勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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勇者スバルとぺこみこ決戦
24羽


「シュバ?」

(んん?)

 

 かなたとの戦いを終え気絶したスバルが目を覚ました時、彼女は眠っているるしあに抱えられていました。

 

「あ、気が付かれマシタか? スバルせんぱい」

 

 そんなスバルをずっと見守っていたのでしょう、キアラが声をかけてきます。

 

「シュババ?」

(ここは?)

 

「えっと、たぶんデスけど、今の状況をお聞きになっているんデスよね?」

 

 確認するキアラにスバルが頷きます。

 

「ここはアクアマリン号のなかデス、スバルせんぱい。わたしたちは今、港町メードに向かっているんデス」

 

 そう言ってから、キアラはスバルに今に至る経緯を説明しはじめました。

 

 簡単にまとめるならば、スバルがかなたの一撃を受けて意識を失ったその後について、ひとえにキアラが頑張ってくれたのでした。

 キアラはスバルが気絶した直後、そんなスバルと動けなくなったかなたをフェニックスに乗せてココのもとへ向かいました。

 そして気絶しているるしあを介抱していたココに人質交換を申し出たのです。

 かなたを差し出す代わりにるしあを受け取ったキアラは、野営キャンプを立ててずっと二人の介抱をしながらアクアマリン号が迎えに来るのを待っていたのでした。

 

「あの桐生会リーダーのドラゴンの人が、迎えの船が来るまで神竜町の宿屋を使っていいと言ってくれたのデスが、どこまで信用していいかわからなかったので」

 

「シュバシュバルルバシュバルバシュバルルバシュバル。シュバルババシュバルルバ、シュバルババシュバア」

(その判断はスバルも正しいと思う。本当に助かった、ありがとなキアラ)

 

「えっと、褒めてくださっている、のデショウか?」

 

 キアラは首を傾げます。

 そんな彼女に「ええ、ありがとうだそうです」とスバルの隣から声がしました。

 

「シュバア」

(るしあ)

 

 スバルとキアラの話し声で起きたのでしょう、るしあが身体を起こしてきます。

 

「るしあからもお礼を言わせてくださいキアラ、ありがとうございます」

 

 るしあはぺこりとキアラに頭を下げました。

 

「いえいえそんな、お礼を言われるようなことではありマセン」

 

 照れているのでしょう、キアラの喋り方が早口になります。

 

「このキアラ、アヒージョとして当然のことをしたまでデス!」

 

 そう言ってから、キアラはフェニックスのお腹に顔を埋めだしました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 メードに着くまでの間、スバルたちはメードの状況などをマリンに聞きました。

 マリンが言うにメードの騒ぎはもうすっかり収まって、町のみんなもメードに戻ってきているのだそうです。

 スバルたちは今度こそマリンにクソザコの書へ署名してもらってから、メードの町に降りました。

 

「じゃあねあんたたち、またいつか会いましょう」

 

 メードの町を旅立つ直前、マリンはスバルに握手を求めてきました。

 

「シュバ、シュババシュバルバ!」

(おう、あばよ船長!)

 

 スバルは前足を伸ばしてその握手に答えようとしたのですが、船長はその足を払いのけてからスバルの右翼を掴み上下に振ります。

 

「あくあさんもお元気で」

 

「うん!」

 

 るしあの別れのあいさつに、船長の隣に立つあくあが頷きます。

 

「今度あんたたちに会う時、あてぃしはおそらく宝鐘海賊団の鉄砲玉として目覚ましく活躍してると思うわ。楽しみにしててよ」

 

「あのねあくたん、船長の海賊団にそんな危険なポジションはありません。そのような将来像を描いて我が海賊団への入団するおつもりなら、私どもとしてはあなたの入団をお断りせざるをえません」

 

「嘘だよ船長ー、冗談に決まってるじゃん!」

 

 気づけばマリンとあくあのじゃれ合いが始まっています。

 

「まあ、とにかくお二人ともご達者で」

 

 キアラがそんな二人に声をかけます。

 こうして、スバルたちはマリンとあくあに見送られながらメードを後にしました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

「これからどこへ行きマショウ、スバルせんぱい」

 

 フェニックスに乗りながらキアラが尋ねます。

 

「シュバルババ」

(コミーノだ)

 

「どこと?」

 

「コミーノだと」

 

 るしあがスバルの言葉を伝えてあげます。

 それからるしあはスバルの方へ向きました。

 

「スバル先輩、もしかしてまたあの胡散臭そうな占い師のところへ行くんですか?」

 

「シュババ」

(そうだ)

 

 スバルは頷きます。

 

「シュバルバシュババシュバルシュバシュバルルシュバルババシュバルルシュババ、シュババシュバルバシュバシュババシュバルルシュバシュバババシュバルルシュバルシュバルルシュバルバシュバシュバルバ。シュババシュバルババシュバシュバルバシュバルバ。シュバルシュバルバ、シュバルシュババシュババシュバルババシュバルルバ」

(確かに西の孤島にはレジェンド所持者がいなかったが、西の孤島に行くために立ち寄ったメードで船長というレジェンド所持者には出会えた。それが偶然だとはちょっと思えない。そしてなにより、スバルたちは他に行く当てがないからな)

 

「なんて?」

 

「なにはともあれ結果としてレジェンド所有者に出会うことができたのだから、また聞きに行く価値はあるんじゃないか、だそうです」

 

「そうデスね、なるほど! スバルせんぱいのおっしゃる通りデス! よおし、フェニックス! コミーノへ向かって走るのだ!」

 

 キアラは叫んでからフェニックスの横腹をぺちんと叩きます。

 フェニックスはそれに応えて走る速度を上げました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 スバルたちは再びコミーノの町へやってきました。

 コミーノは相変わらず人であふれています。

 三人は人の群れをかき分けて進みながら、例の占い師と出会った路地裏へ向かいました。

 

「やあ、また会ったね」

 

 占い師は前回会った時と同じ格好をして、赤い布のテーブルに水晶玉を置いていました。

 

「西の孤島はどうだった? レジェンド所有者とは戦えたかな?」

 

 問いかけてくる占い師に、スバルたちは顔を見合わせます。

 

「いいえ、戦っていません」

 

 るしあが代表して答えました。

 

「しかしレジェンド所有者である宝鐘マリンからの署名をいただきました」

 

「宝鐘マリン? 解散したチームリーダーの? ああそうか、彼女もレジェンド所有者か。というと、孤島に渡るためメードに行ってそこで会った、ということなのかな」

 

 占い師はぶつぶつと独り言を呟きだします。

 しかしそんな自分をスバルたち三人がじっと見ていることに気づき、ごほんごほん! とわざとらしげに咳払いしました。

 

「それで、宝鐘マリンとも戦ってはいないの?」

 

「だから戦っていません。クソザコの書に名前だけいただいたんです」

 

「そっかあ」

 

 なぜか占い師は残念そうです。

 

「そういうことで、西の孤島にはレジェンド所有者はいませんでした」

 

 るしあはそんな占い師をいぶかしげに見ながらも「でも」と続けます。

 

「あなたが行ってみるようにと勧めてくれた先でレジェンド所有者と出会えたのは事実、だからもう一度るしあたちの行き先を示してくれないかと思いここに来たのです」

 

「おお、そう言ってもらえるとうちも嬉しいよ。そうだね、次はねえ」

 

 占い師は少し考えるように上を向きます。

 それから唐突に「南」と口にしました。

 

「え?」

 

「スバ友が拠点にしてたアヒール村があるでしょ、そこからさらに南へ行ってごらん。するとエルフが住んでる館があるんだ。そこに次のレジェンド所有者に関する手がかりがあるよ」

 

 ばいばい、と言いたげに手を振る占い師に「ちょっと待ってください」とるしあが身体を乗り出します。

 

「なんですか南にあるエルフの住んでる館って、漠然としすぎです。ドット絵RPGの村人でももうちょっと親切な情報提供してくれますよ。その近くにある村とか目立つ建物とかも教えてくれませんか?」

 

「んー、そうだねえ」

 

 占い師は口元に手を当てて俯きだしますが、しばらくしてから「あ、そうだそうだ」と言って何かを思い出したかのように顔を上げました。

 

「近くにぺこらタウンっていう町があるよ、ウサダ開発の本社があることで有名な」

 

「シュババシュバルル?」

(ウサダ開発?)

 

「なんですか、その会社は?」

 

「えー、知らないのー?」

 

 首を傾げるスバルとるしあに、占い師は小バカにするような調子で「ウサダ開発っていうのはねー」と説明しようとします。

 しかし、

 

「ウサダ開発はここ数年で急に頭角を出しはじめたソーセージ開発企業なのですがありとあらゆる剣士の要望を聞き入れたソーセージ開発を実現してくれることから老若男女問わず広い支持を獲得し今ではソーセージシェアの大部分を占めているソーセージ開発企業界の生きたレジェンド級企業と言っても過言ではない超大手企業デスよ!」

 

 占い師がまだ一言も発しないうちに、キアラが凄まじい勢いで説明しだしました。

 

「詳しいのですね、キアラ」

 

 やや呆気にとられながらもるしあがキアラに尋ねます。

 キアラはそれに「はい!」と答えました。

 

「もちろんデス! 今や大陸で取り扱われている鉄剣、串剣のほとんどがウサダ製なのデスから! 安くて軽くて曲がらない、剣士の味方のウサダ製品!」

 

「シュバルバシュシュバシュバルルシュバ」

(なんだか熱がこもってるな)

 

「キアラはウサダ製品が好きなのですね」

 

「へ? ええ、まあ、……はい」

 

 キアラはポッと頬を赤らめます。

 

「実は、ウサダ製品だけでなく、たった一代でここまで会社を大きくした兎田ぺこら社長もすごく尊敬してるのデス」

 

 キアラは照れながらぼそぼそと言いました。

 

「あはは、それならちょうどいいんじゃないかな。エルフの館へ行くついでにぺこらタウンへ寄っていくといいよ」

 

 占い師は占い道具や机、椅子を片付けはじめます。

 そしてそれらを一つにまとめてから大胆に担ぎ上げ、路地裏から出て行ってしまいました。

 

「次の目的地が決まりましたね」

 

 占い師が角を曲がって見えなくなってから、るしあはスバルとキアラに話しかけます。

 

「シュバ、シュバルバシュババシュバ」

(ああ、エルフの館だな)

 

「ウサダ開発本社!」

 

 スバルとキアラは各々答えます。

 とにかくも、スバルたちは南方に向かいコミーノを発ちました。

 




 スバルドダック(アヒルverスバル)のシュバル語は読み始めると疲れます。
 あえて読もうという方以外は、基本的にシュバシュバ喋った次行の(~)だけをお読みください。
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