エースストライクウィッチーズ 〜因果は交わり、新たなifへと〜   作:writer

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( 主)「遅れたってレベルじゃねぇんだよなぁ...単純にストパンからAC6やアズレンに流れたってだけなんだが...不定期でもやっていきます!」


スエズ防衛戦 〜前編〜

 謎のメッセージによって全世界にばら撒かれた、ネウロイのスエズ奪取の動きは、人々を驚愕の渦に巻き込んだ。

 スエズ運河があるからこそ、欧州は何とか扶桑等の支援を受けて戦って来れたのだ。だがその玄関口を奪われたら、欧州全域がネウロイの手に落ちてしまうだろう。

 スエズ運河防衛の任を受けていたパットン将軍らの動きは早かった。ベルリン上空にあったネウロイの巣の移動進路を予測し、その進路上に持てる戦力全てを配置。3層に渡る防衛線を築き上げていた。

 それだけではなく、あちこちに応援を要請。ここ501部隊も例外ではなかった。

 

「ーー以上が、スエズ運河防衛作戦の概要です」

 

 ミーナの一通りの説明が終わる。全員の表情は固い。負ければ後が無いと言う絶望的な状況が、途轍もないプレッシャーとしてのしかかって来ているのだ。

 

「対空砲による第一防衛ライン。ウィッチーズによる第二防衛ライン。艦隊による第三防衛ラインか...それでも薄いな...」

「でも私達がやらないと!」

 

 シャーリーとルッキーニが作戦地図を見て戦意を燃やしている。他のメンバーも同様に、『やってやる』と言った気概が滲み出ていた。

 そんな中で、フェンリアとグリフィス、クラックスは冷静にこの戦いの予想を呟き合っていた。

 

「どう思う?フェンリア」

「...不確定事項を除けば、第一防衛ラインで防げるだろうな」

「ではやはり、グレイプニルが絡んでくると...」

「SWBMとショックカノンで空と地上を押さえられる。制空権を握られた中でも悠然と行動出来る化け物だからな」

「それにグレイプニルだけとは考えられないな。それ以外も来ると、我々だけでは辛い。各地に散らばっている連中が間に合えばいいが」

「間に合わなかったらどうなるんだ?フェンリア」

 

 話を聞いていたのか、バルクホルンがハルトマンを引き連れてやって来た。いつもはほんわかとしたハルトマンだが、今は引き締まった表情で真っ直ぐとフェンリア達を見据えていた。気付けば全員の視線が集まっている。そんな中、フェンリアは包み隠さず最悪のケースを口にした。

 

「スエズ運河は破られ、集めていた対ネウロイ戦力の喪失。我々ウィチーズの全滅...人類はゆっくりと死滅していくのを黙って見ている事しか出来なくなる」

「...こりゃ負ける訳にはいかないね」

 

 ハルトマンがバシッと、右手の拳を左掌に当てる。不敵な笑みだが冷や汗が垂れてるのを見ると、重たすぎる責任に必死に抗っているようだ。

 そんなハルトマンに、冷や汗一つかいていないグリフィスが声を掛けた。

 

 

「安心しろ。お前達だけが重荷を背負う必要は無い」

 

「グリフィス...」

 

「501部隊のみで戦うわけじゃない。少なくとも俺とフェンリアがいるからな...撃墜スコアは俺が貰おう」

 

「むっ!聞き捨てならないなそれは!絶対に見返してやるんだから!」

 

「楽しみにしてるぞ」

 

 

 この2人の様子に、フェンリアとクラックスは遠目からジトっとした目線を送っていた。

 

 

「おいクラックス。ネメシスは毎回あんなだったか?」

 

「いいえ。無口な事が大半でしたよ?機体の性格でも反映されてるんですかね?」

 

「知らないね。とにかく間に合わせないとな...」

 

「上層部の新鋭輸送機...これならば何とかなりそうです」

 

 

 クラックスの言う通り、501のメンバーは最新の輸送機に搭乗していた。

 Ju287改。元は爆撃機なのだが、物は試しとばかりに輸送機に改造された経緯を持つ試作機だ。前進翼とジェットエンジン2基と言うのが元の構成なのだが、翼1枚をVの字に大型化させてエンジンを2基。それを両翼合わせて4基搭載して本体を大型化させている。この大きさならウィッチ達を複数人乗せて戦場に突っ込み、ウィッチ達を発進させてから帰投する一撃離脱が可能な輸送機に変貌している。

 テストが終了したばかりの試作機だが、それを即座に501メンバー輸送の為に使用する辺り、スエズがどれだけ重要なのかがよく分かる。

 

 

「目的地まで後僅かだな...今頃激戦が行われている最中だろう」

 

 

 

 

 

 フェンリアの予想は的中していた。

 スエズ周辺の砂漠には、古くから人類が文明を築き上げ、優れた文化を発展させて来た、世界有数の砂漠だ。文明はは年を跨ぐと共に新たな歴史を創り、やがて無くてはならない物に変わったのだ。

 その究極系とも言えるのが、19世紀にヨーロッパ諸国が現地民を動員して作られたスエズ運河である。

 開通前は懐疑的な目で見られていた運河ではあったが、今ではヨーロッパのアキレス腱とも言うべき重要な運河となったのだ。

 それを理解しているのかは分からない。偶々そこを通る船舶の多さに反応しただけかもしれない。今やこのアキレス腱は、突如現れた人類の敵、ネウロイによって風前の灯と化していた。

 

 

『撃て撃て!怯むな!』

 

『くたばれ亀野郎!アハトアハトを喰らいやがれ!』

 

『フライング・ゴブレットだ!逃げーぐわっ!』

 

『撃ち落とせぇ!』

 

 

 ネウロイの情報を仕入れていた人類側は、対戦車用の地雷を使った幾つもの防御線と、塹壕を利用した砲撃陣地、旧式の戦車や対空戦車を全て投入して待ち構えていた。予備役のブリタニア連邦のマチルダ歩兵戦車に、カールスラント製の42口径5cm砲を搭載するなど改造を施して投入。無論陸戦型ウィッチーズも総動員されている。

 だが敵の数が桁違いだった。何百どころか、何千にまで及ぶのではないかと呟きたくなるような陸型ネウロイのみならず、飛行型も無数に空を飛んでいる。しかも陸には大型の4脚型や、戦艦の船体を使ったタイプも来ている。

 

「この数を相手に防げとは...本国も無茶を言うものだ...」

 

「全くです。先生」

 

「さてシンプソン君。この心踊る状況、どう見る?」

 

 

 最前線防衛陣地。ハルファヤ峠守備隊指揮官バッハは、自らを先生と呼んで来るブリタニア側の指揮官シンプソンと共に協議していた。

 普段なら考えられない程の厚さを誇る対戦車地雷陣地を3重に敷き、使用不能となった戦車の砲塔を取っ払って塹壕陣地に設置したり、高所有利を利用した対空対地砲撃陣地を強化した上で今回の攻勢を抑え込もうとしていた。

 にも関わらず劣勢に近い。何時もなら必ず防げる防御陣地が突破されかけ、峠の守護者たる2人もお手上げに近かった。

 

 

「明日の為に撤退を...と、言いたい所ですが...」

 

「不可能だろうな...せめて『アレ』があればまだ違っただろうに」

 

「蜘蛛型ネウロイは抑え込んでいますが、奥の大型には効果がありませんしね。Flak18のみならず、Flak41でも威力が足りません...」

 

「やはり輸送を遅らせたのが裏目に出たか...」

 

 

 悔しそうに歯軋りをするバッハ。彼の言う『アレ』とは、カールスラントで製造された最新鋭の高射砲である。

 アフリカ戦線の特徴の1つは、見渡す限りの平坦な土地だ。多少の高低差はあるものの、平均して一定の高さを保っている。故に峠を陣取って高威力長射程の大砲があるなら必ず先手を打てた。

 ハルファヤ峠はその例の1つだ。今までの戦闘でも、ここから放たれるFlak18の精密な射撃が、幾度も窮地を救っている。

 バッハはこの8.8cmの新型を要求し、ほんの2ヶ月前に砲身を56口径から74口径にアップしたFlak41を受領した。この時、更なる大口径高射砲を2種試作した事を、輸送部隊追半の技術将校から聞いたのだ。

 各1門ならすぐに送れると言って来たが、バッハは最低3門ずつと、専門に訓練を受けた精鋭を要求した。

 2ヶ月掛かるが、新型のFlak41と、これも使ってくれと技術将校が置いて行った5cmゲレーテ58もある。持ち堪えられると考えたが、それが甘かった。

 

 

「いえ。私も先生と同じ立場なら、同じ判断を下したでしょう」

 

「...すまない。マルコ中尉!戦線はどうなってる!?」

 

「地雷原は何ヶ所か突破されています!ですが、何重にも張り巡らせたトーチカ陣地と、峠からの砲撃で何とか喰い止める事に成功しました。ただもう限界です」

 

「ウィッチーズは?」

 

「現在全力出撃中。あちこちから集結しつつありますが...一番近いのはマイルズ少佐の部隊とシャーロット軍曹です!」

 

「...対空戦車を付けさせてくれ。空のウィッチが来るまで持ち堪えさせるんだ」

 

「了解!」

 

 

 状況の把握から判断までを、可能な限り早く済ませると、バッハは軍帽を被り直し、汗と土によって汚れた顔を笑顔に作り変えた。

 シンプソンもその顔を見てニヤリと笑った。

 

 

「さて、征こうか。シンプソン君」

 

「えぇ、往きましょう。バッハ少佐」

 

 

 

 

 戦線は正に壮絶としか言いようの無い惨状だった。

 後退する歩兵に対し、フライング・ゴブレットと呼ばれる対人特化の飛行型ネウロイの掃射が行われ、無数の犠牲者を出している。

 ゴブレットに対して20mmや37mm機関砲が火を噴き爆散させていくが、蜘蛛型ネウロイや大型4脚がレーザー攻撃してくる。

 

 

「おい!援軍だ!」

 

「バッハ先生!」

 

 

 バッハ達が1門のFlak41に駆け寄ると、必死に抵抗を続ける兵士達が顔を綻ばせた。砲身には10体撃破のキルマークが5つも付いている。

 

 

「援軍はもうすぐ来る!踏ん張りどころだぞ!」

 

「分かっています!照準、お願いします!」

 

 

 兵士が装填の為に弾薬の元へ駆けていく。

 空はフライング・ゴブレット数体と黒い煙で覆い尽くされている。

 ここから100m離れた地点から、ゲレーテ58が猛攻撃を加えているのが分かった。発射速度が遅く、手動操作では旋回が遅いと欠点が多々あったが、現地での改修と使用方法の変更のお陰で、即座に標的に照準可能な狙撃機関砲になった。

 

 

「新型機関砲もよくやってくれているな。フライング・ゴブレット程度なら簡単に落とせる」

 

「最初は鉄屑でしたが、今は優秀な対空砲の1つですよ。装填ヨシ!」

 

「射手は任せたぞ!シンプソン君!」

 

「いつでもどうぞ!」

 

 

 バッハは手頃な標的を狙い、予測進路を予想して照準した。

 

 

「撃て!」

 

 

 シンプソンが発射レバーを引き絞ると、Flak18を超える轟音と閃光が轟き、標的に直撃した。炸薬入り徹甲弾は寸分違わずコアを撃ち抜き、爆発と共に白い欠片となって四散する。

 それを見届ける前にバッハは次の標的に狙いを定め、今度は切り札の砲弾である硬芯徹甲弾を装填させた。

 

 

「次弾装填ヨシ!」

 

「来い...カールスラント製のタングステンをお見舞いしてやる...撃て!」

 

 

 さっきと同じ轟音と閃光が迸り、凄まじい勢いで砲弾が飛んでいく。

 硬芯徹甲弾は炸薬が入ってない代わりに、この世で最も硬い金属であるタングステンを使用している。弾頭自体も通常の徹甲弾より小さく、先が尖っているのが特徴だ。

 傾斜に弱いが、貫徹力を底上げした砲弾にネウロイが耐えられる筈が無い。何より恐ろしいのは、その気になれば貫通して別のネウロイも狙い撃ちに出来るのだ。

 バッハは一番固まって進行して来る群れにこれを放った。1体、2体と貫通して四散し、最終的に8体を撃破した。

 が、数が多すぎる。何度目かになる諦めをバッハは覚悟した。だがこの抵抗が彼らに味方した。

 突如ネウロイの周辺を無数の砂柱が包み込んだ。噴き上がる砂塵の奥で、ネウロイが次々と爆散する音が聞こえた。

 

 

「やったぞ!ウィッチの増援が間に合った!」

 

 

 装填手が砲弾を抱えながら喜んでいた。

 彼の視線の先には、マチルダII陸戦ユニットや巨大なティーガーI陸戦ユニットを操る少女達が見えた。

 

 

「ブリタニア王国陸軍第4戦車旅団C中隊マイルズ少佐、及びカールスラント陸軍シャーロット軍曹、以下13名!只今参上致しました!バッハ少佐殿、遅れて申し訳ありません!」

 

「来てくれたかカメラード!すまないが劣勢だ。対空戦車の支援の元、ネウロイを押し出してくれ」

 

「了解!C中隊横隊を組め!シャーロット軍曹は後方から砲撃してください!」

 

「分かりました!」

 

「各車前進!撃ェ!」

 

 

 マイルズの号令の元に放たれる砲弾の嵐は、ネウロイを後退りさせるに十分な迫力を秘めていた。

 残り数少ない飛行型がウィッチを狙おうとしても、バッハが寄越した対空戦車部隊が情け容赦無く撃墜していく。

 勢い付いたバッハ達だが、マイルズらの周囲を固めていた対空戦車部隊に向け、ネウロイ側の反撃が行われた。

 地雷原の向こう側に居座っていた大型ネウロイ。下部の砲塔にKV-2を思わせる単装砲や、艦船に搭載するサイズの連装砲を搭載したタイプが砲撃を行った。

 

 

「対空戦車を守らないと...撃てっ!」

 

 

 シャーロットがティーガーユニットの8.8cm砲を叩き込むが、超大型の装甲には歯が立たない。

 『カーン』と言う音を出しただろう弾かれた砲弾を尻目に、連装砲ネウロイがシャーロット目掛けて巨弾をお見舞いした。

 そこそこ離れた距離に落ちたものの、その爆圧はティーガーユニットの片足を持ち上げさせるに十分だった。

 火力が段違いだ。ならばとFlak41対戦車砲が放たれたが、それは半ばめり込んだだけに終わった。

 一度引いたネウロイ共が、徒党を成して再び攻め込んで来た。やっとのことで減らしたフライング・ゴブレットも倍になって攻めてきた。対空戦車部隊もジリ貧に追い込まれていく。

 

 

「マズイ...万事休すか...」

 

 

 流石のバッハもこれには匙を投げるしか無かった。だが彼らは足掻きに足掻いた。扶桑の言葉には『人事を尽くして天命を待つ』と言う言葉が存在するが、バッハらの行動は正にこれを地で行っていた。

 諦めかけた彼らの目に入ったのは、無数の雷球と思われる光の球がフライング・ゴブレットを包み込み、一息に爆ぜていく光景だった。

 

 

「何だ...この光景は...」

 

「少佐...我々は夢を見てるのでしょうか?」

 

「夢じゃないですよ...少佐!通信です!」

 

「マルコ少尉!報告しろ!」

 

「『こちら501航空団。これより戦闘を開始する』。以上です!」

 

 

 辺りから歓声が湧き上がった。無理も無い。今までに幾多のネウロイを撃退し、幾つかの地域を開放した精鋭部隊の到着だった。

 

 

『戦闘空域に到達!先に始めておくぜ』

 

「全く...無茶をして...」

 

 

 フェンリアからの無線に、愛銃のMG機関銃の弾倉を叩き込んでいる最中のバルクホルンがソッと胸を撫で下ろした。

 戦域に到着する直前、フェンリア、グリフィス、クラックスはユニットを装着して後部扉を全開。そのまま制止も聞かずに外へと飛び出して最高速度で飛んで行ってしまったのだ。

 隣ではミーナやハルトマンが苦笑いしており、シャーロットとルッキーニはジェット戦闘機ユニットの真髄を見せられて呆然としている。その他は一瞬の出来事に困惑するかポカンとするだけだった。

 それほど3人の反応速度が早かったのだ。

 

 

「クラックスからデータ受信...相当な数のネウロイが進行している。完全に劣勢です」

 

 

 アンテナを出したサーニャに、クラックスからのネウロイの情報が届けられる。

 『ヴォルフ』と名付けられたネウロイの巣がやって来るからだろうか、その数はロマーニャの時と比較にならないようだった。まだ交戦していないだけで、大型のネウロイも控えていた。

 

 

「総員出撃!他の援軍が来るまでの間、出来るだけ敵戦力を抑え付けます!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

 輸送機が被害を恐れず、戦闘空域に入ってからも直進する。ネウロイの赤い光が見え始めると、翼を翻して来た方向に機首を向けた。同時に貨物室となっている機体後部のハッチを開ける。

 

 

「総員出撃!他の援軍が来るまでの間、出来るだけ敵戦力を抑え付けます!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

 ミーナの指示と彼女自身が飛び出ると、他の面々もその身を空に踊らせた。

 彼女らの目に広がった光景は、あの小型から大型まで様々なネウロイが空を覆い尽くし、地上を多脚型の陸戦ネウロイや戦艦型ネウロイが進行している地獄絵図だった。

 そしてその地獄のど真ん中で、ファンリアとグリフィスの2人は大立ち回りを繰り広げていた。

 自分達以上の速さと機動力で翻弄し、機銃やミサイルで片っ端から撃墜して行く。敵が支援に動こうとしても、事前にフェンリアが放った雷球が行手を阻み、無理やり突破しようものならそれに包み込まれて爆散して行く。

 

 

「うひゃー!スゲェなあの2人!」

 

「でもシャーリー!対地にまで手が回ってなさそうだよ!」

 

「空は一旦任せて、私達は低空のを片付けますわよ!」

 

「来ましたか!ペリーヌさんの言う通り、対地まで手が回りません。お願いします!」

 

「分かりました!各員、対地攻撃開始!」

 

 

 ミーナの指示が飛ぶと、待ってましたとばかりに2人1組のペアを組んで低空近くを這う様にして飛ぶ。

 ネウロイ側もこの動きに対応して狙いを付けようとしたが、そう上手く事を運ぶ事は不可能だった。

 ネウロイは空からの脅威に対して大群で密集し、濃密な弾幕を張ろうと画策していた。だが低空の相手を狙うとなると、最前列の者しか射線を通す事が出来ず、効果的な弾幕を張る事は出来なかった。

 ミーナ達も最前列のネウロイしか狙えず、標的が次々と変わる為、早期な対応が必要と言う制約があった。それでも彼女らは常に対ネウロイとの最前線に身を置き、練度はエース級。この程度で根を上げる訳が無かった。

 宮藤やルッキーニ、ペリーヌ、シャーリーが群集団を細かく切り刻み、エイラの支援を受けたサーニャがロケットで手早く殲滅していく。漏れた敵や指揮系統を固めるネウロイに関しては、リネットの狙撃とミーナ、バルクホルン、ハルトマンが完封している。

 空に至っては、フェンリアとグリフィスの2人が獅子奮迅の活躍を見せている。速度や機動力、兵器に至る全てがネウロイを圧倒しており、もはや現状の維持は不可能になりつつあった。

 

 

 

「スゲェ...流石501飛行隊だ...」

 

 

 通信兵が先程からの撃破報告を伝える合間にそう呟く。

 それに関して言えばバッハらも同感であり、あれだけ押されまくっていた戦線の再構築が可能な程余裕が出来た。

 

 

「通信兵!今の内に全ての前線を後退させろ!戦線に隙間を開けさせてはならん!」

 

「了解!」

 

「先生。このまま終わるだろうか?」

 

 

 汗を拭いながらシンプソンが語り掛ける。その表情は険しく、出来ればバッハから同意の言葉を言って欲しいという感情が漏れ出ていた。

 だがバッハも苦々しい顔を作ると、顔をゆっくりと左右に振って否定した。

 

 

「あり得ないね。第一空の大型ネウロイと、本丸の巣を見ていない...思いたくは無いが、これは斥候だよシンプソン君」

 

「...せめてロンメル将軍の援護が間に合えば、陸上の戦線は安定しますが...」

 

「空は彼女らに任せるしか無い...」

 

 

 『間に合ってくれよ』という言葉を心に仕舞い込みながら、バッハは新たに構築された陣地の直接指揮と、対戦車砲の操作に移った。

 

 

 

「数だけで突破が出来ると思うなよ!」

 

「だがこの数は尋常じゃないぞ...」

 

 

 フェンリアとグリフィスの2人がそう愚痴る。

 既に2人で戦線を優勢な状態に押し返し、バルクホルン達が対地攻撃に専念しており、前線のネウロイの進撃が目に見えて落ちていた。

 だがグリフィスの言う通り、ネウロイは数に物を言わせて進撃を続けている。何よりも小癪なのが奥地から長距離砲撃して来る大型ネウロイで、頭上で細かいレーザーの雨を降らせる新しい攻撃をして来た。

 恐らく戦艦に搭載された対ネウロイ用の対空砲弾をネウロイ側が学習し、アレンジした形で使っているのだろうとフェンリアは予想した。

 

 

『ミーナです!そちらは大丈夫ですか!?』

 

『厳しいです。奥の大型ネウロイが邪魔で、軽い行動制限が掛けられています!』

 

 

 クラックスの言う通り、2人の優勢が崩れていないとは言え、決め手が少なくジリ貧だった。

 報告ついでにクラックスが援軍の要請を行うよう進言しようとした時、彼のレーダーが別の反応を捉えた。

 

 

『ク、クラックスより全部隊へ!全方位から新たな反応を多数確認!味方です!超高速で接近。戦闘空域まで後10分!』

 

「ネメシス!聞いたな!?」

 

「聞いているさ。どこの誰か知らんが、これならなんとかなるぞ」

 

 

 グリフィスの口元に会心の笑みが浮かぶ。ネウロイの巣が近くに来ると言うのに、遅ればせながらも危険な戦場に飛び込んで来る物好きに惹かれているのだ。

 フェンリアもニヤリと笑っている。超高速戦闘機などジェット機しか無い。この世界にやって来たエース達というのは手に取るように分かった。

 

 

「(ネウロイめ。目に物を見せてくれる!)」

 

 

 フェンリアが心の中でそう呟いた瞬間、援軍の第一陣の攻撃が小型ネウロイに命中して行く。

 人類の反撃とも言える狼煙が昇ったのだ。




( 主)「どのタイミングで最終回を作るか...ラスボスは決めてるんだがね」
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