アルターワールドフロンティア 偽りのメサイア   作:Blood Knight FUP

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ちょっと最初の部分雑かも……

ってことでリアス視点でのお話です。


page 7.5 偽りの少女、紅髪の滅殺姫一行と邂逅する 裏

夜のオカルト研究部の部室にて、赤髪の女性……リアス・グレモリーこと私は例の教会へ今一度赴かんと準備を整え、戻ってきた朱乃達に今回することを伝えていた。

 

「朱乃から大体の話は聞いているでしょうけど、今から再度あの堕天使達が拠点として使っていたあの教会へ向かうことにしたわ。」

「例の教会ですか? 確か以前調べた時は……」

「……何も手掛かり無しでした。」

私の知らせに、祐斗と小猫は以前の教会捜索の結果を思い出す。

私は焦りの余り、最初はかなり早計な判断をしてると理解していながらこうしようと考えてしまっていた。

しかし、最近人の出入りがあったと先程密かに()()()()()からの通達を受けており、何かあると踏んで今回あの教会の再調査を決行することになったのである。

 

「えぇ、前回は見つけられなかった……それはその時にはまだ誰も訪れる者が居なかったから。」

「……まさか、あの後から誰かが?」

「可能性としては充分あり得るわ。 仮にこれが一誠に関係しないものであれ、確かめる必要があるから向かうわよ?」

「「「はい。」」」

私はそう言って魔方陣を介して転移し、あの教会へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私達は教会前へと辿り着いて、辺りを確認し始める。

妙に物静かで風の音が響く中、暫くして祐斗が突然声を上げた。

 

「部長! 誰かいます!」

「あー……えっとぉ、どちら……様?」

私は祐斗のその呼び掛けに皆が、祐斗の指し示した方へ視線を移すと、そこには一人の少女がおり、その少女は気まずそうに何者かと問い掛けて来た。

 

「貴女こそ、こんな時間に此処で何をしてるのかしら?」

私は冷静さを欠かぬ様そっと何をしてるか問い掛ける。

すると、相手も警戒心を抱きつつ問われた質問に答え始める。

 

「私は気付いたら此処の中で眠ってて、暫くどうするか悩んだ末に此処を出ようとしてました。」

(気付いたらこの教会に居て此処で留まってた? 以前に訪れた時は居なかった筈……出入りした後も無かったし、もしや私達が去った後だとでも言うの?)

私は内心で相手の返した言葉に違和感を感じて思考を繰り返すが、疑念が余りにも多すぎる。

先ず、彼女がどうやって此処に来たのか……相手は明らかに普通の人間で、周りに誰かが居るわけでもない。

更に言えば彼女の発言を考えるに、誰かに誘拐されたわけでも無いと……いや、単に誘拐した実行犯が今この場に居ないだけかしら?

どちらにしても色々聞かなければならなさそうね。

 

「そう……貴女、名前は?」

私は流石にどう呼べば良いか分からぬままなのも不便だろうと思い、手始めに名前を聞いた。

 

「私は、メサイア……アルターメサイア。」

「あ、アルター……メサイア?」

そして少女はそう答え、私は少しだけ戸惑って目を細めてしまう。

凄く失礼ではあるけど、随分と変わった名前ではあった。

とても人に付ける名前とは思えないけど……まぁ此処は一旦触れないで置きましょう。

 

「ゴホンッ! じゃあ、アルターメサイアさん? ここで茶髪の男の子を見掛けなかったかしら? 貴女と同い年位の子で、名前は()()()()って言うんだけど……」

「兵藤……一誠? いや、知らない名前ですね。」

そして私は本題に入って、一誠のことを彼女に聞いた。

すると彼女は少し目を見開いたと思ったら、首を軽く横に振って知らないと答える。

 

「そう……」

私は残念そうにして項垂れる。

朱乃が少し心配そうにしているけど、別に落ち込んではいなかった。

寧ろ、一誠を見つける()()()()かもしれないと感じてすらいたんだから。

その証拠に項垂れた私を見てほんの僅かだが、彼女のその安堵に満ちた瞳がそれを雄弁に語っている。 そう、彼女は……()()を知ってるのだ。

 

「貴女、何か知ってるわね?」

「ッ!? な、何も知りませんって!」

「あらそう? まぁ、どちらにしても身柄は拘束させて貰うわよ? 貴女から何か異様な力を感じるから。」

彼女は必死に知らぬと言うが、私は関係無く拘束すると答える。

実際外れにせよ当たりにせよ、このまま彼女を一人には出来ない。

 

「また、堕天使? さっき関わって録なことにならなかったし、関わりたくないから逃げる!」

そう言い、彼女は全速力で走って逃げようとした。

 

「それなりに足は速いようだけど……祐斗!」

「はい!」

()()……ね、益々逃がしてはならないと感じ、私は逃げていくメサイア視線を外さぬまま祐斗に指示を出して逃げ道を遮らせた。

 

「うぇ!? は、速っ!?」

「悪いけど、大人しくしてくれないかな? 出来れば戦いたくはないんだ。」

祐斗は魔剣創造を使用して剣を作って、既に臨戦態勢に入ってた。

出来れば抵抗して欲しくは無いが、最悪再起不能まで追い込もうと考えもした。

そうこうしてる内にメサイアは青い柄と銀色の刃を持つ奇妙な剣を呼び出し、その手に握り締める。

 

「それで簡単に降伏する程、私は甘くないわよ?」

「ッ!? そうか、君も剣を扱うんだね?」

「えぇ、我流ではあるけど……剣術を一応身に付けてるの。」

そう言い、頬に流れた汗と共に笑みを浮かべて構えた。

彼女が大人しくする気は無いとこの場の全員が理解して完全に戦闘態勢に入る。

 

「アーシア、貴女は下がって見ていて頂戴。」

「は、はい!」

私はアーシアを後ろに下がらせて、メサイアの方を見る。

 

「こうなってしまえば、最早話し合いは無理ね……なら実力行使あるのみよ。」

「「いざ、勝負!!」」

私のその言葉は、アーシア以外には届かず、祐斗とメサイアのその言葉に掻き消される。

そして同時に踏み込むが、やはり祐斗の方が遥かに速かった。

 

「はぁぁぁ!」

「ぐっ!」

しかしメサイアは祐斗の斬撃を予測してそこに剣を構え、なんと初動の一手を防いだ。

 

「今のを防いだ!?」

「てやぁぁ!!」

「っ!」

そしてメサイアも祐斗の剣をいなすように弾いてそのまま横に一閃するが、祐斗は即座に反応してその斬撃を避けた。

 

「良いスピードだね?」

「アンタの方が数倍も速いっての!」

「それはどうも! なら、今度はこれだ!」

互いに軽口を叩く中、小猫が私にこう聞いてきた。

 

「……私も出ますか?」

「いいえ、ここは祐斗に任せましょう? その上で祐斗が危なくなったら助けてあげて?」

「……分かりました。」

そう言うと小猫は臨戦状態のまま、二人を見つめ始めた。

そうこうしてる内に祐斗がメサイアの背中を斬り付けていた。

 

「貰った!」

「がぁっ!? ぐっ……あああぁぁぁぁぁぁ!!」

そして痛みに悶えつつも負けじと剣で後ろに一回転して薙ぎ払うが、その動作に遅れが生じていて祐斗は容易に避けることが出来た。

この調子なら祐斗一人でどうにかなりそうね。

 

 

「魔物退治? 良く分からないけど、それなりの場数は踏んでるみたいだね。 なら、これはどうかな!?」

私が小さくそう呟くと祐斗は辺りを動き回り始め、メサイアを撹乱させようとする。

相手も祐斗の思惑通り撹乱されて完全に追い切れなくなっており、次の一手で終わるだろうと確信した。

 

「そこ、貰った!」

そして祐斗がメサイアの死角から狙いを定めて急接近し、そのまま横薙で斬り伏せようとする。

しかし、此処で信じられないことが起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「斬る瞬間の風向と殺気で予測するまでよ!!」

メサイアはなんと、目にも止まらぬ速さで瞬時に迫った祐斗の振るう剣の届く範囲に突然剣を構えてその斬撃を防いで見せたのだ。

そしその後、メサイアはそのまま後ろに下がって笑みを浮かべる。

 

「なっ!? 今のさえ防ぐなんて、目では追えない筈の速度を出してたし、タイミングも良かった筈なのに……」

「えぇ、とてつもない程洗礼されてたわね。 ほぼ目で追えないし元々の一撃一撃が速度も相まって余計重かったし、ホントに力の差を感じちゃったわ。」

メサイアは笑みを崩さずに軽口を叩いて、一方の祐斗はあの一撃を防がれたことに一番驚いていた。

今のは並大抵の悪魔ですら見切るのが困難な筈……ましてや相手は普通の人間なのだからなおのこと厳しい筈だ。 それを見事防いでしまうのだから驚くのも無理はない。

 

「な、ならどうして……」

「戦いに於いて、視覚だけが全てじゃないってことよ。」

「え?」

祐斗の問いに、メサイアはそう答えた。

()()()()()()()()を止めたって訳? 私は彼女が何者なのか気になり始めていた。

 

「さぁ、次は私の番ね?」

そう言いメサイアは反撃に入って、前進しながら祐斗へと急接近し始めた。

 

「はっ!?」

祐斗も我に返って再び構える。

メサイアは初手で横薙をしようとするが、祐斗は猛スピードで避けて背後を取り、袈裟斬りを繰り出す。

此処で流石に決めると思った予想を覆すように、メサイアが動いた。

 

「読める! はああぁぁぁぁ!!」

なんと、メサイアは勢いを乗せたまま跳んで袈裟斬りをギリギリのところで回避したのだ。

 

「っ……小猫!」

「……はい。」

流石に不味いと察した私は、小猫に祐斗を助けるよう伝える。

 

「不味い!?」

「でりゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

メサイアは剣に蒼い焔を纏わせて、そのまま横薙の勢いを保ったまま回転しながら祐斗に袈裟斬りを叩き込むように振るう。

祐斗も斬った直後で僅かな隙を晒して一撃を受けそうになった。

 

「えい」

「ッ!? ガフッ!」

しかしその刃が祐斗を斬るよりも先に、小猫がメサイアの腹部に強烈なパンチを繰り出して吹き飛ばした。

あの苦し気な様子から、小猫の一撃がかなり効いてるのが分かる。

そしてメサイアの身体は地べたへと落ちて転がる。

 

「ゲホッ! ゴホッ! ゴホッ! はぁ……はぁ……」

メサイアは血を吐き、激痛が走る腹部を抑え痛みを堪えようとする。

苦しそうにしながらも倒れること無く剣を逆手に持ち、杖代わりに地面に突き刺して立ち上がる。

ただ、これで小猫の一撃にも耐えたことになり、彼女の脅威性を嫌でも感じてしまう。

だが、代わりに私の決意も更に確固足るモノとなった。

 

「祐斗相手に彼処までやり合えて、それで小猫の攻撃にすら耐えるなんて……中々やるじゃない。」

私はそう言い、メサイアを見下ろすように見つめた。

幾ら耐えたと言え、最早まともに戦うことなんて出来そうにも無いと感じた。

確かに祐斗との一騎討ちなら初見であることも考えてチャンスはあったかもしれないけど、それももうない上に小猫も参加したのだ。

最早彼女に勝ち目など無いだろう。

 

「そりゃ、はぁ……はぁ……どうも……ガフッ! ゴホォッ!?」

「でももうまともに立つのがやっとのようね?」

「そう……みたいね…………正直、油断……してたわ。」

私の問いに、メサイアは嘲笑しながら途切れ途切れに言葉を紡ぐが、その際に逆流したモノを血と一緒に吐き出してしまう。

 

「あぁ、ちょっとヤバイかも……」

「大人しくした方が身のためです。」

メサイアの呟きに、小猫がファイティングポーズを取りながらそう答える。

祐斗も、何時でもやれると言わんばかりに身構えた。

 

「致し方……無いわね。」

そう言うとメサイアはポケットから何かを取り出し、それを口に入れて噛み砕いて飲み込む。

 

「ンンッ……んぶっ……!ぅぅ……んくっ……」

「……一体何をしてるのかしら?」

私達全員がメサイアの奇妙な行動に警戒していると、メサイアの身体から傷が少し癒えていくのが分かった。

……成る程、今飲んだアレは回復薬って訳ね。 しかしそこまで傷が癒えてる訳ではないことも何となくではあるが分かっており、効力は高くないのだと察した。

 

「はぁ……はぁ……まだ、終わってなんか……ないわ!」

「これ以上は止めておきなさい。 このままやり続けたら、貴女……死ぬことになるわよ?」

私は殺気と圧力を込めた瞳で、彼女を見つめながらそう告げた。

私からの最後の警告でもあり、情けでもある。

 

「っ……それでも、よ。」

しかし、勝てないと彼女でさえ理解出来る筈なのにも関わらず、メサイアの瞳からは闘志が消えておらず、彼女が私の警告に従うことはなかった。

 

「……そう。 朱乃、貴女は二人の援護をお願い。」

「うふふ……腕が鳴りますわね。」

私はメサイアのその選択に愚かだと感じつつ、何か確信めいたモノを感じて本気で捕らえるべく、朱乃にも戦闘に参加して貰うことにした。

絶対に彼女は何かを知っており、隠していることがあるとそう感じてしまったのだ。

でなければ此処までやってそれでもなお勝てないと分かっても拒否を繰り返すことも普通はあり得ないのだから。

 

「ッ!? そう言うことね?」

そう言い、メサイアは警戒心を最大限まで上げて前に出た祐斗達に視線を移す。

 

「祐斗、小猫!」

「「はい!」」

そして私の言葉を合図に、祐斗と小猫が動き始める。

 

「フッ……上等よ。 やってやろうじゃない!」

すると、メサイアもそう叫んで構えた。

 

「悪いけど、やらせて貰うよ!?」

祐斗は目にも止まらぬ速さで数回程辺りを動き回って撹乱させてからメサイアに肉薄し、その手に握られた剣を振るいメサイアを斬ろうとする。

 

「読める! せやああぁぁぁ!!」

「っ……やはり読まれたか!」

しかし、メサイアは最初より冷静にいなして斬り返しをして祐斗から距離を置かせる。

しかし、祐斗も一度防がれた身……流石にもう驚くこともなく冷静に次の一手へと移った。

 

「えい」

そうしてる間に、小猫が間合いを取ってアッパーを繰り出そうとしていた。

しかし、メサイアはそれを後ろに下がることで回避する。

 

「うわっ!? 空気が震えてる……恐ろしいわね、それ?」

「まだです……吹き飛んでください。」

そう言うと、小猫は着地と同時に助走をつけて右ストレートを繰り出したが、それも回避されてしまう。

 

「なら、青龍……焔殱覇!!」

すると、メサイアは突然そう叫びながら手に蒼炎を纏い、凪払うようにして纏った焔を撒き散らして祐斗と小猫を囲うように辺り一帯を火の海に変え、二人の身動きを取れなくしてしまった。

 

「炎!? まさか、彼女は神器の所有者!?」

私は今の蒼炎が神器の力によるものと推測して目を見開いた。

只の人間ではなく、一誠と同様神器の所有者だったなんて……

 

「うふふふ……まだまだ行けそうですわね? では、こんなのはどうでしょう?」

朱乃はそう言い、手を上に翳して雷を容赦なく落としていくが、不意打ち紛いな落雷だったにも関わらず、メサイアは反射的に後ろへと跳んでその雷を避けて見せた。

 

「くっ! 厄介ねそれ!?」

「あらあら、まだまだこんなものではありませんよ?」

メサイアが朱乃に向かってそう言うと、朱乃は楽しげに片手を上に掲げて追加で雷を落とした。

 

「うわわわわ!? ちょっ……攻撃をする暇すらないじゃない!?」

朱乃の容赦無い落雷を必死に避け続け、やがて蒼炎が消えたところで、閉じ込められていた二人が再度動き始めた。

最初に小猫が飛び込んで一気にメサイアの間合いを取り、ボディーブローを繰り出した。

 

「効かな……ぐっ!? な、なんて威力!」

メサイアは反射的に剣で小猫の攻撃を防ぐが、余りの威力に後ろに吹き飛んでしまう。

なんとか体勢を整えて次の攻撃に備えようとしたみたいだが……既に祐斗が動いており、必中は確実なものとなった。

 

「貰った!」

「ハッ!? 不味っ……ぐああぁぁっ!?」

そしてその間際にメサイアが漸く察知したが、時既に遅しと言わんばかりに祐斗に通り過ぎ様に斬られた。

 

「これまでだ!」

「がああああぁぁぁぁぁぁ!?」

追い撃ちを掛けるように祐斗はそのままメサイアに袈裟斬りを繰り出し、それを諸に受けて彼女は深手を負うことになり、最早満身創痍だった。

しかしそれでも倒れることはなく、彼女は薄れ行く意識を保ってポケットに手を入れようとする。

 

「あらあら……残念ですが、二度目はありませんわよ?」

しかし、朱乃が二度目は無いと言わんばかりにまともに動けないメサイアに何の躊躇も無く雷を落とす。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!?」

雷を諸に受けたメサイアは断末魔にも近い悲鳴を上げ、そのまま少し痙攣した後、前のめりに倒れ付した。

 

「どうやら終わったようね? アーシアは祐斗と一緒にその子を連れて先に戻っていて?」

「は、はい!」

「部長達はこれからどうなさるんですか?」

「私達はこの教会の地下も含めて色々探らせて貰うわ。」

私は祐斗の問いにそう返してそのまま教会の奥へと入っていき、それに付き添うように小猫と朱乃も着いてきた。

 

「以前より随分と荒れてるわね?」

「言われてみれば、如何にも此処で誰かと戦闘した跡が幾つもありますわね?」

そう……その教会の中へと入った私達が見たのは、ボロボロになった椅子の残骸と大きめのクレーター、そして幾つもの突き刺し跡がある穴等、明らかに普通では付かない傷や跡がかなり見られた。

 

「もしや此処であのアルターメサイアって子が誰かと戦っていたってこと?」

私はもしかしてと思ってそう呟くが、その場合だと彼女の発言に矛盾が発生してしまい、嘘を吐いたことになる。

あれが仮に本当のことなら彼女が此処ではない何処かから此処に連れてこられている最中かそれよりも前に起こったと考えるのが妥当……まさか、一誠? でも今のあの子に此処までの力なんてあったかしら……?

 

「……何も見つかりませんでした。」

「何も、なかったの?」

「はい。」

「……そう。」

私は小猫の報告に肩を竦めそうになるが、それを抑えて朱乃の報告を待つことにした。

そしてそれから暫くすると朱乃が戻ってきたが、その表情からして吉報は無さそうであったことが分かる。

 

「周辺に探りを入れて見ましたが、やはり何もありませんでしたわ。」

「もう一度来れば何かあるかと思ったけど……宛が外れてしまったわね。」

そう言い、私は引き上げようと教会の外へ出ていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『兵藤一誠を、お探しかな?』

「「「!?」」」

三人は突如背後から聞こえた声と、発せられた言葉に反応して反射的に後ろへと振り向く。

するとそこには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()男が立っており、鋭い刃物のような瞳が私を捉えていた。

 

「貴方一体何処から……それに、どうしてその名前を知っているのかしら?」

私は冷静さを保ってそう相手に投げ掛けるが、声が震えてることに気付かれていたのか相手は細く笑う。

 

「クックックックッ……驚かせてすまないな? まぁなんだ、()()()()()として警告しに来たのさ。」

「昔の? 生憎貴方と私は初対面な筈だけど、何処かで会ったのかしら?」

「あぁ、()()()()()()()()()()()この闇夜の景色の中で、我々は出会っていた……こうしてな?」

「……」

私はこの男が何を言ってるのか微塵も理解が出来ず、戸惑いつつも過去の記憶を探って思い出そうとするが、やはり彼と出会った形跡がまるでなかった。

気味が悪いと感じた私は、捕らえてどう言うことなのか洗いざらい吐かせようとするがその途端に彼の身体が薄くなっていく。

 

「さて、本題だが……兵藤一誠はもうお前達の元へは戻らない。 しかし、このまま放置すればこの世界は滅びるだろう。」

「……なんですって?」

その瞬間、頭に血が昇る感覚に至って目を細めて男を睨む。

声色も自然と怒気を放っており、怒りが火山のように溢れ出した。

大切な下僕が帰ってこない? 世界を滅ぼす? 何を言うかと思えば……

 

「ふざけるのも大概にしておきなさい? 悪ふざけだったとしても面白くもなんともないわよ?」

私は込み上げた怒りと殺意を必死に抑えながらそう警告する。

しかし相手は表情を変えぬまま、寧ろ嗤って見せた。

 

「フハハハハ……受け入れ難い話だろう。 しかし、どのみちもう取り返しが付かないとこまで進んでいる。 兵藤一誠()の事など忘れた方が身のためだぞ? ()()()……」

そう言うと、その男は笑みを浮かべたまま消えてしまい、その場を沈黙と風に揺られる草地の靡く音だけが耳に入って来る。

 

「……戻るわよ。」

「え、えぇ……」

「……はい。」

私は不愉快極まりないあの男の発言への激情を抑えたまま二人にそう告げ、魔方陣を展開して部室へと戻るのだった。

 

 

 

これから始まろうとしてることに、私達はまだ気付かず……

 




今回は此処まで!
如何だったでしょうか?

楽しめてたら幸いです!


ではまた!
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