とある幻想の夢想天生   作:大嶽丸

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お久しぶりです。
四ヶ月以上も待たせてすみません。マジで


唯閃

 

 

 絹旗は頭を抱え、悩ましげに唸る。

 

 突如として目の前から消えた霊夢の身に一体何が起きているかなど想像も付かない彼女は混乱と恐怖が入り乱れ、平静さを保つのでやっとであった。

 

 置き去りとはいえ大能力者。決して頭は悪くない彼女であるが、流石に今までの価値観をぶち壊してしまいそうな意味不明な情報に脳の処理が追い付かず、知恵熱まで出そうになっている。

 

「それで、超何者なんですか? 貴女は」

 

 頭が可笑しくなる前に思考を諦め、今しがた訪ねてきた女に問う。

 

「だから言っているじゃない。“普通の魔法使い”よ、顔が変わってるから分からないのかしら? 察しが悪いわね」

 

 鍔の大きな尖り帽子に紫の装束を纏った、()()()魔女は肩を竦めてそう言い、椅子に座って茶を嗜んでいる。

 

 何らかの方法でドアのロックを解錠し、部屋に入るなり霊夢は何処かと尋ねてきた謎の人物。如何にもといった風貌からして魔術師にしか思えないが、こうもあからさまだと逆に違うのではないかとすら思えてくる。

 

 仮に教授の目を掻い潜り、霊夢を狙ってやって来た刺客だとして、迂闊に手は出せない。魔術師の異常性は霊夢に口酸っぱく教えられているのだから。

 

 それに、不可解なことが一つ。

 

「喋り方のせい? なら、気にしないで。──色々あってな、初心に返ってるんだ。ウフフ……」

 

 初対面のはずなのにやたらと親しげに、否、明らかに顔見知りだと思い込んでいる。

 

(もしかしなくても……こいつも入れ替わりの影響を超受けている……?)

 

 心当たりはあった。ファミレスでの佐天という少女の発言。どうやら彼女は今、絹旗と容姿が入れ替わっている“ヨウム”なる人物と誤認しているらしい。

 

 てっきり自分のように半端に防いでいるのかと思っていたが……ということはあの魔女然とした容姿も他人の姿なのだろうか。──否、よくよく考えたら服装は据え置きなので如何なる姿であろうと魔女なことには変わりなかった。

 

「にしても、随分と弱ってるわね? 気配もただの人間と変わらないし」

 

「え、ええ……」

 

 弱ってるも何も頭の中を弄くられてはいるもののそれ以外は一応は普通の人間なのだから当然であるが、ここは適当に話を合わせておく。

 

 本人ではないとバレたらろくなことにならないのは容易に予想出来た。

 

「で? 霊夢はどこに?」

 

「知りませんって……突然、目の前で消えたんです」

 

「──消えた?」

 

 少し悩んだが、正直に話す。魔術師であろう彼女ならば霊夢の消失について何か知っているかもしれないと思ったからだ。

 

 これに魔女は、怪訝な表情を浮かべる。

 

「何かあったとは思って来てみたのだけれど……まさか()()()が? いや、動き出すには早過ぎるし、第一そんなことをする予定は無かったはず。となると怪しい動きをしている“邪仙”の奴? それとも……」

 

(……話の内容はさっぱりですが、やはり色々と超知っているみたいですね。もう少し、情報を与えれば勝手に超推理して何か気付くかもしれません)

 

 顎に手を当て、ぶつぶつと呟いているその姿を見て絹旗はそんな作戦を思い付く。

 

 いずれにせよ、自分では霊夢が消えた理由など分かるはずもなく、どうすることも出来ないのだ。ならば多少のリスクを考慮しつつもこの正体不明の魔女を利用してやることを選ぶ。

 

「──サリエル」

 

「あ?」

 

 唐突に呟かれた単語に眉をひそめる。

 

「サリエルという名の天使について、直前まで霊夢さんは調べていました。今回の件に関係しているかは分かりませんが……」

 

 口にしながら絹旗は内心腑に落ちる。考えてみれば、天使なんて超常的な存在ならば人一人消すかのように連れ去るようなことをやってのけても不思議ではないだろう。

 

「ふうん……今回喚び出されたのはガブリエルって奴だと聞いていたけど……実はもう一柱居たのね」

 

 が、絹旗の予想と違い、魔女にとってもその名は初耳なようで、思わぬ情報に驚いている様子だった。

 

「だとして、天使にしては妙に……そのサリエルってのはどんな天使か知っているかしら?」

 

「え? えっと……確か、()()()()()使()だと」

 

「──成程。なら堕天使、“魔”に属していても不思議ではないか。となれば、合点が行く」

 

「?」

 

 暫しの思考の末、うんうんと頷く。一人で納得した様子を見せる魔女に対して絹旗は困惑するばかりだ。

 

「この辺りに師匠とよーく似た飛びっきり邪な魔力が漂っている。恐らくその大元が霊夢をこことは異なる位相に引き込んだのでしょうね」

 

「……位相?」

 

「ん? ああ、言ってしまえば異界のことよ。魔術師達の間ではそう呼称されているの」

 

 何気無しに告げられ、絹旗は顔をしかめる。こうもスケールの違う話をされては、彼女の価値観ではとてもではないがついて行けない。

 

 しかし、少なくとも自分では手に負えない最悪な事態であることは今一度理解した。故に、ただ目の前の存在がこのどうしようもない現状を都合良く打破出来てしまうことを祈るしかないが……。

 

「うーん……魔力を辿れば特定出来そうだけど、流石に天使の相手は荷が重い……癪だが、手っ取り早く容易な方法でやるしかないな」

 

 魔女は小さく舌打ちし、どこからともなく一冊の本を取り出す。

 

「貸し一つだぜ、霊夢」

 

「あの……一体何を?」

 

「あいつのことは任せておけ。お前はお前でやりたいことをやっていればいい。──()()()までな」

 

「来る時……?」

 

「はぁ? おいおい。んなことも忘れちまったのか? “忘却”の度合いには個人差があるが、お前さんのは随分と致命的らしい。道理で話してて違和感があった訳だ」

 

 微塵も理解してない様子の絹旗に呆れた様子で肩を竦める。いつの間にか男勝りな口調へと変わっているが、先程の口振りからしてこちらが自然体なのだろう。

 

 一瞬、人違いだとバレたのかとドキリとする絹旗に気付かぬまま魔女は言葉を続ける。

 

「私達は──」

 

 彼女はあっさりと語った。疑いも無く。否、元より隠すつもりはないのだろう。

 

 そう遠くない未来に起きることを。

 

「──は?」

 

 絹旗は茫然と固まる。

 

 あまりにも理解の範疇を超えた内容。当然大いに困惑し、しかしこれだけは悟った。

 

 己は、知ってはならぬことを知ってしまったのだと──。

 

「…………」

 

「さて、一応手助けしてやるが、不幸な正義のヒーロー様と愉快な仲間達が動いているし、実のところ事態の収束は時間の問題だろう。こちらとあちらを繋ぐ“楔”が無くなっちまえば、その強大さが故に天使は留まれない」

 

「……それは、どういう」

 

 顔は青く、冷や汗が止まらない。正直それどころではない絹旗だったが、気取られまいと必死に平静を装いながら尋ねる。魔女はそもそも絹旗に大した関心が無いのか気にも留めていない。

 

「簡単な話だ、この異変を引き起こしている術式を木っ端微塵に破壊する。それだけでそのサリエルとやらは強制送還されるんだよ」

 

 魔女は窓から見据える先は、学園都市の外だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 神奈川県某所にある海辺にて。

 

 海面に映る満月が、漆黒の夜空を照らす。()()()()()()()()()()()()()()その風景には到底似合わぬ轟音が幾度も響き渡り、巻き起こる突風がその場にある何もかもを薙ぎ払って行く。

 

 その台風の目には、二つの人影。

 

天体制御(アストロインハンド)──星々を操り、“世界を終わらせる力”とさえ云われる大魔術を、単なる属性強化の為だけに使うとは」

 

 一撃で地面に容易くクレーターを作る、巡航ミサイルかと見間違う射出された“羽”の暴風雨を尋常ならざる速度で潜り抜けながら、しかし神裂火織は内心冷や汗を掻く。

 

 魔術世界において核弾頭に匹敵する戦力とされる“聖人”である彼女だが、目の前の存在相手にはただ蹂躙されるだけで防戦一方だった。

 

 高みから悠然と見下ろす、赤い修道服、そして拘束具を纏った少女。右手にはバールを握り締め、背の氷の塊のような青黒い“翼”はピタリと静止しているに拘わらず重力に逆らって空の上に立っている。

 

 ロシア成教“殲滅白書(Annihilatus)”所属の魔術師、ミーシャ=クロイツェフ──そう名乗って協力を仰いできた彼女の正体は、このふざけた入れ替わり現象の元凶にして最大の“被害者”であった。

 

 まるでテレビのチャンネルを切り換えるように容易く天体を操作し、瞬く間に夕闇を夜闇へと変えた恐るべき“権能”を目の当たりにしたその瞬間、神裂は目の前の存在が何者であるかを察知した。

 

 旧約聖書においては堕落都市ゴモラを火の矢の雨で焼き払い、新約聖書においては聖母に“神の子”の受胎を告知したとされる預言の大天使。

 

 水の象徴にして青を司る者。

 

 月の守護者にして後方を加護する者。

 

 常に神の左手に侍る者。

 

 かの四大天使の一角。神の如き者(ミカエル)神の薬(ラファエル)神の炎(ウリエル)と肩を並べるそれは、創造主たる唯一神の“力”そのもの。

 

 故に、彼ないし彼女はこう名付けられた。

 

 ──神の力(ガブリエル)と。

 

 天使本人、それも最高位の存在では如何に聖人といえど太刀打ちすることは不可能。

 

 そのはずだが──。

 

「………………」

 

 ミーシャ、否、ガブリエルは、その圧倒的な力を無造作に振るい、蹂躙の限りを尽くしながらも疑問に思う。

 

 己が“水翼”は水を媒介しているとはいえ純粋な天使の力(テレズマ)そのもの。即ち、ガブリエルの肉体の一部と言って過言ではなく、それを一度でも振るえば人間に抗う術は無い。

 

 だというのに、とうの昔に絶命しているべきである目の前の人間は何百という“水翼”を放っても尚、五体満足のままこちらと相対し、あまつさえ天使の一部を切り捨ててみせた。彼女が神の子(イエス)とよく似た肉体を有していることには気付いていたが、精神ならいざ知らず、所詮は肉体であり常人とは誤差に過ぎない。

 

 ──人の身にて、神の使いの想像を超える。この奇跡を可能にする手段を彼ないし彼女は知らなかった。

 

「ッ──」

 

 その困惑を感じ取りながらも神裂は七天七刀を握り締め、死を覚悟する。よりにもよって最高位の熾天使の中でもトップクラスの存在である“神の力”だったとは。水を操るという特徴からある程度の当たりはつけていたもののその中での最悪のカードであり、正体に気付いた際は流石に動揺を隠し切れなかった。

 

 通常、天使相手には十字教の魔術師では逆立ちしても敵わないが、神裂が所属する“天草式十字凄教”はかつての弾圧から逃れる為に仏教や神道といった異教の要素を無数に取り入れ、やがて本来の十字教から完全に逸脱していた。

 

 加えて、日本神話における神殺しの逸話も取り入れたことで超越存在への対抗手段を有していた。それでも、相手が“神の力”ではそもそもの次元があまりにも違い過ぎて勝負にならない。

 

 故に、遅かれ早かれ神裂は死ぬ。呆気無く。

 

(──否)

 

 四方八方から迫り来る“水翼”は一つ足りとも神裂には当たらない。先程よりもずっと速度も威力も上げたというのに、より洗練された動きで切り捨てられてしまう。

 

 ガブリエルの無表情が揺らぐ。一体何故この人間は倒れないのか全く解らなかった。

 

「以前の私ならば、今ので死んでいたことでしょう」

 

 静かに神裂は呟く。力の差は歴然。然れど、とうに絶命しているはずの彼女は傷はおろか息一つも乱れておらず、余裕さえ感じられる。

 

 あの日、博麗霊夢に二度も敗北し、挙げ句に彼女に禁書目録を救われ、神裂は己が弱さと不甲斐無さに打ちのめされた。

 

 故に、自己を戒め、血が滲むような鍛練を繰り返し、肉体を鍛え、業を研ぎ澄まし続け、それは聖人であるにも拘わらず生死の境を彷徨い、同門の教徒達が止めに入る程だった。

 

「感謝しますよ、博麗霊夢。貴女のお蔭で私は傲りを捨て、今一度強くなることが出来ました」

 

 そうして神裂は精神的にも肉体的にも成長し、戦闘力が著しく向上したことで権能を行使した“神の力”相手にも防戦一方とはいえ戦いが成立するレベルにまで至っている。

 

 そして、彼女は遂に攻めの一手を打つ。

 

「──唯閃──」

 

 自身を人間の限界を超えた体の組織に組み変え、そこから繰り出される必殺の抜刀術。十字教、仏教、神道の術式が緻密に複合されたそれは対神格用術式としても機能し、天使の力(テレズマ)が行き通った水翼を容易く両断することを可能とする。

 

 だが、既に何度も使用しており、ガブリエルからすれば見飽きた技だった。

 

「──ph愚かgra──」

 

 そのような技を使い、こちらへ突貫してくる神裂に一瞬困惑するも即座にガブリエルは70mにもなる一対の水翼を展開し、左右から押し潰さんとする。

 

「──唯閃──」

 

 初撃で片方が、続け様にもう一方の水翼が両断され、身体から離れる。

 

「──唯閃──」

 

「──ッ!?」

 

 ガブリエルの前髪で隠れたその目が大きく見開かれる。三連撃、四連撃と繰り出された神速と呼ぶに値する居合。納刀する動作も抜刀する動作も全く見えず、ほんの数瞬だけ刀と腕がぶれるのを視認出来ただけだった。

 

 咄嗟に手に持つバールを振るうも、付与された魔術的な加護を容易く貫き、肩口から胴体がぱっくりと裂け上がって鮮血が勢い良く噴き出す。

 

「──

 

 トドメの五撃目を放とうとした次の瞬間、神裂の動きが停止する。その隙にガブリエルは水翼を再展開して風圧で彼女を押し退けた。

 

(くっ……やはり“唯閃”の高速連続使用は四回が限界のようですね)

 

 受け身を取り、着地しつつ神裂は全身に走る痛みに顔をしかめる。

 

 本来、“唯閃”とは奥義であり、聖人の力を大きく引き出す関係上、体に相当な負担がかかるため短時間しか使用出来ない。抜刀術なのも得意不得意の問題ではなく一発で勝負を決めるしかないからである。

 

 それを神裂は修練の果てに連続でそれも間髪入れず高速で放つ方法を編み出した。初太刀を防がれればもう一太刀、それでも仕損じたならば更にもう一太刀、駄目ならば斬れるまでひたすらに刀を振るう。

 

 言葉にするだけならば簡単なことだが、如何に困難なことであるかは明白。実際に神裂は四連続で使用した反動で激痛に襲われていた。

 

「────」

 

 一方、ガブリエルは安全が確保されたことを確認すると即座に肉体を再構築。内臓まで完璧に修復し、元通りになるも、衣服までは戻せないのかそれとも元より戻す気が無いのか繋ぎ目が無くなった外套と拘束具をだらんと垂れ下げさせ、隠すべき柔肌が更に露になってしまっている。

 

 損傷は回復したが、肉体だけでなく内部に宿る精神(ガブリエル)ごと斬られた。このままダメージを受け続ければ如何に熾天使といえど、やがては存在を保てなくなるだろう。

 

 ガブリエルはここで漸く理解した。

 

 目の前のちっぽけな人間が、己を殺し得る()であることを──。

 

(神ならぬ身で、人はここまで至ったか)

 

 この確かな事実を前に、果たして天上で世界を見下ろしているであろう“主”はどう思うのだろうか。嘆くのか、或いは讃えるのか、もしかするとそれすらも“主”の思惑であり、掌の上で転がされているに過ぎないのかもしれない。

 

 いずれにせよ、神に創られた自我無き機能(システム)に過ぎない己には関係無く特に何かを思うこともないはずだが、きっとこれもこの世界に生じている歪み(バグ)の影響なのだろうとガブリエルは考え、言い知れぬ不快感を覚える。

 

「……神の力よ、崇高なる預言の大天使よ、天の号令を待たずして人を殺めるのは、貴女にとって禁忌のはず。貴女が何を想い、このような所業に及んでいるかはわかりませんが……主の意思に反してまで天に還る事に、一体何の意味があると言うのですか?」

 

 動きを止めているガブリエルに対し、神裂は疲労を隠しながら問う。

 

 自我こそ無いが、天使にも魂は存在し、そして今までの反応からしてある程度の感情はあるように思えた。故に、攻撃が止まったタイミングで神裂は説得を試みる。

 

「もう間もなく私の仲間が御使堕しを解除してくれるはずです。だから、どうか……!」

 

 その陳情にガブリエルは硬直する。そこには確かに動揺が見え隠れしていた。

 

「──bura無jtyp意mit──」

 

 だが、それもほんの一瞬のこと。

 

 海を巻き上げ、大量の翼がうねりを上げる。まるで神の怒りを体現するかのような光景に、神裂は自身の言葉が届かなかったことを悟った。

 

「ッ──やるしかありませんか……!」

 

 ガブリエルからすれば、この異変が解決し、自身が住まう位相へと還ることが出来れば()()()()()()()()()

 

 ──神裂やその仲間達が御使堕しを解除しようとしてくれていることは疑いようがない。博麗霊夢が紹介した人物であるし、己の眼から見ても虚偽は無かったのだから充分に信用に値する。

 

 だが、かといってあの上条刀夜という当代の“幻想殺し”の父親が犯人である可能性は極めて高く、見逃す道理は無い。

 

 この戦闘の最中に事態が解決するのであればそれで良し、己が先に上条刀夜を排除して事態が解決しても良し、だからこそガブリエルは戦闘を中断するつもりは更々無かった。

 

(そろそろ限界です……上条当麻、後は頼みましたよ──)

 

 一方、神裂は今一度覚悟して構える。唯閃の連続使用は後何度行使できるかは分からない。しかし、たとえ己の体が崩壊しようとも全身全霊で神の力の行く手を阻む所存だった。

 

 そうして終わりの見えぬ戦いが続行される。幸いなのは、この途方もなく長く感じる夜が明けるのは時間の問題だということだろうか。

 

 既に上条当麻と土御門元春は御使堕しの術式の“核”を特定し、これを破壊しようとしている。ガブリエルの目論見通り、どう転ぼうが御使堕しは終わるのだ。

 

 ──尤も、未だに姿を見せていない“悪意”はそれを決して許さないが。

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