アルターワールドフロンティア 偽りのメサイア 作:Blood Knight FUP
ってことで今回は一誠視点メインです。
「おい、何処へ行く気だ?」
「……ッ!?」
メサイアが教会を出てある程度自身の状態を確かめた後、その場を後にしようとして、一人の少年に後ろから声を掛けられ、メサイアは反射的に振り返って声の主が誰なのかを確めた。
すると、視線の先にボロボロのマントの下に制服らしきものを着込んでる少年が仁王立ちをして此方を睨むように見ていたのだった。
遡ること数分前……
一誠は少女を寝かせた後に、裂け目のことを地下に居るとある者達に聞こうと降りていた。
「おい、
「ふむ、裂け目か……見に覚えがないな。」
そして俺は地下へと降りた後に直ぐ近くに居た紺色のコートの大男……ドーナシークに裂け目について問い掛ける。
しかし、ドーナシークの奴は見に覚えがないと首を横に振る。
「本当か?」
「っ……我々堕天使に裂け目とやらの力は持ち合わせて無いのだよ。」
俺が軽く殺気を込めてドスの利いた声でドーナシークにそう聞いたが、奴の答えが変わることは無かった。
「しかし、先程の轟音はその裂け目とやらが原因と言うことか。」
「あぁ、そこから人が落ちてきた。」
「む? 裂け目から人間が?」
ドーナシークは俺のその発言を聞いて自身の耳を疑ったのか表情が少し険しくなる。
「そうだ。 まぁ。間一髪俺が下敷きになったから助かってはいるがあの状態じゃあ起きても直ぐには立てんだろうさ。」
「成る程、目覚めたら尋問をすると言うことか。」
「尋問じゃねぇよ、人聞きの悪い。」
「クックックックッ……これは失敬。」
俺がそう言うと、ドーナシークは尋問するために寝かせたのかとかほざきやがったのでとりあえず尋問じゃないとだけ言ってその場を後にした。
この際楽園を創る邪魔さえしなければなんだって良いと内心で割り切って先程の場所へと戻ったのだが……
「あ? なんで居なくなってやがるんだ?」
俺は先程寝かせていた少女が居なくなってる事に気付く。
「どう言うことだ? 俺が地下へと行ってる間の時間がそこまで長かった訳でも無い筈……いや今はそんなこと考えてる場合じゃねぇな。 もしあの少女が悪魔や天界に属してる奴なら此処をバラされて楽園創造処じゃなくなっちまう!」
幾ら部長達に存在を悟られぬ用にとあの堕天使から貰ったモノを着けてるとは言え、そうなれば確実に部長が皆を引き連れ動き始めてしまう。
俺は急いで祭壇に置いてある
しかし、外に出るとあの少女が今まさに何処かへ行こうとしているではないかと、意外と近くに居たことに安堵して俺はその場から仁王立ちをして少女にこう聞く。
「おい、何処へ行く気だ?」
「……ッ!?」
少女は俺の問い掛けを聞いた途端に振り返って此方を視認した。
それなりに反射神経はありそうだなと考えていると、少女は警戒しながら此方の様子を伺っていた。
助けたのにんな警戒すんな……と言いたいとこだが、まぁ相手は気を失ってる状態で落ちてたんだ。
助けたことは愚かもしかしたら落ちてたことにすら気付いてない可能性だってあり得るんだからここはまだ言わないで置こう。
「貴方、誰なの……?」
「誰……か。 俺は一誠……兵藤一誠だ。」
俺は名前を普通に名乗る。 どうやらこいつは部長達と関連性が無さそうだしな。
「兵藤さん……ですね。 ここは何処なんですか?」
「ここは、嘗て教会だった場所であり、今の俺の隠れ家みたいなもんだ。」
「教会だった場所ですか。 ここって自然が割と多いのですが、惑星パルムなんでしょうか?」
「……は?」
この教会付近の話をしたのかと思ってそう答えたが、返ってきた言葉を聞いた俺は空いた口が塞がらずに呆けた声を出してしまう。
「あれ? えっと……何か変なことを言ってしまったでしょうか?」
「……あ、あぁ、惑星なんて言葉が唐突に飛び出して驚いただけだ。」
少女は俺の反応に対して戸惑いながらそう聞いてくる。
正直俺としては当たり前だと言いたい所なんだが、悪魔やら堕天使やら……はたまたドラゴンとかそう言ったファンタジーを煮詰めた様な者達を見たり自分が悪魔でドライグを宿してるなんてことまで起きてるせいか、今更感があってそうは言えなかった。
驚いたのも言ってしまえば、その発言の規模が有り得ない程大きかったからだし……なんなら夕麻ちゃんの為に楽園を創ろうなんて言ってる俺ですら大概ヤバいからな、普通の奴からすれば。
俺だってヤバいことくらい自覚はしてる。
「んで、惑星パルク……だっけ?」
「あっ、惑星パルムですね。」
「あーそれそれ。 まぁ結論から言えば此処はそんな良くわからん惑星じゃなくて普通に地球って呼ばれてる所なんだよな。」
「……チキュウ?」
そして俺が結論として此処は地球だぞと大雑把に答えると、少女は難しい顔をして首を傾げる。
いや、マジかよ……地球って単語でそんな反応されるのは流石に想定外過ぎる。
「えーっと、そのチキュウってキャストとか居るんですか?」
「キャスト? 何言ってるか良くわからねぇけど人間が多く存在してると思うぜ?」
「人間が多く……完全に未開の地かぁ。」
ある程度の質問をした少女は、そのまま項垂れて頭を抱える。
……これは、今までの発言からして恐らく別のとこから来てしまった迷子か何かなのだろう。
普通ならあり得ないと思うが大概俺の住んでるこの場所ですらあり得ないと言えることが多発してる事実がある以上、この可能性だって決して否定出来ない。
「とは言え、野放しにして部長や皆に捕まったりして俺の居場所を悟られるのは非常に宜しくないしな……仕方ねぇ!」
俺は腹を括り、少女の方に視線をやる。
「とりあえず、色々探ろうと思うのでこれで……あ、情報提供ありがとうございました。」
そう言って少女はその場を後にしようとする。
だが、後にされては困るので先回りして道を阻んだ。
「まぁ待て、ここら辺詳しくないだろ? その様子からして持ち合わせもなさそうだし……」
「も、持ち合わせならあります! ほら!」
そう言い、少女は何やら小銭らしきモノを少し取り出す。
「いや、何これオモチャ?」
「はぁ!? れっきとしたお金です! メセタです!!」
「いやなんだよメセタってここ円高だぞ?」
「え? エンダカって何?」
少女に対してそう言うと、少女は目を点にして固まってしまう。
……こいつ反応豊富すぎやしないか? ってそれどころじゃねぇよ円高すら知らねぇのか!? なんだろう、いよいよ本格的にほっとけなくなってきた。
多分常識知らずのレベルならアーシアより遥かに酷いぞこれ。
あ、いや別にアーシアのこと悪く言うつもりはないけどさ? うん……ごめんなアーシア?
俺は内心でアーシアに謝罪しながら、少女に近寄る。
「おい、お前名前は?」
「え? あぁ、名乗り損ねてましたね。 私は……えーっと、うーん………アルターメサイアです。」
「いや名乗るのにすらそんな躊躇うことあるか?」
俺はなんかもう色々と可笑しすぎるこいつ……いや、アルターメサイアを見て頭が痛くなってきた。
「その……こんな名前、普通に変でしょうし……」
「いや、変わった名前だけど馬鹿にするつもりなんざねぇよ。」
「ほ、本当?」
「あぁ、ただずっとフルネームなのもあれだろうし略したいとは思う。」
キラキラネームって奴なんだろうが略せば特には思うとこもない。
「あ、ならメサイアで構いませんよ! 兵藤さん。」
「そうか、ならそう呼ばせて貰うぜ? メサイア。」
そう言い俺は少女の……メサイアの手を引いて教会へと引き返す。
「え、えっと……どちらに?」
「教会だよ。 お前に此処の常識って言うべきか分からんけど、ある程度は俺が教えてやる」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、お前ほっとくと何仕出かすか分かったもんじゃないしな。」
俺はそう言って、メサイアを連れて祭壇へと向かったのだった。
異世界に行く時、常識も異世界基準になるから元の場所の常識通じなくて困るよねと思って今回こうしてみました。
ではまた!