とある幻想の夢想天生   作:大嶽丸

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東方勢の強さ盛り過ぎではという意見がありましたが、そもそも霊夢が聖人の中でも上位の神裂に勝てるレベルなんで自然と東方勢の強さの水準も高くなります。科学サイドからしてみると化け物ばっかりです。


雷轟

 

 

「──ここね」

 

 霊夢と妖夢が激戦を繰り広げている中、どうにかあの崩落から逃れることが出来た御坂は当初の目的地である施設の最上階に辿り着いていた。

 

 そこは既に無人であったが、様々な機材が敷き詰められている。

 

「これを破壊すれば……といっても、こんな有り様じゃここも放棄するしかないでしょうけども」

 

 だからといって放置はしない。やるならば徹底的に、だ。バチバチと青白い火花を迸り、機材が次々と爆発していく。

 

「終わったー?」

 

 燃え盛る爆炎を静かに眺める御坂。すると部屋の外で待っていた宇佐見がやって来る。突然の崩落に混乱している中で無傷で済んだのは、ひとえに彼女の空間移動があったからであった。

 

「ええ。これで残りは後一つ……もうすぐあのイカれた“実験”を、止めることが出来る」

 

 爆弾使いとレーザー女の襲撃にその途中で突然起きた崩落、予期せぬ事態が多発し、散々な目に遭い、一時はどうなるかと思ったが、目的完遂まで後少しという段階に御坂は頬を緩ませ、そして改めて気を引き締める。

 

「……果たして、それはどうかしらねぇ」

 

 ぼそりと宇佐見は呟く。

 

「え?」

 

「ううん、何でもない。それよりも早く脱出しましょう? ここ、いつ倒壊しても可笑しくないし」

 

 小声でよく聞き取れなかった御坂に、宇佐見は間髪入れずに誤魔化す。

 

 上層部が主導している実験なのだ。いくら施設を潰したところで引き継がれるだろう。しかし、彼女が必死でやっていることが全くの無駄であるという残酷な真実を教えてやるつもりはなかった。

 

 それは何も、御坂を傷付けたくないという優しさによるものではない。

 

(だって、実験を止めさせる方法なんて、それこそ学園都市の有能な科学者を一人残らず皆殺しにするか、一方通行(アクセラレータ)を倒すかくらいしか無いもの)

 

 先んじて妹達を処分するのは論外。そして、この二択の中で比較的現実味があるのは後者だが──。

 

(ベクトル操作、物理もそれ以外も何でも反射とかいうチート野郎、どうしろってのよ)

 

 第一位。同じ超能力者(レベル5)の面々すら見下し、こと()()()において“未元物質(ダークマター)”を勝手にライバル視している宇佐見だが、最強の名を欲しいままにするあの白髪の少年の実力は認めていた。

 

()()()()()から攻めればいけるかもしれないけど……そうして上層部の連中や魔術サイドに睨まれてまで助けてやる義理は無いし)

 

 実際に対面したことこそないが、そのデータは何度も読み込んだ。そうして己の如何なる超能力も彼には通じないであろうということを理解した。

 

 故に、乗り気にはなれない。このまま残りの施設も潰し、それで全てが終わったと思い込んでくれるのならばその方が有り難かった。

 

(ま、そこはレイムっち次第か)

 

 少なくとも一度関わった以上、博麗霊夢は妥協はしないだろう。

 

 一体どう思い、どういう考えに至り、どういった結果をもたらすのか──。

 

 宇佐見の愉しみは、そこだった。

 

「う、うん……そうね」

 

 御坂は少し不審に思うも、彼女の言う通り今優先すべきなのはこの施設からの脱出であると思い至る。

 

 未だに崩落は続いている。何が起きているのかは知らないが、早急に逃げなければ……。

 

 ──その時だった。

 

「「ッ!?」」

 

 轟音が鳴り響くと共に、衝撃が走ったかと思えば、一瞬にして電灯が消え、周囲が真っ暗になる。

 

「ちょっ……今度は何?」

 

「い、今のって……まさか、“落雷”?」

 

 困惑する宇佐見に対し、御坂の方は能力が故に、その感覚に心当たりがあった。

 

 雷が落ちた。この施設の真上に。

 

 しかし、天気予報は晴れだったはず。学園都市の気象予報は滅多に外れることがなく、それに通常の雷よりもずっと強い電圧だった。

 

(偶然……?)

 

 そうであるはずだ。もし人為的なものだとして、落雷を起こせる電撃使いは、己しか居ないのだから──。

 

 然れど、そんな考えは再び発生した雷鳴と建物ごと揺らす衝撃により、否定される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 刀と大幣が衝突し、火花が迸る。

 

 崩落する建物など気にもせず、空中を舞いながら霊夢と妖夢は切り結ぶ。

 

「ッ──」

 

「────」

 

 妖夢は顔をしかめる。あの伸縮自在な大幣……何らかの防護術式が施されているようだが、己が名剣ならば容易く切断できるはず。しかし、実際には傷一つ無く、彼女は斬撃を弾いてみせていた。

 

 驚くことに、斬撃を真っ向から受けず、寸前で受け流すことで大幣が切断されることを防いでいるのだ。

 

 僅かでも位置やタイミングがずれれば死。にも拘わらず霊夢は恐れどころか一片の迷いすらなくこちらに肉薄していた。

 

 何という胆力、何という神業であろうか。

 

(しかし、ずっとは続けられまい。戦況はこちらが圧倒的に有利。本来ならば──)

 

 刀を弾く。同時に、霊夢はふらりと宙を舞う。

 

 そして、背後から光弾が姿を現す。

 

──夢想妙珠──

 

「!」

 

 不意打ち気味に放たれた数発の光弾は、しかし即座に切り払われる。

 

 その隙に、霊夢は背後へと回り込む。

 

──封魔陣──

 

──迷津慈航斬──

 

 結界と共に展開される御札と針。これに妖夢はしゃらくさいと言わんばかりに妖力を纏った巨刃で結界ごと切り裂く。

 

 流石にこれは受け流せない。霊夢は迫り来る刃から逃れ、距離を取って再び針を投擲する。

 

(何を考えている? 先程からちょこまかと……そんなこと続けても埒が明かぬ事はあちらも理解しているはず)

 

 一体どういうつもりなのかと、針を弾きながら妖夢は疑問に思う。客観的に見れば霊夢側は長期戦が不利なのは明白であり、故にここいらで攻勢に出て決めに来ると予想していた。

 

 しかし、実際には真逆。霊夢の動きはどことなく消極的で、戦いを長引かせようとしているように見える。

 

「──まさか、気付いているのか?」

 

 思わず口に出す。すると霊夢はこれに笑顔を返した。

 

「やっぱり、“タイムリミット”があるみたいね? 何となくそんな気がしてたわ」

 

「────」

 

 何気なしに発せられたその言葉に妖夢は瞠目し、そして体内の妖力を極限まで練り上げる。

 

 空気が変わった。どうやって、などという思考は即刻切り捨てる。知られてしまっている以上、こちらは一切のアドバンテージを失い、ありとあらゆる手段を以て、目の前の巫女を葬らなければならない。

 

「──六道剣」

 

「………………!」

 

 来る──。

 

 相手が全身全霊で向かってくることを察し、霊夢もまたこれを迎え撃たんと構えた。

 

 勝負は、今ここで決める。この時点で両者の思考は完全に一致する。

 

◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️

 

「「──ッ!?」」

 

 しかし、幕を開けようとしていた全力での激突は建物を揺らす雷轟によって中断された。

 

「……なに?」

 

「………………」

 

 両者の動きがぴたりと静止する。意識が向いているのは突然の落雷ではなく、それと共に現れた()()()に対して──。

 

「       」

 

 いつからそこに居たのか。こちらへ視線を向ける一つの人影。その顔に霊夢は目を見開く。

 

 それは確かに見覚えがあるものであり、然りとて決定的に違う。

 

「……美琴、じゃないわね」

 

 御坂美琴と瓜二つの容姿。けれど、身に纏う異様な雰囲気は明らかな別人であることを示している。であれば、その正体について思い当たるのはただ一つ。

 

 だからこそ、霊夢は困惑の色を隠せない。

 

 ──果たして、クローンというのは、オリジナルを超える力を持っているものなのだろうか。

 

「────」

 

 バチッと電流が走る。

 

 次の瞬間だった。眩く光ったかと思えば、霊夢は反応するよりも先に吹っ飛ばされた。

 

「ッ──!?」

 

 正しく雷撃の槍。寸前で防いだが、まともに受ければ人体が瞬時に蒸発するであろう熱量であり、衝撃は殺せずに数m程仰け反った。

 

 御坂美琴が使っていたものと同じ技。しかも一切手加減されておらず、無意識レベルの防衛本能すら皆無なそれの出力は遥かに上を往く。

 

「はっ」

 

 にたりと、そいつは笑った。その愉しげな、獲物を狩る獣のような笑顔は、街中で見た無感情なものとはかけ離れていた。

 

 そして、その身を青白く発光させ、爆発するように放電する。

 

「!」

 

──封魔陣──

 

 広範囲に放たれたそれを避ける術は無く、霊夢は結界を展開して防ぎ、相殺する。

 

 それを見た彼女──便宜上電撃使いと呼ばせてもらう――はより一層笑い、更にその電力を解き放たんとする。

 

「──邪魔をするな」

 

 すると、いつの間にか電撃使いの背後に立っていた妖夢が刀を振るう。急に現れた正体不明の人物に対して霊夢を真っ先に攻撃したことから一瞬味方かと思うも、明らかにこちらを巻き込んできた。

 

 所構わず殺意を振り撒くその様子を見てまともな手合いではないと判断。霊夢との戦闘に水を差されたこともあり、危険分子を抹殺せんと動く。

 

「!? チィィ──ッ!」

 

 対する電撃使いは気付かれずに背後に回り込まれていたことに驚きながらも自身の身長の何倍もの高さまで跳躍することで斬撃を避け、稲妻の如き速さで壁に張り付いた。

 

「!」

 

 その身体能力は妖夢や聖人クラスには劣るものの人間の限界を凌駕している。体細胞の電気信号を操作して肉体のリミッターを外し、筋力やスピード・五感・動体視力などの身体能力を強化する──天衣装着(ランペイジドレス)という出力だけならレベル5級と評される能力と類似した原理を、しかし一切の負担を考慮せず極限までやってのけていた。

 

「死ねい!」

 

 初めて発せられたまともな言葉は、短く簡潔な殺意。それからすぐに、十もの雷撃の槍が妖夢を消し炭にせんと放たれる。

 

「──笑止」

 

 その超人的な動きは、しかし妖夢からしてみれば大したものではなかった。いくら肉体を強化しようと、それはあくまでも人間の延長線上でしかない。

 

 ()()()()は、そんなもので埋まるはずがなく、そして妖夢には剣術という業までもが備わっているのだ。

 

「ッ!?」

 

 目を見開く。まるで伝説や伝承の如く、10億ボルトに匹敵する極雷が真っ二つに切り裂かれ、それとほぼ同時に妖夢がすぐ眼前まで迫る。

 

 右腕が、宙を舞う。

 

(! 避けられた──)

 

 首をはねるつもりだったが、この剣速に反応するとは。しかし、片腕を捥いだ、次はそう上手くは行くまいと妖夢は直ぐ様追撃せんとするも、刃を向けられながらも相手の表情は変わらず、笑ったまま。

 

 そして、無いはずの右の拳で妖夢は殴られた。

 

「なっ──」

 

 驚く妖夢。咄嗟に刀身で受け止めるも同時にバチバチと放電し、弾け飛ぶように勢いよく吹っ飛ばされる。

 

 手応えはあった。確かに斬り落としたはず。つまり切断されてから今の瞬間で新しい腕が生えたということ──。

 

 細胞分裂を促進させたことによる肉体再生。それは肉だけではなく骨すらも生成し、身体の欠損を瞬時に再生させる。

 

 本来の天衣装着の能力者は、急激な細胞分裂で負傷が回復の速度を上回ると痛みで意識を刈り取られかねないため、無意識に防衛本能が働いていたが、彼女の場合はそれは完全に度外視されていた。

 

「知り合いの見た目で化け物みたいなことしないでくれる?」

 

 ゴリッと骨が軋み、肺が押し潰される。霊夢が横合いから足刀を叩き込んだのだ。

 

「かはっ……!?」

 

 叩き付けられると同時に壁に皹が入る。手加減無しの一撃を無防備に受けた電撃使いは踞り、地面をのたうち回っていた。

 

(ダメージは受けている。痛みを感じてないって訳じゃあないみたいね。けれど、能力の規模に明らかに肉体が追い付いていない……まさか、最初から捨て身のつもりだっての?)

 

 怪訝な表情を浮かべる霊夢。至極当たり前の話として、普通の人間が高圧電流を纏って平気なはずはない。故に、御坂やその他多くの能力者は自身に被害が及ばぬように調整し、防護しているのだが、それでも限界はある。一定のラインを超えれば制御が利かず、自爆してしまう。

 

 目の前の御坂美琴のクローンだと思われる少女は正しくその状態だった。よく見れば最大に近い出力の電熱に肌を僅かに焼かれてしまっており、常に肉体を再生し続けている。こんなことをしていて、身体が持つはずはないだろう。

 

 肉体への影響をまるで考慮していない。いくらクローンでそのような教育がされていないのだとしても、己自身の能力なのだからある程度は自然と理解出来るだろうし、そもそも生存本能によって抑制される。

 

 だからこそ、霊夢は疑問に思う。彼女だって己の制御から離れる程の力を無闇やたらと振るい翳すなんて愚かな真似はしない。

 

(そういう風に作られているのかしら? 二万人も居るんだから、わざと箍を外しているとか……)

 

 有り得ない話ではないだろう。御坂美琴のクローンの運用目的は一方通行と戦闘させ、彼に殺害させること。使い捨ての死兵なのだから後の事を一切考えないようにさせている。

 

 そう推測するのが自然だったが、それでも霊夢は違和感を拭い切れなかった。

 

(──どうであれ、襲ってくる以上は倒すしかないわね)

 

 死なれるとまずい。出来ることならば彼女が能力の使い過ぎで自爆する前に無力化したいが……。

 

「どうやら共通の敵みたいだし、敵の敵は味方ってことで、共闘でもしてみる?」

 

 すると霊夢は妖夢が吹っ飛ばされた方向へ視線を向け、提案する。最終的に倒すとはいえ単体でも手こずるというのに二人まとめて相手にするのは面倒であると考えた。

 

 返ってきたのは、飛ぶ斬撃だった。

 

「……くだらない。どうせ最後には死合う仲だろう。何も変わりはしない。お前も、そこの面妖な輩も、ただ斬り捨てるまで」

 

「あっそ」

 

 血の気の多いことで。駄目元だったので然して気にする訳でもなく、霊夢はただそう返す。

 

 その瞬間、辺りが薄暗くなる。

 

「「!!」」

 

 見上げれば、そこにあるのは黒い塊。室内にも拘わらず雷雲が発生していた。

 

 それも単なる自然現象のそれではなく、膨大なエネルギーが暴れ狂い、禍々しく渦巻いている。

 

「ハハァ……」

 

 その真下で彼女は獰猛に笑う。喧嘩を売った相手が無類の強者と認識し、然れど上等であるとその眼をぎらつかせ、二人を睨み付けた。

 

「──やってやんよ!」

 

 雷霆が降り注ぐ。

 

 同時に、彼女は若干()()()()()頭髪を靡かせ、突貫する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 一方その頃。施設の外は騒然としていた。

 

 度重なる轟音。切り崩されていく建物。挙げ句に原因不明の落雷による周囲一帯の停電。いくら人気の無い深夜と言えど、何事かと騒ぎになる。

 

 そんな中、駆り出された幾つもの暗部組織や裏に通じる警備員の部隊は先んじて現場へ赴き、これの隠蔽を死に物狂いで図る。

 

 失敗は許されない。何せ、統括理事会のトップ直々の命令なのだから。

 

「──随分と混沌としているな」

 

 その有り様を少し離れた場所で眺めている二人──否、正確には一人と一匹。

 

「いやぁ、恐ろしいですね脳幹先生。何なんです? あの()()()()()姿()()()()()()()は?」

 

「博麗霊夢や切り裂き魔については尋ねないのかね?」

 

「えー? それは前に何度も訊いたけど教えてくれなかったじゃないですか」

 

「なら、今回も察しが付くだろう。残念ながら()()についても今はまだ教えられん」

 

 ──木原脳幹。

 

 悪名高き“木原一族”の一員にして、演算回路を取り付けられたゴールデンレトリバーという、本質的に血縁に縛られない木原の中でも一際異色の存在だった。

 

「ただ言うなれば、アレは我々の領分では計り知れない存在だ。君も不用意に関わろうとは思わないことだ」

 

 時期が来れば教える、そう言って再び関心を施設の中へと向ける脳幹に彼の弟子、木原唯一はむっと片方の頬を膨らませ、不貞腐れた態度を取る。

 

 どうせまた統括理事長と秘密の共有をしているのだろう。師であり、偉大な御方であると尊敬して止まない脳幹が、あの男か女か子供か老人かも分からぬような変態に素直に付き従っているという事実を彼女は快く思っていなかった。

 

「もしかして今回の件も予期していたことだったりしちゃいます?」

 

「まさか。こうも()()()()()()が居るということなど、全く以て想定外だったとも。()()が妹達の死体に乗り移るということもな」

 

 そもそも、どう予想しろと言うのか。

 

 イレギュラーに続くイレギュラー。実験の関係者も、暗部も、今何が起きているのか全く理解しておらず、訳が分からないまま奔走している。

 

 そのような状況下で、木原脳幹、そして統括理事長アレイスター=クロウリーは事の詳細を把握していた。

 

「連中があの狭い建物の中で留まってくれているのは幸か不幸か……我々はここで事態を封じ込めなくてはならない。最悪“A.A.A.”を投入する必要もあるかもしれないな」

 

 正しく最悪の事態だ。あのゲテモノ兵器の存在を明るみにするには、あまりにも早過ぎる段階。挙げ句に秘蔵のそれがスクラップになってしまえば、堪ったものではない。

 

 かといって、このタイミングで埒外の化け物の存在を世界に知らしめるのはこちらにとっても()()()にとっても望むところではなく、()()()()()()()()()()徹底的に隠し通す必要がある。

 

「共倒れが理想だが、是非とも勝利してもらいたいものだ。“幻想の巫女”には」

 

 既にアレイスターが当初思い描いていた展開(シナリオ)から大きく外れている。今回も計画(プラン)の内容を修正していくことになるだろう。

 

 そういった事態の中心には、いつも博麗霊夢の姿があった。

 

 正しくイレギュラー。制御の利かぬ爆弾そのもの。しかし、脳幹は彼女の事を危険視することはなく、むしろ興味深く思っていた。

 

「さて、どうなることやら」

 

 だからこそ、これからもまだまだ無数の失敗を重ねていくであろう友人を憂いながらも、純粋に知りたい。

 

 彼女の行く末が、どういったものなのかを。




?????
 ミサカ9982号の死体に取り憑いている存在。欠損したはずの片足は天衣装着で再生させた。
 天衣装着が使えるのは死体が有していた知識により電気の仕組みを理解し、能力の幅が広がったため。ただあくまで“肉体”を有しているからこそ可能であり、“元の”状態だと使用不可。
 操る“雷”の出力は御坂美琴と同等であるが、常にリミッター解除なので端から見るとこちらの方が強そうに見える。磁力操作やハッキングといった事は出来ないし、やろうとも思わない。万全の状態でタイマン張れば恐らく御坂の方が辛勝する。
 その目的は不明。現時点で一番のイレギュラー。
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