勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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「なんだよ、それ」

 

 みこの本心からの叫びを聞き、みこシャアとぺこダムの連携を見せられたフレアがぼそりと呟きます。

 

「師匠?」

 

「なんだよそれ、めちゃくちゃエモいじゃん!」

 

 フレアはいきなり泣き出しました。

 

「はじめからさ、そういう事情を素直に教えてくれればあたしだってもうちょっと協力的にいろいろしてやったのにさ、『金ならあるにぇ、言われたものを作ってくれればいいにぇ』とか言うんだもん! 『んだよコイツ! うぜえええ!』って思うじゃん! うわあああん!」

 

「師匠、そういう機微こそフィーリングで読み取れるようになりましょうね」

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

「兎田! デカソはまだあるかにぇ!」

 

 シュバンゲリオンをぺこダムとみこシャアの二機で翻弄しながら、みこがぺこらに話しかけます。

 

「ボックスにいくつか予備があるペコだけど、みこ先輩! あいつにソーセージは通用しないペコよ!」

 

「ああわかってる、あのチートバリアのせいでにぇ。でも逆に、そんだけすんごいバリアなら並大抵のエネルギー消費量じゃないはず! バリアができなくなるまで斬って斬って斬りまくってやるにぇ!」

 

「ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ、なるほどペコ! ソーセージさえ使えればこっちのもんペコだからな! そういうことならぺこらもお手伝いしますペコ!」

 

 そう答えてから、ぺこダムはデカソの入ったボックスを取りに行こうとします。

 

「よせぺこダム、みこシャア!」

 

 しかしそれをフレアが大声で制止しました。

 

「目の付けどころはいいがそれは悪手だ! 確かにシュバリアはエネルギーの消耗が激しいが、かと言ってあと一時間分はバリアを展開するぞ! おまえたちの実力でそれだけの時間を戦い続けるなんて現実的ではないだろう!」

 

「じゃあどうすればいいペコか!」

 

「バリアが発動したときに腹部の下の箇所が点滅していただろう、そこがシュバリアの動力源だ! 武器でも素手でもソーセージ以外のなんでも使ってそれを破壊するんだ! そうすればシュバリアは使えなくなる!」

 

「わかったペコ!」

 

 ぺこダムがフレアの言う動力源の部分めがけて殴りかかります。

 しかしシュバンゲリオンは素早い身のこなしでかわしました。

 

「こんにゃろ!」

 

 間髪入れずにみこシャアが飛び蹴りをしかけますが、それに対してシュバンゲリオンはみこシャアヘッドを振るってけん制します。

 みこはギリギリのところで避けました。

 

「や、やっぱり強いにぇ」

 

「ペコ」

 

 弱音を吐くみことぺこらにシュバンゲリオンは「ジュバアアアア!」と吠えます。

 それからガシャンガシャンと足音を立てて突っ込んできます。

 

「くうっ!」

 

 みこもぺこらも迫りくるシュバンゲリオンに身構えました。

 ちょうどその時です。

 

 ドオン。

 

 遠くで太鼓のような音がしました。

 直後、シュバンゲリオンの右腕に何かが当たりその巨体がよろめきます。

 

「ぺ、ペコ?」

 

「なんだにぇ?」

 

 ぺこらとみこは困惑します。

 そんな二人をよそにまた音がします。

 そしてシュバンゲリオンに当たります。

 今度はシュバンゲリオンの右肩です。

 

「狙撃ですか!」

 

 言ってからるしあが音のした方へ振り返りました。

 しかしあたり一面に広がる草原には人影一つ見当たりません。

 ただ、草原一帯のはるか向こう側に霞んで見える丘があり、その丘の頂がチラチラと光るたびに太鼓の音が聞こえます。

 そしてその音がした直後、握り拳サイズの砲弾が驚異的な正確さでシュバンゲリオンに命中するのです。

 

「まさか、あんな遠くから!」

 

「ししろーん!」

 

 ポルカが拳を振り上げて叫びました。

 一方、ぼたんの狙撃は徐々に命中精度を上げていきます。

 というのも、はじめ上半身が中心だった狙いが下へ下へとずれていき、今では例のシュバリア動力源の周囲まで迫ってきているのです。

 もちろんシュバンゲリオンもただ突っ立っているわけではありません。

 左右上下へ動いて避けようとするのですが、その動きすら読んだうえで命中精度を上げているのです。

 

 ガン!

 

 そしてとうとうぼたんの狙撃がシュバリア動力源に当たります。

 直後、シュバリアが誤作動を起こしたかのように展開され、その光の盾が大きく揺らぎます。

 しかし破壊するにはやや威力が足りなかったようで、すぐに元のシュバリアの形に戻りフッと消えてしまいました。

 

「ちっ、惜しい!」

 

 歯がゆそうにフレアが舌打ちします。

 

 ガン!

 

 しかし続いて放たれたぼたんの砲弾が、先ほどと全く同じ箇所に命中します。

 すると再び展開されたシュバリアがねじ切れるほどに大きく歪み、やがてピキピキとひびが入りだし、それからパリーン! と音を立ててガラス板が割れるように消滅しました。

 

「よし! シュバリアが消えた!」

 

「きてぃら!」

 

 フレアが「ぺこダム、みこシャア!」と二機に呼びかけます。

 

「シュバンゲリオンの急所は頭部だ! 頭部に全身を統括操作するための核が埋め込まれている! 頭部を狙え! 間違っても胸部のコクピットは破壊するなよ!」

 

「わかったにぇ!」

 

 みこが答えます。

 それからみこは隣のぺこらに「兎田!」と呼びかけました。

 

「わかってるペコ!」

 

 ぺこダムがシュバンゲリオンに向かって駆けだします。

 それから両手で掴みかかろうとするシュバンゲリオンを滑り込みながらかわし、そのまま股下をくぐって後ろに出ます。

 たどり着いたのはデカソの入ったボックスが置かれた場所です。

 

「みこ先輩!」

 

 今度はぺこらがみこに呼びかけます。

 

「おう!」

 

「これを!」

 

 ぺこダムはみこシャアに向かってデカソを投げました。

 シュバンゲリオンの頭上をデカソのフォークが通過しようとします。

 それを大きく跳び上がったみこシャアが掴み取り、空中でソーセージのグラモーガンを出現させます。

 

「いくにぇええ!」

 

 みこは声を張り上げながら自分を見上げてくるシュバンゲリオンの頭めがけ、グラモーガンを振り下ろしました。

 みこシャアのグラモーガンがシュバンゲリオンの頭頂部に命中します。

 ガツン! と鈍い音をさせ、その箇所が抉り取られたように大きくゆがみます。

 そして、しばらくしてからシュバンゲリオンの目に宿っていた光が消灯しました。

 シュバンゲリオンは地面に両ひざをつき、ゆっくりと前方に倒れました。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

「スバル先輩!」

 

 倒れて動かなくなったシュバンゲリオンにるしあとキアラが駆け寄ります。

 

「スバル先輩! 聞こえますか! スバル先輩!」

 

 シュバンゲリオンの背面部を叩きながらるしあが呼びかけました。

 

「るしあさん、どいてください。わたしがこじ開けマス」

 

 キアラがレッグバッグからフォークを引き抜き、チュロスを出現させます。

 そして無理やりシュバンゲリオンの背面部に穴をあけました。

 

「スバル先輩!」

 

 穴を覗き込みながらるしあが大声で呼びかけます。

 するとすぐに「シュバア!」と返事がありました。

 

「シュバアア! シュバアア! シュバシュバルバシュバルバシュバア!」

(るしああ! キアラあ! もう駄目かと思ったシュバア!)

 

 スバルの声は涙で潤んでいました。

 

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