勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~   作:はばたくアヒル

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「シュバルバシュバルルシュバルバシュバシュバルシュバ、シュババシュバルバシュバシュバシュバルルシュバル『シュバルル』シュバ」

(かつての激動時代のランキング二位、それが星街すいせい率いるチーム「星詠み」だ)

 

「ええええ!」

 

 叫んでしまってから、るしあは慌てて口元を両手で押さえます。

 

「本気で言っていますか? はあとさん現役時代のランキング二位って」

 

「シュバルバシュバルルシュバ」

(本気で言ってるシュバ)

 

「ああそうデスよ。星詠みリーダー・星街すいせい、サイコパスすいせい」

 

 断片的なるしあの言葉を頼りに思い出したキアラが会話に加わります。

 

「キアラも彼女を知っているのですか?」

 

「はい。剣士界隈の有名人デシタので。それに古参のスバ友から星詠みと戦ったことがあるとかなんとか武勇伝っぽいのを聞いていたので、印象に残っていマシタ」

 

「シュバシュバルアシュバルシュバシュバ」

(その割には忘れてたよな)

 

「面目ないデス」

 

 キアラは恥ずかしそうに顔を赤らめます。

 

「でもなんだか不穏な異名ですよね。サイコパスだなんて」

 

「まあ、そう名付けられてしかるべきことをしてきたらしいデスから」

 

「?」

 

 首を傾げるるしあにキアラが説明します。

 

「星街すいせい率いる星詠みは、戦いにおいて合法の範囲内であれば勝つために手段を選ばなかったそうデス。また相手が剣士であれば一切容赦も躊躇もなくとどめを刺していく戦闘スタイルで、かなりの人から恨みを買いまして、そうした連中のつけた名前が異名として定着したらしいデス」

 

「へえ」

 

「とは言え、いつの時代も剣士を志す少年少女は上位ランカーに憧れるもの。私はもちろんスバル先輩がそうデスが、時代の子供たちはみんな二人に釘付けだったそうデス。もちろん彼女たちが一位二位のランカーだったということもありマスが、一方が潔癖なくらい人道的で正々堂々を信条にする赤井はあと、他方が勝つために手段を選ばないヒールを突き通す星街すいせい、その面白いくらいに対比しているキャラクター性もファン受けした一因だったそうデス」

 

「シュバルババシュバシュバルバシュバルバシュババシュバルバシュバシュババ」

(はあと派とすいせい派でみんなの推しが二元化したもんだ)

 

「でも勝つために手段を選ばないって、るしあの知ってる限りだとはあちゃまなんですが」

 

「シュバ、シュバルバシュバルシュバルルシュバルルバシュババシュババシュバル。シュバルバシュバシュババ、シュバルルシュバシュバルシュババシュバルルバシュバルバシュバルルシュバルルバ。シュババシュバルバシュバルシュババシュバシュババシュバシュババシュバルルバシュババシュバルルシュバルバシュバルルシュバシュババシュバルシュバルバシュバルルシュバシュバルバシュバルルバ」

(いや、あいつは剣士としての一線を越えてしまっている。星街すいせいは、少なくとも剣士としてソーセージ道から外れていなかった。それに仲間を傷つけたり見捨てたりすることに対してはむしろ他チーム以上にうるさかった。だから赤井はあとと張り合うほど人気があったんだ)

 

「スバル先輩、奥歯が痛いとか言いながら実は好きなんじゃないですか?」

 

「シュバ、シュババシュバルバ――」

(いや、それとこれとは――)

 

「やっぱり大空スバル」

 

「!」

 

 スバルの後ろから声がしました。

 いつからいたのか、そこにはすいせいが立っています。

 

「スバル、あんたのオーラって特徴的でわかりやすいからさ、ドアがノックされた時から『懐かしいやつが来たわね』って思ってたわけよ私。そしたら本人いないしアヒルだし、もう剣士やめて久しいから私の直感が鈍っただけかなとも思ったんだけど、アヒルはアヒルでもただのアヒルっぽくないから気になってたら案の定だったわね」

 

 すいせいはスバルの首根っこを掴んで持ち上げます。

 そうして空けた席に自分が腰を下ろして、スバルを膝の上に座らせました。

 

「久しぶりじゃない。ねえ?」

 

「……」

 

 スバルは無言です。

 身体を強張らせたままぴくりとも動かず、全身から冷や汗を吹きだしています。

 

「なによ無視して、すげないわね。こっちはあんたたちスバ友に相当手を焼かされたっていうのに」

 

 内容は責めているようですが、その実すいせいは昔を懐かしむように顔を綻ばせます。

 

「赤井はあとのハートンをトップの座から引きずり下ろしてやろうと私たち星詠みがチーム戦を挑むたびに、弱小チームのくせにちょくちょくハートンに加勢してきたじゃない。本当に鬱陶しかったから、一度チーム総出でフルボッコにしてあげたこともあった。それも忘れちゃったわけ?」

 

「え? 弱小だった頃のスバ友とランキング二位の星詠みが、総力戦でぶつかったってことですか?」

 

「そう」

 

「えげつない話デスね。スバ友の古参勢が武勇伝にするわけデス」

 

「ねえ。思い出しなさいよ」

 

 すいせいがスバルの頬を、プニュっと人差し指で押し込みます。

 その時です。

 

「シュバルバアアアア!」

(奥歯がああああ!)

 

 急にスバルが叫びだしました。

 

「な、なに? え?」

 

 すいせいはびっくりして指を離します。

 

「シュバルバ! シュバルバシュバルウウウウ! シュバアアア! シュバルシュバルウウウ!」

(奥歯が! 奥歯が痛いいいい! 死ぬううう! 死んでしまうううう!)

 

「すいちゃん! この騒ぎは何!」

 

 奥から姉街が飛び出してきました。

 

「いや、私もよくわかんなくて」

 

 すいせいは弁明します。

 姉街はそんな妹の膝の上でスバルがシュバシュバ泣き喚いているのを見ました。

 

「ごめんなさいねお客さん」

 

 姉街はひょいとスバルをすいせいから取り上げて抱きかかえます。

 するとスバルは急に大人しくなって姉街の胸に頬ずりなどしだしました。

 

「あのお姉ちゃん怖かったよね。もう大丈夫だから」

 

「シュバア、シュバア」

(ママあ、ママあ)

 

「私から離れた瞬間いい子ぶるのやめろよ大空スバル! いじめてたみたいじゃない!」

 

「みたい、じゃなくてそうでしょうに」

 

 呆れたように言ってから、姉街はスバルをるしあに渡します。

 

「あ。どうもありがとうございます」

 

 るしあはスバルを膝の上に乗せました。

 そうして場が収まったことを確かめた後で、姉街はまた調理場へ引っ込んでいきました。

 

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