機動戦士ガンダムSS -アフターストーリー オブ センチネルー   作:豊福茂樹

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 蛍の光窓の雪。やってきました最終回。
 皆様の温かくも有り難い御閲覧がございまして、とにもかくにも最後まで走り切れました。
 どうか長く短かった半年の連載の、ゴールのテープを一緒にお切りください。
 是非是非、ルーツ達の結末を御見届け下さい。
 
(簡単な事だ。自分をさらけ出して、叫べばよかったのだ)
(自分のルールは自分で決める。そして自分のルールに決して背かない事。それは自分の生き方を自分で決める事)
 ―――ガンダムセンチネルより抜粋―――

『『『誰も、誰にも、やらせるもんかあああああぁっ!』』』
「許せねえのは守れなかったテメエの弱さだろうがっ! 死に追いやった自分の弱さだろうがっ! 俺はもうそこから目を背けねえっ!」

「……まま、泣いてう?」

 それではどうぞ、最後の本編をお召し上がりください。
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ソウル シルエット

 機動戦士ガンダムSS

 

 最終話:――ソウル シルエット――

 

 -1-

 

 ラグランジュ1宙域、軌道エレベーターオリオンステーション。

 ステーションを制圧するウラノス兵士達は、ステーションに背を向ける形で陣取るアルビオン隊を睨み付けていた。

「奴らに通じる武器は無いのか?」

 彼等が手にするのは歩兵用のライフルとスタングレネードばかり。

 MSに到底通じるはずも無い。

「12.7ミリ対物狙撃銃なら一丁あります」

「当たり所が良ければ、か。良くてせいぜいセンサーかアポジモーターの一つが使用不能になる位だな。それに当たるとも思えん」

「変に注意を引いてステーションを攻撃されても適わんぞ?」

「そう言う事だ、やめておこう」

「まあ、仮に破壊されても、既に3発の『弾丸』は用意できた。ダカールともう2か所を爆撃する事は出来る」

 漆黒の虚空に浮かぶ3つの巨大な岩塊。

 

 -2-

 

 地球、月間航路。ロンド・ベル旗艦ラー・カイラム。

「アルビオン隊が交戦を始めただと?」

「はい、ブライト艦長。ただいまその旨の通信が入りました」

「何故我々が到着するまで待てなかった?」

「敵は既に3発の『弾丸』を準備済みであり、合流を許せば、すぐにでも発射の危険があるからだそうです」

「クソッ! ならば時間稼ぎに徹して無理をするなと伝えろ!」

「は、はいっ」

「落ち着こう、ブライト」

「そうは言うがな、アムロ」

「悪い予感はしない。僕らが行くまで彼等は持ち堪える。そう、信じよう」

「わかった。………アムロがそう言うのならば、な」

 

 -3-

 

 L1、オリオン。アルビオン隊、オリンポス交戦宙域。

「見てろ、アムロ・レイを時代遅れにしてやるぜ!」

 ルーツがMSパイロット養成所時代によく口にしていた雄叫びを上げ、ガンダムSSスーパーシルエットを弾丸の様に敵陣に飛び込ませる。

「俺一人じゃ無理だけど、アーサー、お前とならできるっ!」

『はい、父さん!』

 

『何だとぉ? 奴め何を考えてっ!?』

 ラドックが慌ててファンネルを展開し迎え撃つ。

『お兄さんっ!!』

『迎え撃つよっ!』

 セヴとノイも同様にファンネルを展開する。

 

「来たぜ! 一個でも多く撃ち落とせ、アーサー!!!」

『無論です!』

 ALSSがバイオセンサーを介して敵ファンネルの軌道を読み取る。

 ビームスマートガン、6基のインコム、90ミリファランクス、ビームマシンカノン、メガスプレーカノンと言った火器の、ファンネルへの自動照準発射を委任されたそれは、次々とラドック達のファンネルを打ち落とす。

 

『動きが読まれてる?』

『何て火力?』

『それでいてあの機動力だとぉ!?』

 ラドック達の48基のファンネルが、みるみる半数近くに減らされていく。

『落ち着け、ファンネルを一度収容して、直接叩くんだ!』

『分かった』

『戻って、ファンネル』

 

『バードマン、ウォード!』

『了解、ラドック隊長!』

『美味しい処、いただくぜっ!』

 3基のメガ粒子砲が、収容の為に集まったファンネルに向け放たれる。

 

 白光に呑まれ溶解するファンネル。

『何いぃっ!?』

『―――やられた』

『残りファンネルは僅か。もう後は相手の不意を衝いて大事に使うしかない』

『………よかろう。このノイエ・ジールⅡ、直接戦闘でも貴様などに引けは取らんぞ、ルーツッ!』

 死神の機体が噴射炎を揺らめかせ、ルーツへと迫る。

 

『ヨォッシ!』

 アルビオンの艦橋で、ヒースロウが拳を握り快哉を上げる。

 敵ファンネルの無力化。それが彼等がオリンポスと戦う上で最も大きな関門であった。

 それが出来なくては、互角に戦う事も出来ず負けていただろう。入念に作戦を練った甲斐が有った。

『―――頼むぞ』

 だがやっとこれでスタートライン。ここからもまだ綱渡りの連続だ。

『頼むぞ、ルーツ。―――守ってくれ、マニングス、ALICE、ルーツ博士』

 

 -4-

 

 宇宙世紀0088年。アーガマ級ペガサスⅢ。

 艦長居住室で、ヒースロウはマニングスとグラスを傾け合っていた。

「この船のいい所は、いつでもグラスで酒が飲めるところだな」

 居住区には戦闘警戒時以外、常にGがかかる。

「新造艦様様だ。もう老朽艦に乗りたくは無いな」

「まったくですが、呼び出したのは、他に用が有るんでしょう? ヒースロウ」

「………。ルーツがMk.Ⅴに勝ったのは偶然ではないだろう?」

「―――ええ。演習で確かめました。操縦が別物過ぎる。明らかにALICEは生きています」

「ルーツ博士の人工知能か。図らずも兄妹が乗っているのだな」

「ルーツには知らせない方向で行こうと思っています」

「当初の予定通りだな」

「兄妹ならば、互いに依存せず、多少知らんふりをする方が丁度いい。どちらも自立しなければならん訳ですしね」

「ALICEの兄を想う気持ちは一方通行なわけか」

 ヒースロウが溜め息を衝き、グラスの氷が鳴る。

「ルーツがベテランならば話は違ったでしょうがね。対等で無いパートナーシップは両想いでも長続きはしない」

「ルーツはいつかなるかな?」

「?」

「君の様なベテランにだよ」

「私程度ならすぐですよ。ですから、何年後にかそうなったら、打ち明けてもいいでしょうな。とは言え、その時にはALICEは新たな連邦のMS用OS母体として、より遠くの場所へと行っているでしょうがね」

 

 そしてルーツはベテランになった。

 だが、マニングスとALICEはもっと遠くに行ってしまった。

 

「アイツは糞餓鬼だが、いい若者です。アイツがもっと幼いか、私達がもっと年嵩ならば、ミスティアの為にアイツを養子にしても良かった」

 

 -5-

 

 宇宙世紀0090年、ウラノス旗艦ウラケノス艦橋。

『ルーツ君』

 オープン回線でラマカーニは語りかける。

『君はいい若者だ。後で君の事を調べて、早い内に御両親を亡くされている事を知った時、君を養子に迎えたいと思った。いや、今でも思っている。君ならセヴとノイのいい兄になれるだろう。そんな君が何故私達の前に立ち塞がる? 何故我々の理想を理解してくれない? 今からでもいい、仲間になりたまえ!』

 

「理想が有るんなら自分の体一つで言えよ! それが本物の男ってもんだろう!? ユリシーズの連中みたく! マスドライバーなんてチャカで人を脅して押し付ける理想なんざ、本当に誰の心にも響く訳有るかあぁっ!! Gun dammn!(チャカの糞野郎!)」

 ルーツが吠える。 

 

『衝撃が伴わなければ、人は言葉に見向きもしない!! 何より! 我等の復讐心がどれほどの物か思い知らさねば気が済まんのだっ!!』

 ラドックも吠える。

 

『憎しみを、戦場に持ちこんじゃあ駄目なんだよっ!』

 戦艦ユリシーズでまた、モンシア達も叫び唄う。

 

 振り下ろされる拳の どこに正義が有るのか

 振り上げられる拳は 夢を掴むためにある

 振り下ろされぬ拳が 人を愛す正義さ

 

 ルーツのガンダムSSがラドックのノイエ・ジールⅡと、クリプトのデルタSがノイのサイコSガンダムと、ラドックのファット・バレトがセヴのサイコガンダムMk.Ⅲと激しいドッグファイトに突入する。

「バックス、お前の相手はきついぞ! やれるかっ!?」

 ルーツが気遣いの声を飛ばす。

『うん、ライルやるよ!』

『ほー、切羽詰まると地が出るって言うが、バックスは不思議ちゃんだったか』

 クリプトが茶化す。

『あっ、いえ、その!?』

「いいんじゃねえの」

『そうそう、バックスが不思議ちゃんだったから、俺達はここまでこれたんだぜ』

「ああ、みんながそれぞれそいつだったから来れた。そうだろう?」

 

 差し出し合うその手を 繋げるために生まれた

 この世の全ての 魂達よ

 Wowowowowowo 人それぞれの

 Wowowowowowo 人生を

 Wowowowowowo 愛す勇気を

 

 Wowowowowowo 個性のままに

 Wowowowowowo 許し合おうよ

 Wowowowowowo 笑い合おうよ

 

『ひい、ふう、みい、俺達の相手は21機だぜ、どうする、ウォード?』

 バードマンが呆れた笑みを浮かべる。

『美味しい所頂くに決まってんだろう。グスタフ・ガン、ハイパーメガカノン、パターンフラッシュだ』

『了解』

『じゃ、俺もパターンフラッシュな』

『了解』

『『いっけええ!』』

 グスタフ・ガン2機のセンサー潰しの超広域攻撃が敵陣に炸裂する。

 ルーツ以外の機体にも簡易AIを載せ、状況に応じて武装攻撃パターンを音声入力で変えられるようにしたのだ。

 

『ぐわあああ』

『何も見えんっ!』

『落ち着け、ありったけの予備カメラを試すんだ!』

『固まっていてはやられる、散開するぞっ!』

 

『ばらけたっ!』

 ヒースロウの戦術予想通りになった展開に、ランファンが快哉を上げる。

『じゃあ、予定通り各個撃破よね~』

 ZプラスF2機がガブスレイとマラサイに挑みかかる。

 ロングビームライフルからランファンからは垂れ流しビーム、カーリーからは広域照射ビーム。無論AIへの指示で適時切り替え可能だ。

 ランファンが縦横無尽に喰い散らかした後を、カーリーがとどめ差しのフォロー。

『オラア、ボコにしてやるぜ!』

 ランファンの威勢のいい啖呵にカーリーは苦笑を浮かべる。

 ランファンは強くなった。

 相手を殺さないと決めてからの方がずっと強くなった。

 きっとそっちの方が、彼女の本当の強さと優しさなのだ。誰も殺したくないくらい優しいから、以前は弱かったのだ。

 自分はまだまだだったんだなあ、とカーリーは思う。

 ランファンはやっぱり可愛いと思う。

 自分はせめて、二人生き残るために頑張ろう。

『ついでにおイタする奴に御仕置位して上げてもいいですわよ~』

 さあ、生き残ってそんな可愛い彼氏見付けなくちゃ。

 

 リ・ガズィ2機はウェーブライダー形態のまま、ばらけた敵の連携を阻むため、空間を切り裂く様に高機動戦闘を繰り広げる。

『このスピード、この火力範囲。楽しいよ! ハアー! 僕癖になりそうだ! なあ、オコーナー』

『楽しくないよ! しっかり敵を怖がる! しっかり敵を怖がる! でないとみんなを護れないっ!』

 MSの鼓動を、操縦を、全て貪欲に味わい尽くすケンザキ。

 敵も味方もすべての命の気配を感じ取れるよう、必死に神経を全方位に張り巡らせるオコーナー。

 一見まるで違う乗り方の二人が、綺麗な連携シュプールを決める。

 こちらは逆にケンザキが広域照射ビームで食い散らかし、オコーナーが垂れ流しビームで敵を追いやり誘導するフォロー役である。

『あれ、でもみんなを護れるから楽しいのかな?』

『そうそう、楽しめよっ! 僕達は誰も殺さなくていい! ならとびっきり楽しいゲームと同じさっ!』

『そ、そうかな?』

『敵に気を配らなきゃならないのもゲームと同じっ! それも楽しめよ!』

『楽しいって言うよりドキドキだよっ!』

『敵わないなあ』

『何がだよっ?』

『ホントにお前、みんなの事好きだな』

『お前のMS好きには負けるよっ!』

『そこは譲らないよ』

 

『バードマン、しっかり狙えよ!』

『当たり前だ! ウォード! 舐めんなよ!』

 台詞は憎まれ口だが口元には笑み。

 目一杯にチャージした広範囲メガ粒子が、パラス・アテネとボリノーク・サマーンを捉える。

 

『クソッ、ナパタイ、俺達が突入する!』

『気を付けろ、エッケンベルガー!』

 

『近付くのなんざお見通しだぜ、美味しい処、もーらい!』

 ウォードの逆に極限までチャージ時間を減らした(それでも通常と同じ太さの)光条が、矢継ぎ早に接近するMSに照射される。

 

『! なんて弾幕だ!? 近付けんっ?!』

 ウォードの光条がハンブラビを飲み込む。

『うわあああぁっ!!』

『無事か? エッケンベルガーっ!』

『生きてはいる、だが暗いし熱いし動けん!手も足もウンともスンとも言わんっ!?』

 

『やりいいぃっ!』

『馬鹿野郎!』

『何だぁ?』

 バードマンの罵りにウォードが眉を上げる。

『俺に美味しい所回しながら自分も美味しい処持ってくとか、どんだけ美味しいんだお前っ!!』

『はっ、褒め言葉と受け取っとくぜ』

『そうだよ、褒めてんだよっ!』

『……て、照れっだろうがっ!?』

『―――アリガトな、相棒』

『はっ、これでR・ジャジャとリゲルグん時の借りはチャラだぜ』

『こっちも照れるわっ!?』

 

『何故だ? まるで演習の時とは別人ではないか?』

 ウラケノスのブリッジで呆然と呟くラマカーニ。

 

『覚悟が違ったのです』

 

『アヴァン? まさかお前もユリシーズに?』

 

『ええ。私達の敵を生け捕りにしようとする試みは驕りに過ぎませんでした。でも彼等は違う。彼等は最初から、私達を誰一人殺せない武器しか持っていなかったのです。そして、彼等は私達と戦った時よりももっと自由だ。まるでそれが本来の魂の形であるかの様に。動きを見ればわかる。闘いではより己を偽らない、魂のままの者の方が強い。当たり前の事だったんです』

 

『当たり前だぜっ!』

 また一機仕留めながらランファンが叫ぶ。

『あのセリフ、言ってやろうぜっ! ルーツだけに美味しい処持ってかせるかっ!』

『おうっ』

『あれだな?』

『いいとも!』

『『『誰も、誰にも、やらせるもんかあああああぁっ!』』』

 

 一人一人の みんなの声が

 Wowowowowowo 花と咲き誇り

 Wowowowowowo 命煌めき

 Wowowowowowo 輝く地球

 

 Wowowowowowo 色とりどりの

 Wowowowowowo 数多の命

 Wowowowowowo 煌めく地球

 

 Wowowowowowo どうか いつまでも

 

 

「はっ、言いやがる、アイツら」

 ルーツが苦笑する。

 だがそこにノイエ・ジールⅡの巨体が立ち塞がる。

『戦いを愚弄するなぁっ!』

「何だとぉ、テメエ!?」

 巨大なビームサーベル同士が、火花を散らしてぶつかる。

『戦いとは命を賭してするモノだ! そこに散る命が無ければ、世のどんな悪も抑止する力を持たぬ! 痛みでしか止まらぬ悪もあるのだっ!』

「痛みってのは殴る事だろっ!? やりすぎの拳で何も伝わるもんかっ! それより、そこに優しさもある方が、ずっと人は変わるんだよぉっ! 命まで奪うなっ!! それがたとえお前の命でもだぁっ!」

『そうだよ』

『セヴ?』

『やりすぎの正義なんて、反発と憎しみしか生まない』

『ノイまでっ?』

『そこにはシラケた人と、暴力に酔う人しか残らない』

『ラマカーニ、もうやめよう。私達には刻が見えた』

『シラけて気力を喪った人たちと、暴力とデモを繰り返しぶつけ合う人々。それが僕らのしようとした事の先。そんな虚しい景色がいつまでも続く』

 姉弟の精神感応波が戦場を包み、その光景は全員の脳裏に伝わった。

 

『そ、そんな』

『これじゃあ、今までいた歴史上の圧政者と何も変わらないじゃないか』

『こんな結末の為に俺達は?』

『馬鹿な―――』

『ラマカーニ司令?』

 

『正直に言おう。私はもう、どうでもいいのだ』

 老人は告げた。

 

『そんなっ!?』

『オヤッさん?』

 

『私はもう、おそらく生を望んでいない。戦いで死に、ジャミトフとバスクの側に行く事しか望んでおらぬし、復讐の甘美に酔っているのだ。だから、ここから先は、ただ復讐を望む者だけ私と共に戦え。残りは投降しても構わん』

 

『そんなっ!?』

『………俺は戦う』

『―――俺は投降する』

 

『ラドック君。私は君をアムロ・レイにぶつける駒として洗脳した。君は愚直な男で、それは容易かったよ。だから、君が私に義理立てする事など一つも無い。後は君が決め給え』

 

『馬鹿な―――――?』

 ラドックは呆然とする。

 振り返り、グェンのゼク・ドライを縋るように見る。

『隊長は、己の信じた戦士の道を、お進みください』

『―――――っ! ウオオオオォォ!!』

 

 セヴのサイコSガンダムとノイのサイコガンダムMk.Ⅲのファンネルのコントロールがラドックのノイエ・ジールⅡに奪われて行く。

『駄目っ!』

『止められないっ!?』

 

『自分は許さんっ! アナンダを傷付けた者を! ジェイスを殺した者をっ! 同胞の血を血で贖わせるのが戦士だっ!! 不服と言うならっ、殺して止めて見せろっ!』

「許せねえのは守れなかったテメエの弱さだろうがっ! 死に追いやった自分の弱さだろうがっ! 俺はもうそこから目を背けねえっ! お前だって止めて見せるっ!!!」

『手伝うぜ!』

『ライルもやるよ!』

「シンっ! ライルっ!」

『有象無象共め、来おおぉいっ!!』

 

 命の火を最後まで燃やし尽くさんとするラドックの最後の猛攻は凄まじかった。

 デルタSは左腕を―――

 ファット・バレトは右足を―――

 ガンダムSSでさえ3基のインコムとスマートガンを持って行かれた。

 だが、長い激闘の末―――

 

 遂にノイエ・ジールⅡは、ガンダムSSの90ミリファランクスによってIフィールドユニットを破壊され、至近距離からのメガスプレーカノンと大型ビームサーベルを浴び、背後からのデルタSとファット・バレットの攻撃で機動力を奪われ、戦闘力を喪失したのであった。

 

『我々の負けのようだね』

 ウラケノスのブリッジで、ラマカーニは敗北を認めた。

『ヒースロウ君だったかね? 聞いていただろう? 記録もしていたはずだ。ラドック君や私の部下には非は無い。ただこの復讐を望む愚かな老害が、皆を洗脳し、愚挙に走らせただけだったのだ。全ての罪は私にある。私の極刑を以って、他の者の罪を減じる様、正直に報告してくれたまえ』

 

『准将、貴方は―――』

 ヒースロウはアルビオンのブリッジで、続く「最初からそのつもりで?」の言葉を飲み込んだ。

 

『地球は美しいな』

 ラマカーニは青い半円の姿に輝くその星を見つめながら言った。

『美しいあの星を守りたい。私もジャミトフもバスクも、ただその思いのままだけならよかったのにな―――。

 ルーツ君達のように』

 

 Wowowowowowo どうか いつまでも

 

 Wowowowowowo この地球を

 Wowowowowowo 滅ぼすなよ

 

 Wowowowowowo どうか いついつまでも

 

『ソラン』

『父さん』

『『『オヤッさん』』』

『セヴ、ノイ、みんな、悲しまなくてもいい。私はもう、ジャミトフやバスクや他の子供たちの元に行きたい。それしか願っていないのだ。そして私の望みが叶うのだから、笑って見送ってくれ』

 

 ラドックはノイエ・ジールⅡのコクピットで呆然としていた。

 自分は騙されていた。

 復讐もならなかった。

 酷く惨めだ。

 今は只アナンダの胸に身を埋めたいとしか考えられない。

 情けない――――

 すると、グェンのゼク・ドライが自分の前にやって来た。

『隊長、生きておられますか?』

 ああ、生きている。そう答えたつもりだった。

『何も言われないのですね。やはりおめおめ生き延びた事を恥じておられるのですね』

 違う、私は―――。そう言いかけて、通信音声が、こちら側からのみ壊れ途絶えているのだと気付いた。

『隊長は常々言っておられました。私達に戦士としての死に場所を用意してやる、と』

 当たり前だ、お前等を野盗になど貶めてはドズル中将に合す顔が無い。

『我々は言っていたものです。やはり隊長は我々と違う。生粋の戦士なのだと』

 グェンは語り始めた。

 本当はラドック以外はもう戦争を止め、メカの腕を活かして自動車整備工場でも開けばいいのでは、と話していた事を。ラドックには競技車両を用意して、草レースで勝ってもらい、自分達の工場の宣伝をしてもらえばいいなどと話していた事を。

 それは、ジェイスの死の間際に流れ込んできた白昼夢と同じ内容だった。

『でも、隊長は最後まで戦士として生きたがっている。ならば我々も最後までお供しようと』

 馬鹿な―――、

 何故その事を正直に言ってくれなかった? そうすれば自分だってそうしていたかもしれないのに?

『安心して下さい。俺が隊長に生き恥を晒させはしません。105ミリが一丁だけ、まだ動くんです』

 馬鹿な、やめろ、やめてくれ!

 そんなバカな、お前達を殺したのは私だと言うのか? 今、お前が私を殺そうとしているのも私の所為だと言うのか? 嫌だ、嫌だ、嫌だあああああっ!

 ゼク・ドライの片方だけ動く腕がノイエ・ジールⅡのコクピットガードをこじ開ける。

 ギラリと光る105ミリの銃口。

 バシュウウゥッ。

 火を噴いたのは105ミリで無く、壊れたと思っていた最後のファンネルの一基だった。

 無理をしたファンネルはそのまま爆散し、ゼク・ドライは真横からコクピットに風穴を開けらられていた。

 グェエエエエンっ!

 よくもグェンを、よくもグェンを、よくもグェンを、よくもグェンをっ!

 貴様らがグェンを追い詰めたせいだ、殺してやる殺してやる、殺してやるっ!

 ラドックは全てのセーフティを外し、壊れたメガ粒子砲にフルチャージを始めた。

 おそらくこれを放てば自分は爆散して死ぬだろう。だがいい。もう生きていたくなどない。

 

『父さん、ノイエ・ジールⅡに高エネルギー反応!』

 アーサーの声にルーツは背後のラドックを見る。メガ粒子砲に異常な赤光。狙いはおそらくアルビオン。

 発射されればアルビオンが、耐え切れず自爆すれば自分やクリプト、バックス、ライル、セヴ、ノイが巻き込まれる。

 そして何よりシェリー・ブラウンの姿を思い浮かべ、脳裏が真っ白になる。

「アーサー! オーバーチャージでメガスプレーカノン!」

『間に合うような急速なオーバーチャージには、こちらもバックパック爆発の危険が75パーセントっ!』

「構うなっ!やれえっ!!!!」

 

 ヴァジュウウゥゥンンっ!

 

 バックパックの爆発と同時に生まれた巨大な光条が、ノイエ・ジールⅡを間一髪消し去る。

 

 アーサーは最後にラドックを理解した。

 可哀そうな人。人は人と寄り添って生きるのに、貴方は遂に人とは寄り添えず、死神の名の通り『死』としか寄り添えなかったんだね。でも父さん母さんと貴方の『死』を寄り添わせるわけにはいかない。

 せめて最後に僕が貴方に寄り添ってあげる。

 

 ラドックは、最後の瞬間まで己を偽った事を本当の最後に後悔した。

 復讐で無く、本心のままアナンダの元に帰りたいと、叫べばよかったと。

 

 寄り添い合って 愛し合える それだけでよかった

 寄り沿い合って 愛し合う事 そこに還ればよかった

 

 -6-

 

『ルーツ、生きてんのかっ? おい、返事をしろっ! リョウっ!!』

「…………ああ、シン。生きてるよ。意外な事にな」

 どうやらアーサーが気を利かせて、爆発の寸前でバックパックと本体を切り離してくれたらしい。あちこちレッドアラームだらけだが、お蔭で一応無事だ。

「アーサー、無事か?」

『ALSSがお答えします。 アーサーはその意識の62パーセントを、メガスプレーカノン制御の為にバックパックに残しました。当ALSSに残るアーサーの意識は38パーセントです』

「何、だって?」

『アーサーは、ルーツ及びブラウンの生存を大変喜んでいますが、今後以前のようにお役に立てない事を酷く悲しんでおり、自閉症モードになっています。彼が再び以前の様な機能を取り戻すかどうかは、データ不足の為、お答えできません』

「アーサー、アーサアアアアアァッ!!」

 

 -7-

 

 ラグランジュ1、オリオン近傍、ラー・カイラム。

「感じるかい? ブライト」

「何をだ、アムロ?」

「温かな光をだよ。ア・バオア・クーで君達のランチ(脱出艇)に還る時に感じたのと同じ温もりを感じるんだ。きっと、すべてが上手く行ったんだよ」

「本当か?」

 やがて通信士が告げる。

「アルビオンより入電! 敵ウラノス、総員の降伏を確認。死者は僅か2。繰り返します、残り総員の降伏です!」

「信じられん、僅か9機のMSでだぞ?」

「僕等だって、僅か3機のMSだったじゃないか」

「彼等はニュータイプなのか?」

「いや、きっと違う」

「??」

「ただ、とても温かい光を、心を持っている。それでいいんじゃないか?」

「そうか、どうにかして根気強く説得したのか?」

「さあ、そうかもな」

 斯くて、デウス・エクス・マキナは誰も弑する事無く、只その結末を言祝ぐために、オリオンへと舞い降りるのだった。

 

 -8-

 

 地球、ダカール、連邦議会、議長執務室。

 部屋の主、ゴップは結果として今回の件の勝者となった。

 彼がラマカーニに裏切られた事は、同情されこそすれ、彼の落ち度とはみなされず、尚且つ彼の子飼いの部隊がその全てを解決した事は、流石の立ち回りと周囲を畏怖させた。

 ジャブローのモグラの天下は今後も揺らぐまい。

 周りはそう囃し立てた。

 それは無論当然の事だ。

 最初からラマカーニに十全の信服など寄せてはいなかった。彼がどう出ようと言質を取られぬ言い回し立ち回りなど、我ながら呆れるくらい身に沁み着いている。

「それでも、まったくの嘘ばかりと言う訳でも無かったのだがな」

「は?」

 議長補佐官が目を丸くして問い返す。

「独り言だ。気にするな」

「はあ」

 そろそろ養女と楽しい余生を送るのも良いかと思っていたが、今度はクリフとサイド3がきな臭い。

「『モグラの天下』と言うハッタリにはまだ一仕事させねばならん」

 と、もう一つ独りごちた。

 

 -9-

 

 サイド3、ジオン共和国。

「ジャミトフもバスクもいけ好かない人物だったが、ラマカーニと同じ様に、連邦官僚の腐敗に憤っていた」

「かつて戦いになられた敵を随分持ち上げますね。大佐」

「持ち上げている訳では無いよ、ナナイ。魂を重力に引かれた人々の腐敗が是正されないから、同じ事ばかり繰り返すお粗末な集まりだと言いたいのだ。連邦は」

「どうされるおつもりで?」

「重力から人類を開放する。そのためには、地球が揺り籠である事を止めさせねばなるまい」

 

 -10-

 

 ブッホ・コンツェルンとスカールグループは小型軽量MSへの貴重なデータを得たが、その操縦性の悪さには相当の改良が必要な事が判明し、開発には長い時間を要した。

 だが、ビスト財団は対ニュータイプ用コンピューターシステム開発への有用且つ即時的なデータを得た。彼等の欲した物は兵器であり、感情や意思を持つAIでは無かったからだった。

 

 -11-

 

 ウラノス事変より4ヶ月後。

 かつてのMS実験部隊、アルビオン隊は、昇進したサンズ大佐の下、連邦軍装甲機動警察保安隊として再編成された。

 今回の件を鑑み、非殺傷で捕える必要のあるMS犯罪者を専門に取締り、捕縛する任務に就く。

 その栄えある最初のMS戦隊長に就任したのは、ルーツで無く、シン・クリプト大尉であった。

「本当に辞めんのかよ? ルーツ」

「ああ、クリプト」

「子供が生まれるからか?」

「………もう一人の子供アーサーと、ラドックとグェンを殺したからだ」

「――――っ」

「誰も、誰にもやらせないって言ったのに、3人もやっちまった」

「違う! 誰が聞いてもお前のせいじゃないって言うぜ! お前はベストを尽くしたんだ!」

「たとえそうでも、俺はもう、怖いんだ。誰かを殺すかもしれない事が」

「アーサーだって、完全に死んだわけじゃないだろう?」

「それこそ子供程度の自我しか戻らなかったんだ。本当ならブラウンに会わす顔だってなかった。でも、アイツのお腹に子供が出来てくれたおかげで、アイツと一緒になりたいって気持ちに素直になれた」

「子は、かすがいってやつだな」

「ああ、本当に感謝してるよ」

「これからどうするつもりだ?」

「探してみようと思う」

「何を?」

「操縦桿を握るって事の意味を」

「じゃあ、パイロットは続けるのか?」

「ただの旅客機のだけどな」

「それもいいさ。お前が操縦桿を握り続ける限り、いつかは戻って来るって信じてるよ」

「サンキュー、相棒」

「ああ、じゃあな、相棒。またな」

 

 -12-

 

 事件より一年後。

 装甲機動警察保安隊は大隊規模にまで拡張された。

 その折、新入隊員の中にはこんな者もいた。

「モンシア小隊3名、ただ今着任致ししました」

「志望理由は、バニング大尉の遺志を継ぐ為とあるが?」

「はっ、サンズ大佐! それはすなわち戦場に於いて憎しみを捨てるため、また捨てさすためであります!」

「調子いいなあ」

 クリプトが笑う。

「侮辱ですか?」

「よしましょうよベイト」

「そうそうアデル。MS戦隊長の仰る通り、調子の良さが自分の取り柄であります」

「そうか。こっちも誤解するような言い方で悪かった。調子いいってのは、気持ちがいいって意味で褒めたんだよ」

「光栄であります! 年寄りばかりですが、宜しくお願いします!」

「こっちこそ戦隊長が若僧だけど、ヨロシクな」

「「「サー、イエッサー!」」」

 

 -13-

 

 更に2年後。宇宙世紀0093年。

 シャアの反乱、アクシズショックが終結し、地球圏はひと時の平穏を取り戻した。

 アムロ・レイは命と引き換えに地球を救った英雄として、時の人となった。

 それに比べると、今この旅客機に乗る人々のほとんどは、操縦桿を握る人物が何者かを知らない。

 だが、何者か知らなくても、彼、ルーツの評判は高かった。

 巨大な旅客機をまるで羽毛のように軽やかに動かし、いつ離着陸したかも気付かせない、優しく人に寄り添う操縦をする名パイロットとして。

 彼の操縦に惚れ込んだ人々の幾人かが出資してくれ、ルーツは今や旅客機会社のオーナー兼パイロットとなった。

 その会社はルーツ&ブラウン・エアサービスと名付けられた。

 今日も離陸前に、恒例の機長アナウンスが流れる。

「機長のリョウ・ルーツです。

 本日は当機にご搭乗いただきありがとうございます。

 この操縦桿を通じて貴方がたの命を愛せる事は、私の何よりの誇りです。

 愛せる事への感謝と喜びと、この旅の無事への祈りを天(そら)に捧げます。

 良き旅を―――」

 

 アメリカ地区、コロラド山中。

 山中の空き家に、ある一組の母子が住み着いていた。

 もともと宇宙民だが、亡き夫との思い出の地であるここに引っ越してきたのだと言う。

「ぶんぶ、ぶんぶ~」

 その男の子は、空を飛ぶ飛行機を指差し追いかける。

「お前は本当に飛行機が好きだねえ。将来はパイロットになるのかい?」

「うん!」

「そうかい。それはいい」

 母親は子供を抱き上げる。

「でもね、モビルスーツのパイロットにだけはならないでおくれよ……。あれは、人を傲慢にさせる悪魔の機械だから―――」

「……まま、泣いてう?」

 

 ルーツは今日も操縦桿を握る。いつもと同じ台詞を、胸の中で呟きながら。

「見てろよ、マニングス、ケイ。親父たち」

 今日もすべての命を、己の命も、無事に送り届ける。

 誰の命も取りこぼさない。

 そして還り付く。

 妻シェリーと4人の子供、セヴ、ノイ、幼いリトル・エレノア、幼いままになってしまったアーサーの元へと。

 

 たった一つの たった一つの かけがえのない愛の証

 たった一つの たった一つの 掛け替えも無く愛す命

 たった一つの 寄り沿い合える たった一つの命だと

 

 たった一つの 誰もが大切な たった一つの愛だから

 たった一つの 愛だから

 

 寄り添い合って 愛し合える それだけでよかった

 寄り沿い合って 愛し合う事 そこに還ればよかった

 愛し合って 寄りそう事で 命生まれるのだから

 

 寄り添い合いて 愛する姿 たった一つの人の姿

 たった一つの 愛だから

 

 覚えていて 全ての命 貴方と同じ宝物

 たった一つの 愛の姿

 忘れないで 目を覚まして

 

 機動戦士ガンダムSS ―アフターストーリー オブ センチネル― ―完―

 

 

 

 おまけ。

 

※メカ解説

 

●ラー・カイラム

 この後本艦は点検と、御座敷艦からロンド・ベル旗艦への再艤装の為、長期ドック入りした。よってムーン・ガンダムには登場せず(苦笑)。

 

●ガンダムSSスーパーシルエット

 ガンダムSS最終形態。

 強化大型バックパックと通常バックパックを両方装着と言う、ストライクシルエットと同じ構成に、これでもかと武器を積んだ所謂特撮メカ最終回ファイナル全部乗せ形態。

 右腕に垂れ流しスマートガン、左腕にストレートシルエットの大型ビームサーベルユニット、背中には6基のインコムユニット、両膝にもリフレクターインコム、左肩にはファットバレットやグスタフ・ガン用のハイパーメガカノンを短くぶった切った広範囲照射メガスプレーカノン、右肩には90ミリマシンガン×4のファランクスユニットとレドームと追加ジェネレーター、胸には固定Iフィールドユニット、バックパック両側面には可動式ピンポイントIフィールドユニットとこれでもかのてんこ盛り。両腰にビームマシンカノンは相変わらずである。

 ちなみに90ミリファランクスの弾薬は、ファット・バレト等のマシンガンと同じく特殊散弾。

 これだけ積んでも装備重量はストライクユニットのサラミス主砲よりはかなり軽く、機動力も意外と十分と言う化け物。

 ただ、ブレーキスラスターを大型化しても荷重バランスが特異過ぎ、多分ルーツ(と後ジュドーくらい)以外が乗ると、機体に振り回されてきっと弱い。

 そして何よりこの機体の一番チートな所は、これらの武装制御をALSSがやってくれている点なのは本編中で描いた通りである。NT-Dの元になっただけは有り、ニュータイプ専用機相手に八面六臂の大活躍であった。

 

●ALSS

 後のNT-Dより強かったのではなかろうか、の大活躍。

 まあ、実際には敵味方ともサイコフレームを積んでいない、バイオセンサー機なので、サイコフレームのNT-Dの方が強いんですがね(苦笑)。

 しかし本文中にもあった様に、機能の62パーセントを失い、普通のちょっと賢い程度のAIになってしまった。

 え、酷いって?

 いやこれでも実は最初のプロットではALICEと同じ様に死んでいく運命だったんですよ。だから許して(TT)。

 本編でも書いたように、彼を再現しようとする試みは悉く上手く行かず、後のNT-Dも、感情や意思を持たない只のカウンターニュータイプ兵器としてしか完成しなかった(またその必要も無かった)。

 これ以降も、DUSTの時代に至るまで、真の機械知性と呼べる存在は現れなかったのである。

 

 

※キャラクターのその後

 

●イートン・ヒースロウ

 昇進し軍官僚に。切れ者でありながら、清濁併せ呑む度量を持った名幕僚として名を残す。

 一方で個人として戦術研究も続け、論文を書き、幾冊かの本も残している。

 クリプト隊(装甲機動警察保安隊)にも陰ながら戦術指導を続けていたようだ。

 ちなみに遅まきながら名家のお嬢様と見合い結婚をする。性格は何故かルーツ達を髣髴とさせるお転婆な女性。

 ヒースロウはその性格が気に入って結婚したのだが、奥様は自分が破天荒な性格にも拘らず結婚してくれたのは家柄のお蔭だと固く信じ込んでおり、「他に好きな人が出来たらいつでも離婚してくれていいのよ」「馬鹿な事を言うな」のやり取りが恒常化している。だが、傍目にはヒースロウの愛妻振りは分かりやすく、周りの同情しきりである。

 それはそうと、歴史的にマフディーの乱以降、コスモバビロニアまでの30年の平和を支えた立役者の一人であろう。

 

●メアリー・サンズ

 装甲機動警察保安隊司令の職を淡々粛々とまっとうした。

 

●シン・クリプト

 同隊MS戦隊長。こちらは責任ある立場にも拘らず、羽目を外しかける所をサンズやランファンに度々突っ込まれながら職務を全うした様である。愛嬌のある人柄は隊員たちを良くまとめた。

 

●ルーシー・ランファン・クリプト

 夫を公私共に支えたのみならず、彼女がルーツの様に全体を引っ張る事も良く有ったようだ。ちなみに子供は3人でき、その度に出産休暇を取ったが、なるべく早く現場に戻っていたという。

 

●シャーリィ・カーリー

 しばらく同隊で活躍するが、結婚退職した。相手はやはりランファンによく似ていたそうな。

 

●トマス・オコーナー

 しばらく同隊で活躍するも、周りの助言もあり、後に上級士官学校に入学し、軍官僚への道に進んだ。その後の彼の活躍は、いい意味でソラン・ラマカーニの様な情の深いオヤッさんぶりだったと言う。

 

●ロデム・ケンザキ

 しばらく同隊で活躍するも、後に志望のMS戦技教官となる。彼は常々生徒達に「敵を殺さずに戦意を挫くのが一番の勝ち方」と説いたそうだ。

 

●ノートン・ウォード

 同じくしばらく同隊で活躍するもMS戦技教官に。やはりケンザキの良い相棒であった。

 

●ウェイ・バードマン

 パイロット人生の残りを全て同隊でまっとうした。引退後は、銃器店兼射撃場のオーナーとして暮らしたそうだ。「いいか、落ち着いて撃てよ」が口癖。ちなみに可愛いお嫁さんも貰ったそうな。

 

●ライル・バックス

 しばらく同隊で活躍するも、後に政治家へと転身。ヒースロウと力を合わせ、平和の為に尽くした。

 

●シェリー・ブラウン・ルーツ

 しばらくは軍属であったが、ルーツが会社を立ち上げるとそちらに参加。主に航空機の制御管制プログラムや簡易AIの開発を担い、同社のみならず他の多くの会社が彼女の優秀な製品を購入、使用するに至り、会社の収益をも大いに助けた。ちなみに、こちらもリョウとの間には子供が3人できた。

 

●セヴ・ルーツ、ノイ・ルーツ

 ラマカーニ捕縛後は、ルーツの養子となった。

 セヴはブラウンの様にシステムエンジニアの道に進む。ノイは通常のハイスクールを卒業後、改めて軍学校に進学、卒業後はやはりというか、装甲機動警察保安隊に進みMSパイロットに。

 余談ではあるが、多忙なルーツ夫妻の代わりにエレノアをはじめとする弟妹達の面倒を良く見、ルーツ家の家庭の平和をも守ったようである。えらい。

 

●ソラン・ラマカーニ

 軍法会議にて死刑を宣告されたが、収監中の素行優良に付き、ジャミトフとバスクの墓碑への参内を許可される。そして死刑を待たずして、その墓前にて眠るように自然死した。

 

●リョウ・ルーツ

 パイロット兼オーナーとして、また民間平和活動家として活躍し、多忙な日々を送った。

 だが、なんでも風の噂によると、ノイの入隊と時を同じくして現役に復帰したらしい。

 その操縦は、以前以上の神技であったそうな。

 そしていつものように叫ぶのだろう。

「オッパイしゃぶりに帰んな! そんなのいねえ奴だっていずれはいい彼女出来んだよっ!

 誰の命も取りこぼすもんかっ!

 誰も、誰にも、やらせるもんかあああぁぁっ!!!」

 ―――――と。

 

 最後まで読んで下さり大変有難うございました。

 それでは一先ずのさようなら。

 ご縁がありましたらまたお会いしましょう。

 じゃあっねー。

 




 最後に当たって。
 捩じれ骨子様、毎回欠かさず感想有難うございました。
 林野高校、陸自の竹内先輩、お元気ですか? 相変わらずカワサキ乗ってますか? 筆者は現在ホンダ(NS400R)乗ってます。
 自衛隊員と合衆国兵士の皆様のますますの御壮健をお祈りします。
 実名を上げるとヤバいエピソードもあるので敢えて名を伏す元ヤンの方々。元気に楽しくやって下さいね。
 そして何より最後までお付き合いくださいました読者の皆様と柏木咲様に。
 最大級の感謝を捧げます。
 Be happy merry chrismas!
 そして良き新年を。
 それではさようなら。筆者はまた[なろう]に戻ります。
 願わくばまたこのハーメルンにてガンダムを携えて再び出会えますように。
 まったっねー。
 (^^)/
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