機動戦士ガンダムSS -アフターストーリー オブ センチネルー 作:豊福茂樹
また今月もお会いできて有難う! 初めましての方も有難う!
物語は今丁度いい所なので、ここからちょい読みして下さっても初めからお読みになってもどちらでもよくってよ岡さん(古い&高飛車)。読んでくださいお願いします(平身頭低)。
面白いですよー(本当か?)!
ルーツ達の援軍に来るのは何とあの男達?
だが、いまだそれを知らぬ宇宙では第2次ラグランジュ4艦隊決戦が。
戦いの狭間に流れる涙と涙。容赦なく迫る出撃。
雌雄を決すべく引き合うルーツとラドック。
操縦桿を固く握りしめるルーツの元に現われたのは?
それではどうぞ本編をお召し上がりください。
m(--)m
追伸:捩じれ骨子様、応援ありがとうございます。サイコSガンダムの活躍に御期待下さい(まだ出ないって(おい))。
機動戦士ガンダムSS
第8話:――ストレート――
-1-
アフリカ大陸、ダカール地球連邦本部。
議長執務室。
『入り給え』
ドアの向こうから、ゴップに呼びかけられ、黒髪長身の男はドアノブを引く。
「ようこそ、ブライト・ノア君。英雄に会えて光栄だよ」
「恐縮です」
ブライトはゴップの座るデスクの前まで歩み寄り、杓子定規に小敬礼を施す。
「ですが、何もアイドルに握手とサインを求めに、呼び付けた訳でも無いでしょう?」
「そう言う冗談を言うタイプだったかね?」
「先程まで、暇潰しに通話していた記者に伝染されましたよ」
「ほう、カイ君は元気だったかね?」
「ええ、エグムだのNSPだの、そしてウラノスだのの話を聞かされました」
「なら、話は早い」
話題に上ったのは全て、近年活発に反地球連邦活動を行う過激派組織である。
そして、何故か宇宙のジオン過激派だけは、この時期、まるで新たな統率者に制御されているかのように、静かだった。
「我々は早急に、これらに即時対応できる、独立遊撃部隊を急遽編成する必要が有る」
「その指揮を私に?」
「そうだ。一個分艦隊を預ける。何ならカラバ隊からアムロ・レイを引き抜いて構わん、反対は私が抑える」
「!?」
ブライトは目を見開く。そこまでの事態か、と――――
「正式な発足、編成の辞令は3月21日だ。急で済まんが、それまでに必要な人員他を集め給え。とは言え、首輪代わりに半数はこちらの指定する人員を受け入れてもらう。それが保守派を黙らす条件だ」
ブライトは再び、そして最敬礼を施す。
「謹んで、承ります」
「頼んだ。結成後は地上で簡単な部隊習熟演習の後、4月1日に、新造戦艦ラー・カイラムと、サラミス改級2隻の計3隻で、エル・アラメイン発射基地から宇宙に上がってもらう」
「新造艦まで?」
「私の御座敷艦になるはずだったものだ。だが私はモグラだ、似合わないだろう? だから君にくれてやる。その方が船も喜ぶとも」
ゴップはほろ苦い笑みを見せる。
ブライトも、神妙な笑みで返した。
斯くて、地球連邦軍最強の切り札は切られた――――。
-2-
ラグランジュ4宙域、アルビオン居住区、下士官エリア。
ルーツはその空き部屋の一つに閉じ込められていた。
医療士官とヒースロウに、暴挙を咎められての、軽い一日の謹慎である。
「はー」
溜め息をつく。
我ながら、悪い癖が出ちまった。と、珍しくしおらしく反省する。
クゥウ。
腹の虫が鳴る。そう言えばあれから何も食っていない、まさか飯まで丸一日抜きでは有るまいか?
そんな思いに顔を青くしていると、ドアをノックする音。
『食事よ』
その声はブラウンのものだ。
ドアのロックが外され、食事のトレーを運んできたブラウンは、まるで天使に見えた。
「あ、有難え」
「まったく、しょうがないわね」
「………悪かったよ。つい、頭に血が昇っちまってよ」
「いいんじゃない?」
「へ?」
「そりゃ、ドアを蹴ったり怒鳴ったのはやり過ぎだけど―――――。言った事は間違ってない、誰かが言わなくちゃならなかった事だって、みんな、分かってるわよ」
言われてルーツは顔を赤くし、言葉を返せず、照れ隠しにトレーをひったくって飯をかきこみ始める。
ブラウンはクスクスと笑う。
その時、部屋の表示パネルが点く。映し出されるのは、しかつめらしい医療士官の顔。
ルーツはスプーンを咥えたまま、また説教かとげんなりする。
『ルーツ大尉』
だが、医療士官の口から出たのは意外な言葉。
『バックス中尉の要望を伝える。他ならぬ君と、1対1で話がしたいそうだ』
-3-
ラグランジュ4宙域、小惑星ペズン。
「今の所、組み立て途中のモビルスーツのジェネレーターを発電機代わりに繋ぐ事で、最低限の機能は維持できていますが―――」
ゴーダが険しい顔で報告する。
「ゼク・ドライの製造ラインの稼働は無理か」
ラマカーニは嘆息した。
「ええ。サイコMKⅢ、サイコS、ジールⅡの艤装も、工作機械の電源をその方法で取るのならば、コロンブス内で組み立てても変わり有りません」
「もはやここにとどまる理由は無いな」
「籠城すればするほど、敵を集めるだけでしょう」
「兵は拙速を見れども、未だ恒久なるを見ざるなり(古代中国の兵法家、孫子の一文)―――か」
「行きましょう。本来の目的地に」
ペズン居住区。
『いるかい?』
「ゴーゴンか?」
与えられた自室で読書をしていたラドックは、本から顔を上げ、パネルを操作しドアロックを解除する。
「入ってくれ」
「お邪魔するよ」
そう言ってドアをくぐるゴーゴンの手には、グラスが二つとワインボトルが携えられている。
「ほう、シャルドネの良い物だな。よく手に入ったな?」
「物々交換さ。ペズンじゃ手に入りにくい物も有るって事さね」
「余り足元を見ると反感を買うぞ?」
「そこまで間抜けじゃ無い」
二人は笑い合う。
「アタシらは最高のコンビだよね」
「ああ、この6人は、最高のチームだ」
「……この朴念仁」
「???」
「女に恥をかかせるつもりかい?」
ラドックは面食らったが、やがてゆっくり意味を悟り、顔を朱くする。
「ゴホッ、済まん―――。こう言う事は不慣れなもので」
ゴーゴンはクスクスと笑う。
「しょうが無いね。そう言う所にもやられちまったんだから」
-4-
月面、エアーズ市。
ここには、アナハイムとの取引のための、ブッホ・コンツェルンとスカールグループの出張施設が存在する。
ゴーゴンの部下の一人は、エアーズの裏路地を、息を切らしながら走っている。
「ヤバイ、ヤバイやばい」
とんでもない事を知ってしまった。
とんでもないマッチポンプだ。
エグムとNSPは、それぞれブッホとスカールの子会社の輸送船を襲い、金品と物資を強奪した。
襲撃の為の情報や手引きは、ウラノスが提供し、エグムとNSPは、情報提供料としてウラノスにそれぞれ取り分の3分の1ずつを渡した。
それらは、全てブッホとスカールの自作自演だったのだ。
この戦争自体が、彼等の脚本によるものなのだ。
襲撃の被害は満額保険で補填されている。
ウラノスも、ゴーゴンも、彼等の為のMSの開発の為の生贄だ。
早く、一刻も早くゴーゴンに知らせねば。
だが、路地の向こうから現れたのは、銃を構えた複数の影。
こちらも脇から銃を抜く。
熱いッ!?
見るとシャツを赤く染める血。
前から撃たれたのでは無い。
後ろを振り返り、硝煙を吐くサイレンサー付きの銃を構える男を見ながら、彼は倒れて行った。
「っ、姉御…………」
-5-
ラグランジュ4宙域、移動用ランチ(小型艇)。
「いよっし! みんなを救けに行くぞ!」
「行くわよ~!」
座席で腕を振り上げるランファンとカーリー。
「張り切ってんなあ」
一番前の席に座るクリプトはそう笑うと、後ろの皆に振り返る。
「それより良かったのか? みんなで来て?」
「ええ。バックス中尉はルーツ大尉とだけ会いたいそうですし」
「……美味しい処持ってかれるのは癪だけど、大尉ならどうにかするだろ」
ケンザキとウォードは頷く。
「普段威張ってんだから、こんな時ぐらい役に立って貰わなきゃな」
「ホントホント」
バードマンとオコーナーも毒吐いている様でいて、その貌には温かな信頼が窺える。
彼等はルーツにすべてを任せ、人手の足りない、半壊した艦隊から、サイド2や4コロニーの病院への傷病兵搬送を手伝うのだ。
「まったく。お気楽なもんだな」
クリプトが呆れて笑う。
「アンタが言う?」「中尉には言われたくないぜ」「ホントホント」「心外です」「僕は違いますよ」「おい」
「あのなあ、出来過ぎなんだよ。お前等は」
「「「???」」」
「ま、これでわかるさ。戦争ってやつがどんなものか」
-6-
アルビオン、医療室、カウンセリング用ブース。
そこでルーツは、久しぶりに二人きりでバックスと向き合う。
やつれたな。
ルーツは正直に思う。だが、不思議と目の光は戻りつつあるように思う。
「大尉」
バックスは、おずおずと、だが、食い入るように口を開く。
「私は、大尉にお聴きしたい事が有るんです」
「何だ?」
「大尉は、どうして部下を育てるのに失敗されないんですか? 何故うまくできるんです?」
「んな訳ねえだろ」
「??」
「そりゃあれだ。今でこそ順調に行ってるが、言いたかねえが、こう言やあ良かっただの、ああすりゃ良かっただの、そんなんばっかだったぜ。今でも割と思う。嘘じゃねえ」
「―――――???」
-7-
ラグランジュ4宙域、コロンブス改級兵員輸送船『オデュッセイア』。
未だ血が滲む包帯、並ぶ点滴、消毒液とストレスの酸っぱい匂い。
腕が無い者、脚が無い者、眼球が、耳が、鼻が無い者、明らかに心を喪い、虚空に譫言を繰り返す者。
悲惨や残酷と言う言葉では言い表し切れない、戦争と言う行為の冷たく空虚な『結果と現実』がそこに有った。
「うっぷ」「おぉぅ」
若者達の幾人かは危うく戻しかけ、艦内の酸っぱいストレスの匂いに、自分のそれを付け足す。
「月並みな物言いだがよ、俺達だって、いつ、こうなるかわからねえ」
クリプトは淡々と語る。
「運が良かったんだよ、お前等は」
「「「…………」」」
「お前等も、ペズン・月面紛争で、俺達のアルファ任務部隊のMSパイロットが何人死んだか、話で聞いてるだろう? そっちの方が普通さ。奴らのほとんどは遺体すら残っちゃいねえ」
生き残りは、ルーツとクリプト達数名。
本当に僅かだったのだ。
「これでわかったか? ブラウンやスミスやチェレンコフ達が、どれだけ頑張ってお前等に良い機体を与えてくれたか―――。俺達が昔、教導団なんて化け物と互角に戦えたのも、今にして振り返ればそうさ。それに何より――」
彼等は泣きそうな顔に―――、いや、実際に涙を滲ませる者もいる。
そう。
分かっているからだ、次の言葉を。
「―――――どれだけ、ルーツやバックスが、お前等を大事に育て上げて来たかを」
-8-
アルビオン、カウンセリングブース。
ルーツとバックスの対話は続く。
「それでも一度や二度の失敗で放り出す訳にゃいかねえ、何度でもやり直すしかねえ。ただのクソ意地だ」
「………とてもそうは見えません」
「そりゃ如何にも失敗しましたなんざ不安面なんてしてみろ、あいつら俺を舐めるか、それより悪けりゃ俺より不安に囚われちまって、お前みたいに落ち込んじまう。そうなりゃ大抵戦場じゃあ、すぐに早死にだ」
「………。僕は失敗を恐れるあまり、道を間違えてしまったんですね」
「いいんじゃねえの。それもまた失敗なら、取り返してやり直せばいいのさ」
「そんな、私のは、やり直せるような失敗じゃない!」
「はっ、年下のガキの癖にナマ言うんじゃねえ!」
「っ?」
「このションベン垂れのクソ餓鬼! そりゃよいよいの爺なら、やり直すのはしんどいだろうさ! だがな、まだ士官学校出てたった一年ぽっちだ。テメェの人生のジムカーナは、どう見てもまだ始まったばっかだろうが!?」
「ジムカーナ?」
「乗り物好きならやった事ねえのか? パイロン立てたミニコースでやるミニタイムアタックレースだ」
「いえ、ネット動画で見た事はありますけど、やった事は」
「ケッ。餓鬼の頃はまともに遊べよ。まあ、でも見た事が有んなら話は早え。こいつはいわゆる、パイロンに接触したら失敗。リタイヤになっちまう競技だ」
「……今の僕ですね」
「チッ、いいから最後まで聞け! ところがだ、だからって、接触するのを怖がってる奴は、いつまでたっても上手くならねえ。最初パイロンにぶつかりまくった奴の方が、ちゃんとタイムが上達するんだ」
「え?」
「まあ、俺も上手く説明できる訳じゃねえが、例えば人間でも、人の噂じゃ悪い奴でも、実際に話してみると意外といい奴で、ヨロシクやれたりするのと同じじゃねえか?
でも、話しかけねえと、怖いからってそいつから逃げ回る、みっともねえ自分しか残らねえ。話せば、たとえ話しても嫌な奴でも、付き合い方は分かる。
パイロンも、失敗も、実際にぶつかってでも触って見なけりゃ、本当に何なのか判らねえから、距離の取り方も分からねえ。
触って見なけりゃ、味わって見なけりゃ、頭が納得しても、心も、体も、納得も理解もしねえんだ。きっと」
似たような言葉はある。
道に迷った者にしか、道は切り拓けないのだと。
迷う事でしか、本当の意味で新しい土地には、足を踏み出せないのだと。
「………私は、親や周りの大人から『失敗から学ぶ事は何もない』と教わりました。失敗すれば自信を失い、判断を下せなくなる。だから官僚を目指すなら、一度の失敗も許されないのだと」
「はっ。正直に言わせてもらうが、くっだらねえな」
「私もそう思います。やっとわかりました。なんで私はあの人達が嫌いだったか。
有り体に言えば、嘘だらけだったんです。あの人達だって本当は沢山失敗していたのに、失敗を誤魔化して欺瞞と偽善で自己を塗り固めていた。他人に吐いた嘘に自分も騙されていた。
だから嫌いだったんです。誰にも羨まれる様でいて、ただの可哀想な人達だったんだ。
だから、私は同じ官僚なら軍人になる事を選んだ。
遠い親戚の小父が語る、嘘の無い、心からの規律と団結で結ばれている姿は、私の憧れだったから」
「……そうか」
「大尉は、大尉とその仲間たちは、まさに私が夢見た姿そのままだ! 教えてください! どうしたらそうなれるんですか?」
「あー……」
ルーツは苦虫を噛み潰す。
「まあいい。これが答かどうかなんてわからねえが、特別に教えてやる。その代わり、小っ恥ずかしいから誰にも言うなよ」
「は、はい!」
輝く笑み。
「はあ。しゃーねーな。まず言っとくが、俺はそもそも、お前の様な立派な志なんか、微塵も持ってなかった」
仕事に夢中な親にほったらかされてグレた糞餓鬼。
愛情代わりに渡された端した金で、16の時にバイクと車を買い、走り回って喧嘩もする、街の番を張ったつもりの、いい気になった愚連隊のガキ大将。
ジムカーナと草レースで結構いい線を行き、調子に乗った有頂天の若僧が次に目指したのは、MSパイロット。
『アムロ・レイなんざ俺が時代遅れにしてやるぜ!』
今思えば赤面モノに自惚れた若者を待っていたのは、当然の洗礼。彼くらい機械の操縦の上手い餓鬼は、掃いて捨てるほどいた。
『帰れ!今すぐ荷物まとめて帰れ! お前程度の救いようのないヘタッピ野郎、代わりはいくらでもいる! さっさと故郷に帰ってママのオッパイでもしゃぶってろ! お前にはそいつがお似合いだ!』
似たような台詞は、もっと酷いのも、それからの訓練中にも、配属された後もマニングスからも、散々言われた。
「新兵を立派な兵士に鍛え上げる為の、心を鬼にしての台詞ですね。素晴らしいです」
「ちげーよ」
「え?」
「鬼にしてるんじゃねえ、嘘じゃねェ、本心なんだよ」
「えっ?」
「帰って欲しいんだよ。本当に帰って欲しいんだよ! 兵士なんて、戦場なんてろくでもねえから、俺達が可愛くて仕方ねェからさ、諦めて故郷で堅気に暮らして欲しいんだよ!! ついてくんなよ!兵士になんかなるな!って、泣いて、血ィ流して必死に叫んでる、紛れもねえ、本心なんだよ!!!!
可愛くて仕方ねーから、それでもついてくんなら、しごき上げるしかねーんだよ!!!
いいガッツだ! なんて褒めんのは、そっちの方が嬉しさは半分で、残りの心を鬼にしてんだ―――。
マニングスの立場になって、本当に、分かったんだよ………。
頼むからよぉ、ホントに頼むから、生きて、故郷に帰って欲しいんだよぉ………。死んだら、やっぱり、おしまいなんだよ…………何も、残らねェんだよぉ」
ルーツも、バックスも、涙を流していた。
バックスは理解する。
本当に、彼等には、嘘など無かったのだ。
だから、嘘偽り無く、結び付けるのだと。
「―――だからもういい」
「?」
「お前を見捨てんのが嫌だったから、除隊させなかったけどな。お前が立ち直ったんなら、後はお前の好きに生きろよ。お前ならMSパイロットなんてイカレたヤクザな仕事じゃなく、立派な政治家とかになれるさ」
「………もうひとつ教えて下さい」
「何だ?」
「テメエの気持ちで喧嘩しろって、どういう意味ですか?」
「救われねえからだよ。
命を張るのに、上からの命令だけなんかじゃあ。心にも無い空っぽの教科書通りのセリフじゃあ。
明日死ぬかも知れねえ奴が、誰かの奴隷なんかじゃあ。
たとえそれが餓鬼の自惚れでも、俺は故郷の舎弟どもを守りたくて始めた。
気に喰わねえ大人もいたが、まあまあ気の良い大人だって居たし、軍に入っても気に喰わねえ奴もいたが、それでも掛け替えの無い仲間になった奴もいる。
オマケにこの船でも舎弟がまた増えやがったし、敵だって悪いばかりの奴らじゃねえ。
欲張りだからな。恥ずかしい我が儘ばかり増えてく。
人間なんて、金払って飯食って生きるのと同じくらい、心で、気持ち(エモ)でも生きてるんだ。
そいつは、他ならぬ心を病みかけた、お前が良く分かってるんじゃねえか?
だから、規律と団結を人に守らせたいんなら、分かって欲しいんなら、それがお前の願いならさ、お前の願いの為に闘えよ。その戦場は、別にここじゃなくてもいいんじゃねーか?」
-9-
ラグランジュ4連合艦隊、臨時旗艦ナーガ。
「ペズンに動きあり!」
「何だと? 今になって!?」
ウォン提督の顔が歪む。
「ウラノス本来の戦力、旗艦ウラケノスを含む戦闘艦艇5隻が輸送船多数を伴い、月方面へ移動を開始!」
どうする?
黙って指を加えて見逃せば、先の戦闘の大敗の責任も取らされ、左遷失脚は間違いあるまい。
だが、その時―――
「ペズン駐留分艦隊3隻とコロンブス1隻も移動を開始! 目標は、おそらく我が方です!」
選択の余地はない。
「迎え撃ち撃滅し、その余力を持ってウラノス本隊も打倒する! アルビオンにも通信を開け! ガンダムなら、責任を持ってニュータイプ、化け物どもの相手をせよと!」
-10-
ウラノス、ペズン艦隊。
分離行動を開始した艦隊の中、人々は別れを惜しむ。
「達者でな。また月で会おう」
『ラドック―――――』
ゴーゴンの口から、軍人としては出してはいけない言葉が出そうになる。
「彼等を助け、月への道を切り拓いて、我が同胞をサイド3に着くまで守れるのは、アナンダ。お前しかいない」
『―――そう、そうだよね』
「グェンも付ける。心配はあるまい」
『任せて下さい』
『こっちだって、アンタの心配もさせておくれよ』
『あー、御馳走様です』『こりゃ是非続きを見ねえとな』『姉御がこんなにしおらしくなるなんてなあ』
『五月蠅いよ!』
ラドックが笑い、つられて皆も笑う。
『じゃあ』
「ああ、またな」
ジオンのマークを付けたMS達は、それぞれの艦隊に別れて行く。
-11-
アルビオン、MSデッキ。
「ガンダムSSストレートシルエット、準備完了! 出撃可能全機、発進準備完了したぜ!」
『よし、ルーツ! 全機を率い発進せよ!』
「オーライ! ヒースロウ!」
『今更だが、司令を付けろ! この悪ガキめ!』
ノーマルスーツを着た整備スタッフ達がルーツ達のやり取りに笑い合う中、ガンダム達が飛び出していく。
デッキハッチが閉じ、出撃の後片付けと再着艦への準備をスタッフが始める。
ふと、ブラウンは、ただ一機淋しく取り残された、ファット・バレトを見上げる。
「貴方のご主人様、早く良くなるといいわね」
その時、ファット・バレトのツインカメラアイが光った気がした。
『彼』がブラウンの後ろを見つめている気がして、振り返る。
そこには、瞳に強い輝きを宿す、バックスの姿。
「――っ、お願いが有ります」
-12-
ラグランジュ4、戦闘宙域。
「よし、各機、いつものフォーメーションを組め!」
だが、彼等は命令には従わず、ルーツのガンダムSSの左右に並んだのはランファンとクリプト。
カーリーは後ろで勝手にケンザキとオコーナーとで編隊を組んでしまった。
「テッ、テメエら? 何勝手しやがる?」
『水臭いぜルーツ~。どうせまた敵を殺さずに生け捕りするロックンロールするつもりだったんだろう?
ランファンちゃんだってそうしたいし、俺も仲間外れはヤだかんな。付き合うって訳よ』
『アンタだけに格好付けさせねえんだよ!』
そう答えるクリプトとランファン。
『そう言う訳で、私は後ろからケンちゃんたちと一緒にフォローします~』
『そう言う事です』『嫌とは言わせねえ』『好き勝手するのは他ならぬ大尉がお手本っすから』『そうそう』
「ぐっ」
こうなってはルーツも言い返せない。
「ああそうかよ! テメエの気持ちで喧嘩すんなら勝手にしやがれ! ただし俺のロックは32ビートだ! この、ハイウェイスター様に!テメエらの16ビート如きで付いて来れると思うなよ! 覚悟しやがれ!」
宇宙に鳴り響くロックンロール。
ルーツは思わず涙になりそうだった鼻をすすりながらも、不敵に笑う。
ガンダムストレートシルエットが戦場を切り裂く。
射撃兵装は固定のビームマシンカノン2基とバックパックの追加ビームマシンカノン2基と90ミリマシンカノン4基。そして手にはスマートガンでは無く、両腕とも大型ビームサーベルユニット装備。接近白兵戦闘に特化したスタイルである。
サーベルユニットは初代ガンダムのビームジャベリンの様に球形のビームを形成する事もでき、ウェーブライダー時はそれを前面のシールド兼ビームラム(衝角)として用い、MS時も球状のビームバックラーシールドとして使用可能だ。
加えて可動型志向性Iフィールドユニットをアーサーが操る事によって、敵陣の只中に飛び込んでも、鉄壁のカバーでルーツを守るのである。
そして何より、ノーマル時とほぼ同じ重量の機体に、大型強化バックパックを装備したその機動力は、まさに誰が付いて行く事も許さなかった。
ルーツが縦横に暴れ回り混乱した敵を、クリプトもランファンも、己の心の望む翼のままに無力化して行く。
手加減はある。だが、その動きに一切の躊躇、迷いはない。
「あ~あ」
遮二無二闘うランファンと、それをさりげなく守るクリプトを見て、カーリーは溜め息をつく。
「やっぱり、そうよね~」
同じ女だから、気付いてしまう。まだ他ならぬランファン自身が認める事は無いだろうが、それでもランファンの気持ちに、カーリーは気付いてしまった。
「きっと私が男に生まれてても、敵わないんだろうな~」
『カーリー、ボーっとするな!』
『守る方の身にもなってよ!』
ウィングをパージする機能を付け、そこそこ身軽になったガズィのケンザキとオコーナーが文句をこぼす。
「そうよね~。帰りは貴方達を私が引っ張ってあげなくちゃならないしね~」
いっそ身近な誰かで妥協しようかとも思ったけど、そんなやり取りでその気も失せる。
やっぱり、ランファンちゃんみたいな可愛い男の子を探そう。
-13-
『頼むっ! 助けてくれっ!』
『ガンダムは化け物だ! お前らジオンの言う様に、白い悪魔だったんだ!』
ウラノス兵の救援を求める声に、ラドックは前回の様な戦果を挙げる間も無く、眼前の敵を放り出し、ガンダムを、ルーツの姿を求めてサイコゼク・ドライのスラスターを全開で吹かす。
「因縁に決着を付けてやる! ガンダムっっ!!」
「助かったのか?」
旗艦ナーガのブリッジで、緑のサイコゼク・ドライの恐怖にパニックになった味方部隊の手綱を取りかねていたウォンが呟く。
「や、やるではないか、ガンダム。やはり化け物の相手は化け物に限る。さ、さあ、早く我々も部隊を再編して、化け物以外の敵を駆逐するのだ!」
-14-
「くっそぉ! 次から次へ!」
ルーツが呻く。
やってくるジオンの識別信号。知っている、奴らは手強い。
特に、アイツは――――!
もうこれまでの様に手加減は出来ないかもしれない。
ルーツの球形の操縦桿を握る手が固くなる。
だがその時。
戦場を貫き呑み込む巨大なビーム。
『やられたっ?』
『い、いや、生きてる?』
『ち、畜生! カメラもセンサーも全灼かれちまった? 何も映らねえ!見えねえ!!』
それはバックスのファット・バレトが放ったメガ粒子の光。
極限まで収束率を落とし広げる事により、殺傷する能力を失ったが、代わりにより多くの敵のカメラとセンサーを潰す事が可能となった。バックスがブラウン達に頼んだ事の一つである。
『やめてくださいよぉっ! そんな悲しい喧嘩はやめてくださいっ! 冷たい喧嘩はやめてくださいよぉぉっ!』
バックスが、オープン回線で、戦場中に叫ぶ。
『喧嘩をするなら、大尉達みたいに、もっと仲良くする、愛し合うためのあったかい喧嘩をしてよぉっ! 私は嫌だっ! もう、両親達のような、冷たい喧嘩を見るのは嫌なんだぁぁぁあああっ!』
再びハイパーメガカノンを撃ち、カメラを潰す為のペイント弾のマシンガンを撃ち、ペイント弾ミサイルをバラ巻く。
誰も殺さない為に。
ただ、冷たい喧嘩を止める為に。
表向きは仲のいい夫婦を演じておきながら、家の中では呪いの様に冷たく罵り合い、それ以外は眼も合わせず無視し合い、勝手に愛人を作り合う父母の姿を見る、無力で無口な子供。そんな過去に抗う為に。
『ウラノスだって、元は同じ連邦の家族でしょう? ジオンだって、同じ人間でしょう? だから、やめてくださいよぉぉぉぉぉ!』
それは幼い頃から両親に言えなかった言葉。言う勇気の無かった言葉。いつかもっと偉くなれば聞いてもらえると、逃げていた言葉。
だからもう逃げるのは嫌だった。
政治家になんかなる前に、この戦場でこそ告白しなければならないと、今でなければ駄目だと、決めた叫び。
――情けねえ、人が死んでゆく。うおぉぉおぉぉ。
――情けねえ、涙で止まるなら、流し叫ぼう。
――願いが胸にあるなら、言葉を闇に閉ざすな。
――誰かの為に叫ぶため、貴方はきっと生まれた。
『やめて、くださいよぉぉおぉ』
戦場は止まりかけた。だが――――
『子供の泣き言かあ! それでも戦士なのかぁあ!?』
ラドックはファット・バレトに襲いかかる。
だが、ガンダムSSが、ルーツが獅子と雄叫び吠え、立ち塞がる。
「子供で何が悪りぃってんだ! 見せ掛けだけ大人ぶりやがって! やらせるもんかよぉおお! バックスだけじゃねェ!お前もだよっ! 誰も、誰にも、やらせるもんかああああぁぁぁあああああ!!!!!!!!」
――力の限り唄えば、祈りはきっと届くはず。
その時、ニュータイプであるラドックの心の目に、ルーツはまるで、勇猛にして厳しくも、兵や仲間や家族を愛して止まぬ、敬愛するドズルに見えた。
いや、違う。その温かく威厳と慈愛に満ちた光は、まるでそれ以上―――???
『み、認めはせん! 貴様などがドズル閣下よりも偉大だなどと、認めはせんぞぉぉおおおお!』
10基のファンネルが縦横無尽にSSを襲う。
ガンダムのスピードは信じられぬ事に、最初に戦った時よりも数段速い。機体か?腕か?
だが、より強力な力を得たのはラドックも同じ。2基のファンネルでは捉えられなくとも、10基なら、クモの巣の様に罠を巡らせれば、いかに速かろうと捕まえられる。
そのはずが、弾かれる。
『横にも後ろにもIフィールドだと? そんな小さな機体でビグザム以上の出力だと言うのかああ!!??』
実際に張ったフィールドは、ピンポイントと言えるほど小さい。それはALSSの予測の力。
手にするビームバズーカが切り裂かれる。このままでは、取り込まれるッ?
だが、その彼の窮地を救ったのは皮肉にも連邦の部隊。
『う、撃て撃てええ!』
ウォン提督の喚き散らすような命令。
咄嗟に従う者は少なかったが、それでも数条のビームは、ラドックとルーツを引き剥がすには充分だった。
『ラドック君! 退け! 時間は稼げた!』
味方のウラノス兵の呼びかけ。
呆然とするラドック。
『ラドック団長ぉぉお!』
その時彼は信じられないモノを見る。動かぬ自分を庇って、連邦のビームに貫かれるジェイスの姿。
脳裏に映し出される光景。自分はパイロットスーツでは無く、ドライバースーツを着ていて、仲間たちはピットクルーやメカニックで、最高の車を用意したと自慢する。そんな記憶など無かったはずなのに。
その切なく愛しい白昼夢は、爆散する緑のゼク・ドライごと消え去る。
「『う、うおおおおおおおおおお!!!!』」
ルーツと、ラドックは、叫んだ。
他のジオン兵のハイザックカスタム達が、半ば力尽くにラドックを引っ張って行く。
彼は、それに逆らう事は無かった。
-15-
L4連合艦隊臨時旗艦ナーガ、ブリッジ。
「ペズン艦隊、撤退を開始!」
「追いかけろ! 止めを刺すんだ!」
血走った目のウォン。失地回復のチャンスは今しか無い。
「おそらく無理です! こちらの出し得る最大加速よりも14%も上です!」
「な、何だと? ならば残敵に止めだ! 一機でも多く撃墜しろ!」
それを聞く者の背に怖気が走る。そこまでやる意味がどこにある?
救いの声が、通信モニターの一つを開いたままのアルビオンから届く。
『お止め下さい。もう敵は戦う力も意志も有していません。その先をするのならば、私は重大な残虐行為として、査問委員会にそれを報告しなければならない。今なら小官は聞かなかった事に致しますが?』
「―――っ!? も、勿論だ! 君は何も聞かなかった、いいね!?」
画面の中で笑って頷くヒースロウ。だが、画面に映らぬ握り拳には、固く爪が食い込む。
おそらくあのサラミス改級3隻とコロンブス級には、月方面への片道ぎりぎりの推進剤と物資以外、MSの整備補給物資すら、何一つ積んではいまい。それらはすべて先行した船に預けてあったのだ。物資運用のプロらしい、思い切った戦略だ。戦場限定の戦術では当然引けを取るつもりはないが、戦争『経営』の戦略では、ラマカーニは百戦錬磨の恐るべき相手なのだ。
だが、そんな敵への畏怖以上に、味方への怒りの方が強かった。
-16-
アルビオンMSデッキ。
「中尉!」「先生ぃ!」
ファット・バレトから降りたバックスに、ウォードとケンザキが抱き付く。
「お帰りなさい…」「本当に良かった…」
「お前たち…………。私は嫌われたのだと思っていたよ」
「ぼ、僕はMS教官を目指すんです! 先生みたいな!」「俺もだよ! だから、また教えてくれよぉ!」
「僕も」「俺も」「「ルーツやクリプトやランファンや、そして何より先生みたいに、闘いたいんだ!」」
3人は泣いて抱き合う。周りも、「「俺も俺も」」「私も~」と言いながら泣き合う。
しかしそこに、サンズ艦長が現れる。
「良かったな、お前ら。もう一つ朗報だ。喜べ、増援として、『あの』アムロ・レイが来る」
しかし、その言葉に誰一人喜ぶ者は無く、その場が凍り付く。
ここから、ギリギリ限界の、始めたばかりの本当の祈りと願いのための闘いの、本当の幕が上がる。
歴史の主役を戦場と言う舞台に上げぬための、歴史の端役たちの、真の闘いが。
最強の戦士、デウス・エクス・マキナ。『アムロ・レイ』が来る前に、願いを叶えるための闘いが。
―第9話へ続く―
おまけ。
※キャラクター解説。
●アムロ・レイ大尉(26)
デウス・エクス・マキナとは、ギリシャ神話の数々のエピソードで、主人公やヒロインが窮地に陥った時、彼等に肩入れしたゼウスによって、野盗の群れや果ては一国の軍隊すら風や雷で滅ぼされる有様から、古代ローマ時代の大衆演劇において、どんなに荒唐無稽な物語も、万能の力を持った主人公の活躍で悪党がすべて殺されて、強引に収束するオチを、『機械仕掛け(予めの台本通り)のゼウス』を意味するローマ語、『デウス・エクス・マキナ』と呼んだのである。
てなわけで、アムロとルーツが夢の共演共闘だあ! ジェダとSSが戦場でコンビを組むんだあ!
と、無邪気に喜んでしまった読者諸氏、まことに済まん。m(--)m
ある意味、彼は、この物語に出演してはいけない、真のラスボス扱いとなってしまったのだ。
余談だが、ルーツ以上の活躍をした彼が未だにルーツと同じ大尉なのは、彼が士官学校を出ていないからで、戦時昇進だけではここまでが上限と、国際的に軍事規則で決まっているからである(実際現実のほとんどの国で本当)。
そしてアムロが士官教育を受けないのは、彼なりの保身だろう。もう既に強大な力など持っているのだから。
●ブライト・ノア大佐(30)
独立新興部隊「ロンド・ベル」司令及び、新造戦艦ラー・カイラム艦長にこの度就任。
だが、彼もまた、この物語の戦場に出演すれば、その時に物語が悲劇となる役割を持たされた。
●ラドック&ゴーゴン
遂に結ばれましたが――――、彼の悲運は、彼が変わらない限り、変わる事は無いのでしょうね。
●ソラン・ラマカーニ
画面登場は僅かなのに、その戦略はいぶし銀の活躍。
そもそもZガンダムで、カミーユ達が如何に打撃を与えても、ティターンズの物資戦力が尽きなかったり、TR部隊が、あれだけのMSを開発できたのも、彼の手腕が有ったればこそ、と言うお話でした。
バスクや、ましてやブライトやヒースロウの様な有能な戦術家では無いですが、ある意味それ以上の将なのですよ。
●イートン・ヒースロウ
流石陰の主役。どんな困難にも強かに折れぬ不屈の男になってまいりました。悪ガキに鍛えられたお蔭で、困ったちゃんの上司の手綱も、見事に取っていますね。それを手柄と喜んでる訳では無いですが(苦笑)。労を厭わぬ苦労人、縁の下の力持ちです。
●クリプト&AKG6
みんないい活躍をしてくれてます。いい子に育ってくれてお養父さんは嬉しいよ。でも、一番美味しい所はやっぱり後の二人に持ってかれましたね。
余談ですが、やっぱりこいつらも漏らしてたと思うよ。捩じれ骨子様。本編では描写されなかっただけでwww
●ライル・バックス
第8話における、紛れもない主役。
彼の闘う理由は重い物ですが、程度の差こそあれ、両親の喧嘩を見て、怒ったり泣いたり、そしてまた彼の様に絶望して黙ってしまった経験は、少なからぬ読者の方々もお有りでしょう。
でも彼は、幼稚と笑われようと、その偽り無い本心で闘う事を選んだ。本心のまま叫んだ。
だから、紛れも無く第8話の主役、主人公なのです。
ジョッシュも、きっと似たような願いが有ったから、軍人に憧れたであろうに、彼は遂に彼自身の本心を彼自身さえ知ろうとせず、願えなかった。叫べなかった。そして死んでいったのが、旧作センチネルのストーリーでした。
●リョウ・ルーツ
『俺は今日限りで特攻服を脱ぐ! 見てろ! 自衛隊に入って風○真を時代遅れにしてやるぜ!』
などとのたもうたヤンキーガキ大将の兄ちゃんが、近所に居ませんでしたでしょうか?
俺の先輩にもそのままでは無い(陸自でしたし)ですが、いました(笑)。やっぱりバイク乗りで、気難しいけど善い先輩でしたよ。ちなみに◎間真のくだりは、知り合いから聞いたこれまた別の『実話』が元です(爆笑)。
経歴書いて改めて思いましたが、本当にルーツって、そこらにいるありふれた兄ちゃんだよねえ(苦笑)。
流石、元祖エモいだけが取り柄だった主人公。
そして見事なまでに、そこいらにいる脳筋な、訓練で何とかしようとする軍人です。でもそれでいいんです。
そしてその事に、見事なまでに誰よりも嘘が無く、素直です。それでいいんです。
第1話で「感動を返せ」と言ったら、ちゃんと半◎直樹ばりに、3倍返しで返してくれましたしね。
嘘が無いから、ちゃんと、人の、マニングス達の心がわかるんです。いつでも、ストレートなんです。
ストレートに叫べるんです。
ドズルよりも。
本作でも、ただ優秀なエースなだけでは無い、エモいもちゃんと有る主人公です。
※メカ解説。
●プロトガズィ
ちゃんとウィングは爆棄ボルトによってパージできるようになりました。
ですがまだ、メガビームランチャーとビームサブマシンガンをそれぞれ両手で振り回さねばならない分、身重。
ムーバブルアームが有り、手を離しても構わないとは言え、咄嗟にビームサーベルを使うにはやはり不便。
次回はアナハイムからチェレンコフが発注したパーツが届き、皆様良くご存知のあの姿になるはずです。
●ファット・バレト
第8話限定だが、真の主役メカ。
主役過ぎて、一番美味しい所をかっ攫った挙句、悪漢と闘う主役の水戸黄門の様に、お供に『こんなの御老公が出るまでも有りませんよ』と守られましたwwww
いや、この機体、あの瞬間は、彼等が何よりも守るべき、御大将御本尊大御所大黒柱だったですよ。マジで。
装備、火力は、はっきり言ってダウンの方向へ改修(^^;)。
本編でも語ったように、ハイパーメガカノンは超広範囲だけが取り柄の目潰しビーム。実体弾兵器は全てペイント弾(お忘れかも知れないが、アルビオン隊はMS実験開発が主任務で、本来の仕事はひたすら試験の為の演習。だから未だにストックが艦内に保管されていたのだ)。とにかく目潰しばっか。グレートムタかグレートカブキかアンタは?
今後はビームマシンカノンやインコムすら同様に改修されるかもしれない。
でも、それが、それこそが『バックスの望む最強のMS』なのだ。そこに迷いは無い。
●ガンダムSSストレートシルエット
ガンダムSS第4形態。
ZZガンダムのビームサーベルの出力で初代のビームジャベリン作ったら、どれだけでっかい球になるだろう?
やや小型のビームシールド(所謂バックラー)くらいの大きさになるに違いないと考えました。
それを二つ合わせてより巨大な球にしたビームシールドを前面に張って、敵陣にストレートに斬り込む。
まさしくその名の通りの機体です。
この後ネオジオンのサザビーのビームトマホーク等のビーム成型技術も取り入れ、F91のビームシールドへとなって行ったのでしょうね。ただし問題は、その技術がブッホとスカールにも行ってしまった事。
ゴーゴンの名も無き手下の御冥福をお祈りします。
話を元に戻しますが、当形態自体はどちらかと言えばF90、91よりも、更に後のXボーンガンダムの元ですね。
乗ってるのがルーツなせいも有って、ファットが親分なら、本機はどう見ても鉄砲玉(苦笑)。
ファットが水戸黄門なら、SSは長ドス一本で殴り込む高倉健ですな。わあ、日活無国籍映画よりカオス(古い)。
まあ、ルーツは先頭で走るリーダー(直訳である先駆者)であっても、後ろに控える親分なんて似合わないですしね。ロックンロール。ルーツ、不器用じゃけえのう(爆)。
あってもブルース・スプリングスティーン風『ボス』までかな? やっぱどこまで行っても先頭で転がる石(笑)。
さて、Xボーンの元と言えば、ビームシールドやABCマントよりもチートな可動式志向性Iフィールド装置も装備。ただしこれ、敵の弾道を予測するALSSが無いと何の役に立ちませんwwwww
ファンネルの攻撃を防ぐなんて、それこそバイオセンサー積んだアーサーで無いと無理無理無理wwwwww
だから部分的にXボーンを上回っている、超チート機体でした。
●ジムカーナ
メカじゃなくて競技じゃん?ってツッコミは正しいが、本編に文字数の都合で書き切れなかった事をここに書きたかったので。メカ(車、バイク)でする競技だから、ここで書いてもいいよね?(下手にでた)
特にバイクでの場合、上手くなるのはとにかく転んだ数。と言うのも良く言われる事である。
親の説教と同じで、失敗を身で味わって初めて、タイヤやエンジン、ブレーキなどのマシンの声に耳を傾け、路面状況や温度湿度天候などの、世界の声にも耳を傾けるようになる。
でも、ロケット・バケーション・カンパニーの人達のように、最初から機械の声に、素直に耳を傾ける心を持つ方達ならば、転ぶ必要なんて無く、ただ会話を楽しみバイクに乗ればいい。
無理にスピードなんか出さなくても、心の翼で飛べる人達ならば。
なので、折角なので、試しに乗ってみたのならば、これからも乗り続けて欲しいと願うのでした。
ねえ、ワッ◎マン(仮名)さん。
※挿入歌。
●センチネルとおニャン子をリアルタイムで見ていた世代は勿論御存知、タカさんノリさん『とんねるず』のあの歌の替え歌です。
昔、もしセンチネルがアニメになったら、この歌がBGMになったら格好いいだろうなと思い、本作を描くに当たり、ストーリーに合わせて恥ずかしながらも、勝手に作詞し直して替え歌しました。
さらっと流してください、お願いだから(TT)。
旅の恥は掻き捨てた所でまた次話へ!
次はウラノスのターンです。主人公チームはMSでは出撃しない予定(おい×2)。
でもあの人のエピソードはあるですよ。っつーか、そのままタイトルです(何?)。
それではまったね~。
再びアルビオンを目指すウェスト。
彼が運ぶのはガズィとガンダムSSを完成させるための鍵。そしてルーツの母の恩師。
男達は女達の元に安らぎを求めに行く。
だがそこに待ち受けていたのは哀しみの涙。
そしてウラノスは野望に向かって前進する。
しかし、それに立ち向かうべきルーツは――――
第9話 ―シェリー・ブラウン―
ってな訳で次回は人間ドラマ、ラブロマンス回となっております。
アップはいつも通り半月後、11月上旬の予定です。
是非!次もまた読んでね!
おっ楽しみに~!
(^^)/