勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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「なーんとかぁしてくれるー」

 

「「ししろぼたん!」」

 

 ぼたんは佐藤を一瞬で倒しました。

 

「シュバア!」

(早え!)

 

 ぼたんの足元に敗れた佐藤がバタンと倒れます。

 

「佐藤!」

 

「無事か佐藤!」

 

 他のスバ友メスバル派の剣士たちが佐藤に駆け寄りました。

 

「心配しなさんな、その人も結構な手練れだったし気絶してるだけだよ。でもちっとばかし打ちどころをミスっちまったから、念のため医者に診てもらったほうがいい」

 

「くっ!」

 

 残ったスバ友メスバル派の男たちは剣を取って戦うべきか佐藤を医者に診せに行くべきか迷っているようでしたが、ぼたんと佐藤を交互に見てから結局剣をおさめて佐藤を担ぎ去っていきます。

 

「おいおい、瞬殺とかやめろよししろーん」

 

 彼らがいなくなってぼたんがフォークをレッグバッグに仕舞ったあと、ねねがぼたんに話しかけてきました。

 

「これじゃまるでねねが弱いみたいだろー」

 

 あははと笑いながらそんなことを言うねねに、ぼたんではなく隣にいたポルカが「え!」とあからさまに驚く反応をします。

 

「あ、そっか、もしかしてご本人お気づきでない? すーぅ……、察し」

 

「ねええ! ガチっぽくすんのやめろよお!」

 

 ねねはポルカに怒鳴ってから「はーん! ラミィ!」とラミィに抱きつきました。

 

「ラミィ、おまるんがひどいこと言うんだあ!」

 

「おーよちよち、もうおまるん! ねねちゃんをいじめないで! めっ!」

 

「ほーらそうやってみんなでねねちを甘やかして。そんなんじゃ今に大変なことになるんだからな! 今回はたまたま相手が優しい人でよかったけど!」

 

「まあまあ三人とも落ち着いて。とりあえず今回は無事に済んでよかったじゃん、結果オーライだよ。次からは気をつけようってことで」

 

 ぼたんがねね、ラミィ、ポルカの間に入って取りなします。

 

「それより時間がやばいんっしょおまるん、急いで届けに行こうぜ」

 

「そ、そうだった! 今は時間が」

 

 ポルカはしぶしぶ積み荷の上に戻りました。

 他の皆も急いで積み荷の上に乗ります。

 

「ごめんみんな! あと本当にもうちょっとだから、全力疾走でお願いします!」

 

 ポルカの頼みに頷く座員たちが、再び積み荷を引っ張り走り出しました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

「おーれーの、ラミィ!」

 

「「「いやいやいやいやおれのラミィ!」」」

 

「おーれーの、ねーね!」

 

「「「いやいやいやいやおれのねね!」」」

 

「おーれーの、ぼたん!」

 

「「「いやいやいやいやおれのぼたん!」」」

 

「おーれーの、おまるん!」

 

「「「いやいやいやいやおれのおまるん!」」」

 

 ホロファイブの四人が積み荷の上で声をそろえて歌っています。

 

「なんかおまるんバージョンだけ言いにくいな」

 

「字余りしちゃってるよ」

 

「いいじゃん字余りでも!」

 

 ねねとラミィにポルカが反論した時でした。

 

「皆さん、何かみえてきマシタよ!」

 

 キアラが正面を指さしながら呼びかけます。

 それは石造りの城でした。

 その城は高い石塀でぐるりと囲われています。

 

「つきました、魔王城です」

 

 ポルカがその城を見上げながらスバルたちに言いました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 ポルカはいったん他の皆を魔王城の正面口付近に降ろしてから、城のすぐ横にある大きな洞窟の中に積み荷を置いていきます。

 それから皆と合流し塀の正面口をくぐりました。

 

「なんだかすごいデスね」

 

 魔王城の内側に入ってまず目につくのは、塀の正面口から城の門扉へ向かってまっすぐ伸びている真っ赤な石畳の道でした。

 またその道の両脇には等間隔で炎が灯されており、おどろおどろしい雰囲気を演出しています。

 スバルたちはその道を歩いて進み門扉を開けました。

 するといきなり、凄まじいほどだだっ広い部屋が視界に飛び込んできます。

 というのも、外からの荘厳な見た目に反して城の中はこの一室のみのようで、ほかに部屋も通路もないのです。

 立派な外観の箱をかぶせただけのような間取りになっているのでした。

 

「ポルポルよ、遅かったではないか」

 

 そんなホールのような部屋の中央に大仰な椅子が設置されており、そこに誰かが座っています。

 

 やまぶき色の髪をしたボブカットの女の子です。

 アホ毛を生やし、頭のやや左後ろの位置で髪をひとちょんに結んでいます。

 来ているものは白色と緋色を基調にした和風アレンジのドレスです。

 

「すいません魔王様!」

 

 ポルカは彼女にかしずきながら謝罪しました。

 

「すいませんはもう聞き飽きた。それで、肝心の例のものは?」

 

「ははあ! 持ってまいりました、今は魔王城の隣の洞窟に置いてあります!」

 

「おお、ついに! よくやったにぇ!」

 

 彼女は椅子から飛び降りて、テテテテテと駆け出し場外へ出ていきました。

 

「え? 今のが魔王様?」

 

 本人がいないうちにコソっと尋ねるるしあに、ポルカが「さよう」と答えます。

 

「魔王のさくらみこ様です」

 

「さくらみこ? ああそっか、魔王城! ぺこら社長の幼馴染っていう」

 

 るしあが納得したように頷いているところへ、みこが駆け足で戻ってきました。

 

「ポルポルよ、素晴らしい! 素晴らしいにぇ! あれはいいものだにぇ!」

 

「ははあ! このポルカ、ありがたき幸せ!」

 

「おまえも喜んでくれるかポルポル! そうかそうか! にゃははは! ほら、いつまでそんな騎士みたいなキザっぽいポーズしてるにぇ、立って立って!」

 

「しかし魔王様、ポルカはこちらへお届けするのが納期ギリギリになってしまいました。その失態を思えば魔王様を前に立ち上がることなど恐れ多くてできません」

 

「ああそのことか、いいにぇいいにぇ! みこは今、兎田との約束の時間までにおまえが届いてくれてホッとしてるんだにぇ。よって不問とする!」

 

「ありがたき幸せ!」

 

 上機嫌のみこから許しを得て、ポルカはようやく立ち上がりました。

 みこはそんなポルカに「にゃははは!」と笑います。

 それから「ところで」と言ってスバルたちの方を見ました。

 

「そっちの方々は? ホロファイブの新人かにぇ?」

 

「あ、いえ、そうじゃないんですけど、ここに例のものをお届けするまでの道中、ポルカの護衛をしてくれたスバルたちです」

 

 そう言ってからポルカは簡単にスバル、るしあ、キアラをみこに紹介しました。

 

「そうかそうか」

 

 するとみこは興味深そうにスバルたちを見回しだします。

 

「みこはここで魔王をしているエリートの者で、さくらみこと言うにぇ。え、じゃあさじゃあさ、みんなみこの魔王配下になるための面接に来たってことでいいのかにぇ?」

 

「なんでそうなるんですか」

 

 るしあが呆れたようにため息つきます。

 

「まあまあそう言わず。とくにそこのアヒル君、君は輝くものを持ってるにぇ。みこならば君のその才能を存分に引き出して見せるが、どうにぇ? さらにさらに、今なら四天王のポストが三つも空いてるから、入ってくれるならすぐに四天王の役職をつけて『獣王アヒルダイン』の名も与えてあげるけど、どうにぇ?」

 

「シュバルババ」

(いらねえよ)

 

「結構だそうです」

 

 るしあがスバルの意志を伝えます。

 

「うんうん、迷うのも無理ないにぇ。みこも即座に結論を出せとは言わないけども、この城内をじっくり見学しながら考えてみてほしいにぇ。いろいろ案内するからさ、まあ一室しかないんだけど」

 

 にゃははは、とみこは笑いました。

 するとそんなみこを見たねねが、ぼたんとラミィにこそこそと耳打ちしはじめます。

 それから「あー、おまるん」とポルカに話しかけました。

 

「ねねたちは他に用事思い出したからさ、先に帰ってるね」

 

 用事があるという口実ですが、実のところは「面倒くさいことになりそうだから先に帰ってるね」と言ったところでしょう。

 ポルカは「わかった」とねねに答えました。

 するとねねは「じゃあまたねねー!」と言いながら手を振って魔王城を出ていきます。

 もちろんラミィとぼたんも一緒です。

 

「けっ、付き合いの悪いやつらだにぇ」

 

 ジト目で彼女らの後姿を見ながらみこが吐き捨てました。

 

「あんなやつらは気にしないで、みんなはじっくり見ていくといいにぇ」

 

 そして、みこはスバルたちに城内の隅に置かれている不思議そうなアイテムを一つ一つ紹介していきました。

 

「このエリートな帽子は『ドラゴンヘッド』、かぶると頭だけブラックドラゴンの見た目になるにぇ。ああ、このエリートなマントは『エリートラ』、身に着けると空を飛ぶことができるんだにぇ。そしてそして、このでかいエリートな機械は『デーモン・みこ・ソウル』、雨雲を作り出して魔王城上空をかっちょいい感じにしてくれるんだにぇ。まあ、この『デーモン・みこ・ソウル』はあんまり雲を作りすぎると大変なことになるからって、一時間で強制停止するようになってるらしいがにぇ」

 

 自慢げに紹介していくみこに「本当にすごいですね」とるしあが相槌を打ちます。

 

「にゃははは、あんさんわかってるにぇ。これらは全部みこがポルポルを仲介してようやくフレアに作ってもらったもの、大変だったにぇ。なあポルポル」

 

「ええ、本当に大変でしたよ、本当に」

 

 懐かしげに語るみこと対照的に、ポルカは重いため息をつきました。

 

「まあ、おかげであの兎田をギャフンと言わせることもできたから、すべて結果オーライだけどにぇ」

 

「ぺこら社長と幼馴染なんデスよね」

 

 尋ねるキアラに「ふん、腐れ縁だにぇ」とみこが鼻を鳴らします。

 

「そりゃ、兎田も昔は可愛げがあったけどにぇ」

 

「今とは違うのデスか?」

 

「ぜんぜん違うにぇ」

 

 みこは続けます。

 

「忘れもしないにぇ、昔のあいつはみこが取ってきたオオクワガタに目をキラキラさせて『みこ先輩、すごいペコすごいペコ! みこ先輩は本当にエリートペコよ!』って慕いながら金魚の糞みたいにみこの後ろについてったもんだったにぇ。それが今となっちゃその可愛かった兎田が当時の可愛さのかけらも失って、みこのことを先輩とすら思っていないときた。絶対に許せないにぇ! 特に兎田の笑い方、あのみこをバカにするような高笑いだけは、思い出すだけでも腹立たしいにぇ!」

 

「あの笑い方はぺこら社長の素デスよ」

 

「それでもだにぇ!」

 

 ふん、とみこは顔をそらします。

 

「シュバルバシュババシュバルババ」

(子供のケンカみたいだな)

 

「そうですね」

 

 スバルとるしあがみこに聞こえないようにぼそぼそ喋りました。

 

「まあ、今日こそはみこがどれだけエリートなのか兎田に嫌というほどわからせて『ペコペコー、みこせんぱーい、ぺこらを許してほしいペコー』って言わせてやるにぇ」

 

 言ってからみこは「なあ、そうだろポルポル!」とポルカに同意を求めます。

 ポルカは「え、あ、はい。おっしゃる通りです」と頷きました。

 

「今日こそはって、そういえばさっきもぺこら社長との約束の時間云々って言ってましたよね。ぺこら社長と会う約束でもしてるのですか?」

 

 尋ねるるしあに「ふふふふ、いい質問だにぇ」とみこが答えます。

 

「実は今のみこと兎田は犬猿の仲、まさに水と油のように相容れぬ者同士。それゆえ毎月何度か会う日を決め、相まみえるたびに熾烈な戦いをくり広げているんだにぇ」

 

「はあ」

 

「ある日は大食い対決、またある日はカラオケ採点対決、リズムゲー対決なんてのもあったにぇ」

 

「シュババシュバルルシュバルバ」

(ただの仲良しじゃねえか)

 

「しかしそんなこんなでぶつかり合うもお互いの実力が拮抗していたためなかなか勝敗を喫することができなかったわけだが、ぷーくすくす、今日こそはおまえたちが兎田と会う約束の時間に間に合ってあれを届けてくれたから、みこの圧勝が決まったも同然だにぇ」

 

「あのデカい積み荷ですか?」

 

「さよう」

 

 みこは腕を組みながら鷹揚に頷きました。

 

「あれはいったい何なのですか?」

 

「ふふふふ、知りたいかにぇ?」

 

 もったいぶるように聞き返すみこに「ええ、まあ」とるしあは答えます。

 するとみこはニヤリと笑いました。

 

「ならおまえたちも立ち会うといいにぇ、歴史に残るだろうみこと兎田の対決に」




 スバルドダック(アヒルverスバル)のシュバル語は読み始めると疲れます。
 あえて読もうという方以外は、基本的にシュバシュバ喋った次行の(~)だけをお読みください。
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