エースストライクウィッチーズ 〜因果は交わり、新たなifへと〜   作:writer

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( 主)「は〜い、用意すた〜と」


狼と魔女の邂逅

ーこのフェンリアにガンランチャーを?ー

ーあぁ。来たるべき兵器を乗せるため、大型機なら どこまで耐えれるかテストしたい…ー 

ーならば重さがネックだなー

ー機銃を替えよう。12.7mmガトリングにすれば…ー

 

ーテストは成功だ!このデータをエストバキアに持っていくよー

ー分かった。もうレサスは駄目だからな…ー

 

ーなぁフェンリア。お前は自分の誕生を呪うかもしれないが、いつかきっと報われる…僕はそう信じているんだ…ー

 

 いくつもの記憶。自分が製作された背景や、製作中の技術者達の会話が走馬灯のように過ぎった。

 レサスの保有するアーケロン工場要塞が燃え盛る中、俺は目覚めていた。

 無機質な金属の冷たい身体が、今や熱で熱くなっていた。

 誰かが歩み寄ってくる。俺が製作された時にやって来たテストパイロット兼技術者の男だ。

 この男と一緒にいるのは楽しかった。俺は喋れないが、まるで俺がいるのを知ってるかのように話しかけてくれた。話題は尽きなかった。無論、製作された裏も話してくれた…

 心底自分が製作されたのを呪った。今やアーケロン工場要塞は業火に焼き尽くされ、消え去ろうとしている。

 早く逃げなければならないのに、この男は俺の元まで歩いてきた。

 

「…戦争が終わる。これが終われば、レサスはオーレリアの監視の元、戦後復興が行われるだろう…」

 

 それでいい。俺のような物は無くていい。レサスのエース部隊のアレクト隊ですら、彼を落とせなかった。

 

「しかし…オーレリアのエースは強いな…グレイプニルもフェンリアも、レサスの誇るエース部隊も勝てなかった…」

 

 オーレリアのエースとは、先程この基地内を破壊してきた機体だろう。レサスより『ネメシス』と呼ばれたエース。グリフィスの事だ。驚くべき操縦技術だった。狭い要塞内を飛び、俺達を破壊して周って脱出していった。

 レサスがオーレリアを相手に勝ちそうになった時に現れた特異点。彼が現れてから瞬く間に制空権が奪取され始め、超兵器グレイプニルも撃墜された。

 そしてオーレリアの首都までもを奪還された。そう彼1人が現れたお陰だった。

 そして起死回生を狙って製作されていたのが、俺達だった。俺はその中でも特別で、エストバキアで製作計画の戦闘機に装備される予定の兵器をテストしていた。

 最後に装備された兵器がそのまま搭載されている。

 内蔵式150mmガンランチャー。榴弾や炸薬入り徹甲弾、そしてミサイルをそれぞれ2発ずつ搭載している。これらは回転弾倉によって装填されている。撃つ時に格納された砲身が出て来る為、光学迷彩に影響は無い。最も、これは後程技術の進化でレールガンに換装される予定らしい。

 もう1つの兵器もあったが、それは今取り外されている。俺はガンランチャーが好きだがな。

 

「なぁフェンリア。自分を恨むな…来世はその力を…持たざる弱い人々に使え…」

 

 技術者は動かなくなった。見ると血が溢れていた。

 これで俺は1人になった。それでいい…

 コックピットには2つのとある物が置かれている。1つは彼の護身用の古い拳銃。そしてもう1つは、彼がレサスを去る時、ある子供から貰った御守だった。

 俺の中に置いて逝くなんて、お転婆な奴だ…

 要塞が震えている。

 基地にはショックカノンがあったはずだ。その燃料やフェンリアに搭載される予定だったミサイルに引火しつつあるのだろう。

 1つ心残りなのは、弱い人々を…故郷の人々のために空を飛べなかった事だろう。

 後の祭りだが、それだけが心残りだ。

 業火に飲み込まれる寸前、コックピットの電源勝手に入った。システムの作動を文字に表す画面に、1つの言葉が浮かんでいた。

 

『さよなら』

 

 特殊燃料に引火し、要塞内部が果てしない爆発が生まれた。

 フェンリアはその爆発の中に消えて行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひやりとした冷たい空気が身を包む。人の声も機械の音も、工具の音も聞こえない。警報機の音も聞こえない。

 ただ静かだ。風を切る音と高高度の冷たさが彼を起こした。

 

「…ここは…どこだ…?」

 

 覚醒しきれていない目で、辺りを見回す。

 そこは要塞内部のコンクリートではなく、夜の大空だった。眼下に広がる地上と、夜空を覆う星空と青い月が印象的だ。

 

「綺麗だ…夜はこんなに美しいのか…」

 

 1人呟く彼。だがそこで何かに気が付いた。

 

「ん?俺って今喋ったか?」

 

 自分の手で自分の顔を触る。

 目、鼻、口、耳…全て人間の顔になっていた。いや、人間の耳とは別に、狼の耳が側頭部から生えていた。

 

「…どうなってるんだ…俺は確かにアーケロン要塞で…」

 

 これが来世と言うのだろうか?それとも技術者が言っていた転生なのか?彼は困惑したが、それと同時に2つの感情が芽生えていた。

 受肉した喜びと、生きているという悲しみだ。生き残ってしまったと言うのが正しいだろう。

 

「…とにかくまずは武装だ…」

 

 彼は武装をチェックし始めた。

 中距離6AAM、長距離ASM、改良型HVAA、クラスター爆弾、150mmガンランチャー、ガトリング銃…そしてHPMとLSWM、光学迷彩も使えるようだ。

 

「妙だな…どれがどの武装なのかが判る…と言うか左手のこの複合銃がHPMとLSWMか…」

 

 彼の左手の銃は、映画ターミ○ーターの冒頭のプラズマライフルを模したと思われる銃が握られている。

 太い銃身はHPM、細い銃身は旧世代の戦艦カタパルトに模されており、1発の細長い巡航ミサイルのような物体が乗っている。これがLSWMなのだろう。

 右手にはキャリコM950に、銃身をガトリング砲のように束ねた銃火器が握られている。

 男性として転生したからか、ガッシリとした身体付きで、全身が特殊なアーマーで覆われている。

 左右の腸骨辺りには、水平方向に可動する2次元ベクタードノズル付きのエンジンが備えられており、腰には下方90度前後までの排気偏向が可能な中央エンジンが備えられている。

 両肩甲骨辺りには、あの150mmガンランチャーが取り付けられている。丁度腰の少し上辺りには、IEWSのポッドが取り付けられている。そして上半身の前面のアーマーにはミサイルを格納する箱が付けられている。

 そして頭には、機首を模したアーマーが取り付けられており、それは顔を覆ったり出来る。

 不思議な事に、エネルギー兵器や光学迷彩が普通に使用できるようだ。

 

「一体どうなってる?なぜエネルギー兵器や光学迷彩が使える?それにここはどこだ?」

 

 彼は自身に記録されたオーレリアとレサスの地図を出した。だがその2ヶ国どころか、オーシア大陸すら無いのだ。

 

「こんな世界初めてだ…知らない世界に来てしまったのか…」

 

 星空の中、彼は途方に暮れてしまった。

 そんな彼の耳元に、何かの通信が入った。

 

「無線?こんな夜中なのにか?」

「こ…ら、501…隊バル……ルン!新型ネウ…イと交戦…!」

 

 女性の声だ。無線の調子が悪いと言うより、何かの妨害を受けている様子だ。しかもかなり戦況もマズイようだ。

 彼の行動は早かった。

 

「やれやれだ。お前は出撃する時、こんな気持ちだったのか?グリフィス…」

 

 満点の星空。その一角を見つめた。

 間違いない。あの機体のマーク。南十字星が輝いて見えた。

 

「彼女らを助ける事…そしてこの世界で戦う事で、助かる命があるとしたら…俺はその為に戦おう…」

 

 無線は無かったが、本能で彼女らに無線が届く事を知っていた。

 

「こちらレサス空軍所属、特殊大型戦闘機フェンリア。援軍としてそちらに急行する!コフィンシステム及び光学迷彩作動!奇襲をかける!」

 

 アーマーはフェンリアの意志に従い、頭を覆うとその姿を星空に融かした。

 彼はエンジンのアフターバーナーを吹かすと、無線の飛んできた方向に向けて飛び去った。

 姿は見えないが、アフターバーナーと、時折光学迷彩の青白い光が輪郭を作る。地上から空を見ていた者達は、この光景を口々に語り、噂は瞬く間に広がった。

 

『姿無き青い彗星が飛んでいた』と…

 

 

 

 

 

 501統合戦闘航空団は死闘を繰り広げていた。

 この世界はネウロイと呼ばれる謎の存在に攻撃され、あらゆる土地を奪われた。

 人類はネウロイに対抗すべく、技術を結集して徹底抗戦の構えを見せた。その過程で生まれた切り札がストライクユニット。そしてそのユニットを装着して空を飛び、ネウロイを倒す少女らを、人類はストライクウィッチーズと呼んだ。

 501統合戦闘航空団は、そのウィッチーズの精鋭の1つだ。これまでにガリアとロマーニャを解放したこの航空団が、今ネウロイの総攻撃の前に防戦一方だった。

 

「このっ!」

 

 2丁のMG機関銃でネウロイを攻撃する撃墜王の1人、バルクホルンも苦戦を強いられていた。

 

「バルクホルンさん!大丈夫ですか!」

 

 今回彼女の2番機として飛んでいる宮藤芳佳は、そのアシストっぷりを発揮し、時に盾としている。

 

「あぁなんとかな…くそっ、速い!」

「まさかネウロイが、ウォーロックの姿をコピーしているだなんて…」

「新型のストライクーユニットがあれば…」

 

 501部隊の指揮官のミーナと、もう1人の撃墜王ハルトマンが合流する。

 周囲には501のメンバーも2人1組でネウロイを攻撃するが、相手も2機1組で交代しながら攻撃してくる。

 それにレシプロを基本としているストライカーユニットに対し、相手はジェットエンジンを着けたタイプ。武装面でも負けてると言った感じが否めない。

 ミーナが言ったウォーロックとは、ガリアを解放する前にマロニー空軍大将がネウロイの技術を用いて作った戦闘兵器だ。

 火力、速度、防御面でもウィッチを越えるとされたが、ウォーロックに搭載されたネウロイのコアが自我を持った結果、坂本美緒、宮藤、ペリーヌを襲い、扶桑海軍空母赤城を撃沈。

 その後は隠していたストライカーユニットを装着した宮藤と交戦し途中でリネットの狙撃で海に墜落した。が、撃沈した赤城と融合してネウロイでもウォーロックでも何者でも無いものになった。

 そして501部隊の奮戦にてウォーロックは消え去った。

 が、ネウロイはこのウォーロックの存在をコピーし、目の上のたん瘤である501を潰しに来たのだ。

 

「切りが無いよ〜!」

「滅茶苦茶硬いし速い!」

「駄目だ…私の予測射撃が当たらない…!」

「ロケットが速度に追い付いてない…!」

「トレイルが効かない!」

「速すぎて…狙いが!」

 

 それぞれが特技を生かして攻撃を加えるが、多勢に無勢。亜音速を越える速度で一撃離脱をしてくるウォーロックが全て12機。決定打に欠ける戦いに、もはや耐えるしか無い。

 

「どうするんだミーナ!?」

「あせらないでバルクホルン!全機後退しながら射撃して!」

「こ…らレ………空……属、フェ…リア」

「何だ?誰からの無線だ?」

 

 シャーリーが銃を撃つ片手間にインカムを弄る。

 

「援…としてそ…らに急……する!」

「雑音が…クソっ!」

 

 無線は全員に聞こえていた。だが雑音が酷くて何を言ってるのか分からない。

 そしてバルクホルンはその雑音に気を取られてしまい、再度攻撃に移ろうとしたウォーロックに気が付かなかった。

 

「はっ!トゥルーデ!」

 

 ハルトマンが気が付いたが、その距離は必中の距離。避けようが無い。

 

「しまっ…!?」

 

 眼前が真っ赤に染まる。ウォーロックのレーザーは一撃でネウロイを消滅させる威力を誇る。

 それが至近距離で放たれようとしている。

 

「バルクホルンさん!」

 

 宮藤が手を伸ばすが、もはや間に合わない。

 バルクホルンの脳内に走馬灯が浮かんだ。だが…

 

『FOX2!』

 

 レーザーが放たれる寸前、ウォーロックの側面に2発の飛翔体が命中。レーザーは見当違いの方向に飛び去った。

 そして何かがバルクホルンの前に立ちはだかる。それは手に持った銃をウォーロックに向け、コアのある部位を集中的に撃った。

 圧倒的な連射速度を持ったその銃は、銃声を1つ綴りに奏で上げた。

 銃弾はウォーロックのコアを撃ち抜き、無数の白い破片に変化させた。

 

「あっ…あぁ…」

「な、何が…」

 

 気が動転したバルクホルンと宮藤の目の前でそれは姿を現した。

 青白い輪郭がそれを作り出した。全身未知のアーマーに身を包んだ男性が目の前を飛んでいた。

 

「…君達。無事か?」

 

 

 

 

 無線を入れたはいいが、最大速度で飛んだらあっという間に着いてしまった。

 目に入った光景は、人型の兵器に攻撃される空を飛ぶ少女達だった。そして少女の1人が攻撃を受けそうになった。

 秘匿すべきかと思ったが、手段を選んでる時間は無い。

 

「安全装置解除。FOX2!」

 

 放たれた改良型HVAAは、ステルス性能を含んだミサイルだ。あの敵がミサイル接近を知らせる装置があったとしても、回避するには常に回避行動を取っておかなくてはならない。

 ましてや静止したままの油断した状況。当たる事は必然だった。

 ミサイルは側面に当たった。爆発の影響で敵のレーザーは逸れた。

 

「もらった!」 

 

 少女らと人型兵器の間に割り込み、12.7mmガトリングを叩き込む。

 その弱点と思われる中央を砕いた。 

 人型兵器は爆散し、白い破片を撒き散らした。

 

「…君達。無事か?」

「あっ、あぁ…」

「もう少しで君はこの世から消えるところだった…間に合って良かったよ…」

「あの…あなたは…」

 

 ひどく幼い少女が傍らに飛んでいる。中学生ぐらいだろうか…彼女らまでが戦争に駆り出される事に、フェンリアは心を痛めていた。

 

「それは後にしよう…下がって…無線封止解除!これより眼前の人型兵器の殲滅する!レサス空軍フェンリア、エンゲージ!」

 

 

 

 

 もう少しでこの世から消える。

 彼の言葉がバルクホルンの心に突き刺さった。

 

「ーデ!トゥルーデ!」

「はっ!あ、ハルトマンか…」

「大丈夫?」

「あぁ…平気だ…」

 

 初めて生と死の間際に立った。

 宮藤が近くにいたが、今来た男がいなければ確かに死んでいた。

 生きている事に…そして今はあの男に感謝しようと決めた。

 

「バルクホルンさん…」

「大丈夫だ宮藤。もう大丈夫だ」

「おい…あれ見ろよ…」

 

 エイラが呆然とした表情で上空を指差す。

 その方向には、既に2機のウォーロックが血祭りに上げられていた。

 

「ウォーロックが一瞬で喰われた…」

「速度も技量もウォーロックを超越してる…」

 

 ペリーヌとミーナも呆然としている。

 今までウィッチを圧倒していたウォーロックが、赤子の手を捻るように喰われる光景が信じられないのだ。

 

「バケモンかよアイツは…」

「いや、命の恩人だよ。彼は…」

 

 シャーロットの化け物発言を消すように、バルクホルンの放った言葉によって、彼女に目線が集中した。

 それにも気付かず、バルクホルンは助けてくれた男に熱い視線を向けていた。 

 

 

 

 

「2機撃墜!」

 

 弱点を狙ってそれぞれにHVAAを撃ち込むと、簡単に爆散した。

 どうやら弱点以外を破壊すると回復するらしい。だがこれなら簡単にやれる。残り9機か…

 人型兵器がバラバラに襲い来る。レーザーに機銃とをばら撒いて面で攻撃して来た。

 

「生温い…オーレリアのエース機はこの程度ではなかったぞ!」

 

 フェンリアは闘気を漲らせ、マニューバで攻撃を尽く躱し逆襲にHVAAを正面から来る敵にヘッドオンを喰らわした。

 偶然が起きる。ミサイルは人型兵器の翼に当たってバランスを崩し、背後の追っ手の2機の内1機にぶつかったのだ。

 

「馬鹿かコイツら…FOX3!」

 

 クルビットの軌道を取り、背後でぶつかった2機ともう1機に6AAMを撃ち込んだ。

 ミサイルは上下左右から団子状態になった人型兵器の塊に突っ込み、弱点どころか装甲諸共吹き飛ばした。

 

「3機撃墜!次はお前らだ!」

 

 今度はこちらから仕掛ける。

 人型兵器の上を取る。速度はマッハ2.4だ。

 

『クククッ…やっぱりだ。マッハの世界に慣れてないんだな…』

 

 フェンリアはほくそ笑みながら、搭載された兵器の切り札の1つを用意した。

 

「ガンランチャーHE装填…急降下!」

 

 風を切る音で人型兵器が2機気が付いた。だが愚かにも避けるより迎撃と言う形を取った。

 

「愚か者め!マッハに慣れてなければ避けるのが当たり前だ素人め!1番、2番!順次発射!」

 

 両肩甲骨に衝撃が迸り、HE弾が放たれる。

 人型兵器がレーザーを放ったが、フェンリアはその時背後へ飛び去っていた。

 僅かに遅れて150mmHEが直撃した。

 人型兵器、ウォーロックはたかが砲弾と舐めてたのだろう。しかしそれは8.6kgの炸薬を満載した強力な爆発物。しかも分類で言えばウィッチと同じ様な存在のフェンリアが放った砲弾だ。

 150mmHEはウォーロックに直撃すると、旧世代の砲弾にも関わらずMBTすら只では済まない凶悪な破壊力を放出した。

 夜なのにも関わらず2つの太陽が生まれ、ウォーロック2機が炎に飲み込まれた。

 炎の中から現れたのは、ウォーロックの白い破片だった。

 

「おっと、逃すと思いか!」

 

 勢いを殺さずそのまま反転し、サラッと逃げようとしていたウォーロックに向けて機銃を放つ。

 飛行形態になったウォーロックはギリギリで致命傷を避けたが、エンジンに被弾してその速度を大幅に落としていた。

 

「お前には取っておきをプレゼントしてやる…HPM

、照射!」

 

 左手の銃。その太い銃口からプラズマ状の火球が放たれた。

 火球は意思を持った様にウォーロックの後を追い、その全身を取り込んだ。

 ウォーロックは尚も逃れようと足掻くが、HPMから逃げるには最低でもマッハ1.5は必要だ。エンジンを壊されたウォーロックに逃げれる術は無かった。

 燃料は無くとも、火球の温度上昇はウォーロックのコアを熱して破壊するには十分だった。

 ウォーロックが光に包まれ、そして爆散した。

 

「…敵人型兵器殲滅を確認…グリフィスの直掩機より弱かったな…」

 

 フェンリアは南十字星を見上げた。

 

「再戦が楽しみだよ…グリフィス…」

 

 

 

 

 

「…ウォーロック…全滅…」

 

 ミーナの声のニュアンスが何時もより外れている。

 何が起こったか?バルクホルンを失いそうになった時、突如現れた男が彼女を助け、ついでのようにウォーロックを殲滅した。

 文面は簡単だ。報告書もそれだけでいい。だが信じてもらえるはずがない。

 

「芳佳ちゃん…」

「凄い…12機のウォーロックを1人で…」

「1機撃墜したかったな〜」

「ハルトマンはどこかズレてるよ?」

 

 言いたい放題の彼女らの目の前に、月光を浴びつつ彼が降りてくる。

 

「確認してもいいか?怪我とかは無いな?」

「えぇ。何とか…あなたは?」

 

 ミーナが代表して質問する。

 

「そう言えば詳しい内容は話してなかった…レサス空軍所属、特殊大型戦闘機フェンリアだ」

「フェン…リア…?なぁ、それ本当に本名か?」

「え〜っと君は…」

「私はシャーロット・E・イェーガーだ。で、本名は?」

「よろしく…本名はフェンリアだ。元々俺は戦闘機そのものだ」

「「「「「えぇぇぇぇ!!」」」」」

 

 嘘を言っていないつもりだったが、彼女らには信じられないらしい。

 フェンリア自身、どうしたものかと考えていたが、それより別の所に目が行きがちだった。

 

『コイツらなんでスカートとか履いてないんだ?パンツ丸見えとか俺は犯罪者じゃないかよ…』

 

 しかも困った事に勘がいいのがいた。

 

「この人目のやり場に困ってる…私達がスカート履かないから…」

「本当かサーニャ?この変態め…」

「サーニャちゃんにエイラさん…」

「見られたく無かったら履けよ…つーか俺もこの世界の事知らないんだが…」

「ちょっと待て…あ、私はバルクホルンだ。まず助けてくれてありがとう。感謝する…それでだ。お前この世界で起こってる事を知らないのか?」

「逆に聞くが、お前らレサスって言うを国知ってるのか?」

 

 そこまで話してようやく『あっ…』と言う顔を作っていく。鈍感か?

 

「どうやら俺がいた世界とこことは違うらしい…さっきの人型兵器もそうだが、少女が飛んで戦ってるのも見たことない」

「本当なのか?」

「嘘は付かない…そもそも嘘による黒い世界を見てしまったしな…」

「あの…私はリネットと言います。詳しい話をしてもらっても?」

「お願いします…あ、私は宮藤芳佳です」

「ふんっ。ペリーヌ・クロステルマンですわ。私も興味があります」

「ハルトマンだよ。よろしくね〜」

「私ルッキーニだよ!」

「…サーニャ…です…」

「エイラだ…後こっち見んな…」

「あはは…501統合戦闘航空団隊長のミーナです」

 

 何か勝手に自己紹介してくれたな。ありがたい。

 

「皆よろしく。まず…」

 

 フェンリアは一部を除いて話せる事を話した。

 主にオーレリアとレサスの戦争についてだが、その過程で自分がどのように製作され、どういった経緯でここに来たのかを話した。

 見返りに、ミーナはこの世界の戦争を話した。

 

「ウォーロック…あれはそういう兵器だったのか」

「えぇ。人類の敵、ネウロイを倒す為に作られた兵器…それが今やネウロイにコピーされて…」

「君達を襲ってた訳か…」

「バルクホルンを助けてくれてありがとう」

「いや…俺は痩せこけた良心を癒やしたいだけだった…それに当たり前の事だしな」

 

 ミーナとフェンリアの会話を聞きながら、バルクホルンは『痩せこけた良心を癒やしたい』の言葉に心の中で頭を捻った。

 

『一体どういう事だ…何か隠してるのか…?』

「バルクホルンさん?」

「いや、何でもない…」

 

 宮藤が気遣いに応えると、バルクホルンは疑念を振り払った。

 

『いつか知れるといいがな…何だか私と似てる気がする』

 

 そうこうしてる内に、ミーナがとんでもない事を言い出した。

 

「もし身寄りが無ければ、私達の基地に来ませんか?」

「ちょっ!ミーナ!?何でこんな変態を!?」

「あのな…もういいや、否定すんのも面倒だ…」

 

 どうもエイラと言う少女とは合わないらしい。俺をそんな目で見ないでくれ…あ、でもアレクト隊とかは喜びそうだな。止めるけど。

 

「なぁ。フェンリアはどう思ってんだ?」

「どう言う意味だ?シャーロット」

「そのまんまだ。私はお前の意思を尊重する」

「私もシャーリーと同じだね」

「困ってる人をほっとけないよ」

「そうだね芳佳ちゃん」 

「ま、まぁ坂本少佐も誘うでしょうし、私も構いませんわ」

「私も賛成…」

「サーニャ!…全く…変な事すんなよ」

「私も別にいいよ。トゥルーデは?」

「…命の恩人をほっとく訳にはいかない…それに何となく私と似てる気がするしな…」

 

 …最後、バルクホルンが何か言ったようだが聞こえなかった。一部は渋々な様子だが、ともかく迎え入れてくれるようだ。

 だが彼は、俺にそんな資格があるとは思えなかった。

 悩む彼を後押ししたのは、バルクホルンだった。

 

「辛気臭いぞ。皆がいいって言ってるだ。お前も軍人なら受け入れろ」

 

 全くその通りだな…仕方ない。

 

「分かった…ならお言葉に甘えよう」

 

 ここまで言われたら本当に仕方ない。いくつか残る問題もあるが、何とかなるだろ。

 

「分かりました。正式な指示があるまで、あなたは我々の監視下に置く形になりますが、よろしいですか?」

「構わない…後、敬語はいい。その方がしゃべりやすい」

「ふふっ…分かった。ストライクウィッチーズ。帰投します!」

「「「「「了解!」」」」」

 

 俺はミーナ達の後ろを飛びながら、心の奥底の暗い闇を抱えていた。

 そんな様子を、バルクホルンはどこか悲しげな表情で心配していた…




( 主)「ストパン一発目です。フェンリアは自分の初エスコンである、ジョイントアサルトでの愛機です。ついでにCFA-44の試作データを加えたと言う設定のフェンリアを作りました。
え?他の連中加えたらマズイって?ラスボスが強けりゃいいっしょ?陸も海加えるんだろ?って?MGSがあるじゃない。それにエスコンにはヤベェ艦とか艦隊とかいるだろ?つまりそう言うことだ」
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