月の導き   作:ゴールド@モーさん好き

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夜桜と月 後日談sideS・Y

【夜桜と月】

 

 今日は皆で集まってお花見、お昼に集まって遊んで夜にご馳走を食べる。

 やってる事は正直ピクニックやキャンプおあんま変わらないけど、楽しいからいいやって思った。

 

「あれ?」

 

 ユーノくんはどこだろう? 

 気がついたらユーノくんが見当たらなかった。こういう時は何時もなのはちゃんや高町家の人達と一緒に居る事が多いから少し不思議に思い、私もみんなの所から少し離れてユーノくんを探してみた。

 そしたら案外はやく見つかった、歩いてちょっとした所にあるベンチに座って空を見上げていた。

 

「ユーノくん」

「あれ? すずか? どうしたのこんな所で、皆と一緒じゃなくていいの?」

「いやどうしたのはこっちの台詞だよ、せっかくのお花見なのに一人でこんな所に居るんだから」

「あ〜……ちょっと疲れて落ち着こうかなってね、ソレにココ結構いい所だよ」

「?」

 

 そう言ってユーノくんは私もベンチに座るよう手巻きしてくる。よく分からないけどとりあえず隣に座ってみる。

 

「今日はさ、月が綺麗だよね」

「うぇ?!」

「ほら」

 

 ユーノくんは目線を私から空へと向け、指さした夜空には確かに綺麗な満月が光っていた。

 

「あ……そ、そうだね」

「ここカラダと桜の隣にあるように見えて結構気に入ったんだよね、写真なんかも撮っちゃった」

「そう、だね。うん、キレイだね」

「すずか? どうしたの、もしかして体調悪い?」

「いや、なんでもない平気だよ」

 

 いきなり〝告白〟されたと思ってびっくりした‪──‬なんて、口が裂けても言えないよ。というより、よくよく考えてみれば異世界人のユーノくんがあの言葉の意味なんて知ってる訳ないか。それに…………

 

(ユーノくんが好きなのは‪──‬)

 

 そこまで考えてもうどうでも良くなったのか、やぶれかぶれか、はたまた未だに進展しない友人達へのお返しか、つい〝本心〟が零れてしまった。

 

「本当に‪──‬〝月が、綺麗ですね〟」

「…………」

「そうだ! さっき言ってた写真、私にも見せてよ」

「え? いいけど……本当にココから撮っただけだからそれ程変わらないよ?」

「いいのいいの、現物と写真って似てるようで違う印象持つことだってあるんだから」

 

 私は咄嗟に話題を変えた。こんなにも胸が苦しくなるのなら、いっその事言わなければ良かったなんて風にも一瞬思った。けど、仕方ないよね? だって‪──‬

 

 

 私だって、好きなんだもん! 

 

 

【後日談‪──‬side S】

 

 

 夜桜と月後日談

 この間の花見の翌日、私は‪──‬

 

「え? ユーノくんその言葉の意味知っとるよ?」

 

 最大の窮地に立たされていました。

 はやてちゃんから、昨日の花見途中からユーノくんと2人でどっか行ってたけど何していたのかを聞かれ、その事の顛末を話した。

 ちょっとした笑い話にでもなるかと思い、"あの言葉"についても話した、そし

 たらさっきの言葉だ⋯⋯⋯え? 

 

「え、嘘でしょ? だってユーノくんはミッドの人で⋯」

「まぁそうなんやけどな? こっちの世界の本に興味があるからって言うたから、

 ユーノくんの趣味嗜好そんな知らんし適当に有名所な本渡したんよ。だから,月

 がきれいですね"っていう言葉の隠れた意味もしっとるよ」

 

 私は唖然としてしまった、今の私の顔はきっとポカンっと口を開けた正にまぬけづらと呼ぶにふさわしい顔になっている事だろう。

 

「で、でもたまたまそのまんま月が綺麗だったからそう言った可能性も⋯」

「確かにその可能性もあるかもやけど、あのユーノくんやで? 本を渡す時に有名なのは教えてるし、本が好きなすずかちゃんなら知ってるんじゃないか? って、そんなデリカシーの無い発言はしないと思うよ」

「つ、つまり?」

「ユーノくんは知った上で、すずかちゃんが知っていると考えた上で、"あえて

 その言葉を使った"んじゃないかな」

「…………」

 

 もう、言葉が出ない。私は熱くなる顔を机に突っ伏して、机の冷たさでどうにか火照りを抜こうと試みるも無駄な模様だ。

 

「で、でも、その話が本当だったとしても、ユーノ君が好きなのは私じゃなくて⋯私じゃ、なくて」

「まぁ、そう思うよな」

 

 当たり前だ、そう心の中で1人ごちる。あの二人はどう見ても,"特別"だ、"あ

 の二人の間"にはどうやっても入れない。それ程までに彼らは近く、強く繋がっ

 ている。

 

「まぁ私もそう思ったんやけどね? でもどうやらそういう訳じゃないらしい」

「確かに二人に聞けば帰ってくるのは『大切な友達』とか、『魔法の先生』とか恋とは遠いピュア回答ばっかだけどさ⋯⋯そうだとしても自覚が無いだけって思うよ」

「でもなぁ⋯⋯」

「?」

 

 はやてはなんで今回に限ってこんなにも食い下がるのだろうか? 今までも確かに

 二人を揶揄うような言動はしたがここまでしつこく‪──‬

 

「こないだ試しに『なのはちゃんとは違うって言うんなら、別に誰か好きな人おるん?』っ

 て冗談半分で聞いたら」

《は、はぁ?! 何言ってるんだよはやては! そんなの居るわけないでしょ、全く人

 の恋路にばっか興味示してたら何時か取り残されちゃうよ!》

「って顔を赤らめながら言うてたんよ」

「え?」

(ユーノくんに好きな人が居る?)

 

 その情報が、私を確かに狂わせた。会話の流れからなのはちゃんでは無い可能性が高く、そしてこないだの言動とはやてからの情報⋯⋯⋯それらの事を鑑みて、私は確かに思ってしまった。

 

(もしかしたら本当に私とユーノくんは)

 

 そこまで考えてしまったらもう止まらない、元より恋する乙女とは誰にも止められないものだ。そして何より私は昨日決心した筈だ、自分で狼煙をあげたはずだ、それならば‪──‬

 

「ねぇはやて」

「なんやすずかちゃん?」

「ありがとう、教えてくれて。わたし‪──‬自分に素直になる」

「そうかい、なら私は皆を応援しようかな」

「えぇ? ここまで発破かけといてその言い草はあんまりじゃない?」

「私は皆の恋のキューピットやからねぇ、皆を応援する義務があるんよ」

「すごい、ここまで出歯亀を包み隠さず言う人初めて見た。ユーノくんの言う通り本当に貰い手居なくなるよ?」

「皆そう言うけど酷くない?!」

 

 いや、至って真っ当な反応だと思うんだけどな⋯⋯ま、いっか。

 とにかく、善は急げだ。今度いつ遊べるかユーノくんに聞いてみよ、タイミング次第だけどお泊まり会も視野に入れて⋯⋯

 

 

 

 

 尚、ユーノくんと遊べる日は最短でも1ヶ月は後だと知らされ、出鼻をくじかれるのはほんの少し後のお話。

 

 

 

【後日談‪──‬sideY】

 

 

 あの花見から二週間、あの後僕は逃げるようにミッドチルダに戻った。ソレは

 もう脱兎のごとく逃げてきた、理由は明白だ。

 

(ぼく、なんであんな事言っちゃったんだろ⋯⋯)

 

 思い返すのは、花見の時にすずかへ言った言葉。

 

『月が綺麗だよね』

 

(あの言葉は"すずかの世界"ではそのまま月を褒める以外にも、貴方が好きで

 すという隠れた意味がある⋯⋯聞いた話によるとかなり有名らしいから本好きであるすずかは知ってて当然なのに、当然だと考えて然るべきなのに⋯⋯)

「ほんと、僕って意気地無しだよね。好きな女の子に対して綺麗だって一言すら、まっすぐ伝えられないなんて⋯⋯⋯あ〜もう今度からどうやってすずかの顔見よう」

 

 いやほんと、これめっちゃ大事な事。何故かって? こないだの花見から、何

 回もすずかから遊びのお誘いが止まらない。

 

(いやね? 好きな人からお誘い受けるのは物凄く嬉しいし、なんなら行きたい

 んだけどこないだの事があった手前会いづらいし⋯⋯でもそろそろ腹くくらないと本当に愛想つかれそうだし⋯⋯)

 

 よし! 次お誘いきたらどんな事があっても受けるぞ! 男になれ、僕! 

 そう息巻いているケータイに電話がかかってきた。

 

「ん? 誰だろうって、すずか?!」

 

 件の人物から早速電話が来たもんだから驚いたが、すぐ落ち着いて電話に出る。

 

『もしもしユーノくん? 今ちょっといいかな』

「うん、大丈夫だよ」

『ほんと? じゃあ早速本題なんだけど、こないだ言ってたまたこっちに来れそ

 うな日程って分かった?』

「え?」

『えって何? もしかしてまだ予定が不確定で決まってなかったり⋯』

「いや全然大丈夫だよ! うん、本当に大丈夫だよ! 来週の金曜日から一週間

 位はそっちに滞在できるよ!」

 

 忘れてた、すずかには会うの恥ずかしくて適当に"無限書庫が忙しくてそっち

 に行けない"って伝えてたんだった。本当は僕しか開拓に興味ないから開拓は僕

 が申請するかどうかで決まるのに⋯⋯

 

『本当! 良かった!』

「そ、それでさ? 僕ここの所最近すずかのお誘い殆ど断ってたじゃん? だか

 らそのお詫びと言ってはなんだけど、休みの間はすずかがやりたい事になんでも付き合うよ」

『え、でも⋯⋯それじゃユーノくんに悪いような、せっかくの休みなのに"全部

 "私で独り占めなんて⋯』

「いいよいいよ、こちらこそ断り続けてごめんね?」

『うーん⋯⋯本当になんでもいいの?』

「うん! 男に二言はないよ!」

 

 っと、すずかに見えないのに無意味に胸を叩いて見せた。これが、生き地獄の

 始まりとは、この時全くもって予想していなかった。

 

『本当! ありがとう! それなら"休みの間ずっと私の家でお泊まり会"しましょ!』

 

 

 

 

 

 

「え?」

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