが、やはりコイツらも人間ではないらしい。
推測でしかないが、光を嫌う宇宙人と言った所であろうか?
「よくもこんな事を……絶対に許しませんよ! 宇宙人なら、私が相手します!!」
「威勢がいいな、ならばこちらも切り札を呼び出そう。来い……地底怪獣テレスドン!!」
サングラスの人物が空を見て叫び、それに応える様に地面から一体の巨大な怪物が出現した。
あれがコイツらの切り札。
何と大きい怪獣であろう。
それに表皮も硬そうで、一筋縄ではいかなそうだ。
「では我々も……」
「行くとしようか。フォッフォッフォッ! フォッフォッフォッフォッフォッ!!」
テレスドン出現に合わせたかの様に蝉の様なボディと鋏の様な両腕が特徴の人物がザラブの隣に並び、共に体を発光させると巨大な姿へと変身した。
またこの構図。
これでは、アサヒがグリージョになったとしても不利である。
しかも前とは違って、知能が高そうな奴が二人もいる。
連携を取られたら、それだけで勝てる確率はグッと下がってしまう。
だからといって撤退を選んだとしても、逃げ切れる確率は低いと言っていい。
はあ、頭を悩ませる問題であるな。
深夜だというのに……
--3--
今目の前には、三体の巨大なる敵が並んでいる。
カナさんは攻撃を受けて動けず、ピリカさんは介抱で手一杯。
私が戦うしかない。
しかし果たして勝てるのだろうか?
三体共、中々強そうに見えるのだが。
「アサヒ、ここは一旦逃げよう。幾ら何でも、この状況は不利過ぎる。グリージョになっても、勝てる保証はないよ?」
「……いえ、私は逃げません! 私だってウルトラマンです。ピリカさんとカナさんを守る為に、全力を尽くします!!」
私は表情をキリッとさせ、ピリカさん達の前に立った。
今の一言で目が覚めた。
そう、勝てる勝てないの問題じゃない。
二人を守れるのは私だけ。
私がやるしかないんだ。
たとえどんなに数が多く、強大な敵であったとしても。
「星まで届け! 乙女のハッピー!!」
叫び声と共にオレンジ色の光が私の体を覆い、オレンジと銀のカラーリングをした『グリージョ』へと姿が変わった。
そのまま体は巨大化を行い、光が弾けると共に私は変身を完了してゆっくりと構えを取る。
「ハッピー! 私はウルトラウーマングリージョ! あなた達の様な悪い人には、反省して貰います!!」
親指と小指を立てた右手を空に突き上げ、私は三体を指差した。
「反省だと? そんな事する前に貴様を葬ってくれるわ!!」
「フォッフォッフォッフォッ! フォッフォッフォッフォッフォッ!!」
ザラブと蝉の様な怪人が嘲笑いながら私の言葉を一蹴し、ザラブは両手を前に出すとロケット弾の様な物を発射してきた。
私は真上に飛んでそれをかわし、テレスドンの背後に移動すると背中を掴んで力を込め、横に投げ飛ばす。
テレスドンの体はゴロゴロと転がり、蝉の様な怪人がそんなテレスドンを飛び越えて鋏の様な腕を振り下ろしたが私は横に移動してそれをかわした。
そして蝉の様な怪人の腹部めがけて、蹴りを一発放った。
しかし--
「フォッフォッフォッ!!」
蝉の様な怪人は笑い声と共に二つに分裂し、私の蹴りは空を切って大きくバランスが崩れた。
それに驚く暇もなく今度はテレスドンの口から火炎、ザラブからロケット弾が発射され、私の体は爆発を起こした後に前に吹き飛んで仰向けに倒れ込んだ。
更に元に戻った蝉の様な怪人が両腕を前に出し、そこから白い光線を発射する。
私の体はまた爆発を起こし、胸のクリスタルが青から赤に変わって点滅を始めた。
やっぱりダメなんだろうか?
私一人では、彼らを一体も倒す事は出来ないのだろうか?
このままではやられてしまう。
折角この地球に来て、ピリカさんやカナさんと知り合えたというのに。
「グリージョ! 負けないで! 頑張って!!」
「グリージョ……あなただけが頼りなの……お願い……頑張って……」
真下から聞こえた二人の声。
私はまた目が覚め、ゆっくりと立ち上がった。
まだ、負ける訳にはいかない。
私には守るべき人達がいる。
こんな所で、倒れている場合じゃない。
「フハハハ! トドメは私が貴様となって、屈辱を味わいながら死んで貰おう。ほらほら……ハッピーハッピー!!」
ザラブはグリージョと同じ姿に変わり、私に対して煽りの行動を取った。
私はそれを見て怒りに燃え、素早く接近すると胸部にパンチを打ち込む。
グリージョの姿をしたザラブは後ろに吹き飛び、その衝撃によって元の姿に戻った。
その煽りには感謝しておこう。
純情なる乙女に化け、煽りをかけた事で私のやる気はもっと高くなった。
今なら勝てる気がする。
珍しく怒りを纏った、今ならば。
横からテレスドンが迫って来たが私は左腕でそれを受け止め、下に弾き飛ばすとテレスドンの方を向いて往復ビンタを顔面に何度も打ち込んだ。
テレスドンは反撃すら出来ずにサンドバッグの状態となり、私は腹部に蹴りを打ち込んでその体を大きく後ろに吹き飛ばす。
テレスドンは地面に倒れ込んだが私はそれを最後まで確認せず、今度は蝉の様な怪人の方へと体を向けた。
蝉の様な怪人は今の私を見て怯んでいる様子だった。
しかし私は構わずに両腕にオレンジ色のエネルギーを集め、それを十字に組んで構えを取った。
「反省しなさい! グリージョショット!!」
私は十字に組んだ腕から光線を発射し、同時に蝉の様な怪人の胸部が開いて反射板の様な物が出現した。
私の光線は反射板に当たって明後日の方向に弾かれ、ザラブが吹き飛んだ方向から叫び声と爆発音が聞こえてきた。
きっと私の光線は、ザラブに当たったのだろう。
でもこんな事で、慌てている場合じゃない。
私にはもう時間がない。
申し訳ないが、このまま一気に決めさせて貰う。
「ウウウウッ! ハッピー!!」
私は光線の力を上昇させ、それを胸部から顔面の位置へと一気に持っていった。
蝉の様な怪人は顔面に大きな爆発を起こし、反射板を広げたままゆっくりと後ろに倒れ込んだ。
私は十字を解き、親指と小指を立てた両手を胸元に近づけた。
分身を使えば、私の光線など避けられたであろう。
しかし蝉の様な怪人は当たらないと確信を持ってしまい、何もせずに光線を反射し続けた。
そこに隙が生まれた。
その隙を突いた私の、作戦勝ちである。
--4--
全く、どうしてこうも役立たずばかりなのだ?
苛立ちのあまり、戻ってきた奴全員を消し炭にしてしまったではないか。
あと一歩まで追い込んでも、その一歩が届かなければ意味がない。
どうやら侵略者という連中は、そこが理解出来ていない者が多い様だ。
バルタンが持っていた反射光はグリージョにとって最大の障害となる筈だった。
だが奴自身の慢心が、その無敵の武器に僅かなる隙を与えてしまったのだ。
まあ、慢心に関して言えばザラブも地底人も同じくしていただろうが。
「グリージョよ、お前は運が良いだけだ。俺が直々に動けば、お前など一瞬で倒せる。だがまだその時ではない。暫くは刺客を送り込んで、遊ばせてもらうぞ。アハハハ!!」
夜空を見上げ、俺は高らかに笑った。
そうだ、焦る事なんて何一つない。
グリージョとて決して無敵ではない。
何処かにある弱点を突いてしまえば、俺が消し飛ばした奴らの様に脆く崩れ落ちてしまうのだから。
次回『メフィラスは笑う』
ご期待ください!
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