《貴軍等は
我が国の国境を無断で横断しようとしている、
これは警告である、即刻進軍を中止し、話をしよう》
なんなんだアレは?
遥か彼方から轟音と共に現れた巨大な鋼鉄のモノは
『これから進軍する国の国旗を掲げていた』
「如何致しますか。」
「今止めて何になる?」
「では。」
「うむ、『魔導士』達へ
上空の鋼鉄のモノへ攻撃魔法を、
周辺歩兵は、魔導士を護衛せよ、
あれだけ大きなモノだ、
『余程無茶をしている筈だ』簡単に墜とせよう。」
妙な陥没痕があったが、
まさかアレが撃ちだせる訳があるまい
▽
【警告、無視されました】
「国境は?」
【超えています、幾つかの集団へ隊列を変更、
光学反応、魔法が放たれました】
「艦橋波動防壁出力全開、先ずは耐えて見よう。」
【防壁最大出力、艦全体をカバーします】
波動防壁、これを最大出力にすると、
『主砲』へ動力を回せなくなるけど
パルスレーザーで過剰防衛だしね
ただ、威力が足りないのか、
距離が遠過ぎるのか、『魔法』は届かず霧散した
▽
「バカなっ!?」
アレの高さは、飛竜よりも高いと言うのか!!
「王子!!
魔導士達に動揺が広がっております!!指示を!!」
「むむむ・・・。」
「上空のモノより光源ふ」
「はっ!?
どうして馬に乗せられているのだ?」
「王子!!意識が戻られましたか!!」
「なぜ・・・撤退しているのだ?」
「・・・王子、我々は負けました。」
「なんだとっ!?」
「あのモノから撃ちだされる光源が、
瞬く間に周辺を焼き払い、
『人間が蒸発していきました』」
「・・・蒸発、ありえるのか。」
「王子、事はただ負けただけではありません。」
「まだあるのか?」
「・・・生き残りは、ここに居る、近衛兵20人だけです。」
「・・・20人、だと。」
「はい、皆、王子を逃がす為に『消えていきました』」
「4万も居た将兵達が・・・20人。」
あはは、コレは悪夢だ、きっと私はまだ夢を見ているのだろう
▽
「王子!!首都見えます!!」
「おぉ、我がしゅ・・・と。」
上空にあの鋼鉄のモノが浮いていた
「我が国の・・・首都が。」
城壁は無残にも砕け、奇怪な形に溶けていた
城下町から幾つもの黒煙が立ち昇る
そうだ、父上達は大丈夫だろうか
あぁ、我が王城が
▽
瓦礫の山をかき分け、会談の場所を造る
「さ、国王陛下、どうぞお座りください。」
「ぅ、うむ。」
我が国は、滅ぶのか
「まずは、今後の『復興』に関する取り決めから行きましょう。」
「なに?」
「国王陛下、この国は残って貰わないと色々面倒なんですよ、
山と言う天然の城壁こそありますが、
その向こうには『戦争中の国家が幾つもあります』
それらの牽制役として、国を存続して貰います。」
「なんと、山の向こう側は戦争中だったのか。」
「知らなかったのですか?」
「うむ、元々国交も無い、
辛うじて旅商人が年に数回立ち寄るだけだったのだ。」
「そうでしたか、
恐らくこの数年は向こう側から難民が押し寄せるでしょう、
その彼等を『我が領土における労働者』として、
支援して欲しいのです。」
「無理だ、これだけ破壊された城下町を復興するにも、
何年かかるか・・・それに、
田畑も去年に比べ不作でな、国庫にも余裕は無い、
それらも相まって貴国に攻め入ったのだ。」
「そんな事しなくても『開国』してくれれば、
素直に食糧は輸出致しましたのに、
只の骨折り損のくたびれ儲けじゃないですか。」
「今となってはな、
して、開国しても我が国に食糧は無い、売る物など。」
「ありますよ、
家の領地に隣接している山腹一帯に
埋まっているのですよ、『鉱物資源』がね。」
「『鉱物資源』か、しかし、我が国では石炭こそ使うが、
それ以外となると、我が国に精通している者がおらん、
此度の甲冑防具なり魔導士が使う『ワンド』は、
ここから3週間程南に向かった国からの輸入品だ、
それに、その国もこの開戦で国交を閉ざしてしまったのだ。」
「・・・俺がテコ入れします、
兎に角早急に復興、山岳地帯の状況把握、
難民受け入れの為の地区を開墾して下さい。」
「お前ひとりで?」
「ま、見ればわかりますよ。」
両手をぱん、瓦礫にぺたし
「『復元』」
自分で壊した建物を全て元通りに『錬成』する
「はい、住居は戻しました、
さぁ、国王陛下、今度は貴方の番ですよ?」
「父上!!ご無事ですか!!」
「国王陛下、彼は?」
「私の忘れ形見だ、妻はもう居ない。」
「・・・そうですか、では『殺せませんね』
王子殿、とっとと所帯を持って国王陛下を
安心させるといいですよ?」
「・・・か、寛大なるご配慮、
至極感謝致します。(さ、逆らったら死んでしまう!!)」
「では、当面は『無償で食糧』を輸出します、
期限は次の作付けの月までで?」
「・・・わかった、
しかし、翌年もまた不作の場合は。」
「ま、田畑もテコ入れしますよ、滅ばないで下さいね?
もしそうなったら、『アンデッド』にでもして、
永遠の時を『生かし続けるのでよろしく』」
「っ!?生命への冒涜だぞそれは!!」
「それが何か?」
「貴様。」
「・・・人間が居るから争いは生まれる、
なら、滅ぼせば争いは無くなるのか?」
「それは。」
「精々50年~70年、
人間はそんなもんです、
『魔物や、飛竜、竜王種、海竜』などは、
100年1000年はざらです、
彼等にも争いはあります。」
「・・・同じだと?」
「いえ、『違う生き物を物差しにしないで下さい』
我々は何代も世代を得て今があります、
今後も残すのであるならば、
『滅ばない道を模索し続ける事です』
国王陛下、先ずは王子の嫁探しから始めてみては?
食糧に関しては今『駆逐艦』から降ろしますので、
輸出第一陣は2週間後に到着します、
もし『攻撃された場合』は、おわかりですね?」
「わ、わかっておる、街道には、
盗賊討伐の軍も出撃させる、これでいいか?」
「えぇ、それと。」
「まだあるのか?」
「・・・いえ、コレは俺が口だしする物では無いでしょうし。」
「なんだと言うのだっ!!言え!!」
「・・・『奥さん、双子だったんですよね?』」
「なに?」
「は、母上が双子?父上?ご存知で?」
「いや、初耳だ。」
「・・・城下町の外れ、
この道沿いに行けば恐らく会えるでしょうね、
ただ、そこから先は、貴方達次第です、
俺はやる事が山積みなので、もう帰りますね。」