勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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 ラミィのスケルトンソーセージがはあちゃまのクリスタルサビロイによって弾かれます。

 

「!」

 

 ラミィは急いでソーセージを構え直そうとしますが、そうやって焦るラミィを待っていたようなタイミングでしなりを帯びたクリスタルサビロイが彼女の利き手を叩きます。

 

「くッ」

 

 ラミィは思わずフォークを手放してしまいました。

 持ち主の手から離れたフォークはソーセージを消失し、フォークだけの状態となって地面に落ちていきます。

 しかしそれが地面に接するよりも速く、はあちゃまが返し刀でクリスタルサビロイを横なぎに振るいラミィの身体に叩き込みます。

 

「……ッ」

 

 クリスタルサビロイをまともに受けたラミィはなすすべもなく飛ばされて、何度か地面に叩きつけられながら転がって、しばらくしてからようやく止まります。

 そして動かなくなります。

 それから少しして、はあちゃまの足元に落ちているスケルトンソーセージのフォークが虹色の輝きを失って、さび付いてしまったかのように黒ずみました。

 

「ふふん」

 

 それを認めたはあちゃまは満足げな笑みを浮かべて、軽くフォークを振るいクリスタルサビロイのソーセージを消します。

 直後彼女の所有する盤外スキル「不死の魂」が発動し、体力がみるみる回復します。

 

「雪花ラミィ。大切な落とし物をしてるわよ」

 

 はあちゃまは黒色となったスケルトンソーセージのフォークを拾い上げ、まだ俯せに倒れているラミィの方へ放りました。

 フォークはちょうどラミィの手元に転がってきます。

 しかしラミィはフォークを手に取るどころか未だにピクリとも動きません。

 

「ラミィ!」

 

「ラミちゃん!」

 

「ラミィ!」

 

 ねね、ぼたん、ポルカの三人が急いでラミィの元へ駆け寄ります。

 

「しっかりしろラミィ! 大丈夫か!」

 

 ねねがだいふくを左脇に抱えながら、右手でラミィを強めに揺すりました。

 

「……。うん」

 

 消え入りそうな声でラミィが答えます。

 しかし起き上がろうとはしません。

 彼女はしばらくそうして俯せになってからさり気ない仕草で目元を拭い、ようやく顔を上げました。

 

「ねねちゃん。だいふくをありがとう」

 

「あ。おう」

 

 ねねはだいふくを放してやります。

 だいふくはふわふわ浮かんでラミィの鼻先にやって来て、彼女を心配そうに見つめます。

 かと思えばまたふわふわと宙を泳いでラミィの周りを何度か旋回し、最終的には普段の隣ポジションに落ち着いてラミィとねねたちを交互に見ました。

 

「ごめんね。ねねちゃん、ししろん、おまるん」

 

 ラミィはだいふくを撫でながらねねたちに笑顔を向けます。

 

「今度こそみんなの前でラミィの格好良いところ見せたかったのに、負けちゃって。ラミィこんなのばっかだよ」

 

「そんなことない!」

 

 ねねは首を振りました。

 

「今日のラミィ格好良かった! すごく格好良かったよ!」

 

 振り返って「な!」と呼びかけるねねに、ポルカとぼたんも頷きます。

 

「めちゃくちゃ格好良かったぞラミィ」

 

「さすがわたしらのラミちゃんだよ」

 

「うう。みんなありがとう」

 

 ホロファイブメンバーのやさしさに、ラミィはまたじんわりと目を潤ませます。

 

「くだらないわ」

 

 そんな彼女たちを見ていたはあちゃまが、吐き捨てるように口にしました。

 

「格好良い? もしかしてあれで一丁前に魅せるプレイを意識してるつもりだったのかしら。そういう精神年齢がお子様だと言うのよ」

 

 ラミィを見下ろしながら彼女は続けます。

 

「格好良い悪い以前の問題だわあなたの場合。あなたの振るうソーセージは戦いの剣というよりもチャンバラごっこで遊ぶ子供の棒きれ、相手をしている私まで程度が落ちて見られちゃうから全くもって質が悪い。そんなあなたが格好良いわけないじゃない。忖度だって気づきなさい」

 

「そんなことない!」

 

「あ?」

 

 言い返すねねをはあちゃまが睨みつけます。

 ねねは「うう」と呻きながらぼたんの後ろに隠れました。

 

「あなたは本当にうんざりさせられるわ雪花ラミィ」

 

 はあちゃまがラミィに向き直ります。

 

「せっかく私がままごと遊びから卒業させてあげようと思って一肌脱いでも、あなたはいい歳してイヤイヤ拒むんだから救いようがない。よかったわねえ、そんなあなたでも傷をなめ合ってくれる都合のいいお友達がいてくれて。いざという時に仲間を切り捨てることすらできないあなたは未熟を通り越して底辺のゴミ、一生その階層で類友の仲間とじゃれ合ってるのがお似合」

 

 バシン!

 

 はあちゃまの喋りが、何かの乾いた音で遮られます。

 

「おーおーおーおー。さっきから黙って聞いてれば、笑わせてくれるじゃねえか三下が」

 

 それは桐生ココが尻尾で地面を叩いた音でした。

 

「仲間を助ける思いやりが剣士の未熟だア? 寝ぼけたこと言ってんじゃねえよ。そんなんはてめえみたいなバカでも大将張れるようなちっせえお山のローカルルールだろうが」

 

 そう言ってから、ココはラミィの方へ目を向けます。

 

「仲間への思いやりは未熟でなけりゃ甘さでもねえ、ましてや弱さなんかじゃねえ。チームを率いるリーダーとしての大きな強み、極道の頭としてなくちゃならねえ素質そのものだ」

 

「き、桐生会……」

 

「雪花会の、おまえの侠気確かに見せてもらった。次はワタシがおまえに見せてやる番だ」

 

 ココははあちゃまに向き直ります。

 レッグバッグに手を伸ばし、虹色のフォークを取り出しながらズンズンと戦場のステージに上がっていきます。

 彼女ははあちゃまと向き合い数メートル間のところで足を止め、フォークをブン! と振るいました。

 フォークの先に異様なソーセージが現れます。

 全長は平均よりやや長めの約140センチメートル、幅も太めのソーセージです。

 異様であるのはそのビジュアルで、焦げ茶色の石材でできた石柱にしか見えないのです。

 石柱のあちこちには年期を思わせるようなヒビがところどころに入っており、そのヒビ割れによって外膜よりもやや明るい色合いのソーセージ内側を見て取ることができます。

 

「それが『大地』のスキルを持つレジェンドソーセージ、ストーンスンデ」

 

 はあちゃまが見惚れるように呟きます。

 

「さっさとソーセージを出しなはあちゃま」

 

 ココはそんな彼女にストーンスンデの切っ先を向けながら、厳しいまなざしで睨めつけました。

 

「次の相手はこのワタシ、桐生会会長の桐生ココだ」

 

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