勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~ 作:はばたくアヒル
『タラタタッタタッタラータッタ! タラタタッタタッタラータッタ! サノバ〇ッチ!』
魔王城内に軽快な音楽が流れます。
「なに? この音」
はあちゃまが眉を顰めます。
「シュバ? シュバルバシュバシュバルルバシュバルバシュバ」
(え? あいつが流してるんじゃないのかシュバ)
スバルたちだけでなくハートンたちもざわついて周囲を見回します。
しばらくしてから曲はピタリと止みました。
「あ、あのお」
みこが肩身狭そうに手を上げます。
「ごめんにぇ。みこなんだ」
「どうしたんですか魔王様」
ポルカが尋ねます。
みこは恥じらうように赤らんだ顔を俯かせ、「えっとね」とぼそぼそ喋りだしました。
「なんかすごく最終決戦っぽい雰囲気だったからさ、みこも雰囲気を盛り上げるために何かできないかと思って、故すぎ〇まこういち先生によるドラゴ〇クエストの名曲BGMでも流そうかと思ってユー〇ューブ検索してたんだ。そしたら何かわかんないけど変なサイトに飛んじゃって、大人のゲームのオープニングムービーが流れだしちゃって」
「ちょ、おま、本当に何しに来たんだペコ!」
拘束されているぺこらがみこに怒鳴ります。
「んだよー! みこだってな、みこなりに一生懸命頑張ろうとしてんだよー! ひどいこと言うなよー!」
怒鳴り返すみこを「まあまあ魔王様。落ち着いて」とポルカが宥めます。
「戦いのルールを説明しましょうか」
つまらなそうにそんなやりとりを見ていたはあちゃまがスバルたちに向き直りました。
「まあ説明するまでもないことだけどね。私と戦う資格があるのは現時点でスキルを所持しているレジェンド所有者のみ。勝負形式は大陸の命運をかけた最終決戦にふさわしい一対一の真剣勝負。私とあなたたちレジェンド所有者の誰かが戦い、私が勝つごとに次の相手が出てくるという具合よ。私がすべてのレジェンド所有者を倒すかあなたたちが一度でも私を倒せばこの戦いは終わりになるわ」
「一対一なんですね? もちろんあなたも」
ラミィの問いかけに、はあちゃまは「当然」と返します。
「私はこの戦闘において一切ハートンに手出しさせないと約束するわ。クリスタルサビロイのソーセージに誓ってね。だからあなたたちも戦闘中に助太刀するような違反行為は絶対やめてもらわなくちゃ困るし、破った場合には容赦しないわ。デーモン・みこ・ソウルを暴走させる。ちなみに、たとえ暴走してもあのデカい機械を叩き壊せば良いだけなんて甘いこと考えてると後悔するわよ。暗雲を作り出すデーモン・みこ・ソウルの核本体は中に埋め込まれている握りこぶし大の結晶でね、あの外見の機械はその核が暴走しないようにするためだけのコントロール装置なの。ムーナにその核をソセレ合金でコーティングさせたからソーセージでは壊せない、一度暴走させたら最後もう止まらないというわけ」
「関係ないことです。ラミィ達のなかにそんなソーセージ道に外れた剣士はいませんから」
「へえ」
はあちゃまは意味ありげに頷いてトワの方を見ます。
トワは「何見てんだよ」と言わんばかりに腕を組み、睨み返します。
「ちなみに違反者が出次第、デーモン・みこ・ソウルを発動させるより先に兎田ぺこらの首が飛ぶわ。はじめはこいつを人質に計画を進めていこうと思ったけど、だんだんそんな重要度の高い人物に思えなくなってきてね。不安になってきたから脅迫材料をデーモン・みこ・ソウルに切り替えたというわけなんだけど、それでもまあ、一応人質だから」
「シュバルババシュバルルバシュババシュバルシュバルル。シュバルルシュバルシュバ」
(そんなこと本人の前で言ってやるなよ。かわいそ過ぎるだろ)
「あーん! ああーん! おまえら絶対ルールは守るペコよ!」
「それと」
はあちゃまがパチンと指を鳴らします。
すると城門がひとりでに閉まって施錠されたような音が冷たく響きました。
「私が勝つかあなたたちが勝つか、勝敗が決するまで誰一人この魔王城から出ることはできない。怖気づいたからって途中で逃げ出すのはなしということよ。ちなみに場外は設定してないわ」
「降参はできるんですよね」
尋ねるるしあに「もちろん」とはあちゃまは頷きます。
「私はスキルさえ手に入るなら勝利の形なんて何でもいいの。さっき逃げ出すのはなしと言ったけど負けを認めた後だったら話は別、すぐにでも城門を開けてあげるわ。それにね、仮に私がこの戦いで勝利したとしてもあなたたち全員生きたまま帰してあげるし、デーモン・みこ・ソウルも即廃棄する。兎田ぺこらも解放するわ」
「みこの魔王城は!」
「出ていくわよこんなハリボテの城。だだっ広くて何もなくて閉鎖的、決戦のステージとしてはもってこいの場所だけど居城としては一日だって住みたいと思わないわ」
はあちゃまはそこまで答えてから「他に聞きたいことは?」と尋ねます。
スバルたちはお互いに顔を見合わせ首を振るなどして意思疎通し、るしあが代表して「ありません」と答えました。
「じゃあ始めましょう。一人目は誰が私の相手を」
はあちゃまが言い終わる前に、スッと色白の細い手が上がります。
「そう。あなたから」
はあちゃまはほくそ笑みました。
「嬉しいわ。雪花ラミィ」
手を上げたのはラミィでした。