勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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 人間の姿に戻ったスバルは右手をかかげます。

 

「来い! シュバンゲリオン!」

 

 そしてパチンと指を鳴らしました。

 その時です。

 遠くの湖がある方でバシャアン! と大きな水柱が立ちました。

 その湖で水浴びでもしていたのでしょうアヒルの群れが飛び交います。

 それからしばらくしてガシャンガシャンガシャンガシャンと物々しい足音が聞こえてきます。

 そうかと思えば何かがスバルたちに向かってくるのが見えてきます。

 遠目に見えるそれは八頭身の人型で、華麗なジョギングフォームを保ちながら走ってきます。

 

「な、なんだシュバ? あれは」

 

「シュバンゲリオン、福音をもたらすアヒルの巨人さ」

 

 フレアが答えているうちにシュバンゲリオンはスバルたちの前までやってきます。

 

「マジかよ」

 

 間近にまでやってきたシュバンゲリオンを見上げるスバルは、思わず息をのみました。

 まず、なんといってもデカいのです。

 ぺこダムとみこシャアも巨大ロボットには違いありませんが、そんな二機よりもさらに大きなサイズなのです。

 次にその見た目です。

 遠目で人型と思っていたそのロボットは、正確には「人」でなかったのです。

 身体は人の手足を持つ八頭身ロボなのですが、頭部はどう見ても「アヒル」なのです。

 

「少し前のことさ、あたしがこいつを作り出すきっかけを得たのは」

 

 スバルがありとあらゆる意味で言葉を失っている横で、フレアが語りだします。

 

「ふと西の孤島を望遠鏡で眺めていた時、その島に紫の肌に翡翠色の甲冑を装着した巨人が現れたのを見たんだ。あたしはその巨人に激しくインスピレーションを得た。そして数日徹夜した後ようやく完成した、それがこのシュバンゲリオンなのさ! どうだ大空スバル!」

 

「どうだと聞かれても、おまえが残念なヤツだということしかわからないシュバ」

 

「そうじゃないだろ! 全長六メートルの巨体! 隆々とした肉体美! そしてアヒル! これ以上何を追求すればいいのかわからないくらい神々しいじゃないか!」

 

 力説するフレアに「そうシュバ、そうシュバなあ」とスバルは適当に相槌を打ちます。

 

「まあ、なにはともあれこいつは借りるシュバ」

 

「おう! 行ってこい大空スバル!」

 

「おまえの身体、ちょっと貸してもらうシュバよ! シュバンゲリオン!」

 

 スバルがシュバンゲリオンに向かって呼びかけました。

 するとスバルの声に反応してでしょう、シュバンゲリオンは胸部のコクピットを開いてから彼女がそこまで登って来やすいように屈みこもうとします。

 しかしスバルは待つのがじれったいようで、立った状態のシュバンゲリオンの足を駆け上がっていきコクピットに乗り込みました。

 コクピットが閉まります。

 それからビイン! と音がしてシュバンゲリオンの目が光りました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

『この! このペコ!』

 

『うお! あぶないにぇ! おらあ!』

 

 そのころ、ぺこらのぺこダムとみこのみこシャアはデカソを振り回して戦っていました。

 二人はずっと互角の打ち合いを続けていました。

 

『あ』

 

 しかし、つい剣を大振りしすぎたみこシャアが転んでしまいます。

 

『ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ! みこ先輩、どうやらこの勝負ぺこらの勝ちのようですペコなあ!』

 

 言いながら、ぺこダムが無防備のみこシャアにソーセージを振り下ろそうとした時でした。

 

『やめろシュバ』

 

 ぺこダムは横から伸びてきた手に腕を掴まれ、とどめを妨害されます。

 

『だ、誰だペコ!』

 

『水辺よりこの戦いを止めるためにやってきたアヒルの巨人、シュバンゲリオン!』

 

『シュ、シュバンゲリオン?』

 

 ぺこらはぺこダムより二メートルも大きい新たな巨大ロボにたじろぎました。

 

『ふ、ふん、まあいいペコ。面白くなってきたペコよ。シュバンゲリオン、あんたもデカソを取るペコよ。これを使えば自分の所持しているソーセージを』

 

『いらん』

 

 スバルはぺこらの言葉を遮ります。

 

『信念なき戦いに振るうソーセージなど持ち合わせていない』

 

『な、なんだペコこいつ』

 

『どうしたにぇ?』

 

 みこシャアも起き上がってきました。

 

『聞いてくださいペコみこ先輩。なんかこいつがいきなりしゃしゃり出てきたんですが、ぺこらとみこ先輩の戦いには信念がないからソーセージを使わないとか言ってくるんだペコ』

 

『はあ? むしろペコみこ決戦は信念しかないにぇ!』

 

『ですよねペコ!』

 

『御託はいい、さっさと二人でかかって来るシュバ』

 

『おま、いきなり現れて偉そうにすんなペコ!』

 

 ぺこダムが素手のシュバンゲリオンに剣を振り下ろそうとします。

 しかしそれよりも早くシュバンゲリオンが動きました。

 シュバンゲリオンはぺこダムの持ち手を掴んで剣を止めます。

 それからバチンバチンバチン! と頬にビンタを三度かましました。

 

『あーん! ああーん! ひどいペコー!』

 

『おのれえ! よくも兎田を!』

 

 今度はみこシャアがシュバンゲリオンの背後からソーセージを突き出します。

 しかしソーセージがシュバンゲリオンに当たる直前、その紙一重の位置でシュバンゲリオンの身体周囲に光の膜が出現しました。

 その光の膜が防壁となり、膜と接しているソーセージ先端との接触箇所から虹色の波紋を広げながら、みこの攻撃を完全に受け止め防いでいます。

 

『なにこれええ!』

 

 叫ぶみこシャアをシュバンゲリオンが蹴り飛ばしました。

 

『ぬああああ!』

 

 みこシャアはぺこダムの隣まで転がっていきました。

 

「はははは! 見たか! ソーセージを用いるあらゆる攻撃を無力化する最強の光の盾、その名もシュバリア!」

 

 フレアが拳を握りこみ声を張り上げます。

 

「シュバンゲリオンがぺこダムとみこシャアの二機を相手に戦うだろうこの日のため、あたしが考えに考え抜いた俺TUEEEEの最強オプションだ!」

 

 一方シュバンゲリオンは再び腕組みをして二機のロボを見下ろします。

 

『か、貫禄がゲームの裏ボスキャラ並に半端ないにぇ』

 

『みこ先輩、ソーセージが通用しないことがわかったけど、どうせあいつもソーセージを使わないんだから条件は一緒ペコよ。前後で挟み撃ちにしてからタコ殴りにしてやりましょうペコ』

 

『ぷーくすくす、のったにぇ』

 

 ぺこダムとみこシャアが左右に跳んで分かれます。

 ぺこダムが正面に立ってシュバンゲリオンの注意を引き付けているうちに、みこシャアがその背後方面に回り込みました。

 

『行きますよペコ!』

 

『だにぇえ!』

 

 二機は息を合わせて前後からシュバンゲリオンに突っ込みます。

 ですが、対するシュバンゲリオンは動揺するどころか腕組みすら解こうとしません。

 

『おま、ふざけんなペコだよマジで!』

 

 ぺこダムが飛びかかります。

 

『舐めプしてんじゃねえペコお!』

 

『そういうのはみこがしてみたいんだにぇえ!』

 

 みこシャアも後ろから殴りかかりにいきます。

 しかしシュバンゲリオンはなおも腕を組んでいます。

 そんな腕がふさがった状態のまま、ぺこダムの脇腹に回し蹴りを入れました。

 そして地面についているもう片方の足を軸に身体を勢いよく回転させ、背後を狙い攻撃しようとしていたみこシャアも巻き込んで蹴り飛ばします。

 ぺこダムとみこシャアの二機は再び地面に倒れこみました。

 

『なんなのあいつ、ガチでやべえペコなんですけど』

 

『まるで勝てる気がしないというか、負けイベとしか思えなくなってきたにぇ』

 

『そういうこと言うのモチベ下がるからやめてくださいペコ、みこ先輩』

 

『すまんにぇ』

 

『とにかく実力差があろうと二対一ですし、こうして倒れこんでる時に追撃してくるようなこともなし、もしかしたらワンチャンあるかもしれませんよペコ』

 

『言い方を替えれば、ただでさえ二対一なのに余裕見せられてるってことだけどにぇ』

 

『だーかーらー! モチベ下がるようなこと言わないでもらえますかペコ!』

 

『違うって! 最後まで聞け兎田! そうした慢心から思いもしないところで足をすくわれる、そこに勝利の糸口があると、みこはそう言いたかったんだにぇ!』

 

『そうです、まさにその通りペコ』

 

 お互いに励まし合いながら二機は立ち上がります。

 

『行くぞ兎田あああ!』

 

『はいペコ!』

 

 そうして、そのあとも何度もぺこダムとみこシャアはシュバンゲリオンに立ち向かっていくのですが、そのたびに返り討ちにあうのでした。

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