まだまだ未熟ですが、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
都内にあるとある小学校。そこでは1人の少年が純粋な悪意に晒されていた。
「人殺し」 「殺人鬼」 「人でなし」
廊下に出ると、罵倒が飛んでくる。人によっては小声でギリギリ聞こえるかどうかくらい、人によっては大声で怒鳴ってくるって言う形で。少なくとも、僕のことを擁護する声は一つも無かった。
ーー何で皆そんなことばかり言うの?ボクは悪いことはしていないじゃん!
そう思いながらも、下を向いて暴言の嵐が吹き荒れる学校内を移動する。
そんな状況でも、まだ”誰かが助けてくれる”。そう、信じていた少年。でも現実はそんなに甘くなかった。
「死ねよ」 「人殺しが....」 「何で人殺しと一緒に学校生活を過ごさないといけないの」 「お前なんていなければよかったのに」 「本当に同じ人間なのか」
罵倒、いや罵詈雑言が飛んでくる日々が続く。呟かれるのは同じような言葉ばかりで、慣れるかと思っていたけどいっこうに慣れるなんて事は無い。
それどころか、最近では何も入れていないかもしれないときでも自分をけなすような幻聴が聞こえる。さらに、最近はどんな酷いことを言っても僕がやり返したりしないのが分かってきたのか、段々と言葉だけじゃなくて行動にも移す奴も出てきた。
教科書やノートに墨をぶちまけたり、落書きで使えないようにするなんて些細なことから、帰り道に石を投げてきたり個性ーー人間が持っている超常的な力のことーーで攻撃してきたりなんていう一歩間違えれば大惨事になるような事まで全てがまかり通っている。
先生達もそんな状態に対して傍観を決め込んでいるため、彼を取り巻く環境はどうあがいても変わらない。
そんな惨状の発端は、小学校からそう遠くないショッピングモールで起こった出来事だった。
少年が悪意に晒される数日前、彼は母親と共にそこそこ大きなショッピングモールに来ていた。誕生日がもうすぐっていうところまで迫っていて、誕生日プレゼントを買いに来たのだ。
「健人、やっぱりあれがいい?」
「うん!」
彼らがいるのはヒーロー ーー今や子供の憧れる職業No.1とまで言われる職業で、個性を悪用する
「うーん......やっぱりこのフィギュアかな....色々なポーズも取らせられるし、なんと言っても表情がいい!あ、でもこの映像フィルムも捨てがたい.....いや、それともあっちのオールマイト名言集もいいな.....」
どれを買って貰うか真剣に悩む少年ーー
突如として飛び込んできた黒い影。彼は状況に追いついていけず目を白黒させている母親を腕の中に抱えながら、言った。
「これが見えないか、ヒーロー共!もし少しでも変なまねをしてみろ、すぐにこの女を絞め殺すぞ!」
そう言いながら、個性なんだろうか。敵は首には触れていないはずなのに母親はまるで首を持たれているかのような姿勢になり、宙に持ち上げられる。
彼の個性は”見えざる腕”。目視することが出来ない腕を作り出し、自由に動かす個性だった。健人の母親を捕まえた後に個性によって彼女の首を掴んでいたのだ。
自分の母親が
「こんなところに子供もいるのか。使えそうだな。」
「けん...と.....にげ........て」
見つかってしまった母親から声がかかるも、そのせいで事態はより悪化していく。敵に家族関係であることを悟られたのだ。
「お前ら、親子なのか。ならちょうどいい。おいお前、健人だっけ?こっちに来い!来ないとお前の母さん、絞め殺すぞ!」
実の母親を人質に取られて見捨てるなんて事、母親が嫌いでなければ出来る筈もないわけで、敵のところまで足を運ぶ健人。その足は、震えていた。
ーーかわいそうに、まだ年端もいかない少年が敵の怖さを身をもって知って震えているんだろうな
ヒーロー達は経験則からそう思っていたし、勿論ながら
彼は恐怖で震えていたんじゃない。勿論、恐怖がなかったと言えば嘘になる。ただ、それよりも憤怒の方が上回っていただけだった。
事態が急変したのは敵の近くまで健人が進んだときだった。
「うぁぁぁぁぁぁ!」
まだ小学生の身でありながら、彼は母親を助けようと跳躍した。それが、無貌であることなど理解しないまま......
普段鍛えていない小学生の跳躍ではそこまでのスピードは出ない。そのため、敵の意表を突くことは出来たがそれだけだった。
「おい、お前の母さんの生死は俺次第って事を分かってるのか!?」
そう言いながら、個性によって健人の母の首を折った。
「けん...と...........」
彼女の最後の言葉はそれだけだった。すぐに瞳から生気がなくなっていく。
健人はそれを呆然と立ち尽くしながら見ていた。彼の胸中には、後悔があった。
ーーボクのせいだ。自分だったら母さんを助けられるって考えがダメだったんだ。
その一方で、敵に対しての憎悪も確実にあった。
ーーこいつさえいなければ、母さんが死ぬこともなかった。コイツは唐突に現れて結局母さんを殺した、ボクの
この後のことは覚えていない。
気がついたときには敵がその場に血の海を作り出しつつ倒れ込んでいた。それを見て慌ててヒーロー達が駆けつけてくる。そんな光景を健人はなぜか他人事のように感じていた。そのまま、下を見ると血に染まった自分の手があった。
血に染まった自分の手を焦点の合わない目でじっと見る健人。その胸中に渦巻くのは、どんな感情だったのだろうか。
また、周りにいるヒーロー達も動けずにいた。いくらヒーローと言っても、その性格は一般人と比べると正義感が強いだけの人間だ。とてもじゃないがどうみても常軌を逸している少年に声を掛けようとする者などおらず、むしろ遠巻きにして警戒していた。
ただ、そんな警戒も無用だった。少年はすぐに崩れ落ちるようにして気を失ったのだから。
この事件は、最初はヒーローが敵を倒したというありふれた話として処理されようとしていたが、たまたまその現場を目にしていた人たちの証言により、小学生でありながら敵を殺したという事件として瞬く間に広がることとなった。
全然話進んでないけど、区切りがいいのでここまでで。
今後主人公はどうなっていくのか、お楽しみに!
え?全然楽しめてないって?自分もだよ!多分、最初が読んでいて1番辛いから、よかったら次も読んでくれると嬉しいかな。