この世界で私達は生きる   作:鉄血

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第ニ話

キャンピングカーが、蠢くゾンビと死体しかない道を進み続ける。

そんな中、車を運転している相馬が口を開いた。

 

「・・・寝たのか?」

 

静かになった後部席が気になったのか、そう聞いてくる相馬に零は言った。

 

「うん。ぐっすり寝てるよ。それほど追い詰められていたんだろうね」

 

「・・・そうか」

 

零の言葉を聞き、相馬は街外れの道を通る。

今から第一拠点に戻るとマズイと判断したのだろう。相馬がこの道を通るということはこの鵜島町から十キロ以上離れたリゾートホテルのさらに先にある、第二拠点の自然公園だろう。

あそこなら確かに人が来ることなどない。

しかもこの地獄のようなパンデミックが起こっているこの時代に誰も危険を犯してそこまでくる奴などいないだろう。

しかも、相馬が通っている道は国道ではなく、裏の道だ。木々が生い茂って空から見られないようにしているのも、山を越えた鳴神町の陸軍に見つからないようにする為だ。

車の中で女の子三人の寝息がこの空間に広がる。

そんな中、窓ガラス越しで周りを監視していた海斗が相馬に聞いた。

 

「なあ、相馬」

 

「なんだ?」

 

相馬は運転を続けながら返事をする。

 

「こいつ等何処から来たと思う?」

 

誰よりも彼女を警戒しているのは海斗だった。

彼は仲間意識が高い人間だ。他の地区から来たであろうこの三人に対して自分達に危害を加えないかを警戒している。

そんな彼の質問に相馬は答えた。

 

「まず俺が言える答えだが・・・まずこの辺りの奴じゃない」

 

白髪の少女達が着ていた学校の制服を思い出し、そう答える。

 

「まず、今このパンデミックが起こっているこの時代で、学校に通える奴なんてそう多くはない。この時点でこの辺りの奴じゃないって事が分かる」

 

あのパンデミックから、はや一年ちょっと経つ今でも復旧の目処は立っていない。

なぜなら?あの周りにいるゾンビが原因だ。

こいつ等の体液を取り込んだりしてしまうと、同類になってしまうこのウィルス。

そのゾンビ達を始末しようとして軍隊が動くも、数の暴力で負け、今となっては他国も鎖国に近い状態だ。

そんな中で、学校に行けるような場所となると────

 

「五大防衛都市の住民・・・だろうな」

 

「ハァ!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

相馬の仮説に二人は驚愕の声を上げる。

五大防衛都市。

それは、日本に住む人類の最後の砦。東京を筆頭に函館、名古屋、大阪、那覇の五つの都市が上げられる。

そこには巨大な壁で仕切られており、外部の人間が入って来れないように仕切られている。

外で暮らしている彼らにとってはどうでもいい事だったが、そこから来た奴だと話は違ってくる。

 

「ちょっ、ちょっと待てよ!!五大防衛都市!?なんで今の日本で一番安全な場所から人が出てくるんだよ!?普通あり得ないだろ!?」

 

海斗が普段は見せない、焦りの声を上げている。だが、相馬は慌てることなく言葉を続けた。

 

「それがあり得ない話じゃないんだよ。今から大体二週間前に何があったか、覚えてるか?」

 

「二週間前・・・?確か、その頃からラジオが使えなく・・・」

 

「それだよ」

 

零のつぶやきに相馬は正解だと答えた。

 

「今でも、ラジオが使えない理由は恐らく・・・名古屋の防衛都市がかなりの被害を受けたからだろうな」

 

「「・・・・っ!」」

 

今まで聞いていたラジオの発信源は名古屋防衛都市からだ。

それが今の今まで通信が途絶えている。ということは考えられるのは一つだ。

 

「名古屋防衛都市がゾンビに襲われて、彼女らはそれの生き残り・・・?」

 

「あくまでも予測だ。本当かどうかは、彼女達に聞いてみなけりゃ分からん」

 

相馬はそう答えて、運転を続ける。

と、そんな中──────

 

「う・・・うん・・・?」

 

白髪の女の子が目を覚ます。

寝ぼけた目をパチクリとさせ、零達を見つめていた。

そんな中で、相馬が口を開く。

 

「おはよう。よく眠れたか?悪いが目的地まで後少しだ。待っていてくれ」

 

「は、はい・・・わかりました・・・」

 

白髪の女の子はそう答えてちょこんと座る。

そんな中で──────

 

「いやいやいや!?おかしいでしょ!?普通は取り乱すでしょ!?なんでそんな冷静なの!?」

 

零の発言はごもっともである。だが、白髪の女の子は零に言った。

 

「運転手の方・・・悪い人じゃないと思ったので・・・」

 

「この子詐欺師にあったら騙されるタイプだ・・・」

 

零は彼女を見て、そうつぶやく。

くりくりした丸い瞳が零達を見つめる中、黒髪の少女が目を覚ました。

 

「理央?うるさいわよ・・・って・・・」

 

「「あ」」

 

零と海斗は黒髪の少女と目が合う。

そして──────

 

「きゃああああああ!?この変態!?」

 

「は!?へぶぅ!?」

 

近くにいた海斗が引っ叩かれた。

ばしーんと痛い音が響く。

そんな中で、相馬が車を止めた。

 

「おーい、到着したぞーって、何やってんだお前ら?」

 

顔を赤くする黒髪の少女に、床に倒れ伏せる海斗。椅子の真ん中できちんと座る白髪の少女に爆睡している少女と、慌てる零。そんな愉快な様子を見て、相馬が一言。

 

「騒ぐなら、彼奴等にバレねえ程度で騒いでくれよ?」

 

相馬は一人、そう呟いた。

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