機動戦士ガンダムSS -アフターストーリー オブ センチネルー 作:豊福茂樹
よくこんな所に気が付きましたね。
本編連載も終わって久しいマイナー小説にようこそ。
今回は某漫画の公道最速理論ネタばらし編となっておりますので、ひっそりとやっております。あんまり拡散しないで下さい(^^;)。
それでは本編と久しぶりのルーツ達をどうぞ。
m(--)m
機動戦士ガンダムSS
幻の14話 ――番外編:公道最速理論編――
-1-
「だからな、コーナーじゃあジワーッなのよ。そしたらギューンでグワーッて行くんだよ!」
「ルーツの奴は何て言ってんだ? ライル」
「いえ、MSでなく車の事なので僕にもさっぱり。シン先輩」
「どおれ、俺の出番のようだな」
「分かるの、バリー?」
「ああ、嬢ちゃん。痩せても枯れても機械工学者だ。畑違いだが自動車工学も趣味で齧ってるんでな、解説位出来らあ」
「てな訳で本当に今回は作者の趣味丸出し回だぜ」
-2-
ルーツ(以下:ル)「メタい話だけど、いよいよMFGが最終戦に突入したぜ」
バリー(以下:バ)「なので一部ネタばらしになるが、タイミング的にはそろそろいいだろうとの事だ」
ル:「文さん彦さん(公道最速理論プロジェクトの偉い人)、一働の許可は得てるんでヨロシク」
バ:「さて、何を置いても先ずトラクションの説明からだ」
ル:「タイヤが地面にガガっとめり込んでブルドーザーみたいにグワァーッっとほじくりかえして行く奴な」
ブラウン(以下:ブ)「――わからないわよ」
バ「タイヤのグリップは3次元だって言う話だ」
ブ「摩擦って上から押さえつける力、つまり車重×摩擦係数でしょ?」
バ「横方向のグリップだけ言やあな。だがゴムが地面にめり込んでいる以上、縦方向のグリップも有る。のんびり走ってる分にはさほど関係無いが、アクセルを踏んだ時にはそのめり込んだ縦方向の接地面に圧力がかかって追加の摩擦力、グリップが生まれる。それをトラクショングリップと呼ぶ訳だ」
ブ「あー、今やっとルーツが何言ってたかわかったわ」
ル「馬鹿だなあ」
ブ「アンタが言語能力の無いアホなのよ!!」
ル「………」
バ「そしてそう考えるとトラクショングリップが発生するのは、何もアクセルを踏んだ時だけじゃなく、ブレーキを踏んだ時やコーナリングフォース〈遠心力、慣性力〈イナーシャ〉〉がかかった時にも発生する訳だ。要は縦の接地面に横から圧力が加わればいい話だからな」
ル「そうそう、俺もそれが言いたかったんだぜ」
ブ「ホントにわかってたの?」
バ「感覚的には多分俺以上に解ってんだろうが、まあサルだからな」
ル「ムキ―――っ!!」
ブ「(ホント猿)」
バ「んじゃまあ、それを踏まえてコーナーを最速でクリアするにはどうしたらいいのかな? ルーツ先生?」
ル「んなもん、ブレーキをウギューッッてしてジワーッて戻す時、それに合わせてハンドルをキューして、ゴロる前にそーっとアクセル踏んでジワーッとしたら、ギューンてグワーッて行くから、ケツが出口向いたらギュードッカンな訳だよ!!」
ブ「うん、わからないわ」」
バ「つまりトラクショングリップを常に一定、且つ高く保ったまま走る事だ。それも車体を安定させてな」
ル「そうそう、分かってんじゃねえか、バリー」
ブ「………バリーじゃないとガンダムSSのメカは務まらないわね。ルーツ語が分からないわ」
バ「まず最初にピッチング(前後上下に車体がシーソーのように揺れる現象)を起こさないよう、そっとブレーキを踏み始める。ピッチングを起こすとリアの荷重が著しく減るからブレーキの利きが悪くなるんだよ。車体も不安定だと次の動作へスムーズに繋がらないしな。そこから車体を安定させたまま強く踏む。但しロックしないように。
そしてコーナーエントリーでリリースし始める。それに合わせてステアリングを切る。折角ブレーキで高まったトラクショングリップを途中切らせないよう、スムーズにイナーシャ(外に引っ張る力)トラクショングリップに変えていく訳だ。バイクだとタイヤを縦に潰したままスムーズにバンクさせて路面に押し付け続けるという奴だな」
ル「RRだとブレーキはちょっとだけ引きずるんだけど、FRは引きずらない方がいいぜ」
ブ「ルーツがオトマノベ以外で喋ってる?」
ル「お前な?」
バ「そのままほっとくと車速は落ちるんだが、イナーシャトラクションだけは相変わらずかかる。すると車の重心とジャイロ軸は意外と高い所に在るから、てこの原理で外側のタイヤにばかり荷重がかかって行き、イン側のタイヤのトラクショングリップはどんどん下がって行く悪循環、過剰ロール、ヨーが発生する。アンダーが出て更にコーナー速度を低くせざるを得ない訳だ。それを防ぐにはブレーキ踏むかアクセルを踏んでイン側のタイヤにトラクションを発生せさせるしかない」
ブ「待って、分かんなくなってきた」
ル「つまりアクセルかブレーキ踏んでりゃ、インのタイヤが吸盤みたいに貼り付くんだよ。逆だと剥がれんの」
ブ「初めてルーツの言ってる事の方が分かり易かったわ」
バ「これに着目して、イン側のタイヤにだけ電子ブレーキを掛けるシステムを西暦時代のマツダが開発しているな」
ル「んで、FRだとブレーキ引きずらずにアクセルジワーッと踏むし、RRだとちょっと左足でブレーキ引きずったままジワーッと踏むんだよ」
ブ「過剰ロールさせずにタイヤを貼り付かせる為なのね」
バ「RRは前に重量物が無いから、アクセルだけ踏むとフロントが浮いちまう(リフトする)んだよな。車体が落ち着いてから初めてブレーキを抜く訳だ。それからFRにしろRRにしろ弧を描いた後はステアリングをリリースしつつ、イナーシャが減少するのに合わせてアクセルを踏み足して行く。RRだと、後輪が出口を向いたなら、トラクションにモノを言わせて前にスライドさせながら脱出する訳だな」
ブ「あれ? 思ったんだけど、4WDじゃないとフロントタイヤにアクセルトラクションはかからない訳じゃない。それで4WDはFRやRRより速いの?」
ル「乗る奴がヘタレならな」
バ「それがあるから後輪駆動乗りにも拘わらず、アクセルを踏まずブレーキだけを引きずっちまう奴が多い。安定するからな。だが本当に上手い奴がアクセルを踏むと、舵を切った前輪が後輪に押される事によって、コーナリングブレーキトラクションが発生する。バイクで言う2次旋回だ」
ブ「どゆ事?」
ル「後ろはまっすぐ進もうとしてるけど、前のタイヤは斜めだろ。その分前タイヤに自然にブレーキがかかんだよ」
ブ「成程!」
ル「でもまあ、踏み過ぎても踏まなさ過ぎても駄目だから難しーんだぜ。緻密なアクセルワークって奴な。だから4WDやFFの方が乗るのは楽だな。面白くねーけど」
バ「アクセルにしろブレーキにしろラフに踏むと余分なピッチングやロールが発生する。するとサスペンションが路面にタイヤを押し付ける力が弱くなりアンダーが出ちまう。高いサスなら粘るしよく動くから誤魔化せちまうんだが、やっぱりていねいな運転の方がメカグリップは高い。その状態ならアクセルでラインをコントロールしやすいし安定しているからブレーキも掛けやすいしな。安全なんだよ」
ル「だから最初から高いサス付けてるせいで、いつまでも運転が危険で上手くならねーヘッポコもいる」
ブ「あらら。金持ちってある意味不幸ね」
ル「車やバイクでどこから弄るといいのかって聞く奴がいるけど、好きなとこから弄るのが一番だぜ。パワー出して足回りが貧弱でも、その分運転丁寧にせざるを得ないから正解とも言えんだ。結局車とちゃんと会話できればそれでいーんだよ」
バ「ただまあ、パワーを出し過ぎると300馬力なら1ミリ単位のアクセルワークで済む処が、単純に言っても600馬力だと0.5ミリ単位のアクセルワークを必要とする」
ル「同じアクセルワークテクニックの持ち主なら、300馬力の車の方がコーナーは速い訳だ。よりギリギリまで踏めっからな」
バ「加えて車体を安定させるのが上手ければ、安定して行く毎にメカグリップは上がるから、更に0.1ミリずつ踏み足せていく。コーナーを出る頃には合計1ミリ余分に踏み足せてる訳だ」
ル「600馬力だと0.05ミリずつが要求されっからな。まあ難しいわ」
ブ「それってサッカー選手のボールタッチみたいなものね。センチ単位でしか蹴れないと、すぐボールが明後日に行くけど、1ミリ単位なら狙った処に蹴れるし、0.1ミリ単位なら足に吸い付くようなドリブルが出来るもの」
バ「余談になるが西暦時代のMFGってレースイベントは、結局車好きな奴がどんな車だろうと自分の好きな車に乗れば、どれも互角に戦えるように作られたいいシステムだと思うぜ。普通ならばアンダーパワーの車はビッグパワーの車に敵わないが、それが帳消しになるようにしてある。逆に言えば下りの峠やショートサーキットならビッグパワーは軽量なアンダーパワーの車に勝てないんだが、それも帳消しにするためにグリップウェイトレシオってやつが有るとも言える」
ル「あんなタイヤって本当に作れたのかよ?」
バ「ラジアルのワイヤーの編み方を縦横で変えればイケるだろ。わざと太いのと細い鋼線とを交互に編むとかしてな」
ル「今の車はショートサーキットや峠は300~400馬力、高速サーキットやハイウェイなら550~700馬力が適してるってメーカーもチューナーも分かって作り分けてんだけど、それが同じ土俵で戦えるってのが浪漫だよなあ。ハイパワー車やRRはより丁寧に踏む必要あっけど」
バ「サーキット専用の軽量ハイパワーレースカーを持ちこむと、あっという間にタイヤがむしれておじゃんになる所も浪漫だなw」
ブ「それフライングじゃない?」
バ「なぁに、いざとなれば一働さんがカラオケで『大きな栗の木の下で』を唄ってくれるさw」
ブ「???」
ル「車ってやつは記憶力と反射神経と運動神経が良けりゃあ、ラフな運転でもそれなりに速く走れちまうんだよ。でもそいつは危険な運転だから、我に返った時、怖くなったり飽きたりして辞めちまう。どんなスピードでも車体を安定させてグリップを高く保つ、車と対話する乗り方が結局一番速くて安全で面白い。まあ、スリルを楽しむんじゃなくて、地味な車ヲタクの乗り方だけどな。
向夏の師匠の藤原ってやつは、才能に溢れすぎるが故に車を嫌いになりかけてた弟子に、レースに勝たせる為と言うより、ただ純粋に車との対話を、車そのものを好きになって車に優しくなって欲しくて、世話を焼いたんだと思うぜ」
ブ「いい話ね」
バ「さて、話は逸れたがここからルーツの大好きなポルシェの話をする」
ル「おう、まってたぜ!」
バ「喜んだ所を悪いが、如何にポルシェ911が高速サーキットやハイウェイで駄目かの話だ」
ル「チックショー、言われなくても分かってんだよ!!」
バ「まあ、そこを理屈で説明してやるから良く聴け」
ル「へーへー」
バ「まず重量バランスが悪い」
ル「ぐはっ」
バ「後ろが重過ぎて遠心力に負けてすっ飛ぶ。前後重量バランス50:50がコーナリングの横Gに対して一番踏ん張れる強い形なのは餓鬼でもわかる理屈だ」
ル「リ、リアタイヤをその分太くしてフェンダーめくればいーんだよ」
バ「まあ実際リアエンジンミッドシップやRR車はそうして対策してきた。それだと曲がらなくなるところを、サスやリンクやスタビのセッティングでどうにか誤魔化してきた」
ル「うんうん」
バ「でもそもそも後ろにエンジン積むと高速コーナーで車体がヨれるんだよ。絶対に」
ル「デスよねー(TT)」
ブ「あーあ、ばらしちゃった。ポルシェさんフェラーリさんランボルギーニさん、他諸々のスポーツカーメーカー様ごめんなさい。
はっ!?私何言ってるの?ってゆーか、どうしてそうなるの?」
バ「エンジンのクランクシャフトてのは当たり前だが回転してる。重量物が回転すると、その向きや位置を一定に保とうとするジャイロ効果が発生する」
ル「………分かってんだよ。後ろがまっすぐ行こうとしてアウトにグワーンして、なのに前が反対にギュルーしてんだから、そりゃヨれるってのは」
バ「水平対向エンジンはジャイロ軸が高く、てこの原理で車体にかかる横ジャイロイナーシャが横重心イナーシャに加わり、よりリアのイン側のタイヤを持ち上げようとする。フロントはコーナリングブレーキがかかるし、上に重量物が無く重心が低いから、水平を保とうとする。するとボディがねじれる」
ル「うっかりアクセル踏み過ぎてフロントをリフトさせようもんなら、アウトのリアタイヤ一本で全車重を支える羽目になるから、盛大に滑ってアウトの壁に激突すんだよな~(TT)」
バ「踏めば踏むほどジャイロ効果はより高まるからな。だからこそポルシェは過剰剛性で作ってあるし、走行距離でボディがヨれてるイタリアMRがトバせなくなるんだけどな」
ル「過剰剛性で作って有る分自然復元して長持ちはするんだけど、それでも前輪とエンジンが離れすぎてて、てこの原理とやらで捩じれるんだよなあ、ポルシェ911は」
バ「マツダやアメリカ車や英車とかがフロントミッドシップに拘ったり、GT-Rが変速機を後ろに載せてでも前車軸の上にエンジンを載せるのは、この捩じれを少なくする為だな」
ブ「短い棒の方がねじれないのは私でもわかるわ。GTーRが世界最高の高速安定性を持つって言われてるのはその所為なのね」
バ「正解だ、嬢ちゃん。過剰剛性で作らなくて済む分、車重も軽くできるしな。まあ日本車はその分を快適装備に回すんだがw」
ル「だからRRはFRがコーナーで1ミリ踏める所で0.7ミリぐらいしか踏めねーんだよな」
バ「まあ、それだけ踏めりゃあ、ブレーキとトラクションで挽回できる。その0.7ミリが踏める奴が本当のポルシェ乗りってやつだ」
ル「だよな! それに俺のポルシェはエンジンは(以下検閲削除)して、ボディも(以下検閲削除)して、(以下検閲削除)も弄って有るんだぜ!」
ブ「何かよく聞こえない所が有ったんだけど?」
バ「流石に首都高SPLの最終決戦?、32RVS911のネタばらしを今する訳にゃいかねえからなw」
ブ「一働さんとやらは許可しないの?」
ル「流石の一働さんでもそんな酷い真似はしねえぞ(苦笑)」
バ「内輪ネタ多くて済まん」
ル「んじゃあ、今回はここまで。次回番外編最終回?ガチ機械工学ヲタクによるモビルスーツ開発ヒストリー解説で会おうぜ!! いつになるかは未定だがなw」
一同「「「まったね~(^^)/」」」
は~い、面白かった?
今回のお話は、機械ヲタクや自動車ヲタクやバイクヲタクの方の方だけでこっそり楽しんでくださいね。
一応もう一回MS開発ヒストリー編やるつもりなのでヨロシク。
いつになるか分かんないんですけどね~(苦笑)。
それじゃあ、まったね~(^^)/