勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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 みことぺこらが会うという約束の時間になります。

 みこにスバルたちが連れていかれたところはちょうどぺこらタウンと魔王城の中間地点であり、草原地帯で見晴らしもいい場所でした。

 

「遅いペコよ、みこ先輩」

 

 スバルたちが到着したとき、そこにはすでにぺこらと彼女に付き添うムーナの二人が待っていました。

 

「おや? あんたたちも来たペコね」

 

 スバルたちを目にしたぺこらは「ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ」と笑いだします。

 

「いいペコいいペコ、華々しいぺこらの大勝利を目の当たりにする観客は一人でも多いに越したことがないペコ。なあムーナ」

 

「はいシャチョー」

 

「ぷーくすくす、目を開けたまま寝言を言うなんてけったいなウサギだにぇ。ポルポル、みこが勝利する瞬間を収めるための特注カメラは準備できてるかにぇ?」

 

「はい魔王様」

 

 ぺこらとみこが対峙します。

 二人は腕時計をちらちら見ながら急に時刻を気にしはじめ、三時ちょうどでお互いに顔を上げて向き合います。

 

「今日こそは覚悟してくださいペコ、みこ先輩!」

 

 ぺこらが叫びます。

 

「ぺこらがこの日をどれほど待ちわびたことか! お互いの最高傑作となる巨大ロボを作り乗り込み決闘し、長きにわたるぺこみこ戦争の歴史に終止符を打つこの大決戦の日を! ということで、まずはぺこらのとっておきから披露させてもらうペコ!」

 

 ぺこらは右手をかかげます。

 

「来い! ぺこダアアアアム、ペコ!」

 

 そしてパチンと指を鳴らしました。

 

 遠く離れたぺこらタウンの本社研究所で「ヴー! ヴー!」とサイレンが鳴り響き、研究所内の格納庫が開きます。

 格納庫の中にはカタパルトに乗った人型の巨大ロボットが納められています。

 そのロボットの大きさは縦横の幅が約二メートル、高さが約四メートルです。

 またそのロボットはぺこらの特徴を良く捉えた外観をしていました。

 

 ロボットを乗せたカタパルトの向きが、ぺこらたちのいる場所に合わせられます。

 それからロボットが射出されます。

 しばらくしてから、ロボットはぺこらの十メートル先地点に着陸しました。

 

「来たペコ!」

 

 ぺこらが走りだします。

 そのロボットはぺこらが半径三メートル以内に入ると彼女を識別感知し、地面に片膝を立てて手のひらを地に付けました。

 それから胸元のコクピットを開けました。

 ぺこらはロボットの手のひらを伝って肩まで這い上り、コクピットに飛び乗ります。

 するとウィーンと音をさせながらコクピットが閉まり、ロボットはゆっくり立ち上がりました。

 

『ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ! どうですかペコ、みこ先輩!』

 

 ロボットからぺこらの声が聞こえてきます。

 

『これぞ我がウサダ開発の最高傑作、ぺこダムだペコ!』

 

 ぺこらは声を張り上げました。

 

「ぷーくすくす」

 

 しかしみこは動じません。

 

「兎田、どうやら考えていることは一緒だったようだにぇ」

 

 言ってから、みこも右手を上げて指を構えます。

 

「出でよ、みこシャア!」

 

 そしてその指をパチンと鳴らしました。

 

 すると魔王城の横にある洞窟で、巨大な何かがみこの声に反応して目を光らせます。

 それはポルカたちが運んできた積み荷の中身でした。

 すでに覆われていたシートが剥がされているそれは、ひとりでに背面のブーストを使って洞窟を抜け出し、みこの元へとやってきます。

 大きさはちょうどぺこダムと同じくらい、赤を基調にしてみこそっくりに作られた巨大ロボットでした。

 

「にゃはははは!」

 

 みこもそのロボットのコクピットである胸元に乗り込みます。

 

「おー、やってるなあ」

 

 突然、どこから出てきたのかフレアがスバルの隣に現れました。

 

「シュバアア! シュバルバア! シュバルバシュバルルバシュバ!」

(うおお! びくったあ! いきなり現れるなシュバ!)

 

「はははは、そんなにびっくりしなくてもいいじゃないか。みこシャアが起動したみたいだったから、さてどんな感じだろうかと見に来たんだ。どれどれ、おー、動いてる動いてる」

 

 みこの乗り込んだロボットはちょうどコクピットを閉じて立ちあがるところでした。

 

『どうだ兎田! これがみこの超エリートスーパーロボット、みこシャアだにぇ!』

 

 みこが叫びます。

 

『ポルポルを仲介に大金を積んでやっと手に入れた、天才フレアの最高傑作ロボだにぇ!』

 

「三時間という月日を費やした最高傑作だ」

 

 フレアが自慢げに補足しました。

 

「シュババシュバルシュバルシュババ」

(もっと時間かけてやれよ)

 

『え、ちょ、みこ先輩! 最高傑作って、それただの他力本願じゃねえかペコ! みこ先輩の最高傑作じゃないんですかペコ!』

 

『んだよー! こっちはちゃんと金だしてんだにぇ、うるさいこと言うなよ! おまえだって全部ムーナ任せだろうがどうせ!』

 

『ム、ムーナはぺこらの右腕、つまりはぺこらの一部だペコ! なあムーナ!』

 

「はいシャチョー」

 

 それからみことぺこらは巨大ロボに乗ったままああだこうだと見苦しい言い争いをはじめます。

 しかししばらくするとお互いに疲れてきたようで『も、もういいペコ』とぺこらが言いました。

 

『何はともあれ誰かの最高傑作には違いなし、それで手を打ちましょうペコみこ先輩』

 

『そ、そうだにぇ』

 

『それよりみこ先輩、ぺこらはぺこダム以外に面白いものを用意してきたペコ』

 

 ぺこらの乗るぺこダムがムーナの方を見下ろします。

 

『へいムーナ!』

 

「はいシャチョー」

 

 ムーナはぺこらに返事をしてから無線を取り出し何やら指示を送ります。

 するとしばらくしてぺこらタウンの方角から長方形の巨大なボックスが飛んできて、ぺこダムとみこシャアのちょうど中間地点に着荷しました。

 

『来たペコ来たペコ』

 

 ぺこダムはそのボックスを開けてから『みこ先輩』と呼びかけて、みこシャアに何かを放って渡します。

 みこシャアはそれを受け取りました。

 

『これは何だにぇ?』

 

 渡されたのはちょうどロボットのサイズに合わせたフォークです。

 

『ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ、よく聞いてくれたペコ。これぞウサダ開発の最高傑作その二』

 

 言いながらぺこダムはもう一本巨大フォークを取り出して自分も掴みました。

 

『その名も「Dekasugi da sausage ~とりま、にぎれ!~」ペコ!』

 

 フォークをブン! と振るいます。

 すると巨大フォークの先に中級剣ヴァイスヴルストが現れました。

 

『このDekasyu……、すーぅ、このデカソは自分が所有しているフォークのデカくなったバージョンを使うことができるというとんでもアイテムなんだペコ!』

 

 言ってぺこダムが胸を張ります。

 

『で、デカスギダソーセージ、とりまにぎれ?』

 

 オウム返しに呟いたみこが少したじろぎました。

 

『あのさ、このネーミングって全部兎田が考えてるわけ?』

 

『どうしてそんなこと聞くペコ?』

 

『いやだって、ちょっと、センシティブというかさ、なんか』

 

『え、ちょ、やめてくださいペコだよマジで! ぺこらがせっかく一生懸命考えてきたのに、みこ先輩のせいで急にいやらしいみたいになるじゃんかペコ! みこ先輩が普段から変なゲームばかりやってるからそんなふうに考えるだけペコよ!』

 

『んだよー! 変なゲームとか言うなよマジでよ、やってもねえくせに! へこむじゃんかよー! 狙って名前付けたくせにさ絶対! かけてもいいけど名前聞いた瞬間に「え? おいおい(笑)」とか「ふーん、エッチじゃん」とか思ったのみこだけじゃねえからな!』

 

『あーはいはいわかりました、わかりましたペコ! じゃあ今からこれはデカソにするペコ! それ以外の呼び方はぺこらが一切禁止しますペコ!』

 

 ぺこらは『へいムーナ!』と呼びかけます。

 

「はいシャチョー」

 

『商品登録の名前を「デカソ」に変更しといてペコ』

 

「はいシャチョー」

 

『でもデカソはデカソでなんかデベソみたいで笑えるよにぇ』

 

『おまえもううるせえペコだよ! さっさと勝負するペコよ!』

 

 ぺこらがヴァイスヴルストを構えます。

 

『ふふふ、望むところだにぇ』

 

 みこもデカソを振るいました。

 先端に現れるのは中級剣のグラモーガンです。

 そして二人は同時に飛びかかり、ペコみこ決戦の火ぶたが切って落とされました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

「シュバルバ、シュバ」

(なんだよ、これ)

 

 巨大なソーセージを振るって打ち合うみことぺこらの二人、そんな彼女らを見上げるスバルが呟きをもらします。

 

「シュバルルババシュバシュバルルシュバ、シュバルバ!」

(ソーセージで何やってんだよ、あいつら!)

 

 その声には苛立ちが含まれていました。

 

「スバル先輩?」

 

 思わずるしあが振り向きます。

 

「シュバルルババシュババシュバシュバルバシュバババシュバルシュバルシュバルバ、シュバルルバシュババシュバルシュバルシュバルバシュバシュババ! シュババ、シュバシュバルルバババシュバシュバシュバルルシュバシュバルルシュバババシュババシュバルシュバルルシュバルル、シュバルバシュババシュババシュバルシュバルバシュバルババ!」

(ソーセージはおもちゃでも子供がケンカに使う道具でもない、簡単に人を殺せちまう危険な武器なんだ! それを、まだソーセージのソの字もわかってない中級剣士がこんなふうに使って戦って、もしものことが起きたあとじゃ手遅れなんだぞ!)

 

「スバル先輩……」

 

「シュバルバ、シュバルシュバルシュバルルシュバルシュバルババシュバルルバババシュバルバシュバルバシュバ」

(なにより、信念なく振るわれているあいつらのソーセージが哀れでならないシュバ)

 

「そうだな」

 

 スバルの言葉にフレアが頷きました。

 

「ならばおまえが止めてみないか、大空スバル。この悲しい戦いを」

 

「シュバ?」

(なに?)

 

 スバルがフレアの方を見ます。

 

「シュババシュバルルシュババ?」

(それはどういう意味だ?)

 

「そのままの意味さ」

 

 フレアは答えました。

 

「実はな大空スバル、あたしはあんたが館に来ることは前もってわかっていた。そしてこうしてぺこみこ決戦を見せられ、どうにかしたいと歯がゆい思いをするだろうことも。だからポルカの護衛を頼んだんだ」

 

「シュバルシュバルバ。シュババシュバルルシュババシュバ?」

(まわりくどいな。だからどういうことだシュバ?)

 

 じれったそうに聞いてくるスバルに「ふっ」とフレアは含み笑みを返します。

 

「百聞は一見に如かず、あたしが口で説明するよりも人の姿に戻って指パッチンしてみるといい。そして叫ぶんだ『来い! シュバンゲリオン!』と。そうすれば全てわかる」

 

「シュバルシュバ? シュバルシュバルル?」

(なんだそれ? シュバンゲリオン?)

 

「騙されたと思ってやってみ」

 

「シュバルバ」

(わかった)

 

 スバルは人間の姿に戻ります。

 右手をかかげます。

 

「来い! シュバンゲリオン!」

 

 叫んでから、スバルはパチンと指を鳴らしました。




 スバルドダック(アヒルverスバル)のシュバル語は読み始めると疲れます。
 あえて読もうという方以外は、基本的にシュバシュバ喋った次行の(~)だけをお読みください。
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