アルターワールドフロンティア 偽りのメサイア 作:Blood Knight FUP
意識を無くしてどれ程経ったのか……最早時間の感覚すら薄れていきただただ暗く何もない空間を見せられ続けていた。
身体が動かせない……と言うよりかは身体の感覚が全く無いに等しい状態だった。
そうして暫くすると突然暗がりから光が照らされ、暗い闇を包み込むようにして空間が広がり、気づけば肉体の感覚も戻って動かせるようになっていた。
「あれ? でもなんか小さくなってる?」
私は自身の身体や、身に付けてる服装に違和感を覚えてしまう。
その理由と言うのが、先ず身長が異様に低いこと、そして武器もなにもなく、服装も何時もの制服とは異なるモノを着込んでいたからであり、声もやけに幼く感じてしまっていた。
何がどうなってるのかと、私は思考を巡らせていると手前の方から草を踏むような足音が聞こえ、その方向から物語にでも出ていそうな
「ん? あぁ、起きてたんですね?
少女が自身の名前を口にしてニッコリと優しげに微笑む。
そんな少女を見た私は、何故だか懐かしいような感覚に至ってしまい、そのまま少女を見て呆然としていた。
「あれ? おーいメサイア~?」
「……ハッ!? え、あっ……き、聞こえてるよ?」
少女が再度名前を呼びつつ目の前で掌を振るうと、我に返って私も少女の言葉に応答する。
「うーん、起きたばかりで寝惚けてるんでしょうか……あっちでとりあえず顔洗って来ると良いですよ?」
「う、うん……」
そう言い少女が指差した先には川が流れており、私はとりあえずその川へ向かった。
そうして川に着いた私は流れ行く水流から両手で水を汲み、そのまま顔にその水を浸けて両手で洗っていく。
「……ふぅ。」
一先ず洗い終えて少女の元へ戻ると、既に草地に腰を下ろして本を手に此方に手招きをする。
「此方ですよ~メサイア。」
「あの、失礼ですが……どなたですか? どうして私のことを?」
「どうしてって……どうしても何も、貴女の教育係を任されてるんですし知ってて当然ですよ。 名前もあんなに教えたのに、覚えて貰えないって悲しいですね~」
「えっ、あの……ごめんなさい。」
少女の悲しげな笑みを見て頭を下げて謝ってしまう。
どうしてだか、彼女のことを考えようとすると靄が掛かったかのように何も思い出せず録に思考を巡らせられなかった。
「今度はちゃんと忘れないでくださいね? 私は繧「繝ォ繧ソ繝シ繝サ繧「繝ェ繧ケ……」
「え?」
そして少女が名前を口にする瞬間にノイズが走り、聞き取れずにそのまま視界が暗転してしまう。
そうして暫くして何か光を感じてゆっくりと目を開けると見知らぬ天井が見えた。
「……あれ? ここ……は?」
目を開けて上半身をそっと起こし、辺りを見渡すとそこは何処か教室の様な部屋にソファーやテーブルがあった。
夢で覚めれば見覚えのない屋敷、夢から覚めても見覚えのない天井と部屋……私はいい加減クラッド6の自室が恋しくなってくる程に色々と疲弊していた。
結局あれも夢オチで内容も良く分からなくて、知らない少女と話して……
「あら、もう目覚めたのね?」
「ッ!?」
そんな風に考えてた矢先、突然背後から声が聞こえて気配を感じ、瞬間的に振り向いた。
すると、そこには意識を失う前に相対した悪魔の親玉とも言える赤髪の女性がソファーに座っていた。
「身体の具合はどう? 何処か可笑しな感じとかはない?」
「な、無いですけど……」
私は警戒しながらも、赤髪の女性の質問にそう返した。
「そう、それは良かったわ。」
「……此処は何処なんです? どうして私は生きてるんです?」
私は、ふと赤髪の女性にそう聞いてみた。
「此処は駒王学園の旧校舎にあるオカルト研究部の部室よ。 言ったでしょう? 身柄を拘束させて貰うって……今の貴女は私達からすれば怪しい存在なの。」
そして赤髪の女性はそう答えたと同時に扉が突然開き、そこから見たことのある金髪の青年が姿を現す。
「っ!?」
「あっ……もう目覚めてたんだね? 傷の方は大丈夫?」
「ま、まぁ……そう言えば気になってたんですが、割と致命傷って位の傷を負ってた筈なのにほぼ完治してるみたいで……どうやって治したんです?」
「あーそれは……」
「只今戻りましたー!」
金髪の青年がそう言いかけた所で、その後ろから金髪の少女が出てきた。
「お帰りなさい、アーシア。」
「え、えっと……貴女は?」
「ふぇ? あ、目が覚めたんですね? 良かったです! 私はアーシア、アーシア・アルジェントと言います。」
金髪の少女……アーシアは私に詰め寄り、安堵の笑みを浮かべながらそう語り、その勢いに乗せられて私は戸惑ってしまう。
「丁度良いわね? とりあえず紹介だけしておくわ。」
そう言い、赤髪の女性がソファーから立ち上がり胸に手を当て私の目を見る。
「私はリアス・グレモリー。 この街の管理と監視をしているオカルト研究部の部長よ?」
「え、えっと……」
そう言い、赤髪の女性……リアスさんはそう答え、私は色々と情報量の多さに戸惑ってしまう。
「僕は木場祐斗。 このオカルト研究部の部員で、知っての通り剣を扱っているんだ。 そして……」
「……搭城小猫です。 宜しくお願いします」
金髪の青年……木場さんと白髪の少女もとい搭城さんがそれぞれ自己紹介を始めて名前を把握していると、紅茶の香りが漂うのを感じた。
「お茶をどうぞ。」
「え? あっ、どうも……」
そしてティーカップを差し出され、私はその方に視線を向けお礼を言う。
するとティーカップを手渡してきたのはあの黒髪ポニーテールの女性だったことに気付いた。
「あっ……貴女は確かあの雷使いの……」
「あらあら、覚えてくださったのですね? 私は姫島朱乃と言いますわ。 以後、お見知り置きを……」
「は、はい……あっ、美味しい。」
私は黒髪ポニーテールの女性……姫島さんの紹介に軽く頷いて紅茶を一口飲む。
……美味しくて思わず声に出すと、姫島さんが嬉しそうに微笑む。
「うふふふ……お口に合ったようでなによりです。」
「ゴホンッ! じゃあ起きたばかりで悪いけど、本題に入らせて貰うわね?」
姫島さんが微笑んでる中、紅茶をそっと少しずつ飲んでいると、リアスさんが咳払いをして本題に入った。
「……兵藤一誠に関する情報を、教えて頂戴。」
「っ……!」
私はそう来ることを察してまだ飲みかけのティーカップをそっとテーブルに置いて俯く。
「私は何も……」
「じゃあどうして逃げたの?」
「そ、それは……人じゃないのに拉致られたら何されるか分からなかったから……」
「……」
私は必死に逃げ道を探すも、全員が此方を凝視して真顔を決め込む。
視線がとても痛く、居たたまれなくなってしまう……でも、兵藤さんのあの言葉を思い出して悪足掻きしようと黙秘を貫いていると、沈黙を破るように木場さんが口を開いた。
「アルターメサイアさん、出来れば本当のことを言って欲しい。 彼は僕達の仲間なんだ。」
「変態ですが同じ眷属である以上探さないわけには行かないのです。」
木場さんの言葉に続くように、搭城さんも言葉を紡ぐ。
口から溢れた言葉とは裏腹に、どこか悲しそうにしていた。
「可愛い後輩の行方を少しでも知りたいんです。 ですから、余り下手な嘘は吐かない方が宜しいかと……」
「お願いです……知っていることを、教えて下さい!!」
「っ……!」
二人に続いて、姫島さんとアーシアさんも各々がそう語る。
二人とも目が本気で、特に姫島さんが雷出しそうな位の重圧を感じ、逆にアーシアさんは、素で彼に関する情報を懇願してるようにも見えた。
「一誠さんにずっと助けられてばかりで、それなのにまだ私は一誠の為に何もしてあげられなくて……私も、一誠さんのために出来ることをしたい! もし彼が今、私達の知らないところで苦しんでるのなら、少しでも……その悲しみも、苦しみも、癒したいんです!」
アーシアさんが詰め寄るようにそう告白し、私はそこで彼の言葉をまた思い出してしまう。
『……元眷属さ、今の俺は恐らくは
その言葉が脳裏に過った時、更に彼の目的が楽園の創造であることを思い出し、一つの仮説を立てた。
その楽園創造が先ず本格的で且つ、それなりの規模があるものであること……そして、その計画を遂行するのに眷属のままでいることが不都合であると考えるなら、恐らくあり得ないなんてことは無いだろう。
現に彼は堕天使や見知らぬ人と一緒に居た。
ただ、そもそもとして何故兵藤さんは楽園創造を遂行しようとしてるのか?
これだけ仲間内からも大切にされてるのにそんなことをする必要性やメリットが果たして彼にあるのだろうか? それとも、彼女達とは別の
じゃあその何かとは何なのか……考えれば考える程謎が増える一方で答えが出てこない。
「お願い……教えて。 一誠は何処……?」
そう考えていると、リアスさんはそう言って私に詰め寄って来た。
平常そうな声色とは裏腹に、焦燥していることが何となくではあるが分かった。
「っ……」
「もしその情報を提供して命を狙われると言うのなら、私が責任を持って貴女を保護するわ! だから……だから、お願いよ。 知ってることを、教えて……」
「っ……!」
そして続け様にそう言葉を紡ぎ、気付けばリアスさんの瞳から涙が溢れ、頬を伝って溢れ落ちた。
それを見た私はズキンと、心が痛むようなそんな感じがした。
良心が痛む様な感覚に苛まれて話しそうになってしまうが……それでも私は約束を守るべく黙秘を貫く。
そうしてリアス達は一向に口を開こうとしない私の対応にどうするかと考えていると……
『ご機嫌よう……残酷な現実と絶望が渦巻く世界に住む迷える人間達よ。』
……突如何処からともなく低い男性の声が聞こえたのだった。
今回は此処まで。
楽しめたかな? 楽しめてたら良いなぁ~……(願望)