勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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「やっと着いたわ魔王城!」

 

 スバルの後方から聞き覚えのある声がします。

 彼女は思わず振り返って「シュバ!」(あ!)と声を上げました。

 

「久しぶりねスバル! キアラ! るしあ!」

 

「シュバルル!」

(船長!)

 

 そこにいたのは船長こと宝鐘マリンでした。

 

「二年ぶり」

 

 マリンの隣にはあくあがおり、相変わらずのキャップ帽をしながら大きなリュックサックを背負っています。

 マリンが手ぶらなところを見るに、そのリュックにはマリンの分の荷物も入っているのかもしれません。

 そしてそんなあくあの隣にはさらにもう一人女性がいて、

 

「ふん」

 

 彼女、アキロゼことアキ・ロゼンタールは腕組みしながら鼻を鳴らしました。

 

「珍しい組み合わせデスね」

 

「初対面はほんの数時間前のことだ」

 

 アキロゼは腕を組んだまま答えます。

 

「彼女たちが二人してあっちへ行ったりこっちへ行ったり右往左往していてな。親切心から声をかけて目的地を聞いてみれば、宝鐘マリンはレジェンド所有者ではあちゃまと戦うためにわざわざ出向いて魔王城に向かっているところだという。だが当の魔王城がどこにある建物なのかあやふやで、無事に到着できるか心許ないみたいなことを言っていてな。仕方ないから私がここまで案内してやったというわけだ」

 

「いやあ! 本当に助かったわ! ありがとう!」

 

 マリンが頭を掻きながらアキロゼに礼を言います。

 

「とりあえず方位磁石を頼りに進めば何とかなると思ってたんだけど、あはは、やっぱり地上は海上のようには上手くいかないわ」

 

「当り前だろう」

 

「では、アキロゼさんは観戦しに来たわけではないのデスか」

 

「そのつもりだったんだが、せっかくここまで来たからな。どうせだから観てから帰ろうと思う」

 

「シュバルバシュバルシュバルシュババ」

(おまえは相変わらずシュバな)

 

 スバルが独り言を呟きます。

 

「よかったです船長」

 

 その隣でるしあがマリンに話しかけます。

 

「もしかしたら来ないんじゃないかと思って心配していたんですよ」

 

「いや、行かないわけにはいかないでしょ。大陸が大変なことになっちゃうんじゃさ」

 

「るしあがメードに出した手紙、読んでくれたんですね」

 

 尋ねるるしあに「うん」とマリンは答えます。

 

「あくたんのおかげでね」

 

「?」

 

「一週間前にわけがわからない放送があった時、船長と一味、あくたんは航海の途中だったわけ」

 

「あくあさんも船に乗っていたのですか」

 

「もちろん」

 

 マリンは頷いてからあくあの方に向いて、

 

「あくたん。見せてあげな」

 

 と言って顎をしゃくりました。

 

「うん。へっへっへっ」

 

 あくあは笑いながらレッグバッグに手を伸ばします。

 そしてフォークを引き抜くのですが、それを見たるしあは思わず「あ!」と驚きの声を上げました。

 あくあが取り出したのは銀色のフォークだったのです。

 彼女はブン! とフォークを振るいます。

 フォークの先には中級剣ベジソーセージが出現しました。

 

「おめでとうございます!」

 

 るしあはあくあの側に駆け寄って、ベジソーセージを持つ彼女の手を両手で包み込むように握りしめました。

 

「中級に昇級したんですねあくあさん!」

 

 感激して喜ぶるしあに、あくあは顔を真っ赤にしながら目を逸らし「へっへっへっ」と笑います。

 

「あ、あてぃしだってエルドラドを探し求める宝鐘一味の一員だからね。いつまでも陸地に足をつけたままじゃ格好つかないのさ」

 

「船長もびっくりしたわよ」

 

 マリンが二人の会話に交じります。

 

「半年くらい前だったっけ? 久々にメードに寄港してみたら、あくたん昇級試験に合格して中級剣士になってるんだもの。自分の代わりに市長業務をこなす市長代理もちゃっかり用意しててさ。そこまで外堀を埋められて『あてぃしも航海に連れてって!』なんて詰め寄られたら、船長断れないもん」

 

「へっへっへっ。船長が航海している間、市長業務のかたわらずっと剣の修行に励み、さらには次期市長候補の人選と教育もしていたんだなこれが。ちゃくちゃくと布石を敷いていったってわけさ」

 

「そんな大変な努力をして、ようやく夢が叶ったんですね。うう、なんかるしあ泣けてきました」

 

「大袈裟だなあ。中級から上級へ上がるならともかく、下級から中級はそんなに難しくないよ。それにあてぃしの夢は宝鐘海賊団みんなで見つけるエルドラド、こんなのはただの通過点に過ぎないのさ」

 

「ねねにあくあさんの爪の垢を煎じて飲ませてあげてください」

 

「それはやめてあげな。病気になるから」

 

「もちろん言葉の綾ですよ。……あれ? ちょっと待ってください」

 

 るしあはふと何かを思い付いたようにマリンに向き直ります。

 

「話が戻りますけれど、じゃあ一週間前はあくあさんも船長と一緒に海に出ていたんですよね。どうしてるしあの送った手紙に気が付けたのですか」

 

「一週間前の変な放送があった時、船長はただのイタズラかと思って無視して航海をし続けようと思ったのよ。でもあくたんがどうしても気になるって言って、とりあえずメードに戻ろうって言ってきたわけ。まあメードに戻るくらいならいいかと思って帰港してみれば、行きつけの宿屋やあくたんの家にあんたたちの手紙が届いてるのに気づいてね」

 

「じゃああくあさんの機転がなければ船長はここにいなかったんですね」

 

「まあ、そうなるわね」

 

「お手柄じゃないですかあくあさん」

 

「そ。あてぃしのおかげってわけさ」

 

 言ってあくあは胸を張りました。

 

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