とある幻想の夢想天生   作:大嶽丸

55 / 77
思惑

 

 

 御坂美琴の襲撃から数刻後。研究施設は完全に崩壊し、ここまで来ると隠蔽工作はもはや不可能であり、通報を受けて駆け付けた警備員が雪崩れ込み、混沌と化していた。

 

「ッ…………ぅ?」

 

 そこから離れた、表向きは廃ビルとして扱われているマンションの一室で彼女──麦野沈利は目を覚ます。

 

「ここは……?」

 

「意識を取り戻しましたか。麦野」

 

「絹旗? 確か私は…………──ッッ!!」

 

 名前を呼び掛けられ、視線を向ければ、そこに居たのはソファーに腰掛け、上着を脱いで自身の胸元に包帯を巻いている仲間の一人。

 

 麦野は一瞬困惑するも、そこですぐに思い出した。意識を失う寸前の事、あの紅白の巫女に完膚無きまでに叩きのめされたということを──。

 

「……状況は? あれから一体どうなったの?」

 

「防衛目標は文字通り完全に崩壊。電撃使いを含め侵入者は一人残らず現場から超逃亡しました。私も危うく失血死するところでしたが、どうにか止血して麦野達を見つけ出して一番近いアジトまで運び込んで今に至る……という感じです」

 

「ッ……そう。つまり任務は失敗ってこと」

 

 顔をしかめる麦野。言い訳の出来ない体たらく。しかも絹旗が救出しなければ今頃瓦礫の下敷きになっていたことだろう。

 

 そして、恐らく残りの仲間はもう……。

 

「フレンダと滝壺なら無事ですよ」

 

 するとその思考を読み取った絹旗が言う。彼女は初めに麦野()を見つけ出して、と言っていた。

 

「! 本当?」

 

「はい。二人とも別の部屋で眠ってます。命にも超別状ありません。下部組織の連中はほぼ全滅したので補充しなければなりませんが……」

 

「そう……ナイスよ、絹旗。本当に助かったわ」

 

 そう言い、麦野はホッと胸を撫で下ろす。てっきり死んだ、或いは再起不能に陥ったものだと思っていた。あれだけの被害の中、メンバー全員が五体満足で助かったのは奇跡としか言い様が無い。

 

 少なくとも絹旗が救出してくれなければ実際にそうなっていたことだろう。改めて感謝する。

 

「ッ…………」

 

 起き上がろうとすれば身体が痛む。見たところ軽度の打撲のみで目だった傷は無かった。

 

(どういうことだ……?)

 

 自分は確かにあの光に為す術無く呑み込まれた。原子崩し(メルトダウナー)を相殺する程の攻撃をまともに受けてこの程度で済んでいることは異常であった。

 

(まさか、殺すつもりじゃなかった……? いや、単にあのエネルギー弾が人体への影響が極端に少ないだけかもしれない)

 

 だが、もしそうだとしたら、何と屈辱的なことか──そう思うと同時にあの光景が甦り、戦慄する。

 

 こちらを見ているようで見ていない。取るに足らぬ有象無象を見下ろす冷たい瞳。あれに殺意など存在しておらず、ただ目の前で集る虫を払うが如く何気無しに理不尽なまでの暴力を行使したに過ぎない。

 

 その結果、麦野は為す術無く地に伏せた。思い出すだけで、身震いしてしまう。

 

(ふざけるなよ……! この私が……!)

 

 下唇を噛み、血が流れる。

 

 気付いてしまった。この第四位が、麦野沈利が、敗北し、惨めに生き残って抱いた感情が怒りでも屈辱でもなく、途方もない安堵感であることに。

 

 生きてて良かったと、殺されなくて良かったと、本気で思っている。そんな己自身の不甲斐無さに腸が煮え繰り返そうだった。

 

「……空を飛ぶ紅白のコスプレ女」

 

「…………」

 

 唐突に呟かれた言葉に絹旗は無言で視線を向ける。それだけで彼女が誰の手によって気絶した状態でコンクリートの上に這いつくばっていたのかを悟った。

 

「そいつにやられたわ。あれが貴女の言っていた、顔見知りのインベーダーかしら?」

 

「……はい。その通りです」

 

 言葉遣いこそいつも通りだが、内心怒り狂っていることを察しつつ、絹旗は頷く。

 

(そうですか……麦野は負けましたか。予想していたことですが、超とんでもが過ぎますね、あの人は)

 

 別段驚くことはない。麦野の原子崩しならば霊夢の扱う非科学(オカルト)を突破し、仕留めることも可能だが、そもそもいくら必殺の技を有していようが当たらなければ無意味なこと。絹旗としてはアイテム全員、少なくとも自分と麦野で同時に掛かればどうにか勝機を見出だせる……と、考えていた。

 

 それでも絹旗の目測が甘い説もある。博麗霊夢という絶対強者の底など計り知れるはずがないのだから。

 

「何者なの? あいつは」

 

「……私も詳しくは知りません」

 

 その問い掛けを予期していた絹旗はそう前置きしてから言葉を続ける。

 

「名前は博麗霊夢。経歴上は原石の異能力者(レベル2)ですが……そんな訳がない超馬鹿げた強さなのは麦野もご存知の通りです」

 

「原石、ね……あの第八位と同じか」

 

 天然の能力者。超能力者(レベル5)の中にもそれは二人ほど存在し、その一人があのムカつく第八位だ。

 

 原子崩しを相殺する程のエネルギー弾を無尽蔵に撃てるような怪物が異能力者扱いなのは笑ってしまうが、一体どういった理由で偽造しているのだろうか。表向きは別の能力なのかもしれない。

 

「あの人と出会ったのは、まだ私が“暗闇の五月計画”の実験動物(モルモット)だった頃……別の研究機関から招かれたあの人とは、何度か一緒に実験を受けた間柄です」

 

「暗闇の五月計画、ですって?」

 

 思わぬ経緯に驚く。裏の人間で知らぬ者は少ない狂気の実験の一つ。それに関わっているのだとすれば、裏の世界にどっぷりと浸かっていることになるが……。

 

「じゃあ、あいつも第一位の思考パターンを埋め込まれているってワケ?」

 

「いえ、どちらかと言えば、あの人のデータを超参考に私達の能力の強度を向上させるのが目的でした。“共同研究”のようなものだと、担当の超糞野郎は言ってましたね」

 

 説明しながら絹旗は思い出す。彼女と共にカリキュラムを受け、過ごした期間は短いものであったが、それでも昨日の事のように鮮明に記憶に残っていた。

 

 空を飛ぶ。たったそれだけの能力だというのに、絹旗も黒夜海鳥も、他の被験者が総出で掛かっても傷一つ付けられなかった怪物。実際には学園都市においても理外の力を有していたのだが、少なくとも自分達との訓練では一切使用していなかった。

 

 ある者は憧れ、ある者は慕い、またある者は畏怖した。その圧倒的で理不尽な“力”を思うがままに振るう姿はいつしか他に縋る物の無い実験体の子供達にとって目指すべき指標となり、一種の希望、そして絶望にもなっていた。

 

 力こそが全て。この世界の不変とも言える理を、博麗霊夢という存在そのものが証明しているように思えたのだ。

 

「実験が潰れてからは会う機会はありませんでしたが、その存在は暗部の中でも一部の人間には知られているようで名前や“鬼巫女”なんて異名は何度か聞きました。一応表の人間のはずなんですが、裏も表も関係無く平気で関わり、大暴れして超しっかちゃめっちゃかにしていくので超危険人物扱いされています」

 

「そうなの? 私は聞いたことないんだけど」

 

「……はい。彼女に関する情報は超少ないです。不自然な程に」

 

 それこそ面識のある絹旗でなければ博麗霊夢=鬼巫女という図式には結び付かないであろう。

 

 不可解極まりないが、それはひとえに彼女の能力開発担当であるあの“赤髪の女”が裏で動いているからだと絹旗は認識していた。

 

「ふうん……成程、ね。ありがとう絹旗、それだけ知れれば充分よ」

 

「……麦野、その、やっぱり──」

 

「何? 顔見知りだから殺り合いたくないって?」

 

「いえ、そういう訳では……」

 

「冗談よ。ま、別にこっちから居場所を特定して凸しておっ始める気は無いわ。リスクが高過ぎるし……こっちからは、ね」

 

 博麗霊夢。確かにその名前、覚えた。己をここまで虚仮にした報いは、いつか必ず受けてもらう。

 

 そう決意し、殺意を滾らせる麦野の様子を見て、絹旗は内心溜め息を吐く。

 

(触らぬ神に祟りなし。霊夢さんとは出来得ることなら、超敵対したくないのですが……)

 

 麦野が目の敵にしている以上、その願いは恐らく叶うことはないのだろう。しかしながら霊夢よりもアイテムという居場所を選んだのは他ならぬ絹旗自身。

 

 ならば精々付き合うとしよう。たとえこの先が地獄で共倒れしようとも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 宇佐見菫子は興奮していた。

 

 実のところ彼女は博麗霊夢VS御坂美琴の現場に居合わせていた。少し遅れてから御坂の後を追いかけ、そこで視たのは何故か激昂しながら雷撃をぶちかましている御坂と、それを相手にする霊夢。そして、その傍に転がっている妹達(クローン)の死体──。

 

 一体どういう状況なのこれ? と、彼女は酷く困惑した。状況証拠から考え得るのは霊夢と戦っていたのは今は冷たくなったクローンであり、それに対して御坂が怒り狂って今に至る……ということであるが、妹達の性能は精々異能力者(レベル2)程度の欠陥品のはず。この建物を崩壊寸前に追い込む程の力など有していないし、霊夢の攻撃によるものではないのは一目瞭然だ。

 

 そもそも霊夢がクローンとはいえ安易に人を殺すとも考えづらく、何かしら誤解があるのではとも考えた。例えば、戦っていたのは全く別の存在で妹達は巻き込まれただけではないかと。

 

 然りとて霊夢は無慈悲な時は本当に無慈悲で冷酷なため完全に言い切れない。どうであれ、ここに来て仲間割れなどあんまりにもあれな展開。とりあえず戦いを止めるべきであるが、自分が割り込んだところで場が収まるとも思えず、それにこのなかなかに見ないマッチアップをもう少しだけ見物したいという邪な気持ちもあった。

 

 そんなこんなで迷っていると、戦闘は意外にもあっさりと終わる。電気と磁力を操り、多彩な攻撃を仕掛ける御坂に痺れを切らしたのか霊夢が光弾を連射し、圧倒的な物量によるごり押しで叩き伏せたのだ。

 

 そのえげつなさにドン引きしつつ、宇佐見は未だに立ち上がる御坂を見て流石にまずいと判断し、仲裁に入ろうとした。

 

 ──その時だった。横たわっていた死体がむくりと重力に逆らうように起き上がったのは。

 

 正に未知との遭遇。目にした瞬間から宇佐見は予感し、理解した。あれが自分が追い求め、暴かんとしている秘密(オカルト)そのものであると。

 

 死霊魔術(ネクロマンシー)か、それとも霊的存在(スピリチュアル)か、はたまた全く別のナニカか。()()()()()()の中へと消えていったソレの思いもよらぬ介入は探究心と知識欲を大いに刺激し、歓喜させる。

 

「──で、今更ノコノコと出てきて、どういうつもりか説明してくれるんでしょうね?」

 

「いやぁ、めんごめんご。ちょっと出遅れちゃって……」

 

「あ?」

 

「誠に申し訳ありません!」

 

 そして、御坂が気を失った後に意気揚々と姿を現した彼女は現在。霊夢に胸ぐらを掴まれ、詰責されていた。

 

 未だにおどけた様子の宇佐見に対し、霊夢は完全に目が据わっている状態で睨み付けている。

 

「ちょ、本当にごめんって! マジで悪かったって思ってるから!」

 

 胸ぐらを掴み上げる力を強めれば必死で謝罪する宇佐見。あの状況では自分が割って入ったところでどうにかなったとも思えないが、そんなこと言ってしまえば普通に殴られる。

 

 それに結果論になるが、そもそも事前に宇佐見が霊夢が来ていることやその理由を話していれば誤解されるのは変わらないとはいえあそこまで拗れることはなかっただろう。

 

「……チッ」

 

 霊夢は軽く舌打ちし、手を離す。

 

「ったく……お蔭でとんだ無駄骨だったわ。辻斬りも亡霊も取り逃がすし」

 

「辻斬り? よく分からないけど亡霊ってのはもしかしなくてもミコトっちのクローンの事よね? やっぱりあれお化けが取り憑いてたんだー」

 

「……ま、あんたには隠してもしょうがないか」

 

 はしゃぐ宇佐見に対し、霊夢は呆れつつもこれまでの経緯を説明する。最初は辻斬り……あの連続殺人鬼の切り裂き魔と戦っていたこと、そこに乱入してきたのがあの死体に憑依した亡霊であること。その強さはオリジナルの御坂にも引けを取らない程であること。最後に動いていた死体の中身はまた別個体であり、いずれも正体不明であること。

 

 色々ととんでもない情報の数々に宇佐見は驚愕する。自分が第四位と遊んでいる間に随分と激闘を繰り広げていたようだ。

 

 特に建物を切り崩したのが最近世間を騒がせている切り裂き魔だったと聞いた時は耳を疑った。単なる猟奇的殺人鬼にしては足取りが掴めず、只者ではないとは思っていたが、まさか霊夢と渡り合うような化け物だったとは。

 

(ふむふむ……レイムっちがやたらと取り逃がしたことを悔やんでいるし、その切り裂き魔ってのも面白そうな事情を抱えてそうね)

 

 何となしに予想する宇佐見。切り裂き魔が科学サイドか魔術サイドか、或いはその()()()()()()()のかはともかく、少なくとも基本的に他者に無関心な霊夢が妙に気にするような存在のようであり、興味が尽きない。

 

「……楽しそうね? 菫子」

 

「ええ、とっても! 前の錬金術師といい、こうもオカルト絡みの話が立て続けに起こるなんて。流石はレイムっち、そういうのを呼び込んでくれるねぇ」

 

「…………」

 

 本当にこいつは。相変わらず能天気で野次馬根性丸出しの宇佐見に霊夢は呆れる。

 

 しかし、現時点だと彼女の情報網は色々と便利だ。もうしばらくは協力してもらうことになるだろう。

 

「ハァ……じゃあ、また実験とやらについて何か分かったら教えてちょうだい」

 

「かしこまりー。あ、そういえばミコトっちには会いに行ったりするの?」

 

 溜め息を吐き、踵を返す霊夢に対して宇佐見が問い掛けた。

 

 あの後、気絶した御坂を病院まで運び込んだ。幸いにも単なる疲労によるもので目立った外傷も無く、早ければ明日にでも退院可能らしい。

 

 因みに彼女の寮への連絡は院長であるカエル顔の医者に任せた。押し付けたとも言えるが。

 

「……会いに行ってどうすんのよ」

 

 また面倒事になったら困る。彼女自身色々とショックを受けてそうであるし、誤解を解くにしてももう少し時間を置いておいた方が良いだろう。

 

 少なくとも霊夢はそう判断し、今日のところは帰宅することにした。

 

「ふうん……分かった。ま、ある程度ぼかしつつ、事情は説明しておくよ。じゃあねー」

 

 内心あれだけ痛め付けたし、会いづらいのだろうなと察しながら、そのまま去っていく霊夢の後ろ姿を見送る。

 

「さて、と……この感じだと近い内に絶対能力(レベル6)進化(シフト)計画も潰えるだろうし、こっちも早めに()()しておこーっと」

 

 残された宇佐見もまたそう呟いて笑い、闇の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「随分と派手に暴れましたねぇ……」

 

 学園都市某所にあるバーにて。

 

 照明が適度に暗く、軽快なジャズが流れる落ち着いた雰囲気の空間。しかし、そこに普通ならば存在するはずの店員らしき姿は無く、客席に二つの人影があるのみだった。

 

「ふん……コソコソするのは性に合わん。それよりも貴様、私を向かわせたくせになかなか危ない橋を渡ったな? 実によく馴染む()()()だったが、わざわざ回収することもなかろう」

 

 グラスを片手に呟かれた言葉に、もう一人が不機嫌そうに眉をひそめながら問い掛ける。

 

「あら、だって勿体無いでしょう? この季節だとすぐに腐ってしまうのですし、貴重な資源は再利用しませんと。今の時代の最先端はエコロジーですわよ」

 

 と言っても、残り一万近く存在するようだが。

 

「……成程。貴様の収集品の一つに加えるという訳か。相も変わらず悪趣味な奴だ」

 

「まあ酷い。私めの価値観が一般化するのはいつになるのやら。よよ」

 

「なってたまるか。気色悪い」

 

 クスクスと笑い声が静かに響く。

 

「──それで、どうでした? かの巫女様のご様子は?」

 

「どうもこうも、貴様の見立て違いだ。彼奴、私の正体に全く気付かなんだ。“力”の方は一級品だったがな」

 

 いくら強かろうと、あの体たらくでは期待は出来まいと、心底失望した様子で吐き捨てる。それに対して片割れは浮かべた微笑みを崩さない。

 

「あらあら、それは残念。まあ、それなら仕方ありません。気長にやるとしましょう」

 

「……知ってたな? 貴様」

 

「さて、どうでしょう?」

 

 バチッと閃光が迸る。人体を跡形も無く焼き尽くさん勢いの電流は、しかし次の瞬間には店内に何の傷も残すこと無く、消えていた。

 

「まあいい……千年以上も待ったのだ。()()待つ羽目になっても構わんとも。久々に気持ちよく暴れたしな」

 

「ウフフ。そう思うと、気が短いのか長いのかよく分かりませんわね、◼️◼️◼️さんは」

 

 誰も呪わず、祟らず、変わり果てることもなく待ち続け、守り続けたその執念深さには感心させられる。

 

 だからこそ、彼女に目を付けた。

 

「ですが、どうかご安心してくださいませ。もう何年も待たずともその時は来ますとも」

 

 今回は単に焚き付けたに過ぎない。お膳立ては元より()()()()がしてくれる。自分達はただそれを傍観しつつ、面白半分に干渉し、最後に勝ち馬に乗れば良いだけ。

 

 何ら心配することは無いのだ。あの()()の実力はよく知っている。既に十数年もの時間を無駄にしているようだが、まだ時間は充分にあるし、もしものことがあれば自らが導くとしよう。

 

「ふん……だと良いがな」

 

 楽しげな表情を浮かべる目の前の女が何を企んでいようとどうでもいい。己の目的さえ果たせれば彼女はそれで良く、その為ならば喜んで身を捧げる。

 

 その点においては二人は共通の目的を抱く同志であり、誰よりも信用出来ぬこの外道を、唯一手放しで信じられた。

 

「次はどうする?」

 

「そうですねぇ……しばらくは様子見しても良いかもしれません。この街も面白い事をしているみたいですし。夥しい死の経験による()の昇華……とも言いましょうか。実に興味深い話だわ」

 

「…………? よく分からんがきっと、ろくでもない話なのであろうな」

 

 水面下で、様々な思惑が渦巻く。

 

 その果てに何があるのかは神のみぞ知る──否、きっと神にすら分かるまい。




暗闇の五月計画
 置き去りを使用して実験開発を行っていたチームの一つであり、同時に計画名そのもの。
 一時期ある理由から一方通行だけでなく博麗霊夢にも目を付けていたが、その精神性に適合可能な者は存在しなかったため頓挫した。またその影響かレベル5という当初の目標からも大きく外れ、より狂気染みた実験が行われていたが、最終的に黒夜海鳥に皆殺しにされたため詳細は不明。
 尚、一部被験者らが霊夢ファンクラブと化した模様。

以上の通り原作と色々と変わっている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。