とある幻想の夢想天生   作:大嶽丸

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ダンマクカグラむずくない?(リズム感/ZERO)


友人

 

 

 白井黒子には、気に食わない人物が居た。

 

 いつもいつも、まるで先回りしてるかのように自分たちが駆け付けるよりも早く事件や騒動を解決してしまう空飛ぶ紅白の巫女。

 

 先日の銀行強盗においても手柄を横取り……ではなく、いきなり現れ、強盗たちを瞬く間に無力化し、そのまま逃げ去った問題人物である。

 

 名を、博麗霊夢。

 

 世界に五十人しか居ない希少な“原石”の一人であり、巷では“鬼巫女”と恐れられている少女だった。

 

(あんの巫女擬き……! 次会ったら今度こそ取っ捕まえてやりますわ……!)

 

 風紀委員活動第一七七支部。

 

 柵川中学の一室にある風紀委員の活動支部の一つ。そこでティーカップに注がれた紅茶を啜りながら白井は忌々しげな表情を浮かべる。

 

 思い出すだけでも腹立たしい。今回こそは逃がすまいと誓っていたにも関わらずまんまと逃げられてしまった。

 

 相手は確かに身体能力に優れているとはいえ所詮は異能力者(レベル2)という侮りが心の何処かにあったのかもしれない。

 

 それは無理もないことだろう。低能力者(レベル1)よりは上とはいえそれでも日常生活においては役に立たない程度の強度。大能力者(レベル4)のテレポーターである白井には逆立ちしても敵わぬというのがこの街での共通認識であるのだから。

 

 だが、白井は知っていたはずだ。博麗霊夢はそのような常識など容易く覆す存在だということを。

 

 空を飛ぶだけというあまりにも限定的な能力。それでもあれだけの速度と高度による飛行が可能であるのならば強能力者以上、下手すれば大能力者に分類されるだろう。あの華奢な肉体からは考えられない身体能力と力の強さも飛行の際の推進力を利用しているのだと白井は予想していた。

 

 明らかに異能力者という枠組みから越えている。ならば詐称かと思いきや書庫(バンク)のデータベースにもきちんと記載されており、現に彼女が通っている高校も無能力者から異能力者までが多く在籍する場所だった。

 

 原石だからか? 否、解析不能である“第七位(ナンバーセブン)”が超能力者の末席に居るのだ。その道理は通じない。

 

 恐らくは身体測定の際に手を抜き、敢えて低いレベルで登録させている。

 

 ならばその理由は? 相手を油断させる為? 否、彼女はそんな姑息な真似はしようとも思わないだろう。

 

 では何故──。

 

「なんか機嫌が悪いですね、白井さん。また博麗さんのことでも考えているんですか?」

 

「……よくお分かりで。初春」

 

「あはは。そりゃいつものことですからね……」

 

 カタカタと手元のノートPCを弄りながら話し掛けるのは頭に花畑が咲き誇る少女。

 

 初春飾利。白井の同僚であり、パートナーであった。

 

「そろそろ本格的に対処しなければいけませんの。これ以上の勝手は風紀委員の沽券に関わりますわ」

 

「そんな大袈裟な……別に悪いことはしてないじゃないですか。むしろ仕事が減って楽ですよ」

 

「黙らっしゃい! 何故あなたは毎回そうやって楽観的ですの。固法先輩も()()()だからか対応が甘く感じられますし……」

 

「うーん……まあ、確かにそうかもしれませんけど……」

 

 白井の言葉に初春は消極的な態度を見せる。何せ博麗霊夢が相手にしているのはスキルアウトや犯罪者ばかりでその大半が正当防衛であり、そうではないのも他者を被害から守ったり犯罪を未然に防いだりといったのが殆どだった。

 

 その存在は世間にも半ば都市伝説扱いされながらも周知されており、ネット上では彼女のことを通り魔と揶揄する者も居れば()()()()()()と称する者もおり、一部ではカルト的な人気を誇っている。風紀委員の中にも彼女の行為を肯定する者が居る始末だ。

 

「第一何なのですのあの破廉恥な紅白は! 本物の巫女さんに失礼とは思いませんの!」

 

「あー、確かに変な格好ですよね。腋を出してるのは勿論のこと袴じゃなくてスカートですし。靴もブーツみたいなの履いてますし……」

 

 あれを巫女装束と言い張る勇気と羞恥心の無さは凄い。しかも腋から覗かせる下着はスポブラかと思いきや何とサラシを巻いてるだけなので変質者一歩手前の痴女である。

 

 因みに下はドロワーズなのでご安心を。夏だと蒸れるからかスパッツだったりするが。

 

(博麗さん、か……苦手なんですよねあの人……)

 

 初めて会った時のことを思い出しながら初春は苦笑いを浮かべる。

 

 噂に聞くヒーロー。一体どんな人物なのかと当時の彼女は内心ワクワクしていた。

 

 そして、実際に会い、その幻想は打ち砕かれた。

 

 整った美しい顔立ち。腋が露出した奇抜な巫女装束は、しかしやたらと似合い、映える。フワフワと空を舞うその姿は天女にすら見え、見惚れてしまう。

 

 しかし、次に感じたのは()()だった。

 

 研ぎ澄まされた刃物のように近寄り難い雰囲気はあからさまに他者を拒絶していた。にも関わらずこちらを威圧している訳ではなく、特に意識せず自然体の状態がそれなのだ。

 

 天上天下唯我独尊。目に映る何もかもが有象無象。そう言わんばかりの冷め切った瞳で見据えられた際、初春は心臓が止まるかと思った。

 

 犯罪者を叩きのめしている時も、自分や白井と話している時も、助けた相手に声をかける時も、変わらぬ調子で、まるで何てことのないことのように同じ表情。動機を問えば“邪魔だったから”と、“ただ鬱陶しかったから”と当然の如く素面で答える。

 

 その有り様は、楽しんでいるようにも、怒っているようにも、哀しんでいるようにも、憂いているようにも、そもそも何も感じていないようにも見えた。

 

 初春にとっては今まで会ったことのないタイプの人間であり、そして現在までも彼女と同じような人種とは会ったことはない。

 

 ──気味が悪い。

 

 自分でも驚いた。初対面の人物に対してこのような感情を抱くなど。

 

 そこから自己嫌悪に陥るものの未だに彼女への苦手意識は拭えていなかった。

 

「……まあ、一先ず博麗さんのことは置いといて、それよりも今は例の連続虚空爆破(グラビトン)事件に集中しましょう」

 

「む……」

 

 そんな思考を中断し、初春はそう言って話題を変えた。

 

 虚空爆破(グラビトン)事件。

 

 それは先日から世間を騒がせている連続爆破事件である。量子変速(シンクロトン)という能力によりアルミを基点に重力子を加速させ、一気に放出させることで爆発を引き起こしていると推測されている。

 

 アルミといえば缶や車両、果てはルビーやサファイア等々生活に何かと馴染み深い金属であり、それはつまりありとあらゆる場所が爆破現場に成り得るということだ。

 

 故に、警備員や風紀委員は一刻でも早く事件を解決するべく捜査にあたっているのだが、重力子の増大から事前に爆発物の大まかな位置は特定できるものの、爆弾の爆破する時間や場所に法則性が無いため犯人の特定にすら至っていない。

 

 加えて、唯一の容疑者であった大能力者の量子変速である釧路帷子も事件発生前から原因不明の昏睡状態であり、物理的に犯行は不可能であったため捜査は一向に進展せず完全に行き詰まっている状態だ。

 

「せめてもう少し、手掛かりがあれば……」

 

「はい。もう九件目ですが、分かっているのは大能力者以上の量子加速ということくらいしか……」

 

「でも書庫に該当者は無し。急激にレベルアップした能力者! ……というのは現実味が無さ過ぎですわよね」

 

「一連の事件に何か関連性があれば良いんですけど……完全に無差別だったらどうしようもありません……」

 

 二人して大きな溜め息を吐く。既に九件目もの犯行にも関わらず未だに事件解決の糸口さえ見つけられていない状況に彼女らは頭を悩ませる。

 

(……私たちはいつも来るのが遅い、ですか)

 

 ふと、初春は思い出す。先程話題にしていた巫女がかつて口にした言葉を。

 

 確かにその通りだ。

 

 風紀委員はあくまで治安維持組織。警察と同じく事件が発生し、通報を受けてから動く。そのため犯罪や事件を未然に防ぐといったことは難しい。現に今回の事件も後手に回ってしまっている。

 

 初春が白井とは違い、霊夢のやっていることを看過しているのにはそういった理由もあったからだ。彼女の迅速な対応のお蔭で救われた者たちや被害を免れた者たちはきっと多いだろう。

 

(今回の事件も博麗さんならもしかすると……いえ、流石にすがってしまうのはいけませんよね)

 

 希望的観測。そんな不確かな期待を抱いてしまうくらいには初春は霊夢のことを恐れながらも買っていたが、彼女が行き過ぎた行動をしているのもまた事実。風紀委員として頼ったり任せてしまうのは違うだろうと自身を戒める。

 

 そんなことを考えていると、ポケットに入れていた携帯から通知音が鳴った。

 

「ん? あ、佐天さんからメールです。何々……」

 

 親友からのメール。確認してみれば、その内容は今度の週末に自分と白井と御坂、それから()()()()()()()()()を交えて、一緒にショッピングに行こうというものだった。

 

 現状そんなことをしている暇は無い。と、言いたいところだが、思えば彼女らとも久しく遊んでいなかったような気もする。ここずっと働き通しで疲労も溜まっているし、息抜きには丁度良いかもしれない。

 

 暫く考えてから、初春は今受け持っている仕事が片付いたら行くという趣旨のメールを送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「あら? 白黒の相方じゃない。相変わらず咲き誇ってるわね」

 

「……え?」

 

 そして、当日。意気揚々と待ち合わせ場所へとやって来て待機していた初春は横から声を掛けてきた紅白な人物に目を剥いた。

 

「は、博麗さん……?」

 

 例の奇抜な巫女装束。

 

 多くの通行人の視線を集めながら博麗霊夢がそこに立っていた。

 

「何よ、妖怪にでも出会したみたいな顔して」

 

「あっいえっまさかこんな所で会うとは思わなくて……あははは」

 

 まさかの人物の登場に一瞬パニックになりながらもどうにか心を落ち着かせる。

 

 同じ学園都市に暮らしているのだ。こうして偶然出会すことは何ら可笑しいことではない。

 

「それで……ここには何の用で? まさかまた何か騒ぎがあったとか……」

 

「別に。友人と待ち合わせしてるだけよ」

 

「へ、へぇ……そうなんですか……」

 

 これまた偶然。ここで待ち合わせているということは彼女も友人とショッピングでもするつもりなのだろうか? 何というかそのようなものとは無縁なイメージだったため意外だった。

 

 というか、いつも見慣れた格好なため疑問に思わなかったが、本当に普段着としてその巫女装束を使用しているようだ。

 

「奇遇ですね、私も友達と待ち合わせを──」 

 

 動揺していた初春は気付かなかった。

 

 自身の背後に怪しい人影が忍び寄っていたことに。

 

「う~い~は~るっ!」

 

「へ? ────!?!?!?」

 

 掛け声のように名前を呼ばれ、何事かと思った矢先に、初春のスカートが勢いよく捲り上がった。

 

「……苺?」

 

 こてん、と霊夢は首を傾げる。対する初春はしばらくの間現実を受け止められず、ひらひらとスカートが自由落下により元の位置に戻った頃、ボンッと顔を真っ赤に爆発させ悲鳴を上げる。

 

「おお~ 今日もいちご柄かぁ~」

 

「さっ、さささささ、佐天さん! いきなり何するんですかもう!」

 

 振り返ればやはりそこには親友の姿が。顔をこれでもかというくらい赤面させてぶんぶん両手を振り回して抗議する初春のリアクションに内心癒されながら佐天は笑顔で応対する。

 

「……何してんのよ」

 

 一方、霊夢は呆れた様子でその光景を見ていた。

 

「あ、霊夢さん! もう来てたんですね!」

 

「ええ。こういうのは五分前には到着しておくといいんでしょ? ……いえ、私も今来たところって言うべきだったかしら?」

 

「いや~そんなデートじゃないんですから」

 

 すると霊夢の存在に気付いた佐天が彼女へ手を振った。その光景を見て初春がぴしりと固まる。

 

 まさか彼女が言っていた最近知り合った友人とは。いや、そんなはずはない。

 

「え? ……えっ!?」

 

「あ、初春。知ってると思うけど一応紹介するね、ついこの前私とベストフレンドになった博麗霊夢さんです!」

 

「ベストかはともかく一応フレンドね」

 

 戸惑う初春に佐天が大仰な手振りで紹介し、霊夢もまたこれに頷く。

 

 瞬間、初春は驚愕に目を見開いた。

 

「ええぇぇぇぇぇえええええ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 サプライズ成功。

 

 顎が外れるのではないかというくらいの絶叫をあげる初春の姿を見て佐天は満足げにほくそ笑む。

 

 彼女は霊夢と以前から面識があるであろう風紀委員の二人を驚かせ、その反応を楽しむ為に敢えてその存在を伏せていた。

 

 結果としては大成功だが、もっと面白いリアクションをしたであろう白井が仕事が片付かず、来れなかったのは非常に残念だった。

 

「ほんっとビックリしました。まさか佐天さんが博麗さんといつの間にか友人関係になっていたなんて……」

 

「えへへ。でしょでしょ」

 

 一体どういうことかと詰め寄り、事の経緯を聞いた初春は漸く落ち着きを取り戻す。

 

 無論、風紀委員である彼女にあの夜の出来事について馬鹿正直に話す訳には行かなかったので出会いはナンパされてるところを助けられたなどそれとなく自然に嘘を織り混ぜて教えた。霊夢もこれに「あー、そうね」と適当ながらも話を合わせる。

 

(本当なのでしょうか……? いくら佐天さんが社交性抜群だとしても俄には信じられません)

 

()()()としての霊夢を知る身としてはとてもじゃないが、考えられない。いつも自分をグイグイ引っ張っていく佐天だが、流石の霊夢相手では軽くあしらわれるイメージしか湧かなかった。

 

「……要するに、こいつが涙子が言ってた他に来る子ってこと?」

 

「はい。初春とは同じ中学で親友なんですよ」

 

「ふーん……じゃあ、もしかして白黒の奴も来るの?」

 

 初春の存在から、ですのですのと喧しいツインテールの姿を連想してしまう。

 

「いえ。白井さんは都合が合わなくて来れなかったみたいなんですよね」

 

「ああ、そう、誘いはしたのね」

 

 すると案の定だった。口振りからして彼女とも佐天は友人関係にあるみたいだ。

 

「やっぱり駄目でした?」

 

「あいつと会うと面倒臭いのよねぇ。いつも説教してくるし。まあ、閻魔や仙人とかよりはマシだけど」

 

「えんま? せんにん?」

 

 誰かのニックネーム、または名前だろうか。この街には意外と変わった名前の人物が多いため佐天は一瞬首を傾げるもそう判断する。

 

「そうですよ佐天さん。ただでさえ今の白井さんは博麗さんを目の敵にしているのに……」

 

「大丈夫だってメイビー。話してみれば案外仲良くなるかもよ? 霊夢さんも今後白井さんが来ることになったとしても別に構いませんよね?」

 

「いや、良い訳が……」

 

「ええ。別に良いわよ、好ましくはないけれど」

 

「良いんですかっ!?」

 

 あっさりとした了承の言葉。確かに霊夢は白井には苦手意識を抱いており、出来ることならば関わりたくない。しかし、逆に言ってしまえばその程度であり、佐天がどうしてもと言うのなら、別に強制するつもりはなかった。

 

「ふふん。霊夢さんはこういう人なんだよ初春」

 

「何で得意気なのよ」

 

 ジト目で睨む霊夢。実のところ今日の佐天はいつもよりもやたらとテンションが高かった。

 

 何せ一方的に友達になった矢先に、霊夢の方から誘ってきてくれたのだ。てっきり向こうにその気は無いとばかり思っていたため佐天はメールを見た瞬間に即返信し、嬉しさのあまりそれはもうはしゃいだ。

 

 そして、同時期に働き詰めの初春と白井を労う為のショッピングを企画していたのでドッキリも兼ねてそれに霊夢も連れて来ることにし、今に至るのであった。

 

「で、もう一人は?」

 

 そんな様子に呆れながらも霊夢はまだ見ぬ友人について尋ねる。恐らく彼女らと同じ中学生だろう。

 

「多分もうすぐ来ますよ。その人は白井さんと同じ常盤台の先輩で何と__」

 

「あ、佐天さーん! 初春さーん!」

 

 すると噂をすれば何とやら。背後から佐天と初春の名前を呼ぶ声に反応し振り向いてみれば一人の少女が手を振りながら走ってこちらへ近付いてきていた。

 

「……誰?」

 

「ん? なっ、あんたこの間の……!」

 

 現れたのは、短い茶髪の少女。佐天たちを視線に捉えていた彼女は霊夢の存在に気付き、その姿を見るなり驚きの表情を浮かべる。

 

 対する霊夢もまた常盤台中学の制服を纏ったその姿に既視感を覚えたが、どこで会ったかは思い出せない。

 

「もしかして佐天さん。最近知り合った友人って__」

 

「お、察しが良いですね御坂さん。そう! 我がベストフレンド・博麗霊夢さんです!」

 

「えっ? そ、そう……」

 

「毎回その紹介やるの?」

 

 茶髪の少女__御坂と呼ばれた彼女は何故かハイテンションな佐天の紹介に困惑してしまう。

 

「で、誰なのよ?」

 

「フッフッフッ……よくぞ訊いてくれました!」

 

 霊夢が問い掛ける。すると佐天はにんまりと笑みを浮かべ、これまた大仰な態度で語り始めた。

 

「この御方は“御坂美琴”さん! かの有名な超能力者(レベル5)超電磁砲(レールガン)です!」

 

「ちょ、止めなさいって佐天さん……」

 

「へー、そうなの」

 

 ジャジャーン! とでも言いたげな佐天の紹介に少女改め御坂は恥ずかしがる。

 

 そんな彼女らに対する霊夢の反応は特に驚く訳でもなく、非常に淡白なものだった。

 

「ありゃ? リアクション薄くないですか? レールガンですよレールガン! 学園都市第三位! 常盤台中学のエース! 誰しもが憧れる電撃姫!」

 

「だから何よ。そんな騒ぐようなことでもないでしょ別に」

 

 学園都市においては超が付く程の有名人であるにも関わらずどうでも良さげな反応。ただでさえ霊夢はそういった情報には疎く、況してや超能力者(レベル5)など顔見知り以外は顔や名前すらも知らず、当然御坂美琴という名にも聞き覚えはなかった。

 

 しかし、超能力者ならば先程から感じる妙な既視感にも納得が行く。恐らくテレビか何かで見たことがあったのだろう。本名すら定かではない一方通行はともかく一部の超能力者はメディアへの露出も激しく学園都市の広告塔にもなっている。

 

「へぇ……」

 

 そんな態度に対し、御坂は僅かに顔をしかめるもすぐに笑みを浮かべた。

 

「改めて御坂美琴よ。よろしくね、空飛ぶ巫女さん?」

 

「ええ。よろしく」

 

 何やら含みのある言い方だが、霊夢は差して気にする様子も無く、そう返す。

 

 ──こうして、巫女と電撃姫は出会い、彼女らの長きに渡る因縁が始まるのであった。

 

 

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